『やったじゃない!たった10分で反物質を作れるようになったなんて!これで「使い魔の咆哮」が打てるわ!』
「使い魔の咆哮?呪文か何か?」
『そうよ、でもうまく使いこなさないと自爆しちゃうわよ?』
魔女はそう言って頬笑みながら私の周りを飛び回った。
「分かってる、でもそれをどうやって発動するの?」
『弾丸を構成する術式をちょっといじって着弾した時に対消滅させるようにすればいいわ、ちょっとの間イフリート貸してくれる?』
「分かったわ、お願いできる?」
『もちろん、なんたって私は「魔女」だからね。』
そういうと早速魔女はイフリートを弄り始めた。
「そういえばさ」
『何?』
「まだ名前聞いてなかったよね?」
『名前?ああ、「コロン」って言うの。』
「コロン?かわいい名前じゃない。」
『そう?私も兄貴も気に入ってるんだ。』
「兄貴?お兄さんがいるの?」
『うん、私なんかよりもっと強くて立派な魔術師、ホントにカッコ良かったんだから。』
「へえ・・・魔女にも家族がいるんだ・・・。」
『私の場合は特殊だからね、元々人間だし。』
『昔は魔法をロクに使えなくていつも兄貴に申し訳なかった、だから・・・。』
「だから・・・?」
コロンは手を止めた。
『私は人間を辞めた、勿論自分からよ。』
悲しそうな顔をするコロンを私は抱きしめた。
「貴方はお兄さん思いなのね、羨ましいわ。」
『羨ましい?何で?』
「私には兄弟も実の親もいないの、戦争でみんな死んじゃった。」
『そう・・・でも、実の親って?』
「わたしは施設で育ったの、そして今のパパとママに養子に出されたのよ。」
『そうだったの、私てっきり・・・』
「いいのよ、そういえばコロンにはお父さんやお母さんもいるんでしょ?」
『ええ、二人とも幸せに暮らしてる、それに兄貴もいるし、何も心配することはないわ。』
コロンはまた作業を始めた、その間も私はコロンを抱いたままだった。
「なあ、アイツはさっきから何をやってるんだ?誰かと話してたり誰かを抱いてたり」
ガーランドが首をかしげた。
「さあな、お年頃なんだろうか?」
エーリヒも首をかしげた。
最終更新:2011年06月19日 12:08