514 : Top Mobile2016/02/15(月) 22:50:12.34 ID:hPynyIHm0
 TopGearをパク……真似するって難しいね

 ぱちぱちぱち
リヴァイヴ「こんばんは、ありがとう。さあ、今日も始まりましたTOP MOBILE。
      この番組は最新MSの紹介や様々な企画を行うMS、MA好きの為の情報番組です」
ゼクス「情報番組?」
リヴァイヴ「ええ」
ゼクス「もう一度聞くが、情報番組だと?」
リヴァイヴ「勿論」
ゼクス「情報番組と言うのは爽やかなものだ。爽やかな音楽、爽やかなスタジオ、明るい出演者。
    だがパイナップルハゲと慇懃無礼とパーマンが集まった暗いスタジオにはビームマグナムにライザーソード、バスターライフルまである。それも、全てMS用ステージを向いてな」
リヴァイヴ「紹介したMSがゴミなら壊すしかないでしょう?」
ノリス「うむ。私達が良い死に場所を与えてやる。無知なミーハーが走るボットン便所を増やす前にな」
ゼクス「物騒だな、手を煩わせる事無く自爆させれば良いのだ」
ノリス「便器がクソで詰まっていたら?」
ゼクス「――核バズーカを貸してくれ」
リヴァイヴ「でしょう?」

ノリス「本題に入ろう。先日、ネオジオンが新たなスーパー・モデルを発売した。シナンジュだ」
ゼクス「コンセプト・スーツとして設計された機体がついに一般発売したという訳だ。私はそれに乗ってきた」
リヴァイヴ「一般発売はサザビーに比べれば随分早いペースですね」
ゼクス「あちらは社長機の面子があるからな」
ノリス「それに、シナンジュ・スタインの事を考えれば特段早いとは言えない」
ゼクス「スタインというストーリーを作った事を考えれば、寧ろ遅い方だな」
ノリス「スタインは素晴らしいMSだ。連邦系のスタイルは最悪だが、原石と呼ぶに相応しい野性味と未熟なインテンション・オートマチック・システム(IAS)の乱暴すぎる調整は見事だった。
    シルエットだけジオン系に変えてくれればブリリアント・カットは完成する筈だ」
リヴァイヴ「ゼクス、どうだったんですか?」
ゼクス「それは映像を見てほしい。どんなクラッカーを撃つかはそれからでも遅くは無い」

 ――――――
ゼクス「以前、この番組でスタインに乗った事がある。あの時の荒野を駆ける感覚を残してくれれば良いが……」
ゼクス「スタートはスムーズ。力強く、しなやかだ。コーナリングも滑らかで、完成品という印象を受ける。
    進化したIASが推力128,600kg、出力3,240kWの性能を無駄無く発揮してくれるからだな」
ゼクス「装備はやや多い印象を受けるが、シンプルな手持ちの火器と格闘武器。悪くは無い」
ゼクス「普通のMSファンは90点を与えるだろうな。だが……」
ゼクス「つまらんな」
ゼクス「スタインの荒々しさは失われ、『スマート』で『インテリジェンス』なMSに変わってしまった」
ゼクス「IASはパイロットに感応(官能)ではなく安全を与えるシステムになった。エクスタシーは感じられず、寝てしまいそうだ」
ゼクス「十分速いさ、だが教習者に乗ってる気分だな。デレンセンとのドライブは退屈だ」
ゼクス「CMではデブリ群を駆け抜けていたが、このセッティングでは工事渋滞を進むのが精一杯だろう」
ゼクス「唯一の利点はコクピットに、ヘルメットの他に仮面を置くスペースがある事だ。
    これで私はゼクスにもミリアルドにもなれる」

515 : Top Mobile2016/02/15(月) 22:51:06.13 ID:hPynyIHm0
ゼクス「一旦ストップ」
ゼクス「ここまで悪い面ばかり言ってきたが、希望はある」
ゼクス「セッティングをスポーツモードに……行くぞ」
 ドオッ
ゼクス「殺人的な加速だ!」
ゼクス「反応が速い、私に着いてくる!」
ゼクス「暴力的な12万クラスの推力を野生を残したまま飼い慣らしている!今までのIASは棺桶の中で眠っていたのか!?」
ゼクス「武器は簡単には照準を合わせてくれない。私が御者であり続けなければならないからだ!だが大きな問題ではない。
    私の感性とこのMSの感性が合う限り撃つべきポイントは無限にある。それを可能にするのがユニコーンシリーズの開発を経て進化したIASだ」
ゼクス「ユニコーンでは未調整というべき点が幾つもあった。
    IASはアムロの人馬一体の操縦をMS側から再現する、というコンセプトで造られたシステムだが、パイロットに従い続けるという欠点があった。
    システムとしては完璧だが、馬としては不完全だったのだ」
ゼクス「更にオリジナルのシナンジュは、シャアやフロンタルの操縦を引き出せる様開発された『暴れ馬』だと聞いている。販売できる代物ではない」
ゼクス「だからシナンジュは市販の為に一度IASを原始化させた。それがスタインだ。人馬一体、そのコンセプトの基本に戻る事で、文字通り原石から磨き直したのだ。
    そして今、シナンジュが市販されたという事は……」
ゼクス「『馬(ユニコーン)』の完成だ!」
ゼクス「今までの評価は改めねばならない!スタインより更に原石(スタイン)な魅力だな、こいつは!」
ゼクス「操作を1つ誤ればミンチになりそうなスリル!チェーンソーでフローレスのダイヤモンドを作る様な野性と芸術を両立させている!!」

