鉄拳7はコンピュータゲームの一つ
プロフィール
- ジャンル - 対戦型格闘ゲーム
- 対応機種 - アーケード / プレイステーション4 / Xbox One / Windows(Steam)
- 発売元 - 【AC版】バンダイナムコアミューズメント / 【CS版】バンダイナムコエンターテインメント
- 開発元 - バンダイナムコスタジオ
- 発売日 - 【AC版】2015年2月18日 / 【PS4/XboxOne】2017年6月1日 / 【Steam】2017年6月2日
- 定価 - 【通常版】8,200円→4,000円(税抜)(2018年9月6日から価格改定)
- プレイ人数 - 1~2人
- レーティング - CERO:C / ESRB:T / PEGI:16
- 備考 - PSVR対応(PS4版のみ)
概要
- 鉄拳シリーズのナンバリングタイトルの第7作目であり『鉄拳6』の続編。
- 初出はアーケード版。2016年に大型バージョンアップが行われ、タイトルも『鉄拳7 FATED RETRIBUTION』(通称FR)に改題された。
- 『FR』ではシリーズ初のコラボレーションとして、プレイヤーキャラにストリートファイターシリーズの豪鬼が登場。以降もアップデートで合計4体のコラボキャラが登場した。
- 2017年に発売された家庭用版はタイトルこそ『鉄拳7』だが、『FR』のシステムや登場キャラクターに加えてシーズンパスによるDLCも含めたさらなる追加キャラクター等が導入されている。
- 家庭用版の追加要素は2019年にアーケード版にも追加され、その際には『鉄拳7 FATED RETRIBUTION ROUND2』に再改題された。
特徴
- アーケード版のネットワーク対戦機能
- 前作『鉄拳TAG2』までは同じゲームセンターにいるプレイヤー同士での対戦だったが、本作からインターネット接続により別のゲームセンターで遊んでいるプレイヤーとマッチングして対戦が発生するようになった。
- 従来どおり1回負けるとゲームオーバーで、続けてクレジットを入れる事で相手にリベンジマッチを申し込むことができる。また、2クレジット(200円)支払う事で段位降格を無しにできる「スペシャルリベンジマッチ」を発動させることも可能。
- これに関連した新機能として、対戦開始時に左右どちらに配置されるかをプレイヤーで決められるという機能が実装されている。
- バトルシステム
- 『鉄拳6』のレイジシステムを強化して、レイジ状態に一度だけ発動できる大技「レイジアーツ」「レイジドライブ」を全キャラに実装。
- 「レイジアーツ」は他の格ゲーにおける超必殺技に相当し、発動中は全身アーマーでヒットすると演出に移行。最終盤でコンボの締めに使ってまとまったダメージを取ったり、アーマーを利用してぶっぱなしに使用して逆転を狙ったりする。
- 「レイジドライブ」は他格ゲーにおけるEX技のようにキャラの得意技の強化版を放つ。こちらは威力こそレイジアーツよりは低いもののヒット時に特殊な状況になる・ガードされて有利等キャラによって性能が大きく違う。キャラによってはコンボに組み込んだ際にレイジアーツよりダメージ期待値が高いものも。
- 「バウンド」が廃止されて「スクリュー」が実装。
- 一部技にスクリュー誘発属性が付与され、空中コンボの締めにスクリューを誘発させることで更に追撃を当てることが可能。
- これによりコンボがわかりやすくなり「浮かせる→スクリュー誘発技で締める→もう1セット追撃」という流れとなった。
- 「パワークラッシュ」
- いわゆるアーマー攻撃。上段・中段の技に対して耐性がある。下段には無力。
登場キャラクター
- 太字キャラは家庭用版のみ購入で使用できるキャラクター。
- 『鉄拳7』からの新キャラクター
- クラウディオ、カタリーナ、クロエ、シャヒーン、ジョシー、ギガース、一美、マスターレイヴン、エリザ、リロイ(S3)、ファーカムラム(S3)、州光(2代目)(S4)、リディア(S4)
- 過去シリーズにも登場したキャラクター
- 一八、平八、ラース、アリサ、レオ、リリ、ドラグノフ、飛鳥、フェン、スティーブ、シャオユウ、ファラン、ブライアン、ポール、ロウ、キング、仁、デビル仁、ジャック-7、吉光、ニーナ、ボブ、リー、ミゲル、クマ、パンダ、エディ、アンナ(S2)、レイ(S2)、マードック(S2)、アーマーキング(S2)、ジュリア(S2)、ザフィーナ(S3)、厳竜(S3)
