393 名前:シンの風紀委員体験 高等部編 後 1/5 :2015/07/27(月) 00:47:00.04 ID:D1gtsXBF0
シン(さすが高等部、部外者も厄介な連中が多いぜ…)
そもそも部外者がホイホイと入ってくるこの状況が異常なのだが、この状況に毒されたシンにはそれを理解できなかった。
シン(でも、まあ…裏を返せば部外者がいなけりゃ平和だってことか。このまま平穏無事に終わってくれれば――)
とはいえ、平穏無事に終わるはずなどないと内心は理解していたたし、騒ぎがあったとしても驚くつもりはなかった。
少年の悲鳴を聞きつけ、現場に急行するまでは。
デシル「離してええええええ!」
ルぺ「姿が見えないと思ったら、まさか高等部に隠れてたなんてねえ…さあ、観念してお風呂に」
教師が初等部の生徒を手籠めにしようとしている。こんな状況はさしものシンも予想していなかった。
シン「一番やっちゃいけない奴が悪さしてんじゃねえええええ!」
少しの間呆然とした後、我に返ったシンはGNハリセンを取り出してその教師をぶっ叩いた。
ルぺ「…シン坊やじゃないか。何の用だい」
シン「何の用だじゃないだろ! 一番悪さしちゃいけない立場の人が何してんだ!」
ルペ「悪さとは人聞きが悪い。趣味と実益を兼ねたお仕置きをするだけじゃないか」
シン「世間一般じゃそれを悪さと言うんだよ!」
ルぺ「ああもう、喧しいね。声を張ることしかしない男は嫌いだよ」
シン「張らせてるのは誰だっての…」
ルぺ「で、何してるのさ。ついに女に目覚めて女漁りでも始めたのかい?
いいね、男女交際大いに結構。あたしは応援するよ」
シン「違う!」
ルペ「…まさか男に目覚めて男漁り? 悪いけど、あたしゃそういう非生産的なことは認めない派なんだよ」
シン「違うっつーの! アスランの代わりに風紀委員の活動してんだよ」
ルぺ「はーん。あのザラの代わり。胃に穴でも開いたかね」
シン「なんでわかるんだ?」
ルぺ「教えてる生徒のことくらいは把握してるよ。特にあのザラは気に入らないからね」
シン「気に入らないって」
ルぺ「アレは将来、情けない男になるよ」
情けない男はルぺ・シノの大嫌いなタイプの人間で、授業中も『情けない男にだけはなるんじゃない』と熱弁を振るっている。
ルぺ「椅子を尻で磨く程度の男か、はたまた椅子をころころ変えて破滅する男か。今のままじゃそれが限界だろうね」
シン「そこまで言うか…?」
394 名前:シンの風紀委員体験 高等部編 後 2/5 :2015/07/27(月) 00:48:36.41 ID:D1gtsXBF0
ルぺ「周りに影響されやすすぎるんだよ、あいつは。そのせいでいつも迷ってばかりいる。そういう奴ができることといえば
意固地になって他人に与えられた立場を守るか、それとも他人の言われるままホイホイ立場を変えるだけ
本当にいい男ってのは、心に芯の一本でも入ってる奴のことを言うんだよ」
腐っても教師といったところか。変態的なところばかり目立つが、きちんと見るところは見ているのだ。
シン「はぁ…」
ルぺ「まあ、あんたもあんたで芯が硬すぎるのが問題なんだけどね」
シン「なっ…!」
ルぺ「今のところ、いい男度ではジュドーやウッソの坊やの方が上だね」
シン「…マジで?」
ルぺ「マジさ。どうにも視野が狭すぎる。見えるものしか見えない奴はいい男になれないよ」
シン「見えるものしか見えないって当たり前だろ。意味がわからない」
ルぺ「だろ? それが今のあんたなのさ。せいぜい、考えてみな」
シン「………」
予期せぬ人から予期せぬ講義を受けたシンは、その後も色々と考えながら見回りを続けていた。
