僕はゲルトルートに渡されていた地図を頼りに理科室の目の前に来ていた。
とりあえずドアをノックする。
「ゲルトルート、居るのか?」
「あ、オレンジちゃん来た~♡、どうぞ~入って入って~。」
理科室の中はPCと実験器具で埋め尽くされていた。
「相変わらず君はこんな生活しているんだね、ゲルトルート。」
「私は研究ができればそれでいいのよ、他の事は知らないわ。」
「たしか君との約束は「研究を50回手伝う」だったよね。」
「そう、これで37回目、頑張ってね~。」
「ゲルトルート、この人は?」
スーツを着た男が言った。
「初めまして、ハルジオン・アマリリスだ、年齢は・・・」
自己紹介の途中でゲルトルートに話を遮られた。
「ハイハイそこまで、全くオレンジの自己紹介は長いんだから、一体今まで何人に個人情報バラまいてるのよ。」
「・・・。」
「どうも、マーク・ウルフだ、よろしく頼む。」
普通の握手をする。
「そうだ、君に頼まれてた例の資料、持ってきたよ。」
僕は持ってきた鞄からPCを取り出した。
「帝国軍が今までに開発していた化学兵器、細菌兵器、生物兵器のリストだ。」
マークが渋い顔をした。
「これは軍の機密情報じゃないか、どうやって手に入れた?」
「ちょっと皇帝陛下に掛けあってね、特別に。」
「成程、で、何を調べるんだ。」
僕はPCを起動し、ゲルトルートの分析結果から類似した化学物質やウイルスを検索した。
「毒物の方は・・・ヒットしなかったよ、でもウイルスはヒットした。」
「何?どんなウイ・・・。」
ゲルトルートは言葉を失った。
「これは・・・。」
見覚えがある、間違いない。
「いいか、マーク、よく聞いてくれ、このウイルスに名前はない、運用されたのが1回だけだから。」
「どうした?急に慌てて。」
「続けるぞ、このウイルスの作用は「死んだ人間を蘇らせる」だけなんだ。」
「つまりこっちのウイルスと似ているが違う、いわば模倣品なんだ。」
「で、人間生き返らせて感染するだけのウイルスとは違うってことか、元のウイルスはどんな効力なんだ?」
「・・・死んだ人間を生き返らせるまでは同じだ、だが死ぬ前と全く変わらない状態で、それに・・・。」
「生き返った人間は不死性をもつようになるんだ。」
「つまり不死身ってこと。」
ゲルトルートが補足してくれた。
「しかし、何故・・・?」
「それは僕にも分からない、でもこのウイルスを投与されたのは現時点でただ一人だ、その人の名前は・・・。」
「名前は・・・」
マークは固唾を呑んだ。
「ハインツ=ヴォルフガンク・シュナウファー、帝国空軍所属の軍人だ。」
空気が凍りついた。
僕の禁忌に対する闘いは終わっていない。
「知ってはいけないもの・・・僕は今までいくつ見てきただろうね。」
最終更新:2011年03月08日 13:11