容姿
サルバドール・ダリのような髭を生やした金色の長髪の大男。
常に仮面をつけている。
素顔は短期集中表紙連載『ジェルマ66のあゝ無感情海遊記』での過去回想の若い頃のみ明らかになっている。
服装に関しては常時「レイドスーツ」を着ているが、祭事の際には王族らしく清潔感のあるスーツを着用する。
人物
目標
「─────もはや 我々の夢は潰えた…!!!」
「わずか66日の夢の跡に残された 故郷(くに)の土も踏めぬ亡霊達に 合わせる顔もない!!!」
「貴様などに 我が王国の300年の無念の魂を預けた… 己が憎い!!!」
闇の世界では有名な人物として知られ、北の海を完全征服する野望を持っている。
彼の軍隊「ジェルマ66」は、モルガンズの世界経済新聞の絵物語「海の戦士ソラ」にて、主人公と敵対する悪の軍隊と語られているが、その実態は国土を持たない国である。
これは約300年前、ジェルマ王国がかつて北の国を制圧し『ジェルマ帝国』を築きながらもわずか66日の天下に終わり、国土を追われたことに由来する。
彼は、北の海(ノースブルー)を再びジェルマ王国の力で制圧して復讐を果たし、国土を失い故郷の土も踏めずに亡くなった先祖達の無念を晴らすことだけを考えて、他の全てを犠牲にし、省みることなく生きてきた男である。
その非道さも辞さない姿は娘レイジュからは内心驕っているとも思われている。
現在は時にはレッドラインをも超えて傭兵稼業をして資金を稼ぎ、北の海制圧に向けて動く日々を送っている。
数時間にして敵をせん滅し戦争を終わらせる圧倒的な強さから、敵からはさながら悪魔として憎まれ、雇った側からは神の使い・救国の英雄として感謝されている。
家族に対して
家族に対する情愛は最低限あるが、それもジェルマ帝国復活の悲願以上に優先するものではなく、子供達と共にジェルマ帝国復活を達成したいと考えている。
後継者たる息子達に対しては、戦争に勝つため、自分の科学力の全てを費やし、恐怖心や敵に対する慈悲も持たず、高い戦闘能力を持つように改造を試みた。
イチジ、ニジ、ヨンジ達はこの計画の成功により格上の敵に臆することもないが、引き換えに他者の命は勿論、自分の死に対しても無感情になってしまっている。
ジャッジとしては戦闘・戦争に勝つことこそ至上と考えていたためであり、このおかげで子供たちは「戦いで心を病む」といったことはないが、恐怖心や情愛を排除したツケは、兄弟が後に、自分達の死に直面しても尚それを何とも思わないどころかあっさり受け入れ普段と何も変わらず談笑を始めた場面によく表れている。
因果応報とはいえ、息子たちの異常な姿を目の当たりにしたジャッジをも思わず愕然とさせる程だった。
レイジュに対する改造は戦闘能力に関して言えば概ね成功しているものの、兄弟と異なりサンジや母ソラへの慈悲を持つなど、精神への改造はほとんどしていない。
妻に対して
妻ソラは、息子達4人の感情に対して大幅な改造のメスを入れることに対してソラが「心を失ったら人間ではない」と猛反対し大喧嘩。手術を強行したが、ソラが強引に改造を止めようと劇薬を飲み、サンジのみ通常の人間”出来損ない”として生まれてきてしまう。
ジャッジ自身もソラを愛してはいたようで、自分に逆らった彼女を捕まえるようなことはせず、亡くなるまでの間、ジェルマの病院にずっと入院させていた。
しかし治療の甲斐もなく、ソラは劇薬の後遺症で衰弱死。
これ以降、ジャッジは「戦争に勝ち北の海でジェルマ66を復興させることを目標として他のすべてを蔑ろにして生きてきた自分」に対して「己の目標ゆえに妻を死なせた自分」によって、「妻の言葉・生き様を受け入れれば自分やジェルマの人生そのものを否定してしまう」ことになってしまい自己矛盾に陥ってしまった様子。
結局ソラの死後、それまではまだ放任状態だったサンジを目に入れないようにしてしまうほどのネグレクト(子育て放棄)に陥っている。
サンジら息子たちとは違い、好色な様子は見られず、後妻あるいは愛人も娶ってない。
なお、絵物語『海の戦士ソラ』と同じ名前を持つソラとはどのようにして出会い結婚したのかは本編で一切描かれておらず不明。
サンジに対して
「ビッグ・マムの力は借りたいが 血縁を結ぶのがその条件…」
「──ただの結婚とはいえ あんなイカれたババアの所へ 大切な息子達を婿にはやれん」
「──そこで思い出したんだ… そういえば昔 もう一人…」
「“出来損ない”がいたな…… お前は“生け贄”だ サンジ」
サンジは、彼にとって、その”優しさ・笑顔”がソラ譲りであること、彼の存在そのものがソラの抵抗の証であること、加えて自分が原因で彼女の死を招いてしまったことを連想させるものであり、ジャッジは妻の死を自分の中で昇華することができずに子供時代のサンジに対して虐待同然の冷たい態度を当たるようになってしまった。
