腎・排泄
安静時の血流量
肝:26%,腎:25%,脳:15%
浸透圧
※ 血液の浸透圧は主としてNaClにより維持される。(血中NaCl 0.9%)
※ 膠質浸透圧の主体はアルブミン(血漿蛋白質濃度 7%)
※ 浸透圧はモル濃度(大きさNaCl 30 アルブミン 60000)
浸透圧受容器のある場所・・・視床下部
多量の汗などで血液の水分が減り,浸透圧が高まる → 浸透圧受容器が刺激 → 下垂体後葉からバゾプレッシン(抗利尿ホルモン)が分泌 → 腎臓の遠位尿細管,集合管での水の再吸収を促進 → 尿量を減少させる。
腎臓の集合管に働きかけて利尿を抑制し、体内の水分を保持する。その結果、体液の実効浸透圧は減少する。
バソプレッシンは集合管に作用して尿素を髄質間質に取り込ませ、髄質内層に蓄積させ、集合管での水の再吸収を促 進する。
濾過された水分の約99%は再吸収されて血液中に回収される。
糸球体で血漿からろ過される原尿の量は1日に150ℓにも及ぶが,99%は再吸収され,残る1%の約1.5ℓが尿として排泄される。
濾液中の水分の60〜70%以上は近位尿細管で,残りの大部分は遠位尿細管と集合管で再吸収される。
レニン
レニンは、傍糸球体細胞で生成される蛋白分解酵素
1. 腎臓からレニンが分泌される。
腎臓には血圧をモニターしてレニンをつくる細胞がある (傍糸球体細胞)。
2. レニンはアンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンIに変える。
アンギオテンシノーゲンは肝臓が作る。・・・ノーゲンというのは、・・・の素。
3. ACE (angiotennsin converting enzyme: アンギオテンシン変換酵素)は
アンギオテンシンI を II に変える。
4. アンギオテンシン II は強力な昇圧物質。標的は2つ。ひとつは血管でこれを収縮させる。
もうひとつは副腎皮質で、 アルドステロンの産生を亢進させる。
5. アルドステロンは腎臓に働いて、ナトリウムイオン・水の再吸収を促進する。
エリスロポエチン
エリスロポエチンとは主に腎臓で作られているホルモンで、造血組織において赤血球前駆細胞 上の受容体に結合し、この細胞の増殖と分化を促進することにより赤血球産生を促進する作用がある。したがって、普通、貧血になると腎臓はエリスロポエチンの産生を増大させ造血に向かわせるので血清中のエリスロポエチンは上昇する。ところが、貧血であるにもかかわらず血清中のエリスロポエチンが上昇しない病態があり、これを腎性貧血という。
Na+の再吸収促進・・・アルドステロン
アルドステロンは、最も強力な鉱質コルチコイドで副腎皮質球状層で合成・分泌される。アルドステロン分泌は多因子によって調節されているが、主要な分泌調節因子として①レニン-アンギオテンシン系、②血漿K濃度、③ACTHが重要である。アルドステロンは遠位尿細管におけるNa+再吸収とそれに伴う水の再吸収を促進させる。
原発性アルドステロン症,Conn 症候群
• 概念
副腎皮質の腫瘍がアルドステロンを過剰に分泌することによって種々の代謝異常を招く疾患である。多くの高血圧症と異なり、手術よる根治が可能である。
• 病因:副腎皮質腫瘍:ほとんどが副腎皮質腺腫であり、副腎過形成もある。副腎過形成は両側性であり、副腎腺腫は一側性となる。
• 症状
– 高血圧が初発症状である
アルドステロンの作用により、遠位尿細管での Na+ の再吸収が促進され、Na+ と水が貯留して高血圧に至る。
– 代謝性アルカローシス
遠位尿細管での Na+ の再吸収量が増加するため、H+ が Na+ と交換されて尿中に排泄される。
– 低カリウム血症
アルドステロンは遠位尿細管で Na+ の再吸収と交換に K+ の排泄を行なうために K+ が体内から喪失する。
∗ 周期性四肢麻痺
∗ 筋力低下
∗ QT 延長症候群
尿細管で再吸収されなもの
体にとって不要な物質(尿酸・尿素・硫酸塩)などはあまり再吸収されない(いくらか再吸収される)。
アンモニアやH+,パラアミノ馬尿酸はむしろ尿細管でさらに分泌される(再吸収されない)。
100%再吸収
・グルコース
・アミノ酸
・蛋白質 → 飲作用により吸収
糸球体における濾過の仕組み
基底膜を通過できる小さな粒子だけが濾過される・・・小さな粒子には、水、電解質、ブドウ糖、各種老廃物などがある。
濾過されない物質には蛋白質がある・・・蛋白質分子の大きさは水分子や老廃物分子の数千倍以上もあるので、基底膜の隙間を通り抜けられない。
尿細管におけるグルコース再吸収のしくみ
グルコースの再吸収は近位尿細管にてATPのエネルギーを用いた能動輸送によって行われており、それに必要なATPをまかなうため、尿細管の細胞ではミトコンドリアが発達している。
グルコースの再吸収: 尿細管に排泄されたグルコースはほぼすべて近位尿細管で再吸収されます。尿細管中のナトリウムイオンとグルコースは共通の担体であるSGLT(Sodium-dependent glucose transporter)に結合し、細胞質中に運ばれます。さらに細胞質中に運ばれたグルコースはGLUT (Glucose transporter)によって細胞間質(血管)に輸送されます。細胞内に取り込まれたナトリウムイオンはNa+-K+-ATPase(ナトリウムポンプ)によってATPのエネルギーを使って細胞外にくみ出されます。同様の機構によるグルコースの吸収は小腸の腸管にも見られます。
糸球体濾過量と膠質浸透圧との関係
有効濾過圧=糸球体血圧ー血漿の膠質浸透圧ーボーマン嚢内圧= 45 - 25 - 10 =10 mmHg
腎臓には1分間に約500〜700㎖の血漿が流入する。この血漿量を腎血漿流量(RPF)という。このうち約20%の100〜150㎖が糸球体で濾過される。糸球体で濾過されてボーマン嚢へ押し出される濾過量を糸球体濾過量(GFR)という。GFRが100㎖/分程度であるとして,一日あたりの糸球体の濾過量は100×60×24=150,000㎖(150ℓ)にも達する
補液などで血液中水分が増加して血漿の膠質浸透圧が低下する・・・GFR増加
腎臓結石や尿管結石で腎盂内圧や尿管内圧が上昇 → ボーマン嚢内圧上昇 → GFR減少
出血やショックなどで全身血圧が著しく低下 → 糸球体内圧低下 → GFR減少
尿のpHは変わるか?
