大角与左衛門(真田丸)

2016年に放送された大河ドラマ「真田丸」に登場した大坂城の台所頭。演じるのは樋浦勉。

概要

大坂城の台所頭。過去には信長にも台所番として仕えていた。秀吉が生きていた時期より任を勤めているため、馬廻り時代の幸村も知っていた。
幸村や牢人たちが策を練ったり、密かな談合をするために台所の板の間を使う際には酒肴を用意してくれている。
妻と娘が秀吉に手篭めにされたことを苦に自害してしまったという過去を持ち、秀吉への怨嗟から大坂の陣では徳川の内通者として暗躍しており、夏の陣では内通の現場を目撃した与八を殺害する。内通が露見した際に幸村を欺くための自傷を幸村に害されたと偽って秀頼を混乱させて出陣への決断を遅らせた上に、豊臣家と大坂城が消え去ることを望み、自らも油をかぶり台所に火をつけ、豊臣方が優勢であった戦の流れを変えるきっかけを作る。

史実

ただしこの話は、ドラマの設定だと思われる。
豊臣秀吉はお嬢様好きで有名で、身分の高い女性を好んでいた。正室の寧も元は秀吉よりも身分の高いお嬢様だし、ドラマでも秀吉が必死に口説いていた茶々も織田信長の血筋で、秀吉にとっては元主人の親戚である。
その秀吉が、料理人の娘に手をだすとはちょっと思えないですけども、女好きだったのは間違い無いことなので、そういったこともひょっとしたらあったのかもしれない。

ドラマでは、油を被って焼身自殺したというような描かれ方になっていたが、史実では大角与左衛門は死なない。
大阪城が落ちて以降も与左衛門は生き延び、それどころか大阪城に火を付けたことを手土産にして、徳川家康の家来になりたいと申し入れていた。

しかし徳川家康は
「もともとは下働きであったのを太閤が取り立てた。その恩も忘れて裏切る憎い奴」と言って取り合わ無かったという。
だとしたら、ドラマでの徳川家康と通じていたという設定は少々無理がある。

井上順が演じた織田有楽斎*1がそうであったように、徳川家康の意思を反映して裏切ったり情報を流したりしていた人物には、ある程度報いている。
おそらく大角与左衛門は、いよいよ落城となり、なんとか勝ち馬に乗りたくなって、急遽、大阪城に火を付けて手柄にしようと思ったのだろう。
また、豊臣軍の敗色が濃厚になり、大阪城に火を付けたのはなにも大角与左衛門だけではなく、複数の家来が裏切って放火し、大阪城は大混乱に陥ったという。

結局、史実の大角与左衛門は徳川家康に仕えることもできず、そのまま病死したとか。
豊臣家滅亡のおりには、記録に残っていない者も含めて、大角与左衛門のような裏切り者が沢山出たはず。与左衛門はその典型の一人として理解すればいいかと思われる。

ただし、真田丸の大角与左衛門も、この頁の大角与左衛門も、おそらく駿河土産という文章が元になった逸話である。
駿河土産自体が江戸中期に編纂されたもののようなので、この話自体がまったくの架空の可能性もあり、そもそも大角与左衛門なる人物がいたのかも疑わしい。
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最終更新:2024年07月21日 12:17
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*1 織田有楽斎は戦に勝つよりは穏健な決着を模索していたため、幸村の勝つための献策のことごとくに反対の立場を取り、茶々と秀頼の安寧のためとして徳川とも内通している。夏の陣を前に徳川への内通が幸村に露見したため、大坂城から去り、その後は茶人として余生を送る。