「・・・終わったか。」

今はただの肉の塊になってしまった物を銃でつついてみる。

「でも元は人間だったなんて、ちょっと可哀想ですね。」

ヴォルフがサーベルで肉塊をつつく。

「危害を加えるものに同情は不必要だって軍で習わなかったか?」

「それとこれとは別よ、元々これはギルドとしての個人的な演習でしょ?」

「そう言えばそうだったな、だが今思えばゾンビは武器を持たんから練習相手には不十分だった。」

「副次的な目的は達成できたんだから及第点だろ?」

エーリヒはまだ周囲を警戒しているらしい。

「所で有沢、何か変わったことはないか?」

「え?今のところは無いけど・・・。」

「そうか、ならいいんだ。」

心配事、とまではいかないが1つ気になる事があった。

昨日の話になるが籠崎の妹から話を聞いた。

「有沢が徐々に人間じゃなくなってきている」と。

本来法衣を使用するだけでは本体に何らかの影響があるわけではない。

しかし極稀に法衣と一部融合してしまう「魔女化」という現象が起こるらしい。

有沢には今その魔女化が起こっているらしく初期症状のようなものが現れ出したという。

「もし魔女化が進めば有沢はどうなるんだ?」

「多くは一定値を超えて拒絶反応が出るわ、そうすれば魔女化は止まる。」

「じゃあ拒絶反応が出なかったら?」

「・・・そのうち魔女になるわね。」

「・・・そうか。」

もし彼女が人間でいることを望んだらどうなるのだろうか。

俺はこれ以上の介入を止めることにした。

他人の人生に勝手に踏み込むのも悪いだろう、最終的な判断は彼女に任せるとしよう。

俺はそう思うとハルジオンの方へ歩き出した。

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最終更新:2011年09月12日 09:54