健常人の血液のpHは7.40±0.05 の狭い範囲に保たれるのに対し,尿のpHは身体の状態に応じてpH 4.5〜8.0 の範囲で変化する。多くの栄養素が代謝分解されて酸性物質を生じるため,体液は酸性に傾きやすい。腎臓は体液中の過剰なH+を尿中に排泄し,H+の緩衝に重要な重炭酸イオン(HCO3-)を再吸収することにより,体液のpHを調節する。
尿量の異常
尿量が異常に少ないことを乏尿(1日400〜500㎖以下),病的に多いことを多尿(3,000㎖以上)という。1日400㎖以下の乏尿が続くと体内の窒素代謝産物が十分尿中に排泄しきれないために,尿毒症が出現する。
心房のホルモン
心房からは,心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)が分泌される。心房性ナトリウム利尿ペプチドは血液量の増加により心房筋が伸展されたときに分泌され,腎臓に作用して水とNa+の排泄を促進させる。
– 血管拡張
– 利尿を起こして血液量を減少させる
∗ 輸入細動脈を弛緩し輸出細動脈を収縮させて糸球体の静水圧を増加する
∗ Na+ の排泄を増加する
– アルドステロン分泌を抑制
→ 総じて血圧を下げる。
プールに入った後にスッキリした気分になり、なぜか空気がすがすがしく感じた体験をしたことがありますか?
それは、水圧により老廃物のたまった静脈が心臓に戻され、処理されたからなのです。水圧によって下肢に圧が加わります。すると、静脈は体幹に押し上げられます。血液が心臓にたくさん集まります。
そうすると、心臓の心房性ナトリウム利尿ホルモンがでます。これは、利尿作用を促す同時に、血管を収縮させるホルモンを抑制に働かせます。不感温度で直立した場合、心房性ナトリウム利尿ホルモンは、陸上より2.5倍から3倍程度に増加します。
つまり、プールに入ると血管が拡張するのです。拡張された血管では、血行が促進され末梢にたまっていた老廃物を流してくれます。また、肺による水圧で努力性呼吸となっているので、肺にほどよく負担がかかります。 水泳をした後に水中ウォーキングで新鮮な空気を肺に入れてやる。そんな繰り返しは、カラダにとってとてもよいのです。
腎性貧血
腎不全が原因で起こる貧血。腎臓は赤血球を作るホルモンであるエリスロポエチンを作っているので、慢性腎不全ではエリスロポエチンが不足して正球性正色素性貧血になる。
尿細管における水分再吸収のしくみ
能動的にATPのエネルギーを使い,ポンプを回して再吸収しているのがNa+である.一方,水は,Na+ポンプを通るのではなく,水チャンネルを通って再吸収される.水を動かす力は,ポンプではなく,Na+の浸透圧である.Na+ポンプで尿細管から血管に再吸収されたNa+の浸透圧に引かれ,水が尿細管から血管へ再吸収されるのである.
糖尿出現の血糖閾値:180㎎/㎗。 血糖正常値(100㎎/㎗)
糖尿になると尿量が増加する。(浸透圧が高いから)
人はどんなにのどが渇いても海水は飲めない。
→ 海水より濃い尿はつくれない。海水魚は海水より濃い尿をつくれる。
アルドステロンは腎臓だけでなく、汗腺にも作用している。
コンは食塩摂取量を減らすと、汗の中への食塩量の排泄が減少することを観察し、これはアルドステロンのような塩類保持の作用をする副腎皮質ホルモンの増加することによる順応作用であると考えた。十分暑熱労働になれた人では、毎日7リットルの汗をかくような場合、食事の内容は食塩の摂取合計を一日に20グラム、11グラム、6グラム、1.9グラムと変えた場合、尿と汗への食塩の排泄を観察すると、変えた最初の日に尿中への食塩排泄が減少し、汗の中の食塩排泄は少し遅れて、24時間から36時間たって減少し、変化のあとの食塩摂取と排泄のバランスが成立することを認めた。汗の中の塩類濃度の変化のおくれは、副腎皮質ホルモンの作用に要する時間的なおくれに相当すると考えた。またこのことは長期にわたって食事の食塩を減らす場合にもおこり、コンは健康な人で、一日5-9リットルの汗を出す人で、一日1.9グラムの食塩摂取で、塩類のバランスのとれることを観察している。この場合尿中には一日50ミリグラムの食塩しか排泄されていない。このような能力は人によって異なるが、汗の中の食塩は普通は1リットル中数グラムなのに、0.1グラムにまでうすくすることができると述べている。免疫
自然免疫(非特異的防御機構)
先天性免疫ともいう。生体は初めて侵入してきた微生物などの異物に対してでも,これを速やかに排除しようと働く。この働きは,感染の初期において特に重要である。自然免疫は主に,好中球やマクロファージの食作用により行われる。そのほか,補体やインターフェロンなどの液性因子やNK細胞も関与する。
獲得免疫(特異的防御機構)
後天性免疫ともいう。生体内に侵入した異物を記憶し,その異物に対して特異的に反応を示す。たとえば,一度麻疹に感染したり予防接種を受けたりすると,麻疹ウイルスに対する獲得免疫が確立され,つぎに麻疹ウイルスが侵入したときに記憶された免疫系が効果的に働いて感染を予防できる。獲得免疫には抗体が重要な役割を果たす。また抗体を産生する形質細胞や,B細胞から形質細胞への分化を助けるT細胞も必要である。
自然免疫 獲得免疫
特徴 生まれつき備わった抵抗性 刺激を受けた抗原を特異的に認識・記憶する
抵抗性 感染の繰り返しで変化しない 感染の繰り返しで上昇していく
細胞 好中球,マクロファージ,NK細胞など T細胞,B細胞,形質細胞など
液性因子 インターフェロンなど 抗体など
抗体はB細胞により産生されます。
抗原認識から抗体産生までの流れは以下のようになります。
マクロファージなどの抗原提示細胞が抗原を取りこみ、分解してその一部が細胞表面に提示されます。
提示された抗原をヘルパーT細胞のT細胞受容体で受取り、ヘルパーT細胞が活性化してサイトカインを放出、B細胞が活性化します。B細胞自身も膜表面の受容体で抗原を認識して活性化します。
ヘルパーT細胞やB細胞自身の抗原認識によりB細胞が活性化すると、形質細胞(プラズマ細胞)と記憶B細胞に分化します。形質細胞は抗体を大量に産生して抗原を攻撃します。記憶B細胞はつぎまた抗原を認識した際、初回よりも迅速に抗体を産生します。
抗体のクラスと役割
人間のB細胞が作り出す抗体は、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDの5種類あります。その中には赤ちゃんの体を守るのに欠かせない抗体もある。まだハシカにかかったことのない子どもは、ハシカが流行するとウイルスに感染してしまいます。感染すると体内ではB細胞が敵を排除しようとして、IgMを産生します。