- コラボキャラクター
- 豪鬼(ストリートファイターシリーズ)、ギース(餓狼伝説シリーズ)(S1)、ノクティス(ファイナルファンタジーXV)(S1)、ニーガン(TVドラマ『ウォーキング・デッド』シリーズ)(S2)*1
評価点
- アーマー技の追加により駆け引きしやすくなった
- アーマー技であるレイジアーツ、パワークラッシュがそれぞれキャラごとに用意された。技の打ち合いに勝ちやすく、キャラクターも固有技の種類も多い本シリーズにおいて相手の技を知らずとも駆け引きを仕掛けて優位に立つことも容易になった。
- カジュアル層に好評だった『鉄拳レボリューション』のスペシャルアーツをベースに導入されたと思われるが、無敵技と異なり、動作開始直後からのアーマー判定はない事やアーマーで受けた分もダメージを負うなどの弱点も多いため、上級レベルではアーマー技に頼り切るわけには行かないバランスである。
- 試合終盤の駆け引きを加速させるレイジドライブ
- 前作から逆転要素として追加されたレイジシステムだが、レイジ状態での攻撃力の高さや本作で追加されたレイジアーツの存在からお互いに防御を固める動きになり、一発逆転を狙いやすい状況であるが故に膠着状態に陥りがちだった。
- これに対して『FR』で追加されたレイジドライブは出しやすく強力な性能を持つため、積極的な一手を打ちやすくなった。
- オンライン対戦ならではの機能の追加
- アーケード版の時点でオンライン対戦を主眼に置き、店舗別/オンライン対戦においてロールバックネットコードを採用している。
- 一画面共有ではなくなったことを活かした機能も追加されており、それが先述したサイド選択機能や、『FR』で追加されたマジックミラーなどである。
- マジックミラーはラウンドの決着がついた時に相手の動きを反映させない(KOされた際に相手の動きを止める。KOした側の視点には影響しない)という機能で、ラウンド決着後にも相手に攻撃を加える「死体蹴り」を見ないようにするためのものである。
- 「死体蹴り」は明確にバッドマナー行為とされつつも、仕様上できなくなる事にも鉄拳プレイヤー層から批判の声が寄せられていた難しい問題だったが、この機能により死体蹴りを好む・嫌うプレイヤー両者のバランスを取りつつ問題解決が行われた。
- コラボレーションキャラの登場
- もともと3D化されているキャラクター達という事もあり見た目も浮いてない他、原作のモーションや演出、ゲームシステムも含めて忠実に再現しており、後述するバランスの問題もあるが、操作キャラクターとして際立った個性と高い作り込みがなされており良質である。ノクト以外は原作における悪役ポジションというのも鉄拳らしいキャラクター選びと言える。
- 三島家の因縁と決着を深堀りしたストーリー
- 本作の物語はシリーズ20周年ということも有り、初代『鉄拳』と『鉄拳2』から続いてきた「一八と平八の親子戦争の決着」を主軸にしたものとなっており、CS版では『2』以来の一旦の決着が描かれる。
- 三島家という設定上存在したキャラのプレイアブル化として『鉄拳5』の仁八に続いて、平八の亡き妻である一美がボスキャラとして登場。彼女の正体についても本作のCS版のストーリーで描かれている。
- CS版に搭載されたストーリーモードは初代の設定や『鉄拳5』『鉄拳6』のオープニングを彷彿させるシーンなど、シリーズ全体を意識した演出が見られ、総決算の趣をより濃いものとしている。
- 家庭用のトレーニングモード機能の充実
- アップデートにて確定反撃の練習機能やリプレイ中の確定反撃の表示機能、今まで明示されていなかった各種フレームの表示機能が追加されている(有料DLC)。2010年代後半からの格闘ゲームにおける各種フレームをゲーム側から明示するというトレンドに沿った機能追加である。
- BGM
- 本作の後にバンダイナムコから独立し、DJとしても名を馳せる井上拓(Taku Inoue)や遠山明孝(AJURIKA)などが中心となって作られたBGMは従来シリーズ以上にEDMに寄せた聴き応えのある楽曲が揃っている。2010年代のダブステップ(ブロステップ)の流行の影響もあってかワブルベースなど歪みを効かせた音色が目立つ。4ラウンド目以降はBGMがより重低音の効いた激しいものに変化する演出が行われる。
