40通常の名無しさんの3倍
垢版 | 大砲
2023/03/05(日) 17:14:03.64ID:CvUJxb/W0
予期せぬ流行とは突然起こるものである。
最近のこの街はゴリラブーム。動物園にいるあの『ゴリラ』である。
関連グッズが飛ぶように売れ、マスコミではニュースが盛んに流されている。
夕飯時、いつもの兄弟達は自宅でその話題で盛り上がり、
その一人、シーブックは家族の会話に参加していた。
アムロ「ラーカイラム社でもゴリラ顔のハロを開発しようか検討中だ。ゴリラブームはすごいな」
シーブック「
カロッゾベーカリーでも新商品のゴリラパン売るんだって。ザビーネが言ってた。
もっとも作った理由はブームだからじゃなくて、
プリキュアのキュアゴリラが好きだからなんて話してたけど」
アムロ「なるほど、シーブックのバイト先でも色々あるんだな」
キラ「そういえばラクスやミーアもTV番組の企画でゴリラ風のコスプレをしていたよ」
シン「流行に乗るとはいえ芸能人も大変なんだな……」
ヒイロ「トロワがいるサーカス団のライオンに聞いたんだが、
この街の動物園、ゴリラを見に来るお客さんでいっぱいらしいぞ」
この街では例えば馬の風雲再起は人と意思疎通を図ることができる。
サーカス団のライオンのガオガオという鳴き声でヒイロと会話が成立しても何の問題もない。
アル「学校でカラス先生に『ゴリラ ゴリラ』と何回もいう歌詞の歌を教わったよ。
とあるロボットアニメの主題歌なんだって」
アムロ「『亜空大作戦スラングル』のことだな。
カラス先生は本当に色々なことに博識で感心するよ。
……シーブック、なんでカラス先生の話になるとそんなに嫌そうな顔をするんだ?」
シーブック「人には相性ってものがあってさ……」
さて、シーブックは今日の夕飯を家族の中で一番初めに食べ終えた。見たいTV番組があるのだ。
録画予約ではなくしっかりとその時間に見るために、一人誰にも邪魔されない部屋に行ってTVの前に座った。
番組の開始時間を今か今かと待っていると、
二番目に食べ終わった刹那が隣にやって来てシーブックにしゃべりかけてきた。
刹那「シーブック兄さん、少し話がある」
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垢版 | 大砲
2023/03/05(日) 17:16:23.58ID:CvUJxb/W0
シーブック「何だよ?」
刹那「先ほどの晩飯の会話で俺は大変なことに気付いたかもしれない。
あの場で言うとみんなに否定されるかもしれない突拍子もないことだ。
だが俺は自分の推理が合っているのではないかと思っている。
前から考えていた疑問点が解決するのも確かだ。すべては推測にしか過ぎないことも確かだが」
シーブック「だから何なんだよ?
こっちはTVドラマの『赤い彗星のゴリラ魔女』を見るんだから」
刹那「……それはどんな彗星の魔女でどんなストーリーなんだ!?」
『赤い彗星のゴリラ魔女』とはシャアの
ネオジオン社がスポンサーになり、制作されたTV番組である。
この街のゴリラブームに乗って作られたコメディードラマらしい。脚本もシャア直々に書き下ろしたものだという。
シャア=アズナブルと名乗るキャスバルにはそういう才能もある。
シーブック「まだよくわからないストーリーだから見たいんじゃないか。謎な話だから面白い。刹那も見るか?」
刹那「その前に俺の話を聞いてもらう」
座布団の上に座った刹那は言った。
刹那「晩飯の会話で俺は怪盗キンケドゥの正体を推測した」
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垢版 | 大砲
2023/03/05(日) 17:18:44.23ID:CvUJxb/W0
シーブック「怪盗キンケドゥ!?」
怪盗キンケドゥの正体は刹那の目の前にいるシーブックである。
シーブック(さっきのみんなとのやりとりにキンケドゥの正体を気付かせるような言葉があったのか!?)
シーブックはできるだけ表面上は冷静にし、動揺を見透かされないように
刹那の目をもう一度しっかりと見据えた。
怪盗キンケドゥは一部では義賊とも称されるが、法律の裁きの元では結局のところ犯罪者である。
シーブックが警察のお世話になった場合、待っているのは『補導』ではなく『逮捕』であろう。
TV番組を見るよりも刹那の話の方がよほど重大だと認識したシーブックは、
もう一回頭の中で先ほどの会話の様子を思い返した。
シーブック(……やっぱりキンケドゥにつながる話題なんてなかったぞ!?
それとも刹那は他の誰かをキンケドゥと間違えて?
ここはもう話を聞くしかない!)
シーブックは真顔で刹那に話しかけた。
シーブック「それで正体は誰なんだ?」
刹那「俺にもまだ信じられないが、考えるにその正体は」
刹那はそこで一度言葉を切った。そして再び話を続けた。
43通常の名無しさんの3倍
垢版 | 大砲
2023/03/05(日) 17:22:01.12ID:CvUJxb/W0
刹那「ゴリラではないかと」
シーブック「……」
刹那「怪盗キンケドゥの正体は今までたくさんの人に探されてきたが、
こうも見つからないのは、犯人が人間ではなくそれ以外の動物だからではないのか?
そのように考えると今まで捕まえられなかった疑問点への説明もつく。
藤子作品の『キテレツ大百科』のブタゴリラは人間だが、
『パーマン』のブービーは本物のお猿でヒーローだ。
ヒーローの猿がいるなら、犯罪者のゴリラがいても不思議ではない」
シーブック「ニュータイプのカンだけどさ、
怪盗キンケドゥの正体はゴリラじゃなくて人間なんじゃないかな」
シーブックはキンケドゥの正体が刹那に知られずにホッとした気持ちになった。
同時によりいっそうの身バレへの警戒を強め、
刹那の藤子漫画やアニメへのいわゆる『ガチ』ファンぶりにも驚きを新たにするのだった。
最終更新:2025年04月04日 16:46