ソラの死で立ち止まれば、自分の人生の全て・ジェルマそのものを否定することとなり、ある意味「ソラの死」が引き返せなくなったきっかけともいえる。
また、"ジェルマの王"として、帝国の復活によって先祖たちの無念を晴らすことこそ自分の使命であり己の人生の全てとジャッジは考え、家庭を愛するという生き方にあまり価値を見出せず、覇王としての生き方しか“知らなかった”ことが引き起こした悲劇といえる。
サンジに対する最低限の愛情は『自分の手や命令で死なせられない』程度で、直接暴力を振るうようなことこそしなかったものの、妻ソラの死後、妻を思い出してしまうゆえに”優しさに満ちた”幼少時の彼の顔を見ることを忌避し、最終的に彼を一室に軟禁。
客人用の食事を与えたりサンジが料理の本を欲しがった際には黙認したが、サンジがジェルマから出奔する際はそれを止めもせず、「自分の知らない所で勝手に野垂れ死にしてくれるのなら、一向に構わない」と語っており、「ヴィンスモークの名を他に語らないこと」のみを頼んだ。
現在に至ってはサンジのことを息子と思っておらず、政治の道具としてしか見ていないと語っている(ただし、後にサンジから決別・絶縁宣言をされた際は少なからずショックを受けた様子)。
当然ながらその傲慢ともいえる姿は、現在のサンジやレイジュから嫌悪されている。
サンジにとっては憎い男だが、一方でサンジに与えたレイドスーツはワノ国で麦わらの一味に大いに役に立ち、ジャッジの研究によってサンジに後に発現した外骨格はクイーンの攻撃からサンジの命を救うなど、サンジにとっても皮肉な運命にある。
ジェルマ王国国王として
「王族は人から奉仕されるもので、人に奉仕するものではない」と、サンジが料理で人に奉仕しようとする行為に良い感情を抱いていない。その王族としての気質や帝国復活への気負いゆえか、部下やクローン兵士を使い捨てることは勿論、家族も帝国復活のためにないがしろにするなど、他人を利用することに対してなんとも思っていない節がある。
一方、ビッグ・マム海賊団との同盟の一件・妻との喧嘩の際やサンジから「父親じゃない」と絶縁をはっきりと言い渡された際には苦しそうな表情を見せるなど、(自業自得ではあるが)自分自身が身内を含めた他人に利用される・裏切られる、見捨てられるといった事態については常々想定できないらしく、そうした事態に対する精神的な弱さを持っているようである。
前述のように、ジェルマの王としての自覚・プライド・目標ゆえに普段は高圧的にふるまっているが、彼もまた強さと弱さと人間らしい感情を併せ持った、1人の人間であるゆえであろうことをうかがわせている。
最高指揮官である王だが、「男は拳で語るものだ」という信念も持ち、時に実戦では死を恐れず前線に出ることもある。
四皇のビッグ・マムや元将星シャーロット・スナックにもひるまず挑んでいる。
かつて剣を教えたはずながらも足技を使うサンジに対しては、一騎打ちをした際に「実の親を足蹴に!?」と不快感を示していた。
また、四皇のビッグ・マムに対し万国に巨人族がいないことを問い、睨まれた際に物怖じしないなどジェルマの国王かつ総帥という立場なだけあり胆力も並みではない。
科学者として
好戦的な戦士である一方、若い頃はベガパンクと研究を共にしており、彼の発見した「血統因子」理論の実用化にも成功し、息子たちの改造・悪魔の実のような特殊能力の付加や優れたクローン兵士の量産に成功している優秀な科学者という意外な一面も持つ。
しかし、科学のために人権を無視する傾向があり、シーザー・クラウンとは違うベクトルでクズエリートにあたる人物でもある。
シーザーや百獣海賊団のクイーンとも恐らくは研究者仲間として旧知の仲ではあるが、王族としての自負が高いジャッジと我の強いシーザーとの折り合いは良くなかった様子で、ニジとヨンジを助けられたにも拘らず、一緒にセント・ジェルマン号まで連いて来た時は「どちら様でしたっけ!?」と、両者睨み合いながら(自身は得物である槍を持って)一触即発の交戦態勢に入っており、イチジ達からは呆れられていた。
クイーンとは昔は仲が良かったようで、ジェルマ66復興の第一歩として、子供たちを最高の改造人間にする夢を語っていた模様。
ジャッジを意識しているクイーンもその話をしっかり覚えており、祖国復興のために自分の子供達を遺伝子改造人間にしたことに(自分のことを棚に上げて)「イカレてんぜあの野郎」と評している。
血統因子研究はベガパンクに比肩するものだったようで、クローン兵士や外骨格などはシーザーやクイーンでさえ再現できておらず、改造人間とレイドスーツという形で超人系悪魔の実に近い能力まで再現している。
クイーン自身、ジャッジの研究を内心かなり評価しており、クイーンはジェルマ66を超えることを目指している。
最終更新:2025年03月01日 19:47