IgMは分子が大きいので、一つで約10個のウイルスを相手にすることができますが、残念ながら寿命が約5日と短命です。すべてのウイルスは退治できません。その隙に、残りのウイルスがどんどん増殖します。
次にB細胞はIgGを作ります。1個のIgGは2個の敵しか相手にできませんが、産生量が桁違いに多く、敵との結合力も強く、寿命も23〜28日程度と長いので、ウイルスは排除され病気は治ります。
翌年、ふたたびハシカが流行すると、子どもの体内に、またウイルスが入ってきます。今度は3〜4日以内にいきなりIgGが大量に産生され、ウイルスを急速に退治できます。
前回の感染時につくられたハシカに対応するIgGの一部が免疫系に記憶されていて、抗原(ウイルス)の浸入とともに即、産生するからです。おかげで子どもはハシカを発病しないですむのです。(一般に免疫があるといいますが、「免疫がある」というのは、免疫の「記憶」のことを指します。)
もしも、この子どもが女子で、大人になって妊娠したとします。IgGは唯一、胎盤を通して胎児に移動する抗体です。ハシカの抗体をもらった赤ちゃんは、生後数ヶ月にはハシカにかかる心配がありません。
人間(哺乳類)の母乳には、たくさんのIgAが含まれています。特に出産後数日間に出る初乳は大量に含有しているので、これを飲んだ赤ちゃんの呼吸器や胃腸の粘膜にIgAが分布し体を守るのに役立ちます。
母乳で育った赤ちゃんは人口栄養の子に比べ病気にかかりにくく、とりわけ呼吸器感染に対する抵抗力が強いことがわかっています。また遺伝的にアレルギー体質であっても、発症しにくといわれています。
このアレルギーと関連する抗体が、IgEです。たとえばスギ花粉症の人が、スギ花粉を吸い込み、鼻やノドの粘膜から花粉が体内に入ると、IgEが産生されます。これがクシャミや鼻水の元凶です。症状のひどさに、大量のIgEが産生されるかと思うかもしれませんが、量はごくわずかしか産生されません。
アレルギー症の人の免疫システムは、人間にっとって有害でない花粉などを敵であると間違った判断をし、過剰反応からIgEを産生するのです。
体内にはもう一つ、IgDが存在します。B細胞が成熟してくると細胞膜上に現れるので、B細胞の分化・増殖と関係があるのではないかと考えられています。
抗原提示細胞
抗原提示細胞(マクロファージ,樹状細胞,B細胞)は,HLAクラスII 上に外来タンパク質の断片を提示する。ヘルパーT細胞はT細胞受容体を介して敵の侵入を確認。自己増殖すると同時に,直ちに全軍(B細胞,キラーT細胞,NK細胞)に指令を発する。
自己免疫疾患
自己免疫疾患とは、本来は細菌・ウイルスや腫瘍などの自己と異なる異物を認識し排除するための役割を持つ免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしまうことで症状を来す疾患の総称である。自己免疫疾患は、全身にわたり影響が及ぶ全身性自己免疫疾患と、特定の臓器だけが影響を受ける臓器特異的疾患の2種類に分けることができる。 関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)に代表される膠原病は、全身性自己免疫疾患である。
代表疾患
関節リウマチ (RA)
全身の関節を中心に炎症を来す疾患。30~50歳代に多く発症し、男女比は1:3。リウマトイド因子 (RF)は変性IgGに対する自己抗体で、主にIgMに属する。関節リウマチで最も陽性となりやすい(約70~80%)
全身性エリテマトーデス (SLE)
全身の臓器に障害が生じる慢性炎症性疾患。多彩な臓器病変が見られるが、ループス腎炎が代表的。15~40歳に多く発症し、男女比は1:10。抗核抗体(自分の細胞の核内の構成成分を抗原とする自己抗体の総称)が陽性となる。全身症状として発熱,倦怠感,液肥蝋管。皮膚症状として蝶形紅斑,ディスコイド疹(円板状紅斑),頭髪の脱毛,日光過敏症など。
全身性強皮症(PSS、進行性全身性硬化症、全身性硬化症、強皮症、SSc)
進行性全身性硬化症は全身の組織が硬くなる病気。全身でコラーゲンが作られ過ぎる事による。コラーゲンの作られすぎで、手の指がソーセージの様に硬く大きくなる。ソーセージの様に硬く大きくなる事をソーセージ様の浮腫性硬化と言う。コラーゲンの作られすぎで、仮面様顔貌になる。本症の仮面様顔貌は鼻の先が尖り、唇が厚くなって口が小さく見え、口から放射状に皺が出来る、と言う特徴的な顔貌になる。コラーゲンの作られすぎで、食道平滑筋が動かなくなり、逆流性食道炎、等から嚥下困難を来たす。
多発性筋炎 (PM)、皮膚筋炎 (DM)
全身の横紋筋に障害が起こり、筋力低下や筋肉の痛みなどの症状が見られる疾患。眼瞼部の紫紅色の皮疹や手指伸側の落屑を伴う紅斑等の皮膚症状を呈する場合には皮膚筋炎と呼ばれる。自己抗体は、抗Jo-1抗体、抗Mi抗体が特異的。好発年齢の分布は二峰性であり、5~15歳の小児期に小さなピークと35~65歳の成人期に大きなピークを持つ。男女比は1:2。特定疾患治療研究対象疾患。
バセドウ病
甲状腺刺激ホルモン受容体刺激抗体によって甲状腺機能の亢進がおこり、血中の甲状腺ホルモンが異常高値となる。
橋本病(慢性甲状腺炎)
甲状腺の慢性炎症のため、びまん性の甲状腺腫大や甲状腺機能低下症などを来す疾患。中年女性に多く、男女比は1:20~30。自己抗体として、抗サイログロブリン(Tg)抗体や抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体が認められる。
重症筋無力症
運動の反復による筋力低下が見られる疾患。自己抗体として、抗アセチルコリンレセプター(AChR)抗体。男女比は1:2で、女性では20~40歳代に多く、男性では50歳以上に多い。特定疾患治療研究対象疾患。
1型糖尿病
膵β細胞が破壊されてインスリンの分泌障害が起きる疾患。2型糖尿病は生活習慣病。自己抗体は、抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体、膵島細胞抗体(ICA)、IA-2抗体など。小児や若年成人の発症が多い。
原発性胆汁性肝硬変 (PBC)
肝内胆管が慢性炎症により壊され、胆汁のうっ滞が見られる疾患。黄疸や掻痒感などが見られる症候性PBCと症状が認められない無症候性PBCがある。中年以降の女性に好発し、男女比は1:8。自己抗体に、抗ミトコンドリア抗体(AMA)、抗ピルビン酸脱水素酵素(PDH)抗体。特定疾患治療研究対象疾患。
ギラン・バレー症候群 (GBS)