あれからは特に問題となる人物も見つからない。このまま平和に終わるのだろうか――と思い始めた時、轟音と共に校内に振動が走った。
シン「なんだ!?」
エルヴィン「シン!」
シン「エルヴィン。どうした?」
エルヴィン「大変なんだよ! 外でMSが暴れてて…喧嘩みたいだ!」
シン「わかった、すぐ行く!」
校庭は戦場と化していた。ビームと爆風が飛び交い、まだこの学校に慣れていない生徒たちは悲鳴を上げて逃げ惑う。
逆に慣れてしまった生徒は呆れながらも冷静に補強された校内や備え付けのシェルターに逃げ込む。
不運にも流れ弾が命中して
ミンチになる生徒もちらほら。
はたから見れば地獄絵図そのものだが、この学校では至って普通の光景である。
仲裁に向かったシンは喧嘩をしている面子に絶句した。
395 名前:シンの風紀委員体験 高等部編 後 3/5 :2015/07/27(月) 00:52:20.58 ID:D1gtsXBF0
カテジナ『部活をサボって女生徒とデートなんて、いい御身分だこと!』
片や、自分にこの仕事を任せた風紀委員長
カミーユ『俺にだって都合があるんだ!』
片や、自分の兄。
カテジナ『学生には学生の本分というものがある! それを!』
カミーユ『潔癖女のエゴに付き合ってられるか!』
両者とも、怒ると周りが見えなくなるタイプだ。ゆえに周囲の被害など考えない。どんどん被害が広がっていく。
シン『お前らかあああああああ!』
そんな二人に我慢できず、シンは叫んだ。
カテジナ『シン君!?』
カミーユ『何故ここに!』
シン『自分で風紀乱してどうすんだよ、先輩!』
カテジナ『何度言い聞かせても聞かないそこの女たらしが悪いのよ!』
カミーユ『お前はいつも上から目線で潔癖で、人を馬鹿にして!』
カテジナ『人を馬鹿にしているのはどっちよ! いつも風紀を乱して、あなたこそ私を馬鹿にしているんでしょう!?』
カミーユ『カぁぁぁぁテぇぇぇぇジぃぃぃぃナぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
カテジナ『カぁぁぁぁぁぁミぃぃぃぃぃぃユぅぅぅぅぅぅぅぅ!』
シン「………」プチン
カミーユ『ん? 今、何か』
カテジナ『音がしたような…』
シン『あんたは…あんたたちは………一体! なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!!』
シンの頭の中で何かが切れ、額のあたりではマカダミアナッツ的な何かが割れた。
カミーユ・カテジナ『!?』
怒りとSEEDによって全開の性能を発揮したデスティニーがゴトラタンとZガンダムに突撃した。
そして…
ガロード「お、ゴトラタンとゼータがスクラップになってら」
モンド「一緒にスクラップになってるなんて珍しいね」
ジュドー「ラッキーラッキー。今のうちにパーツ回収しとこうぜ」
396 名前:シンの風紀委員体験 高等部編 後 4/5 :2015/07/27(月) 00:54:18.81 ID:D1gtsXBF0
それから数日後。
無事に退院し、抜け毛もしっかり生えそろったアスランは風紀委員の会合に出席した。
アスラン「すみません、休んでしまって」
カテジナ「気にしないで。体は大事だもの」
アスラン「…あの、先輩」
カテジナ「何かしら」
アスラン「なぜ包帯まみれなんですか?」
カテジナ「それより、あなたに紹介したい人がいるの」
アスラン(ごまかした…)「はあ」
カテジナ「新たな風紀委員のシン・アスカ・Gくんよ」
シン「な、ん、で、だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
