583オルガフレンズ2018/03/22(木) 15:27:00.53ID:wVCAKLf70
休日の火星の貿易会社"鉄華団"オフィスで、オルガは独り書類仕事をこなしていた。
『オルガ…オルガ…聞こえますか、オルガ…』
そこに、唐突に聞こえる女の声。オルガが絶対に聞きたくない声でもある。
「(聞こえねえ…聞こえねえからな…)」
これは気のせいだ。背後になんだか悪寒を伴った圧力的な何かを感じるのも、こんな声が聞こえるのも。全部気のせいだ。
疲れているのだろう。働きすぎたかもしれない。この仕事が片付いたらゆっくり休もう。そう決意して仕事を進めていく。
『聞こえるなら、返事をしてください…オルガ…オルガ・サブナック…』
「誰だよ!? …あ」
ああ、やってしまった。反応してしまった。そんな自分を見て、文字通り死神が笑っていた。
『何よ、聞こえているんじゃない。無視なんてひどいわ』
「くっそが。…で、何の用だよ」
もう反応してしまったからには仕方ない。開き直り、"見たくないのに見えてしまう"相手を見やった。
『あなたにちょっと助言をしにきたの』
「間に合ってる。帰れ」
『つれないわ。なんでそう頑ななのかしら』
「話してるうちにあの世に連れていかれそうで怖いんだよお前は!」
なんといっても、普通の人には見えない自称・死神である。
本当に死神なのかは知らないし知りたくもないが、オルガは不吉で気味の悪いものであると認識していた。
584通常の名無しさんの3倍2018/03/22(木) 15:27:48.26ID:wVCAKLf70
「まあそれはそれとして。これはとっても大事なお話よ」
「…大事な話?」
「このままだと貴方、ろくな死に方しなそうだから」
「覚悟はできてるつもりだ」
壱番隊に反旗を翻したあの日から、その覚悟はできている。
『ふーん。じゃ、どこぞの政治家だか金持ちだか御曹司だか議長だかに煽られ担ぎあげられた挙句
鉄華団ごと破滅した上に死に様を未来永劫ずっと面白おかしくネタにされつくす、そんな死に方をする覚悟はできてるのね』
「どんな死に方だ!?」
『あんまりにも悲惨ていうか、滑稽というか。道化にもほどがある末路だったものだから助言しにきたの。聞く気になった?』
そこまで言われる死に方がどんな死に方なのか、逆に気になる。絶対に教えてくれないだろうが。
「………そんなの信じる気はねえが、一応聞かせろ」
信用ならない相手とはいえ、助言というのは悪くない。聞いて得はしないかもしれないが、損をすることもないからだ。
『友達を作ったらいいんじゃないかって思うの』
「は?」
つい間抜けな声が出た。
『対等な理解者やストッパーが多ければ、暴走しても止めてもらえるじゃない?』
「トモダチって…それくらい俺にも…」
脳裏に何人か顔が浮かび、名前を出そうとしたところで死神が口を開いた
585通常の名無しさんの3倍2018/03/22(木) 15:28:20.27ID:wVCAKLf70
『鉄華団関係以外で』
「………」
厄介な条件を出され、オルガは押し黙った。それでも何人かは頭をかすめたが、一般的に言う"トモダチ"というのとは、何かが違うような気がした。
『あなた達はもう少し外と関わりを持つべきよ。そんなんだから他と絡めなくて出番が少ないのよ』
「ぐふッ」
密かに気にしていることを言われて落ち込む。出自からして仕方のない面もあるのだが、自分を含めた鉄華団の面々はなかなか他の人間と打ち解けにくいところがあるのだ。
『地球は火星と違って誘惑が多いの、知ってるでしょ?』
「………」
ふと手元を見ると、シノたちが計上してきたぼったくりバーの領収書が見えた。確かに、地球というのはとても魅力的で――狡い奴らが大勢いる。
『じゃ、行きましょ』
「どこに?」
『お友達を探しに』
「いや、俺は仕事中…お、おい体が動かな…」
『ちょっと体を乗っ取らせてもらったわ。これがエロ同人じゃなくてよかったわね』
「うぉぉぉぉい!?」
まあ。そんなわけで。死神に連れられたオルガのお友達探しが幕を開けるのである。
『そんなストーリーを考えてみたんだけど、どう?』
「それを俺に聞くのかよ、お前は!?」
兄弟スレ補正かかってて平和とはいえ、今のままだとグエンとかに簡単に唆されそうだよなぁと思ったので。
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オルガ・イツカ 死神
最終更新:2018年10月03日 12:19