『・・・逃げようって威勢のいい事は言ったものの・・・』

『早速囲まれてるじゃないのよ!』

彼女の言うとおり、私は今ショッピングモールで「ソレ」の軍勢に囲まれている。

「仕方ないわよ、いったい何体いると思っているの、それよりも自分の心配をしたらどう?」

『私なら大丈夫よ、私の姿は貴方以外に見えないし貴方以外に触れない、この声も貴方にしか聞こえないわ。』

「・・・それってズルくない?」

『・・・とりあえずさっさと片づけましょう、ライターがあるでしょ?』

「ライターって・・・これ?」

魔女から貰ったライターを取り出す。

『そうそれ、それを構えて「イフリート」って叫ぶの。』

「そしたらどうなるの?」

『武器になるわ、でも今の状態じゃ形にならないからイメージしなさい、「全てを焼きつくす獄炎の銃」みたいな感じのを。』

「イメージ?」

『魔法ってのはイメージよ、一度想像したらずっとその物になってくれるわ』

「想像・・・「全てを焼き尽くす獄炎の銃」・・・?」

痛い名前だが仕方ない、生き残るためだと割り切る。

『さあ、想像して叫びなさい、その武器の名前を。』

「・・・・・・。」

考えて、想像して、そして形にする。

「炎で、全てを・・・焼きつくす?」

イメージは完成した。

そしてライターを構える。

「殲滅せし破壊神の咆哮!我が呼び声と共に焼き尽くせ!!」

私の中の何かが吹っ切れた。

ライターの蓋を開けると同時に私の周囲に炎の輪が現れ、周囲を包みこんだ。

「な、何なのよこの魔力・・・。』

「来い!イフリート!」

ライターが炎に包まれ、その炎がさらに大きくなってゆく。

「これが・・・私の力?」

炎が消えた後に残ったのは巨大なガトリング砲だった。

『ブラボー!よくやったわね!!』

魔女が手を叩きながら拍手をした。

『呪文まで考えちゃったのね!ちょっと痛々しいけど!』

魔女はしばらく笑った後、息を切らしながら言った。

『まあいいわ、早速その化け物どもを片づけましょう、弾は私が用意するわ。』

魔女が自分の着ていたコートのの中に手を入れた。

そして弾丸のようなものを引きずり出すと私に向かって差し出した。

『これがそれの弾よ、弾数は気にしなくていいわ、思いっきりぶっ放しなさい。』

「あの・・・ちょっといい?」

『何よ?さっさと片づけて逃げるんじゃないの?』

「・・・一緒に持ってくれない?コレ重いのよ。」

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最終更新:2011年06月18日 11:08