多発性の根神経炎の一つで、運動神経が障害のため四肢に力が入らなくなるなどの症状を呈する。自己抗体として抗ガングリオシド抗体が半数程度に見られる。
シェーグレン症候群 (SjS)
涙腺、唾液腺などの外分泌腺が障害され、涙や唾液の量が低下する疾患。中年女性に多く、男女比は1:20。抗SS-A抗体、抗SS-B抗体が見られる。抗SS-B抗体は特異的である。
多発性硬化症 (MS)
脳や脊髄の神経線維である軸索を覆っている髄鞘が壊れる(脱髄という)疾患。脱髄の起こる部位により多彩な症状を呈する。15~50歳に発症し、男女比は1:1.3程度。特定疾患治療研究対象疾患。
免疫性溶血性貧血 (IHA)
自己の赤血球の膜上抗原に対する自己抗体が作られ、結合した赤血球が破壊されて貧血を来す疾患。
HLAクラス I とクラス IIの役割
HLAは,主要組織適合性複合系(MHC)とも呼ばれ,移植拒否に関わるタンパク質群として発見された。HLAは,白血球のみならず全ての有核細胞の細胞膜に発現される。
HLAクラス I :全ての有核細胞に発現
細胞内で合成されたタンパク質の断片をプロテアソーム経由で結合して細胞膜上に提示する。これにより,ガン特異抗原やウイルス蛋白質の合成が免疫系に報告され,検知される。
HLAクラス II :抗原提示細胞にのみ発現
飲食作用により細胞に取り込まれた外来タンパク質の断片を,リソソーム経由で細胞膜上に掲示する。これにより,敵の侵入が報告される。
腫瘍マーカ
ガン特異抗原は,正常細胞が産生せず,ガン細胞のみが生産するタンパク質を指す。
AFP(αフェトプロテイン): 主として肝臓癌に対して
CEA(ガン胎児性抗原): 主として大腸癌に対して
PSA(前立腺特異抗原): 主として前立腺癌に対して
(CA19−9:主として膵臓癌に対して)( CA125:主として卵巣癌に対して)
キラーT細胞はHLAクラスI 上に提示されたガン特異抗原をよりどころにガン細胞を発見して殺す。
全身の有核細胞は,自らが合成しているタンパク質の断片をHLAクラス I 上に掲示する。T細胞受容体を介して異常タンパク質の合成を確認したキラーT細胞は,この細胞を危険なものとして直ちに殺す。
殺しの方法は,アポトーシスの誘発か,パーフォリンによる細胞破壊である。
NK細胞はガン特異抗原とは無関係にHLAを提示しないガン細胞を殺す。
T細胞の成熟
骨髄を出た後,胸腺で軍人としての教育訓練を受けるリンパ球をT細胞と呼ぶ。胸腺における教育訓練の内容は以下のようなものである。
多様なリンパ球が作られる。
B細胞同様,自己非自己を問わず,あらゆるものを攻撃できるT細胞が遺伝子組換えによりつくられる。事実上,あらゆる抗原を識別できるT細胞受容体が生産可能である。
自己HLAを正しく識別できるリンパ球が生き残る。
細胞膜上に提示される自己HLAを解読し,情報を認識できるものだけが,選択されて生き残り,この作業ができないものは除かれる。
自己を攻撃するリンパ球は除かれる。
HLA上に提示される自己抗原を攻撃する性質をもったリンパ球は危険なものとして除かれる。この作業に失敗して自己を攻撃するリンパ球が生き残って発症するのが自己免疫疾患である。
1. の過程で作られたリンパ球のなかで,2. 3. の過程に合格して無事卒業できるのは数%に過ぎない。胸腺は極めて厳しい士官学校といえる。胸腺において脱落するリンパ球はアポトーシスのスイッチを押されて死んでいく。胸腺を無事卒業できたT細胞は,前線基地である二次リンパ組織に配属され,そこで更なる訓練を経て完成される。
T細胞は,司令官と実行部隊に分化する。
胸腺で成熟するT細胞は,免疫軍の司令官たるヘルパーT細胞と実行部隊であるキラーT細胞に分化する。ヘルパーT細胞は,免疫軍全体の指揮をとる司令官で,細胞性免疫を担当するTh1と液性免疫を担当するTh2から構成される。細胞性免疫と液性免疫の勢力のバランスが崩れると,自己免疫疾患やアレルギー疾患が生じると考えられている。キラーT細胞は,有害化した細胞を殺して回る実行部隊である。
二次リンパ組織は前線基地である。
骨髄を出たB細胞や胸腺を出たT細胞は,二次リンパ組織(リンパ節,脾臓,粘膜付属リンパ組織など)に配属される。
リンパ組織には,その近傍に配置されている斥候(抗原提示細胞)からの情報が集められる。抗原提示細胞は,敵と遭遇すると,最寄りのリンパ組織に帰還して,そこに待機しているヘルパーT細胞にHLAクラス II を介して報告する。敵発見の情報を確認したヘルパーT細胞は,自ら増殖すると同時にリンフォカインを分泌して全軍の指揮をとる。
自分の担当する敵が現れないT細胞は,必要ないということで徐々に消滅する。このようにして免疫系は,無駄な出費を節約している。
アポトーシス
体細胞は,自らが個体全体にとって有害または不要となった場合,自ら死んでいくための装置を備えている。アポトーシスのスイッチは自ら押す場合もあるし,他の細胞によって押される場合もある。キラー細胞やNK細胞にアポトーシスのスイッチを押されると,ガン細胞は心ならずも殺されてしまうので,ガン細胞の中にはアポトーシスの装置を破壊するものが出現する。アポトーシス誘発の鍵を握っているのはゲノムの番人P53 であるが,ガン患者の過半数に P53遺伝子の異常が認められている。
p53分子の最も重要な機能は、ゲノムの番人:Guardian of Genomeということが出来ます。すなわち、細胞が放射線や薬物によりDNA損傷を受けた際に、DNA修復が完了するまで細胞周期を停止させる機能、あるいは損傷が修復不能の場合にはアポトーシスと呼ばれる細胞死を誘導することで損傷細胞自体を除去する機能をp53は担っており、結果として細胞の癌化を抑制する癌抑制遺伝子として働いています。
各組織にいるマクロファージの名前
肝 → クッパー細胞 消化管 → 腹腔マクロファージ 肺 → 肺胞マクロファージ
皮膚 → ランゲルハンス細胞 脳 → ミクログリア 骨 → 破骨細胞
ヒトが作れる抗体の種類
遺伝子組換え(VDJ遺伝子再構成 )によって,ほぼ無限の種類を作り出せる。
抗体はY字型をしており、可変部はアミノ酸配列を変化させるという特徴がある。アミノ酸をどのような順番で並べるかを決定するのが、遺伝子という設計図です。
可変部をつくるための遺伝子は、V遺伝子、D遺伝子、J遺伝子の3グループに大きく分類できる。V遺伝子には、V1から数百種類があり、同じようにD遺伝子はD1から約20種類、J遺伝子は、J1からJ4の4種類ある。
可変部のアミノ酸配列は、3つのグループからどの種類の遺伝子を選び出して組み合わせるか、その違いで決まってくる。たとえば、ある抗体は「V1+D1+J1」の組合せに。別の抗体は「V1+D1+J2」になるかもしれない。
