(静かな公園の時計台前)
ガロード「(そわそわしながら)えーっと…、まずはあそこに行って、次はブツブツ」
ティファ「ガロード…」
ガロード「ティッ、ティファ?!えーっ、えっと、まっ、待った?そんなに長い間待っ
ていないよって一体俺は何いっているんだ?」(少々パニック気味)
ティファ「(吃驚した後、ほほえんで)いいお天気ね…」
ガロード「え、ええっと、ああ、そうだめって痛ぇ!舌噛んだ!」
ティファ「クスッ、じゃあ、行きましょう、ガロード」
ガロード「あ、そ、そうだね、ティファ」
ガロード「公園の西側に噴水ができたんだ。綺麗なんだけど、少し辺鄙なところにある
せいか、人もあまりいなくって。人混みじゃないからティファも平気かと思っ
てさ」
ティファ「ありがとう…ガロード…」
ドモン「でやーっ!!」
ガロード「でやーって、あの声まさか…」
ドモン「とりゃーっ!!」(錆びた刀で木に斬りつけている)
ティファ「知っている人?」
ガロード「うちの3番目の兄貴…。修行に行き詰まっているとは聞いていたけど…」
ティファ「けど、今のあの人の心は澄み切っています…。鏡のよう…」
ガロード「じゃ、ついにやったのか兄貴。よかった…。けど、市有地の木に斬りつける
のはやばいんじゃ…」
警官「こら、貴様!何をしとるんだ!!」
ドモン「えぇーい、うるさい!修行の邪魔をするな…って、こらなにをするはなs」
ガロード「次は、何か食べに行こう。うちで一番舌が肥えている兄貴がほめていた店だ
から、ティファもきっと気に入ると思うんだ」
ティファ「そう…」
ガロード「あれ、あそこの花屋の前にいるのって…」
シロー「ウーム…(迷っているようで行ったり来たり)」
ガロード「花屋とシローの兄貴って、何とも似合わない組み合わせだ…」
シロー「(意を決して)あのっ、ばっ、バラをはっ、花束にして下さい!!あっ、ある
だけ全部っ!!」
ガロード「うわーっ、見てらんない…。ティファ、ちょっといいかな?」
店員「え、本当にあるだけ全部ですか?」
ガロード「兄貴、アイナさんとデートだろ」
シロー「ガロード?!何で知ってるんだ?」
ガロード「ばればれだって…。そんな、兄貴にだって抱えきれない数を渡されたってアイ ナさん困るだろ。もっと考えなよ」
シロー「そ、そうか?じゃあ、どんなのがいいかな?」
ティファ「お相手は清楚な方ですね…。でしたら…」
シロー「ありがとう、いい感じになった。ティファさんも、ありがとう」
ティファ「いいえ…」
ガロード「がんばんなよ、兄貴!」
シロー「オマエモナー」
ガロード「ティファ、会計してくるから、表で待っていて」
ティファ「はい」(カラン)
ティファ「あ…」
フランダース「ワンッ!」
ティファ「どうしたの?一人なの?」
フランダース「ワン!」
ティファ「そう、ご主人様を待っているの…。お名前は?(頭を撫でる)」
フランダース「(おとなしく頭を撫でられている)」
ティファ「そう、フランダースっていうの…」
シャクティ「お待たせ、フランダース。あの、フランダースが何か…」
ティファ「え、ただ撫でさせてもらっていただけで…」
ガロード「あれ、シャクティ?どうしたの?」
シャクティ「ガロードさん?」
ガロード「ティファ、こちら、うちの弟のウッソの『特に』親しい友達のシャクティ・
カリン。こちらは
ティファ・アディール。俺の、えーと、その、なんだ…」
シャクティ「クスッ初めまして。ちょっと日用品を買いに来たんです」
ガロード「そっか…。がんばってるな」
シャクティ「ありがとうございます。それじゃ、私行きますので」(ペコリ)
ガロード「おう、じゃーな」
ティファ「……」(ペコリ)
ガロード「あれ、ヒイロだ…」
ティファ「ガロードの兄弟の?」
ガロード「そうなんだけど…。あ、リリーナも一緒だ。これはまた珍しいものを見た。
ちょっと後をつけてみよう、行くよティファ」
ティファ「…」
ガロード「おいおい、一緒に歩いているのに並ばないで、さりげなく位置を変えている
よ…。しかも時々尾行をチェックしている。ひょっとして帽子を目深にかぶっ
ているのは視線を隠すためか?この陽気のいい時期に、口元が隠れるように襟
を立てているのは唇の動きを隠すため?うわ、茶店に入っても、窓際、壁際を
避けてなおかつ自分は入り口を確認できる視界を確保しているよ…。何考えて
んだ、あいつ…」
ティファ「あの人の心がよく伝わってきません…」
ガロード「ティファでもわからないなんて…」
ティファ「けど、とても大切に思っていることはわかるし…」
ガロード「そんなもんかなぁ…。げ、ヒイロと視線があった。やばい、ばれた。行こう
ティファ!」
(夕方)
ティファ「…それじゃあ、そろそろ…」
ガロード「あ、えっと、ティファ、うちで晩ご飯食べていかないか?」
ティファ「え…」
ガロード「いや、別にいいんだ、ティファもまだ賑やかなところになれていないし…」
ティファ「…行っても、いいの?」
ガロード「え、もっ、もちろん。じゃ行こう!」
ガロード「ただいま~」
ロラン「おかえり~って、あれ、彼女同伴?」
ガロード「へへっ、ティファも晩ご飯一緒していいかな?」
ロラン「ああ、一人分くらいなら大丈夫」
ティファ「…暖かい…」
ガロード「ティファ?どうした?」
ティファ「なんでもない。おじゃまします」
-終-
最終更新:2017年05月18日 19:45