- 家庭用で追加されたステージ「Infinite Azure」の前半BGM「Moonsiders 1st」は、ステージがトレーニングモードでよく使われるステージである事もあり多くのプレイヤーに愛聴された一曲で、一八が参戦した『スマブラSP』にも新アレンジが行われた上で収録されている。
賛否両論点
- 「2Dキャラ」について
- 2D格闘ゲーム出身の豪鬼やギースは「コマンドによる必殺技(飛び道具も含む)」や「キャンセル必殺技」、「専用ゲージを消費した必殺技の強化版や超必殺技」など2D格闘ゲーム風の性能が鉄拳というゲームの上で再現されている。『鉄拳レボリューション』から登場したエリザも同様の性能である。
- この他に足払い(しゃがみキック攻撃)やジャンプ攻撃なども原作に寄せた性能で実装されているのだが、そのいずれもが鉄拳のシステム上において非常に強力な技として機能している。
キャンセルアクションなど鉄拳シリーズのセオリーから外れた強力な行動に関しては、忌避する声も多い。
- 飛び道具や武器といった「素手での格闘」から外れた技が多数登場
- 前者は一美の虎を召喚する技や前述した2Dキャラ、後者はコラボキャラのノクティスやニーガンなどが顕著。実質新規キャラとなった二代目州光はこの2つの要素を兼ね備えている。
- 飛び道具はデビルビーム、武器は吉光など過去に登場したキャラにも見られたものであり、『6』のスペシャルアイテムなどお遊び要素として導入されていたが、「通常の立ち回りでも使いやすい飛び道具」や「武器攻撃を中心にした格闘スタイル」は本作から目立つようになった。
- ノクティスと州光の持つ武器投げは「発生が早い」「一瞬で遠くまで届く」「命中時ノーマルヒットでも演出に移行して確実にダメージが取れる」という性質を持っており、強力な確定反撃・コンボの締めとして機能している。
- 『鉄拳6』から一部キャラクターの削除
- 最後まで登場しなかったのはペク、ワン、ブルース、ロジャーJr.の四体。他にもクリスティやレイヴンも登場しなかったが、これらは全く同じ性能のキャラクターが登場している。
- ペクは一部技がファランに引き継がれている、ブルースは類似したバトルスタイルのジョシーが代価キャラと言えるようになっている。一方でワンとロジャーについては一切フォローがなかった。
- いずれも人気的には下のほうのキャラであるものの旧来からの使い手ももちろん存在しているため不満意見の出る部分だが、世代が変わりグラフィックの一新・新キャラクターを多数追加しながら削除キャラが僅か四名に収まったのはむしろ快挙とも言える。
問題点
- 新キャラクターの調整不足
- 『FR』の目玉キャラとして追加された豪鬼を皮切りに、新キャラクターを追加するたびにそのキャラが強すぎることによる環境破壊が発生していた。
- 特に話題になったのは豪鬼と、シーズン3追加キャラのリロイ・スミス。豪鬼は「EVO2016で鉄拳をプレイしはじめて数ヶ月の別ゲープレイヤーが豪鬼のキャラ性能だけで上位進出を果たした」、リロイは「EVOJAPAN2020でベスト8中の6人がリロイ使い、優勝者もリロイ使い」といった強さを象徴するようなエピソードが残されている。
- これら2キャラほど問題視されたというわけではないが終盤に登場した完全新規キャラであるファーカムラム、州光、リディアの3人も同等に強力なキャラクターとして環境に影響を及ぼし、大なり小なり下方修正を受けている。
- 州光は実装当時評価が非常に割れていたが、実質最後の大型大会であるEVO2023にて決勝戦が州光のミラーマッチという記録を残している。
総評
- 従来の鉄拳シリーズらしいゲーム性を保ちつつ、「ゲームセンターでのネットワーク対戦」「コラボキャラクター参戦」などの新たな取り組みをはじめとして最終アップデートの2022年までの7年という長期間にわたって様々な展開を行って新たなプレイヤー層の開拓を狙った意欲作。
- 初登場時には20体だったキャラクターも最終的にはナンバリングタイトルでも最多の総勢50体まで増え重厚長大なタイトルと化したのは、一部の異質な要素に反発が出つつも全世界のシリーズファンの支持を得た証でもある。
最終更新:2024年07月06日 00:01