Y字型の部分は、H鎖とL鎖という2本ずつの鎖でできていて、各々の鎖の可変部で遺伝子の組合せが成立します。これをざっと計算すると、1兆パターンの抗体ができることになります。つまり1兆種類の抗原に対応できるというわけです。
HLAは細胞の身分証明書であり,健康証明書である。
通常のタンパク質は,同一の種では基本的に同じである。HLAを構成するタンパク質は,同一種内でも個体ごとに異なっているのが原則である。この性質を利用して,個体はHLAを細胞の身分証明書として使用している。更にHLAには細胞内で合成されたタンパク質や,細胞に侵入してきたタンパク質の断片(オリゴペプチド)が添付されることにより,細胞の健康証明書としての役割が担われる。
異常事態がHLAにより免疫系に告知されると殺されてしまうので,ウイルスやガン細胞の中には,HLA掲示の過程に干渉してHLAを掲示させないものがいる。キラーT細胞は,HLAが掲示されないと異常に気がつかない。このような場合はNK細胞が対応する。NK細胞は,HLAを掲示しない細胞を,抗原とは無関係に殺す。
HLAをもたない細胞
赤血球,血小板
T細胞受容体は抗原タンパクを単独では識別できない。
細胞性免疫の担い手は,T細胞である。T細胞はT細胞受容体(TCR)により自己と非自己を識別する。
T細胞受容体の抗原の識別法は,抗体とは全く異なる。抗体は,タンパク質の表面の形(抗原決定基)を単独で識別する。T細胞受容体が識別するのは,タンパク質の断片(オリゴペプチド)である。しかも, T細胞受容体は,単独では抗原を識別できるず,HLA上に提示されたものだけを識別できる。このことにより,T細胞受容体はタンパク質内部に生じた些細な変化を見逃さないと同時に,情報を正確に入手できる。
ヘルパーT細胞は,HLAクラス II 上に提示された抗原を識別する。HLAクラス II とT細胞受容体の情報伝達を介助するのはCD4補助受容体である。
キラーT細胞は,HLAクラス I 上に提示された抗原を識別する。HLAクラス I とT細胞受容体の情報伝達を介助するのはCD8補助受容体である。
一つの形質細胞・・・1種類の抗体のみを産生する
抗原と抗体の関係は、しばしば鍵と鍵穴の関係に例えられます。すなわち、ある抗原が侵入してくると、それにぴったりと合った抗体が結びつく。そうであるなら、当然次のような疑問が生まれてきます。「自己」以外のありとあらゆる抗原となりうる「異物」に対して、抗体は備わっているのだろうか。昔のひとは、ある抗原が入ってくるとそれを「抗原認識系」みたいなものが認識して、それに対応する抗体を作り出すのであろうとと考えていました。
ところがバーネットという人が、それに異を唱えました。バーネットは、そもそも体内では、「自己」「非自己」にかかわらず、すべての抗原に対応する抗体を作れるだけのリンパ球が作られるが、「自己」に対するものは、胸腺で周到に排除され死滅する。「非自己」に対するものだけが生き残るが、それが体内を巡るうち外来の未知の抗原に接触すると、その接触したリンパ球だけが増殖し抗体を産生すると考えました。これをバーネットのクローン選択説といいます。
クローン選択説について
クローン選択説とは、1959年にF.M.Burnetによって提唱された抗体産生理論の1つで、今日広く受け入れられている。この説によると、あらゆる抗原に対して、これに特異的に反応する抗体が、もともと先天的にB細胞のクローン(クローン;1個の体細胞をもとにして分裂増殖により生じた同一特性をもつ細胞集団)として用意されていて、抗原が生体内に侵入すると、この多数のクローンの中から特定のクローンが選択され、その抗原と反応して急激に増殖し、抗体を作る形質細胞になるという。この説によると次のことが言える。
B細胞であるリンパ球表面には、分化し、活性化された際に放出される抗体と同じ特異性をもつ受容体が存在する。→受容体と同じ結合部位を持つ抗体を生産する。
個々のB細胞には、それぞれ1つの特異性がある。
ある特異性をもつという運命づけは抗原に出会う前からすでにきめられている。
適当な条件のもとで特異的リンパ球クローンは、抗原とレセプターが結合することで、増殖分化し、免疫記憶細胞や形質細胞へと変わっていく。
胎生期または新生時期に抗原と出会うと、それに対するクローンは消去される。
→自己抗原に対するクローンは除かれる。つまり、成長後自己抗原に対して無反応になり攻撃されない。
ここで重要なのは、体内では「自己」「非自己」にかかわらず、すべての抗原に対応する抗体を作れるだけのリンパ球が作られるが、「自己」に対するものは、排除され死滅し、「非自己」に対するものだけが生き残るということ、そして非自己に対する各々のリンパ球が体内を巡るうちに、外部から侵入してきた非自己の抗原と特異的に結合し、その結合したリンパ球だけが増殖し抗体を産生するという点である。
次に、抗体産生は主にB細胞による液性免疫であるので、液性免疫(抗体IgG産生)のメカニズム)についてまとめる。
B細胞はもともとその表面にIgMを発現している。ただし、1個のB細胞は1種類の抗原に対応するIgMしか表面に持っていないので、様々な抗原の種類に対応するために無数の種類のB細胞が用意されている。IgMによって抗原を認識し、その抗原に結合したB細胞は、その場で細胞分裂によって増殖し形質細胞へと分化する。そしてその形質細胞がその抗原に特異的な抗体IgGを産生し、放出する。この、IgMからIgGへの変化を「クラススイッチ」と呼ぶ。また、形質細胞に分化しなかったB細胞はメモリーB細胞(免疫記憶細胞)として残り、次回の抗原の侵入に備える。B細胞の分裂・増殖、形質細胞への分化は、抗原に結合しただけでもある程度起こるが、抗体の産生にはヘルパーT2細胞(ヘルパーT2細胞(Th2)とはサイトカイン(免疫調節物質)を、産生することで他の細胞の働きを促すT細胞のこと)の助けが必要である。B細胞は抗原と結合すると、抗原を分解し、その分解した抗原蛋白を自分のclass II MHC分子の上にのせ、再度、細胞表面に「抗原+MHC分子」として発現させることでヘルパーT2細胞に助けのサインをだす。(抗原提示)ヘルパーT2細胞はB細胞表面の「抗原+MHC分子」をTCR(T cell receptor:CD3)によって認識する。抗原掲示を認識したヘルパーT2細胞は、IL-3、4、5、6、10、13など(Th2系サイトカイン)を放出し、それらのサイトカインによってB細胞の形質細胞への分化が進む。そして形質細胞が生産したIgGや、活性化補体C3bが細菌表面に結合(オプソニン化)すると、好中球は強力な貪食・殺菌作用を発揮できるようになる。これは好中球がIgGのF c部分に対するレセプターとC3bに対するレセプターを持っているためである。このようにして外部からの抗原は退治、除去される。
