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物語ってのは、そんじょそこらに転がっていない話の進み方をするから物語になる。
そして、アタシの姉の涼宮ハルヒは、変わった事が好きだ。
よって我が姉は、口ではくだらないと言いつつも、割とそういう物語の影響をすぐに受けちゃうのである。
うちの洗濯機が妙に新しいのはそのためだ。

今日も、数年ごとにロードショーされているアニメ映画を見終わったハル姉は、突然立ち上がってリビングを出ていった。
その時のハル姉の顔は、期待と興奮に満ちあふれているのを見て、アタシは何となく勘づく。

「まさか…」
「全く、単純明快な乙女回路です」
ドンドンと階段を登る音、ガチャッと扉の開く音…その後ガラララと窓を開ける音が聞こえた。

「あれでも高校生なのかしら。こんな作り話に憧れちゃって、バッカみたい」
「そんな事言って、アス姉だってそういうのは嫌いじゃなさそうですよね?」
「うっさいわね」
アタシだって女だ。そういう夢見心地な気分になる事だってある。他の子達だってあるだろう。翠だってきっと。
でも大抵の子は、そういうのは頭の中で処理してしまって、実際に行動に移すなんて事は…
ドスドスと階段を踏む音が下りてきた。さっきよりもリズムが早い。

「一体何してきたですか?窓なんか開けて」
リビングに戻ってきたハル姉に翠が言う。その顔は、アタシが向けられたら蹴り倒したくなるほどニヤニヤしていた。

「べ、別に!ちょっと空気の入れ替えをしてただけ」
詰まってる詰まってる。いつも快活なハル姉が答えに詰まる様を見るのは、正直楽しい。

「窓開けた後にしばらく無音だったけど、耳でもすまして何か探してたの?」
「だったら朝にやらないと。夜に耳をすましても、翠星石は無駄だと思うです」
「!…何の事かしら?翠、もう9時はとっくに過ぎてるわよ、寝ないでいいの?眠れないんなら、ワタシガネムラセテアゲル…」
指をワキワキさせ始めたハル姉を見て、翠は「ひ~っ!」っと言いながらリビングを出ていった。
これ以上やると機関の連中が深夜労働するハメになるわね。全く、姉をからかうのにこんなに気を使わなくちゃいけないなんて。
もっとも、さっき誰かさんがいなかった時のストレスで、とっくに閉鎖空間はできてるかもしれないけど。

「アンタももう寝なさい」
「そーするわ。おやすみハル姉。映画の影響受けるの、もうやめてよね。奇跡の価値なんてフカヒレラーメンくらいのもんなのよ」
「い、いいからさっさと寝なさい!」


翌朝起きてすぐにこっそり窓を開けて外を見てみたのは秘密。アタシだってやっぱり女なのよ。