コピー機がうなり声をあげて書類を印刷し始めた。
「後は痕跡が残らないようにして・・・っと。」
教官がPCの電源を落とした。
「さてと・・・。」
教官は印刷機から書類を取り出すと、それを丁寧に折る。
「後は・・・封筒があればいいわね。」
「分かりました、ちょっと待ってもらえますか?」
私は棚を漁った。
そして綺麗な封筒を取り出すと教官に渡した。
「うん、これで十分ね、後は私の印鑑とサインを・・・ああ、折るんじゃなかった。」
教官はため息をついて書類を開き、机の上に置いた。
そして懐から万年筆を取り出すと書類にサインをする。
「あとは印鑑を押してっと。」
万年筆に内蔵されている印鑑を押し、教官は書類を封筒に入れた。
「有難うございます、教官。」
「大事にしなさいよ?一応私のサイン入りの書類だからね?」
「はい、分かっています。」
「ま、権力があるって言うのはこういう事よ、一個一個の行動に責任が伴う、だから自覚を持たなきゃいけないんだけど・・・まあ私には無理みたいだし、私のやりたいように生きさせてもらうわ。」
教官は封筒を私に投げると、職員室を出た。
私は黙って教官に頭を下げた。
数十分後。
「で、書類はちゃんとそいつに渡したのか?」
「ええ、もちろん。」
「そうか、で、お前も行くのか?」
「どうしようかな・・・久々に暴れたいから行こうかな?」
「今までのは暴れるうちに入らないのか?」
「あんなの準備運動ですらないわよ、陛下もそうでしょ?」
「お見通し、って訳か。」
「じゃ、私は少し休憩するわね、デスクワークは慣れないのよ、また会いましょう?」
「皇帝陛下。」
最終更新:2011年05月24日 10:25