臓器移植と免疫
20世紀後半,ヒトの生存に必須な重要臓器が致命的機能不全に陥っても救命できる臓器移植の技術が開発された。初期の段階では,移植手術に成功しても,移植臓器は宿主の免疫系により拒絶され早晩脱落した。移植拒否防ぐため免疫抑制剤を使用すると,今度は免疫不全により患者が死亡した。このため,臓器移植は不可能な技術と諦めかけた。
この事態を打破したのは,画期的免疫抑制剤サイクロスポリンAであった。サイクロスポリンAは,移植拒否の現象を選択的に抑制し,細菌感染に対する免疫機能をそれほど阻害しなかった。
サイクロスポリンAの開発を契機として,臓器移植は急速に普及した。
サイクロスポリンA はペプチドであり、もともと抗生物質として使われていた。1985年以降、臓器移植で用いられた。 T細胞内のサイクロスポリン結合タンパク質と結合し、カルシニューリンの活性を抑制して転写因子の核内移行を障害する。 結果、インターロイキン2 [ IL-2 ] 遺伝子の発現が進行せず、免疫反応(細胞性免疫)が抑制される。
FK506 [ tacrolimus ] は藤沢薬品が開発したもの。世界で一番よい免疫抑制剤といわれている。
タクロリムス結合タンパク質と結合する他は、サイクロスポリンAと作用機構は同じ。IL-2 の産生を抑える。
液性免疫と細胞性免疫
免疫とは、外界から侵入してくる病原体や体の中で発生するがん細胞など異常な細胞を認識して排除する仕組みで、体の防御機能の要です。免疫は主にリンパ球という細胞が中心になってコントロールされています。リンパ球にはB細胞・T細胞・ナチュラルキラー(Natural killer, NK)細胞などがあります。
B細胞は抗体という飛び道具を使って細菌やウイルスを攻撃するもので、これを「液性免疫」といいます。IgEという抗体の一種が関与するアレルギー性疾患はこの液性免疫が過剰に反応する結果発生します。
一方、ウイルス感染細胞やガン細胞など自分の細胞に隠れている異常を発見して、キラーT細胞やNK細胞などが直接攻撃する免疫の仕組みを「細胞性免疫」といいます。細胞性免疫はがんに対する生体防御に重要な役割を果たしますが、調節が狂って正常な自分の細胞を攻撃すると慢性関節リュウマチなどの自己免疫疾患の発病に関連します。
液性免疫と細胞性免疫とは、互いに相反関係にあることが知られていました。つまり、シーソーのように、一方の働きが強くなるともう一方は抑制される関係です。このメカニズムは、2種類のヘルパーT細胞 (Th) のバランスにより説明されています。
ヘルパーT細胞は、B細胞やT細胞の増殖や働きを調節するタンパク質(サイトカイン)を分泌して、液性免疫と細胞性免疫のバランスを調節しており、そのサイトカインの産生パターンから、Th1(1型ヘルパーT)細胞とTh2(2型ヘルパーT) 細胞に分類されます。Th1は細胞性免疫を促進し、Th2は液性免疫を促進します。
ヘルパーT前駆細胞(Th0)がTh1細胞に成熟(分化)するためにはマクロファージから分泌されるIL-12が必要であり、一方、Th2細胞となるためにはT細胞から分泌されるIL-4が必要とされています。
Th1細胞はインターフェロン・ガンマ(IFN-γ)や インターロイキン-2(IL-2)を分泌して細胞性免疫を増強し、Th2細胞はIL-4, IL-5, IL-6, IL-10を分泌してB細胞を活性化して液性免疫に関与します。Th1細胞が出すIFN-γはTh2細胞の働きを抑え、逆にTh2細胞が出すIL-10はTh1細胞を抑制します。この仕組みによりTh1とTh2がシーソーのように相互に制御されるのです
サイクロスポリンA は,IL-2の産生を抑えることにより,細胞性免疫を選択的に抑制。細菌感染などに対する液性免疫をそれほど阻害しない。
骨髄移植には,HLAの型が一致する必要がある。
心臓,腎臓,肝臓など一般臓器の移植は,特異的免疫抑制剤の使用により近年急速に普及してきた。しかし,骨髄移植は特異的免疫抑制剤を使用しても成功しない。いかに,骨髄移植について整理する。
骨髄移植は,白血病の治療法として開発された。
骨髄性白血病では,骨髄の放射線照射によりガン細胞を根絶することが可能である。しかし,骨髄で活動している血球幹細胞も,ガン細胞同様放射線感受性細胞で,ガン細胞とともに死滅する。このままでは,ガンは治っても,血球幹細胞死滅のため貧血,出血,感染症のため患者は死亡する。
空き家となった骨髄に,正常な人の骨髄を移植し幹細胞が定着して,赤血球,白血球,血小板が生産できるようになって初めて治ったといえる。
しかし,そこで産生されるリンパ球はあくまで他人のリンパ球なので,新たな宿主の細胞を敵とみなして攻撃する。その結果,移植片対宿主病(GVHD)と同じ現象が起こり,多臓器不全に陥り死亡する。
※ 移植片対宿主病:従来,稀な輸血事故として観察された。輸血中のリンパ球が,輸血を受けた患者の体内で増殖して,患者の臓器を攻撃して引き起こす病気である。現在では,このような事故を防ぐため,輸血に使用する新鮮血は,ガンマ線を照射することが原則とされている。
骨髄移植は,HLA の型が一致することが条件である。
移植片対宿主病を防ぐため骨髄移植に使用する骨髄は,患者のHLAと型が一致していなければならない。しかし,既に述べたように,HLAは一卵性双生児以外では異なっている。
骨髄バンクには,多くのヒトの協力が必要である。
HLAは個体ごとに異なっているのが原則であるが,10万人に一人くらいの割合で型が一致する人が存在する。そのため,骨髄移植を必要とする白血病患者が現れた場合,移植可能な骨髄提供者を探すため多くの人が骨髄バンクにHLAの型を登録しておく必要がある。登録者不足のため,骨髄移植を受けれない白血病患者が多いのが現状である。現在,骨髄バンクを補う目的で胎盤バンクも創設されている。
NK細胞とストレス
キラーT細胞の活性は抗原刺激により高まるが,NK細胞は自然免疫の構成員として常時待機している。近年,笑いの健康増進効果が注目されている。ストレスはNK細胞活性を抑制し,笑いなどによるストレス発散はNK細胞活性を高めることが知られている。
成人T細胞白血病(HTLV)とHIV
成人T細胞白血病という病気は、ウイルス感染によってひきおこされる白血病として世界で初めて日本で解明された白血病です。 日本では沖縄から九州、四国南部、紀伊半島にかけて多くみられます。
