PCルームの前に来たはいいのだが。
「一体これはどういうことだ、マーク。」
「私に聞かないでくれ。」
入口は鉄製の壁によって塞がれ、そこからは銃口が見えていた。
ハインツが首を鳴らした。
「バリケードのつもりかしら?」
ヘルムートが落ちついた声で答えた。
「私には理解しかねます、ですが、アレを越えない限りPCルームへはたどり着けません。」
「でもどうする?完全に敵意むき出しだぜ?あれ。」
対処法が無いわけではない、だがPCがある以上は手荒な真似はできない。
「おい!誰だ!」
壁の向こうから声がした。
「PCを貸してくれ!生存者を捜すのに必要なんだ!」
答えの代りに飛んできたのは弾丸だった。
「こ、断る!この場所は誰にも渡さない!」
「ああそうか、ならこっちもそれ相応の手段を使わざるを得ない、ハインツ!レールガンを出せ!」
「あのねえ・・・結構疲れるのよ、これ・・・。」
ハインツがレールガンを構えた。
実はレールガンというのは通称であって、実際は雷の魔力を弾丸に浴びせて威力と射程距離を増加させただけで、厳密にいえばレールガンではない。
威力は通常の対戦車用ライフルに毛が生えた程度の物だが、使用者の魔力次第で連射が効くと言う事で試験的に運用されていた。
ハインツはこれが気に入っているらしく、銃はこれしか使わないらしい。
「まあいい、とにかく一発ぶっ放してみろ。」
「了解、ちょっと離れて・・・。」
ハインツがトリガーを引くと同時に轟音が鳴り響き、衝撃波が全身を襲った。
「ふぅ、こんなもんかしらね。」
「やったか?」
ハインツがため息をついた。
「やりすぎたかしら、銃身が壊れたみたいね。」
「・・・ソレ高いんだぞ?」
「いいのいいの、また直せばいいんだし。」
マークが銃を構えた。
「少々ダメージは与えたみたいだが・・・まだ壊せる状態じゃあなさそうだな。」
奥から笑い声が聞こえてきた。
「ハッハッハ!どうだ!我が
科学部が総力を挙げて作った特殊防弾鉄鋼は!その程度じゃあビクともしないぞ!」
「はあ・・・その技術をぜひとも軍に寄付願いたいね、全く。」
厄介なことになった、と俺は改めて思うのであった・・・。
最終更新:2011年02月23日 19:37