雨を眺めていると傘をさしたハインツが走ってこっちにやって来た。

「どうした?そんなに慌てて。」

「はあ・・・はあ・・・えっと・・・帝国の・・・。」

息を切らしたハインツが途切れ途切れ喋る。

「とりあえず落ちつけ、焦っては伝えられるものも伝えられんぞ。」

エーリヒが水を差し出す。

ハインツはそれを奪うように手に取ると一気に飲み干した。

数秒ほど咳をした後に深呼吸する。

「良く聞いて、もしかして、もしかしてだけど帝国の空爆の前にこの島から出る方法があるかもしれないわ。」

一体何を言っているのだろう。

俺達は十分な長さの滑走路さえあれば飛べるというのに。

「あ、私達じゃなくてこの島の生存者の事よ。」

何だそう言う事か。

「で、どうするつもりだ?ヘリは止まれんぞ?」

「ヘリじゃなくて船よ、船。」

「船?どう言う事だ?」

「昔ベレッタ将軍に逢った時に言ってたのを思い出したの、丁度二日後に海軍の旗艦が帝都に向かうためにこの近くを通るのよ。」

「で、どうやってその船を呼び寄せるつもりだ?」

「打ち上げ花火をヘルムートに準備してもらってるわ、それを使えばある程度の遠くからでも見えるはずよ。」

「花火って・・・この雨でか?」

ハインツにしては随分と不安定な作戦だ。

「エーリヒ、雨は止みそうか?」

「そうだな・・・雲の具合からして明日には止みそうだが・・・。」

「なら問題ないわね、まあ私に任せておきなさい。」

まあこの件はハインツに任せる事にした。

それにしてもさっきから有沢は何をしているのだろうか・・・?

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最終更新:2011年05月11日 11:27