成人T細胞白血病は、名前のようにT細胞にウイルスが感染して起こります。この感染したTリンパ球を含む体液によって人から人にうつります。最も多いのが母乳を通じて母から子への感染です。母乳中には多くのT リンパ球が含まれるからです。性交によっても感染しますが、この場合は男性→女性のみでその逆はないとされています。 感染してから発病するまでの潜伏期間が30〜70年と非常に長いのが特徴です。 したがって乳児期に母乳から感染したとしても、発病するのはかなり年をとってからです。患者年令の中央値は57才で、30才未満の発病はきわめてまれです。
この病気の原因ウイルス(HTLV−Ⅰ)はレトロウイルスと言われ、HIVと同じ種類のウイルスです。それぞれのウイルスは共通の祖先から分かれたものであることが分かっています。いずれもCD4(細胞の表面マーカーと言われるもの)陽性のTリンパ球に感染します。このリンパ球はヘルパーT細胞といい、身体の免疫機構のもっとも主要な中心的役割をする細胞です。
HIV は感染することにより、Tリンパ球を破壊し、HTLV −ⅠはTリンパ球を腫瘍化してその機能を失わせます。したがっていずれの病気も、主要な症状として免疫不全症が現れます。
排泄と腎臓
腎臓は代表的な排泄器官である・・・体内の不要な物質を捨てることを排泄という。腎からは尿という形で、水、電解質、各種老廃物などを排泄している。電解質とは塩分、酸、アルカリなどのことをいう。老廃物の例には、尿素、尿酸、クレアチニンなどがある。肺からはCO2という酸を排泄している。肝臓からは胆汁を排泄している。皮膚からは汗という形で、水、電解質を排泄している。
ネフロンは糸球体と尿細管とから成り立っている・・・尿を作っている最小単位をネフロンという。腎はネフロンが約100万個(両腎で200万個)集まったネフロンの集合体である。
糸球体は毛細血管の塊である・・・腎臓は血管にきわめて富んだ臓器であり、血管の塊ともいえる。
尿細管は近位尿細管、ヘンレわな、遠位尿細管、集合管に分けられる・・・近位尿細管から遠位尿細管までは枝分かれのない1本の管である。糸球体、近位尿細管、遠位尿細管は皮質にあり、ヘンレわなは髄質にある。
腎の髄質の浸透圧は高い・・・高浸透圧の尿を作ることができるのは髄質の浸透圧が高いからである。
糸球体
糸球体で血液成分の濾過が行なわれる・・・糸球体と尿細管との間には小さなすき間があいている。
基底膜を通過できる小さな粒子だけが濾過される・・・小さな粒子には、水、電解質、ブドウ糖、各種老廃物などがある。
濾過されない物質には蛋白質がある・・・蛋白質分子の大きさは水分子や老廃物分子の数千倍以上もあるので、基底膜の隙間を通り抜けられない。
濾液(原尿)は血液から血球と血漿蛋白質とを除いたものに等しい・・・電解質やブドウ糖などの糸球体で濾過される物質は、血漿中と濾液中の濃度は等しい。濾液のことを原尿ともいう。
濾過は血圧の力によって行なわれている・・・血圧が60mmHg以下に下がると濾過ができなくなり尿を作れなくなる。
糸球体の濾過によって生成された濾液の量を糸球体濾過量という・・・糸球体濾過量(GFR)の正常値は約100ml/分である。腎臓を流れる血液量を腎血液流量(RBF)という。腎臓を流れる血漿の流量を腎血漿流量(RPF)という。腎臓を流れる血漿の約1/5(20%)が濾過され尿細管腔に移動し原尿となる。
尿細管
尿細管では再吸収が行なわれている・・・再吸収される割合は物質によって異なっている。
糸球体で濾過された水分の約99%が尿細管で再吸収される。
糸球体で濾過されたブドウ糖のほぼ100%が尿細管で再吸収される・・・正常では尿中にはブドウ糖はほとんど含まれていない。ブドウ糖の再吸収能力には限界がある。
一般にナトリウムの移動にともなって水も移動する・・・ナトリウムの移動は能動輸送である。糸球体で濾過されたナトリウムの約99%は尿細管で再吸収される。
物質によっては尿細管から分泌されるものもある・・・分泌されるものには、酸、カリウム、ある種の毒物や薬物などがある。カリウムは再吸収と同時に分泌もされている。
尿量を調節しているホルモンにADHとアルドステロンとがある・・・水の再吸収が増加すると尿量は減少する。抗利尿ホルモン(ADH)は水の再吸収を促す。アルドステロンはナトリウムの再吸収を促す。
尿
尿の量や質は体の状態を反映している・・・1日の正常尿量は約1〜1.58㍑程度である。1日の尿量が400ml以下を乏尿という。腎での尿生成が停止すれば無尿となる、100ml以下をいう。頻尿とは排尿回数が多いもの(約10回/日以上)をいう。尿閉とは、腎では尿は生成されているが尿路の異常で尿が体外に排出されない状態をいう。尿失禁とは排尿の意志がないのに排尿がおこることである。
尿量は体の水分の量を反映している・・・水分摂取が多いと、多尿となり尿比重は低下する。尿の比重と尿の浸透圧はほぼ比例する。
血漿より浸透圧が高い尿を高張尿、ほぼ等しいのを等張尿、低いものを低張尿という・・・高張尿のことを濃縮尿、低張尿のことを希釈尿ともいう。
尿検査は手軽にでき患者にほとんど苦痛を与えない・・・尿は一般に弱酸性である。正常の尿は淡黄色で清澄だが、塩類などが析出して混濁していることもある。正常の尿には蛋白質もブドウ糖も含まれていない。尿沈渣とは尿中の有形成分を遠心して集めたものである。
腎の内分泌機能/腎不全
腎臓の機能は尿を作るだけではない・・・腎はレニンを分泌して血圧を調節している。腎はエリスロボエチンを分泌して造血を調節している。腎はビタミンDを活性化する。
腎機能の低下を腎不全という・・・腎不全では排泄されるべき物質(水、酸、カリウム、老廃物など)が体内に蓄積されてしまう。カリウムが高いと心室細動をおこして急死する。尿毒症では尿量は減少し、出るのは等張尿である。腎不全では高血圧、貧血、骨折などもおこる。
腎不全の治療は透析か腎移植である・・・透析とは血中の老廃物などを半透膜を介して透析液に抜きとる方法である。透析には血液透析と腹膜透析とがある。透析では腎の内分泌や代謝の機能までは代償できない。腎不全患者には厳密な水分塩分制限が必要である。
尿路
尿路は尿管、膀胱、尿道からなる・・・尿路では尿の成分や量は変化しない。尿路では尿の流れは一方通行であり、逆流はしない。
膀胱には蓄尿と排尿との2つの機能がある・・・膀胱内圧が上昇すると尿意がおこる。膀胱の出口には尿道括約筋がある。
普段は膀胱壁は弛緩し尿道括約筋は収縮して尿を膀胱内にためる・・・いったん排尿が開始されると完全に尿を出し終わるまで排尿動作は続く。排尿後の膀胱内に残尿はほとんどない。
残尿があると菌が繁殖しやすい・・・女性の方が膀胱炎になりやすい。◎ 泌尿器とは?