ゼクス「このMSは最高の部類に入る。だが、もう1つ伝えなければならない事がある……値段だ。
    スタインは15万ギラ。IAS初搭載モデルだとしても割高だった」
ゼクス「だが、シナンジュは11万5千ギラ。値下げをしたデルタプラスと見積もりは同じだ。
    超高性能機としては異例のお得さだが、1つ付け加えなければならない。この値段はスタンダードエディション。
    つまり、仮免許は外せない」
ゼクス「私が今乗っている『セカンド・アドベント・エディション』は……20万ギラ!」
ゼクス「私は早くシナンジュから降りるべきだな。こいつに乗り続けては、ノインとの新居が6畳1間で築30年のアパートになってしまう……!」

516 : Top Mobile2016/02/15(月) 22:51:55.27 ID:hPynyIHm0
 ――――――
ノリス「20万?」
ゼクス「20万だ」
ノリス「新居は値段では無い。今すぐ全額へそくりにするべきだ」
ゼクス「私は家の話をしたい訳ではないが、それをシローにも言えるのか?」
ノリス「もう言った」
ゼクス「戦士だな、貴様は!」
リヴァイヴ「MSの話に戻しましょう。基本的な部分は殆ど変わっていないんですよね」
ゼクス「ああ。単純な構成はそのままだ。だが、パーツの改良により性能は上がっている。
    特に小回りは大分改善された」
ノリス「スタインは猪だったな」
ゼクス「シナンジュは森を駆ける山猫だ。最小回転半径は15%改善された」
リヴァイヴ「安全性能は?」
ゼクス「ローゼン・ズールで実装されたオールドタイプ兼用サイコミュ系が標準で搭載されている。勿論、スポーツタイプに改良されているがな」
リヴァイヴ「かなり強気な値段ですが、価値はある、と?」
ゼクス「実用化されたIASというのものでもそれだけの値段はすると思うし、IASに見合った性能を持っている」
ノリス「IASを活かせぬまま死んでいったユニコーンシリーズとは大きく違うな」
リヴァイヴ「コスト面でコンセプトモデルで挫折しましたからね」
ゼクス「それを考えれば、このシナンジュを起点に高級機のコストダウンがされるとシャアが言ったのも納得できるな」
リヴァイヴ「ええ、期待しましょう」
ノリス「しかし……デザインは悪いな。ジオン系なのは結構だが、もうすこし安定感が欲しい」
リヴァイヴ「若者向きのデザインはお嫌いですか?」
ノリス「クラシックさが無い。先人への敬意が欠けている」
ゼクス「これだからノスタルジー患者は……」
ノリス「だが、姿さえ気にしなければ素晴らしいMSだな」
ゼクス「姿も及第点以上だよ」
リヴァイヴ「あちらにスタンダードエディションがありますが」
ゼクス「必要ないのだ!私にとって……貴様は!」
ノリス「あちらもスピードは問題無いのだろう?」
ゼクス「道路全てを教習所にしたいなら買えばいい」
リヴァイヴ「ゼクスがスピード中毒だからでしょう?私はノーマルモードの方が好みですね」
ノリス「駐車も発進も停止もオートモードを使う貴様にはその方が良いだろうな」
リヴァイヴ「レッカー車じゃないと動かせない20年物のポンコツを使うよりはね」

ノリス「ではいつものタイムトライアルだ。パイロットは勿論彼」
ゼクス「彼には色々な噂がある。千葉県産のピーナッツを食べると吐血するとか、ネオロッコウのおいしい水でシャワーを浴びるとか……」
ゼクス「愛すべき謎の『備品』!Mr.ドギー!!」

517 : Top Mobile2016/02/15(月) 22:52:48.58 ID:hPynyIHm0
Mr.ドギー「~♪」
ノリス「出だしは好調。今日も月の音楽か」
ゼクス「あのスローな音楽でハイスピードがよく出せるものだ」
リヴァイヴ「しかし相変わらずセンスの無い服装ですね」
ノリス「競馬の騎手の様だが、まともな柄では明らかにラップが落ちるから仕方ない」
ゼクス「ファッションセンスの見積もりが甘かったな。TVに映るにはあまりに酷い。エスペランザにプログラムを依頼するべきだった」
リヴァイヴ「ガーリーになりますよ。香水や、UVカットが無いとコクピットに入れないって」
ノリス「3つのターゲットは減速せず全て真ん中か」
リヴァイヴ「急カーブからの長い直線でバーニア!やはりシナンジュは背中のアングルが一番映える」
ノリス「高速S字カーブも左右の振れが少ない」
ゼクス「バーニアと制動力のバランスだな」
リヴァイヴ「かなり良いタイムですよ」
ゼクス「ラストシューティングも……決めた!」

ノリス「さて、ランキングだが、どこに入るかな」
ゼクス「このクラスだからな、期待に応えて貰わねば」
リヴァイヴ「3箇所のターゲット群のロスも無いし、かなりのスコアになりそうですね」
ゼクス「私だけ先に見るが……ほう」
ノリス「意味深な反応だな、楽しませてくれる」
ゼクス「私は視聴者に興奮を与えなければならない。そう、ここだ!」
リヴァイヴ「トールギスⅡのすぐ下!?」
ノリス「やはりスタインを越えてきたか」
ゼクス「私はこのMSと良い友人になれそうだな!」
リヴァイヴ「一般販売モデルではトップクラス!ネオジオンでは最高のスコアですよ」
ノリス「今までスポーツタイプは殆ど市販されなかったからな、当然の結果だが、ここまで上げてくるとは」

ゼクス「さて、名残惜しいがそろそろ番組も終了だ」
ノリス「次の放送を楽しみにして欲しい」
リヴァイヴ「ゼクス、どこに向かうんです?」
ゼクス「教習機をスクラップにしていないのでな、本物の性能を存分に堪能させてもらう!」
 ぱちぱちぱち

 終わり

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最終更新:2016年05月18日 14:10