「・・・居ないわね、どこかに行っちゃった?」
『そうでも無いみたいよ。』
コロンが指差した先にはゾンビの群れとバリケードがあった。
『あそこにたぶん人が居るわ、ゾンビがいるのはそのせいね。』
「じゃあ早速・・・」
イフリートを構えようとするのをコロンは手で制した。
『ちょっと待って、撃つのはナシ、刀にしておきなさい、そうしないと中の人が巻き込まれるじゃない。』
「あ、そっか、そうだよね。」
『もっと冷静になりなさい、それこそ私の兄貴のように・・・って何大技の構えしてるのよ!』
刀を鞘に入れ、居合いの体制をとる。
「だったら、中の人に当てなきゃいいんでしょう?」
『いや、ソレはそうだけどその構えはどう見ても巻き』
「行っくよおおおおおお!!」
『ちょっと人の話を・・・』
私はゾンビの群れに向かって走り出した。
「秘剣有沢流奥義!「暁一閃!」」
居合い斬りの要領で横に刀を振る。
太陽が昇るように一筋の光を描く、それが「暁一閃」。
ゾンビの胴体は真っ二つにされ、バリケードだけが残った。
『アンタ・・・そんな技いつ思いついたのよ。』
「朝日が昇ってる写真を見た時にね、ちょっと思いついちゃって。」
『思いついただけで実現できるものじゃないわよ、それ。』
「そう?でも悪くないと思うけど。」
『そ、そういう人なのね、アンタって。』
「よし、さっさと助けて帰りましょうか。」
『そうね、そうしましょう。』
中に向かって話しかける
「大丈夫ですか?」
「だ、誰か居るのか!」
「助けに来ました、一緒に安全な場所まで逃げませんか?」
「た、助けに来てくれたのか!助かった!」
バリケードの中から人が出てきた。
「しかしこんな物よく作ったわね・・・。」
「はい・・・実は僕、さっきまでショッピングモールのいろんな所にバリケードを張っていたんです。」
「そして逃げ出そうとしたところでゾンビに囲まれて・・・。」
「とりあえず話は後にしましょう、他に誰か居るの?」
「いいえ、僕一人です。」
「そう、じゃあ行くわよ。」
『その才能・・・無駄にしないといいのだけど。』
最終更新:2011年03月06日 10:04