726 名前:1 :2015/05/18(月) 19:47:41.87 ID:H9mMrNmq0
ジンネマン「バナージ、人生とはこの砂漠を歩くようなものだ」
ジンネマン「上から太陽が照り付け、砂が足を焦がし、それでもオアシスに向かって進んでいく」
ジンネマン「だが、そのオアシスも一時に過ぎず、次が永遠のオアシスと信じまた歩き出す」
バナージ「遭難していなければ、もう少し真面目に聞いたんですけどね」
ジンネマン「……」
バナージ「……」
ジンネマン「……」
バナージ「誰か助けてええええ!!」

ジンネマン「くそっ、またこのパターンか!?」
バナージ「他人事みたいに言わないでくださいよ!墜落したのはキャプテンの操縦でしょう!?」
ジンネマン「最後は俺じゃない!」
バナージ「ええそうですよ!最後はリディさんが必死に不時着させてたんですから!!」
リディ「ごめんな、バナージ。俺がコロニーの航空機展に誘ったばかりに」
バナージ「良いんですよリディさん。キャプテンにとって大気圏突入と不時着は同じ意味なんですから」
ジンネマン「なんだと!?5回に1回は目的地に着いている!!」
バナージ「低すぎますよ!普通は50回に1回失敗でも多いくらいです!」
ジンネマン「まともにやればその位は簡単だ。だが、レールの上を走る様な着陸はつまらんと思わんか?」
バナージ「いりませんよそんなスリリング!?ほら、リディさんも何か言ってください!警察官として見過ごしてはいけませんよ!」
ジンネマン「というよりこの男は誰だ!?何故俺の船に乗ってる!?」
バナージ「リディさんですよ!いい加減覚えてください!
     大体、コロニーの航空機展の帰りに偶然会って、初対面でも乗せてやるって言ったのはキャプテンでしょう!?」
ジンネマン「連邦党の政治屋のマーセナス家の七光りの名前を覚えるのは苦手なんでな」
バナージ「名前よりどうでも良い情報は覚えられるのに!?」
ジンネマン「よし、バナージ、七光り。ユニコーンを呼べ。それで助かるぞ」
リディ「気にしている事を呼び名に……」
バナージ「またどうでも良い情報ばかり覚えて……」
リディ「√√√」
バナージ「√√√」
ジンネマン「どうだ?」
バ・リ「「ダメですね」」
ジンネマン「くそっ、なんでだ!?」
バナージ「今年はバリで焼きたいって」
リディ「夏に美白に挑戦するって言っていました」
ジンネマン「外装を交換しろ!!」

727 名前:2 :2015/05/18(月) 19:48:44.78 ID:H9mMrNmq0
バナージ「本当に助かる方法を考えないと……」
ジンネマン「リディ、警察官なら無線があるだろう?」
リディ「非番日ですよ……この距離なら多分届きませんし」
ジンネマン「なら携帯電話だ」
バナージ「着陸の衝撃で壊れました」
リディ「ジンネマンさんは持っていないんですか?」
ジンネマン「3日前に洗濯機に入れちまって、何故か知らんがそれから動かない」
バナージ「当たり前でしょう!?機械に水は禁物なんですよ!」
ジンネマン「気合の無い奴だ」
バナージ「気合でどうにかするものじゃありません!
     ……どうせ酔って朝に帰ってそのまま回りかけてる洗濯機に入れたんでしょう?」
ジンネマン「……ニュータイプってのは嫌なものだな。人の進化の結果がくだらん過程を知る能力とは」
リディ「直撃!?」
バナージ「否定してくださいよ!なんで一番酷くてありえないと思った事をやってるんですか!?」
ジンネマン「酒は可能性の獣だ。時に規格外の可能性を引き出してくれる」
バナージ「言い訳の時だけ格好良さそうな事言うの止めましょうよ!情けないだけですよ!?」
ジンネマン「俺はいつだって格好良い年長者をやっている」
バナージ「格好良いなら墜落しませんからね」
ジンネマン「……」
バナージ「……」
ジンネマン「バナージ、社会の荒波に飲まれて綺麗な心を失っちまったか」
バナージ「言うに事欠いてそれですか!?
     今、俺の中でジンネマンさんの評価が……落ちませんね」
リディ「落ちないのか?」
ジンネマン「フ、それが人徳だ」
バナージ「残念ながら既に重力の井戸の底ですから」
ジンネマン「上げろ!木星の向こう側まで上げておけ!」
バナージ「なら大気圏突入成功率も上げてくださいよ!?」
ジンネマン「その気になれば100%も簡単だと言ってるだろう!?」
バナージ「ならそれを見せてくださいよ!今回は何が邪魔したんです!?」
ジンネマン「……」
バナージ「……言って下さい、怒りませんから」
ジンネマン「……雲が連邦党のマークをしていたからぶち抜きたくなった」
バナージ「前言撤回!」