体液成分(水分、電解質)の恒常性(質的&量的),老廃物(窒素代謝産物=尿素、等)・有害物質の排出
浸透圧(溶質濃度に比例;0.9 %食塩水とほぼ等張=生理的食塩水;半透膜)
能動輸送(ATPを利用して濃度勾配に逆らう)と受動輸送(濃度勾配に従う)
A 腎臓
・腎臓の疾患:蛋白尿、腎不全→移植・透析(人口700人に一人、年間医療費1兆円)
・腎臓の肉眼的構造
腎門(尿管、腎動静脈)、腎洞、腎盂(腎盤)、腎杯・腎乳頭
皮質(糸球体が見える?)、髄質(髄放線が見える?)
・腎臓の組織学的構造
ネフロン nephron(約100万!):腎小体(≒糸球体)+尿細管+(集合管)
腎小体=糸球体+ボウマン嚢;+傍糸球体装置(傍糸球体細胞、緻密斑、等)
糸球体=糸球体毛細血管内皮細胞+メサンギウム細胞+上皮細胞(足細胞)
糸球体濾過障壁=内皮細胞+糸球体基底膜+足細胞(スリット膜)
尿細管=近位尿細管(曲部・直部)+中間尿細管+遠位尿細管(直部・曲部)
ヘンレループ=近位直尿細管+中間尿細管+遠位直尿細管(=太い上行脚)
腎の血管系 ←心拍出量の25%が左右の腎臓に入る
腎動脈→葉間動脈→弓状動脈→小葉間動脈→輸入細動脈→糸球体毛細血管→
輸出細動脈→(髄質では直動脈)→尿細管周囲毛細血管→静脈系...→腎静脈
・尿の生成=糸球体濾過(毎分100ml)+尿細管による分泌・再吸収(99%を再吸収)
糸球体濾過:糸球体毛細血管の血圧が原動力、膠質浸透圧差に押し返されている
GFR(糸球体濾過値)←Ccr(クレアチニン-クリアランス)
=約100ml/分:RPFの20%
RPF(腎血漿流量)←PAHクリアランス、RBF(腎血流量)毎分1L
尿細管でのイオンの分泌・再吸収 ←PSP排泄試験;β2ミクログロブリン、NAG
近位尿細管で:選択的な再吸収&分泌 (:刷子縁と細胞嵌合とで表面積↑)
Naの再吸収(能動輸送)+水の再吸収(受動輸送)
グルコースやアミノ酸の能動的再吸収、Kのほとんどの再吸収
PSP・尿酸・抗生物質などの有機イオン・薬物の能動的分泌=排出
ヘンレ下降脚で:尿の濃縮
細い下降脚で水の再吸収(浸透圧差による受動輸送)
ヘンレ上行脚で:尿の希釈[水の量を変えずに!]
細い上行脚でNa+Clを受動輸送 (NaClは間質へ移動して浸透圧を上げる)
太い上行脚でNa+K+2Clを能動輸送により再吸収
遠位曲尿細管で:(緻密斑で Cl - 濃度をモニター→傍糸球体装置を形成)
Na+Clを能動輸送により再吸収
集合管主細胞で:尿の濃縮(最大4倍;ホルモンによる濃縮力の調節)
水の再吸収(ADH存在下、受動輸送)、尿素の回収(受動輸送)
酸・アルカリの分泌による体液pHの調節(間在細胞による)
近位尿細管:Naと水、有用分子の再吸収 →等 張 性
細い下降脚:水の透過性が高く、NaClの透過性は低い →尿の濃縮
細い上行脚:水の透過性が低く、NaClの透過性は高い →尿の希釈
太い上行脚:NaClの能動的な再吸収 ←ループ利尿剤のターゲット
集 合 管:ADHによる水の透過性の調節 →尿の濃縮
クレアチニン:すべて糸球体で濾過され、尿細管で分泌・再吸収されない
PAH:近位尿細管でほぼ完全に分泌される
尿の濃縮の調節:
ネフロン自体の自己調節能 →TGF(輸入細動脈の収縮によりGFR↓)
(傍糸球体装置による) →レニン分泌(全身の血圧を上げてGFR↑)
ホルモンによる調節
ADH(抗利尿ホルモン=バソプレシン)→集合管での水の再吸収↑
アルドステロン →集合管でのNa再吸収↑・K分泌↑
ANPなどのナトリウム利尿ホルモン →集合管でのNa再吸収↓
上皮小体ホルモン(パラトルモン) →遠位尿細管でのCa再吸収↑
・尿の成分(色調←何に由来?、pH、比重、成分=水が95%)、尿量は一日1L!
なぜ、尿検査では早朝尿の中間尿を取るのか? なぜ、起床時の尿は「濃い」のか?
・内分泌器官としての腎臓
レニン(傍糸球体細胞から;アンギオテンシンを活性化して全身の血圧を上昇)
エリスロポエチン(間質の線維芽細胞から;骨髄における赤血球の産生を亢進)
プロスタグランジン産生(集合管にて)、ビタミンDの活性化(近位尿細管にて)
B 尿路、排尿路
・腎臓→尿管→膀胱→尿道 (膀胱・尿管の壁は移行上皮!)
尿管 ureter の生理的狭窄部、内縦・外輪(・外縦)の平滑筋層による蠕動運動
膀胱 (urinary) bladder の底部に尿管口と内尿道口←膀胱三角;膀胱の後ろは何?
尿道 urethra の男女差(長短、屈曲の有無、精路との合流の有無)と導尿
骨盤底筋群(外尿道括約筋、肛門挙筋、尿生殖隔膜・深会陰横筋、等)
・蓄尿・排尿の神経系によるコントロール(どうやって尿を出し、また我慢するか?)
二種類の括約筋、自律神経系と体性神経系による二重の支配
内尿道括約筋=膀胱括約筋(平滑筋=不随意)
外尿道括約筋=尿道括約筋(骨格筋=随 意)
蓄尿:膀胱→[骨盤内臓神経:副交感]→脊髄(仙髄)→脊髄(腰髄)→
→[下腹神経:交感]→膀胱筋・弛緩、内尿道括約筋・収縮
大脳皮質:意思→[陰部神経:体性・運動]→外尿道括約筋・収縮
排尿:膀胱内圧上昇→膀胱壁進展→[骨盤内臓神経:副交感]→脊髄(仙髄)→
→脳幹→脊髄(仙髄)→[骨盤内臓神経:副交感]→膀胱収縮筋・収縮
→脊髄(腰髄)→[下腹神経:交感]抑制→内尿道括約筋・弛緩
→大脳皮質:「尿意」→[陰部神経:体性]抑制→外尿道括約筋・弛緩
尿失禁(腹圧性、切迫性)
排尿困難
最終更新:2007年09月07日 07:55