※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

女の戦い

昔々ある所に、3姉妹が住んでいました。
3人とも美しい少女でしたが、なかでも真ん中の惣流アスカラングレーは透き通るような白い肌に金髪碧眼、
頭脳明晰にして清廉潔白という非の打ちどころのない少女でした。
しかし出る杭は打たれると言われるように、ダラダラと執筆中の長女やたまたま偶然拾われて復活した三女とは違って、今は活躍の場はありませんでした。まあ映画の出番待ちなんですけどね。主役は遅れて登場っていうし。

そんなある日、わけのわからん団体を率いている長女が魔法の鏡を手に入れました。
真実しか言わないというその鏡に、長女はこう問いかけました。
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだあれ?」
すると鏡の中にウサギが現れてこういいました。
「それは惣流アスカラングレーさんです」
「じゃあ世界で一番頭がいいのはだあれ?」
「それは惣流アスカラングレーさんです」
どうやら正真正銘、真実を言う魔法の鏡のようです。
アヒル口で黙ってしまった長女に変わり、今度は三女が問いかけます。
「鏡よ鏡、この世界で一番いい女は誰ですか?」
鏡はもちろんこう言いました。
「それは惣流アスカラングレーさんです」

「「ムキーっ!」」
猿のような声を上げた2人は、アスカを呼びつけ、ネルフの森にオーパーツを取りに行くように命じました。
もちろんそんな物が森の中にあるはずがありません。
「数日森で彷徨えば、肌はボロボロ、ドレスもずたずた…あの美しさも台無しになるはずだわ!」
「きっと鏡に賄賂でも渡してたに違いないです、あくどい姉にはちょうどいい薬です」
こんな2人の思惑も知らず、アスカは素直にオーパーツ探しに出かけました。
「見つかるまで帰ってきちゃダメだからね!」
その言葉を胸に、アスカは一生懸命森の中を探索するのでした…


魔女、襲来

数日後─
「さてそろそろいいかしらね、鏡よ鏡、世界で一番かわいくて頭のいいのはだあれ?」
鏡にウサギが映り、こう言います。
「それは惣流アスカラングレーさんです」
「なんですって!」
鏡には、7人と森で暮らしている相変わらず美しいアスカの姿が映しだされていました。
「なんてこったです、小人達の家にちゃっかり居座ってやがるです」

そう、森の中でオーパーツを探してさまよっていたアスカは、ネルフの小人達に保護されていたのでした。
そこには厚化粧の小人や家事が得意な小人もいたので、
化粧を借りたり洗濯をしてもらったりしてアスカの美しさは保たれたままだったのです。
「くぅ~…こうなったら強硬手段よ」
長女が目配せをすると、三女は身をひるがえし、あっという間に黒ずくめの格好になりました。
「この下剤入りリンゴで…い~っひっひっひ」
「あんた本当に魔女の役ハマってるわね」
「やかましいです、それじゃ行ってくるです」
オッドアイの性悪魔女の手が何も知らないアスカに迫る!アスカ危うし!

Apple/まごころを、君に

小人達が全員指令部にとじこもる隙を見計らって、三女はやってきました。
アスカは純真無垢なうえに、三女が魔女にあまりにもはまり役だったので、気付きません。
「い~っひっひっひ、そこそこ美しいお穣さん、このおいしいリンゴを分けてやるです。しかもタダです」
「まあ、なんておいしそうなリンゴなのでしょう。それにきれいな赤色だわ。本当にもらってもいいの?」
「いいですよ、さ、新鮮なうちに早く食べちまうです」
「ナイフとフォークがないと食べられないわ」
アスカはとても高貴だったのです。
「いいからさっさと食うです、早く食べないとドロドロになっちまうですよ!ほれ、カプっと」
仕方がありません。言われるままにアスカはリンゴをカプっとかじります。
すると三女は世にも恐ろしい顔でニヤリとして、走りだしました。
「けーっけっけっけ!ドロドロになるのはおめーの腹の方ですー」

走り去った三女が見えなくなると、アスカは物陰に隠れてペッとリンゴを吐き出しました。
人前では物を吐き出さない、レディーとしては当たり前の行為です。
「こんなのにひっかかるわけないじゃない。いくらなんでも怪しすぎるわよ」
いついかなる時も油断をしない、それもアスカのいいところなのです。

「「アスカ!」」
指令部から小人達が帰ってきました。
いつもは酒ばかり飲んでいるはずの小人が、珍しくキリっとして言います。
「アスカ、いよいよあなたの出番よ」
家事全般をしている小人も笑顔です。
「アスカよかった。僕はやっぱりアスカがいなくちゃダメなんだ」
そして、今まで一言もしゃべらなかった色白の小人が、初めて喋りました。
「悔しいけれど、やはりあなたが主役。私には務まらない」
パチパチパチと、誰からでもなく拍手がわき起こります。
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでと!」
「おめでとう」
「おめでとさん」
「おめでとう!」
「…おめでとう」


舞台の隅っこで負惜しみを叫ぶ脇役

「今頃アスカは無様な醜態をさらしているはずだわ、さあ鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだあれ?」
長女は懲りずに鏡に尋ねます。
「それは惣流アスカラングレーさんです」
「なんですって!ちょっとあんた、しくじったわね!」
「おかしいです、アス姉は確かにリンゴを…」
「でもこうして優雅に微笑んでいるじゃない!」
長女が指差した鏡には、スポットライトを浴びてレッドカーペットを歩く艶やかなアスカの姿が映し出されていました。
「もう諦めるです。しょせん銀幕デビューしたものとしてないもののレベルの違いってやつです」
「そんなの認めないわよっ!」
ですがいくら脇役が泣こうが喚こうが、世界的知名度は圧倒的にアスカが上なのです。
主役は永久に不滅なのでした。
めでたしめでたし。

 


「素晴らしいわ!次の台本はこれで行きましょう!」
「この前の翠星石の書いたものとは比べ物にならんほど面白いです!」
そ、そう?まあ自分としては佳作レベルかなって感じだったんだけど。
「何言ってるの、これはアカデミー賞だって狙えるわ」
「翠星石は魔女役で助演女優賞です」
ちょっと、いくらなんでも褒めすぎじゃない?
「姉の目を疑うの?」
「いいものはいいと素直に認めるのがうちの家訓です」
あれ、そんな家訓あったっけ…まあいいわ、気分いいし。
アタシは表舞台に立つ人間だと思ってたけど、裏方もこなせるのね。自分の才能が恐いわ。
もし万が一出番が削られても、これで存在感を残せるってもんよ。


「はい、しゅーりょー」
「こんなの翠星石が書いたものよりひどいです」
え?え?どうしたのよ急に。
「あんた知らなかったの?エイプリルフールよ」
「たった今日付が変わったです」
あ、そういえば…
「ていうか翠もあんたも、ことごとくわたしを悪役にしてくれちゃってさ。こんなのわたしが認めるわけないじゃない」
「翠星石が悪い魔女役なんて、全米が泣いて悲しむです」
てことはやっぱり?
「「ダメ」です」
アタシの脚本家としての自信は一睡の夢と終わってしまった。
アタシはこれからどうなるの?出番はあるの?アタシはいらない子なの?
もっとアタシを見て!アタシにかまってよ!もっとアタシに優しくしてよ!
惣流アスカラングレー、お仕事募集中!

おわり