728 名前:3 :2015/05/18(月) 19:49:40.43 ID:H9mMrNmq0
リディ「それにしても、何故そんなに嫌っているんですか?そういうのは慣れてるけど……」
バナージ「俺からも教えてください、頼みます。多分、政治の話になるんでしょうけど……」
ジンネマン「あれは忘れもしない10年前の冬……俺のマリィが……可愛い娘が……」
リディ「まさか……!」
ジンネマン「バレンタインに男にチョコを渡しやがった……俺以外の男にだぞ!
      調べてみたら連邦党の議員の息子だ!ふざけるな!!」
バナージ「( ゚д゚)ポカーン」
リディ「ええと……確か……」
ジンネマン「しかも!それからだ!娘が俺に手作りチョコを渡さなくなったのは!
      この恨みは100年経っても忘れるものか!!」
リディ「お、落ち着いてください!」
バナージ「見事な逆恨み……!」
ジンネマン「良いか七光り!俺の娘は世界一可愛いんだ!それこそミネバ様よりずっとな!
      お前には渡さんぞ!!」
リディ「話が膨らんでませんか!?だいたい、見た事も無いんですから!」
ジンネマン「見たいだと!?フン、少しは話の分かる奴だ見せてやる。だが惚れるなよ、絶対だ!
      お前には無理な話だがな!」
バナージ「NT-D並みに暴走してる……」
ジンネマン「バナージ。お前はダメだ。七光りにだけは見せてやる。どうだ?」
リディ「可愛らしいお子さんですね。奥様似ですか?」
ジンネマン「フフ、鋭いな。その通りだ。連邦党の人間は屑ばかりだと思っていたが、リディ、お前だけは考えを改めなければな」
リディ「羨ましいですよ。俺もフィーさんのような奥さんが欲しいなあ」
ジンネマン「そうだろう?まあお前には無理だが、俺がアドバイスしてやっても良い」
リディ「是非お願いします」
バナージ「ああ……キャプテンが子どもでも分かる懐柔策に嵌ってる……
    まあ、仲良くなるのは良い事ですけれど」
ジンネマン「何か言ったか?」
バナージ「何でもありませーん!無線機を何とか修理してみますよー」

バナージ「ダメか……大事な部品が曲がってる……」
バナージ「空調は生きているし、助けを呼び続けるしかないのかな」
リディ「バナージ、ジンネマンさんが様子を見て来いって。どうだ?」
バナージ「リディさん。やっぱり直すのはかなり難しいで……」
リディ「どうした?俺の顔に何か付いてるのか?」
バナージ「顔が……バンシィに乗った時みたいに……!」
リディ「……察してくれ」ボソッ
バナージ「……」コクリ