カテジナ「兄でも先輩でも、どんな相手にもNOを突きつけられるあなたの性格…まさしく風紀委員にふさわしいと判断したわ」
五飛「何がなんでも自らを貫き通すのが貴様の正義だろう。ならば俺たちと来い」
シン「で、でも俺なんかがこなせるような役職じゃないって!」
五飛「そんなことがあるものか」
カテジナ「最近のあなたの活躍を見て、色々な人があなたを推薦してくれているのよ。あのルぺシノのおば…先生まで」
シン「嘘だろ…アスラン! なんとか言ってくれよ!」
アスラン(確かに俺も忙しい。シンがやってくれると正直助かる。
しかしあんなに嫌がっているというのに無理にやらせるのは…)
カテジナ「………」
五飛「………」
アスラン「い、いいんじゃないですか。俺もシンはこの職務に向いていると思っていました!」
アスラン、無言の圧力にあっさり敗北。
シン「アスラン!?」
カテジナ「決定ね。これからもよろしく頼むわよ、新風紀委員さん」
シン「なんで…なんで!?」
五飛「これが正義だ」
シン「こんな正義があってたまるかああああ!」
やっぱりかかわるんじゃなかった。そう思っても今更である。しかし言われるばかりではない。
シンはカテジナと交渉し、その結果アスラン不在(or多忙時)かつ自身が暇な時に限り風紀委員を務めるということになった。
ここに、新たなる風紀委員シン・アスカ・Gが誕生したのである。
後日。あれだけ嫌がっていたのだから、あまりやる気は出さないだろうと思っていたアスランの予想に反して
シンは積極的に活動していた。元々ツッコミ体質であるのと、身内が騒動の元であるケースが非常に多かったからだ。
シン「ヒイロ! そこは禁自爆指定地域だぞ!」
ヒイロ「見つかったか…脱出する」
シン「逃げんなコラあああああ!」
397 名前:シンの風紀委員体験 高等部編 後 5/5 :2015/07/27(月) 00:56:12.77 ID:D1gtsXBF0
シン「見つけたぞ不審者! とっ捕まえてやる!」
アンドレイ「私は怪しい者ではない! ただ乙女観察にやってきただけだ!」
シン「思いっきり怪しいじゃないか!」
シン「中等部のとある教室に盗聴器付けた奴が複数いるみたいなんですが、先輩たちは心当たりありませんか」
ミライ「シラナイワー」
ギャン子「な、なんでバr」
フミナ「お黙り! …ナンデモナイワヨー?」
ルぺ「アタシまで呼ばれるのはなんでさ?」
シン「怪しいからだよ!」
シン「ガロードにジュドー! 校内で商売するんじゃない!」
ジュドー「ジュドーって誰? 俺にはゲーツ・キャパっていうれっきとした名前が」
ガロード「俺はアルベルトだ。ガロードくんならアッチへ行ったぞ」
さっそく発見したのは身内だった。彼らの仲間はとっとと逃げたらしい。
シン「そんな見え透いた嘘に騙されるか! お前らはいつもいつも――」
ガロード(なんかさー)
ジュドー(なに?)
ガロード(この説教の長さ、シロー兄とかに似てきたよな)
ジュドー(あー、なんかわかる。シロー兄の場合さ、こういう感じで話してると…)
シン「なにひそひそ話してるんだ! 話を聞け!」
ジュドー(こうなるよな)
ガロード(そうそう)
シン「なあお前ら、本当に反省してんのか…? 俺の話ちゃんと聞いてるよな…?」
ガロード「うんうん話聞いてるしちゃんと反省もしてるよ。な、ジュドー」
ジュドー「反省してまーす」
シン「じゃあ俺がどんなこと言ったか言ってみろ。話聞いてるならわかるよな」
ガロジュド「「………」」
シン「お前らはあああああ!」
今日も学園に新たな風紀委員の怒号が響く。
日登町一番のツッコミキャラ、シン・アスカ・Gの苦労とツッコミの日々はまだまだ続く…
おしまい
最終更新:2016年05月13日 07:38