729 名前:4 :2015/05/18(月) 19:50:33.33 ID:H9mMrNmq0
ジンネマン「で、結局通信機は使えなかったのか」
バナージ「ええ。こうなれば根気比べですね」
ジンネマン「まあそういう時もある。男3人、気力が絶える事は無い」
バナージ「(かなり浮かれてるな……それに比べて)」
バナージ「……」チラッ
リディ「……」ゲッソリ
バナージ「(気力が絶えかけてる……助けないと)」
バナージ「ね、ねえリディさん。リディさんって最近飛行機買ったんでしょう?」
リディ「ああ、ローンだけど、ヒップヘビーを」
ジンネマン「ほう、良い趣味だ」
バナージ「やっぱり、MSとは違うんですか?」
リディ「最高だよ。こう……彼女を抱いている時の様でさ」
バナージ「そんな相性の良い物に乗れるなんて……俺もそういうもの、早く見つけたいですよ」
ジンネマン「彼女、か。モテる男が何を言う」
リディ「へえ、人気あるんだな。羨ましいよ」
バナージ「リディさんだって人気あるでしょう?シロー兄さんが言ってましたよ」
リディ「ハハ、どうだか。俺自身がって人がその中でどれだけいるか……」
ジンネマン「不安症だな」
リディ「それに、俺が好きな人に好かれなければな」
バナージ「それを言って良いなら、俺の本命だって1人だけですよ。その人が好きでいてくれたら、それ以上はありません」
ジンネマン「なら、そいつに救援の合図を送ったらどうだ?案外届くかもしれん」
バナージ「心配掛ける訳にはいきませんよ。それに……」
リディ「それに?」
バナージ「そっちの方向に俺が死にそうって電波を出した方が助かる確率が高い気がします」
リディ「ネガティブすぎないか!?」
ジンネマン「いや……妙案だな」
リディ「キャプテンまで!?」
バナージ「絶対あの人が殺しに来る……」
ジンネマン「お前を完全に葬り去るまたとない機会だからな」
リディ「予想は付くけど……どんな策謀がバナージの周りで蠢いてるんだ!?」
 ゴゴゴゴゴ
バナージ「確かに地面が蠢いてるけど……何なんだよ!?」
リディ「冗談で言ったのに!?」
ジンネマン「まさか……本当に……!?」

730 名前:5 :2015/05/18(月) 19:51:16.30 ID:H9mMrNmq0
ロニ「やっほー☆」
ジンネマン「シャンブロ……ロニか!?」
ロニ「バナージ、助けに来た!」


バナージ「まさかロニさんが助けに来てくれるなんて……ありがとうございます」
ロニ「シャンブロに乗ってたらなんとなくバナージがいる気がしたんだ。
   方向を調べたら砂漠だったから、また遭難してると思ったんだよ」
リディ「サイコフレームが反応したのか……」
ジンネマン「ん、交戦記録があるぞ。訓練でもしてたのか」
ロニ「違うわ。無人の金色のMSが飛んできたから叩き落して踏み潰した。角割れみたいな姿だったけど、何だったんだろうね」
バナージ「(まさかフェネクス……?)」
リディ「(誰のものかは分からないが、機体だけ気付いて助けに来た……?)」
ジンネマン「しかし、助けに来たのがロニとはな」
バナージ「何を笑ってるんです?」
ジンネマン「俺の悩みが2つ消えたと思ってな」
バナージ「はあ?」
ジンネマン「本命は決まりって事だ」
ロニ「コクピットに他の男を2人も乗せたんだ。子ども2人を生ませてくれるしかないな」
バナージ「どういう理屈ですか!?」
ロニ「そういう理屈だよ」ぎゅっ
バナージ「うわあっ!?」
リディ「操縦席を離れるなよ!ここは海の上だし今度は沈没するぞ!?」
ロニ「リディ、お前が操縦すれば良いだろう?サイコフレームを積んでいるから不慣れでも動くさ」
バナージ「リディさん、操縦放棄で切符切ってくださいよ!ちょ……っと……どこ触ってるんですか……!」
ロニ「2人きりでもないのに私にそれを言わせるのか?」
ジンネマン「フッ、若いってのは良いな。さあ、帰るぞ。リディもちゃんと操縦しろよ」
リディ「まったく……ジオンってのは調子が良いよな……」
ジンネマン「何か言ったか?」
リディ「いえ、何も」

 おわり


ミネバ「はくしゅん!
    ……風邪かしら?」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2016年05月12日 06:27