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「あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る」

 茜色に染まった放課後の教室。そんな青春ドラマのようなシチュエーションを対戦車ライフル
でぶち抜くような言葉を放ったのは学級委員長の優等生、朝倉涼子である。
 普段から明るく社交的でクラスの誰からも慕われる彼女は、みんなが慕うその微笑を顔に張り
付かせたまま対峙している。
 この状況を第三者の視点で表すなら異常。そう、“異常”だ。
 日常に居ればまず聞く事のないであろう言葉が。
 この空間にあって尚、微笑を絶やさない朝倉が。
 そして恐らく、彼女の後ろ手から振りかぶられた煌めきを、まるで他人事のように見つめる俺も。



「長門(調教済)と二人がかりで朝倉を調教するシチュに挑戦してみた(前編)」



 北高に入学して早一ヶ月。もとい、登校初日での涼宮の奇天烈発言から早一ヶ月。
 そして忌々しいことに、俺と涼宮のアホみたいな関係は、涼宮曰く不思議な仲間を呼び込みつついまだ
に続いていた。
 奇妙な行動が目立つが、黙っていれば可愛い涼宮ハルヒ。偶然前の席という地の利を生かしてなんとか
肉体関係な仲に発展させようなどと思ったのが運の尽きだった。
 数回の会話の後、なんと涼宮は俺以下2名を巻き込みSOS団なる意味不明な団を結成したのだ。


これはいかんと手を引こうと思えば、今度は涼宮の方からちょっかいをかけてくる始末。
 この時点で俺の高校生活は半ば終わったと思っていたのだが、後に入団した古泉からの衝撃的な告白に
、俺は自分の高校生活が半分どころか完全に終わっていた事を悟った。
 とは言うものの、SOS団に入ってから嫌な事ばかりだった訳でもない。それは……、

「――よ。……って、人の話はちゃんと聞けぇっ!!」

 横合いから人の思考を邪魔する怒鳴り声。大方予想はつくと思うが、声の主は我等がSOS団団長にして
神様(仮)の涼宮ハルヒである。
 俺が一応の謝罪をすると、涼宮は唇を尖らせつつその大きな瞳でじとっとした視線をくれる。
 というか色々な意味で一人称を地でいく涼宮から人の話をちゃんと聞けなんて言葉がでるとは驚きだ。

「何よそれ。あんた一人称って言葉の意味分かって使ってるの?」

「気にするな。物の例えみたいなもんなんだから」

「ふん。……それで? どうなのよ」

「どうなのって、何がだよ」

「だから! あんたの言う高校生らしい遊びってやつよっ!」

 ああ、そういえばよく考えもせずにそんなことを言ったような気がする。


「そりゃあお前、高校生らしい遊びったらナンパに援交と色々あるだろうよ」

「……はぁ?」

 涼宮がまるでゴジラに圧勝した自衛隊を目撃したような声を出した。
 そんな涼宮に、俺は手の中で一枚の紙切れを弄びながら言う。

「男でも作れってことだよ。お前なら黙ってさえいれば男の方から寄って来るだろうし、その内好みの男が
現れるだろ。市内探索ならそいつと二人でやればいい。デートにもなって一石二鳥だろ」

 その言葉に涼宮は、どこか不貞腐れたように視線を外してから机を枕にするようにして窓の外を見た。 

「ふんだ。男なんてどうでもいいわ。恋愛感情なんてものはね、一時の気の迷いよ。精神病の一種なのよ。大体ね―――」

「……」

 俺は涼宮の恋愛講座を聞き流しつつ手の中の紙切れ――差出人不明の手紙に視線を落とした。

『放課後誰も居なくなったら、一年五組の教室に来て』

 手紙にはそうとだけ書かれていた。


「ん……ぴちゃ…んぅ…ちゅ」

 昼休みの旧文芸部室。SOS団と書かれた紙が乱雑に貼られたドアの奥から、湿った音が響いていた。

「っ……上手いぞ、そのまま続けろ」

 そう言ってから俺は、床に座り込むようにして俺の股間に顔を埋めている長門の頭を撫でた。

「はぃ……ぁ……ちゅ、ちゅっ」

 普段、殆ど変化の無い顔色を僅かに上気させた長門有希は小さく頷くと、再びその行為に没頭する。
 無機質な瞳は熱に浮かされたように潤んでいて、彼女が確かな感情を抱いている事を感じさせた。
 それは羞恥、興奮、好意、期待といった感情未満のモノが混ざり合って出来た“歓喜”という感情。
 ただ一心に、相手の事のみを考えて行われる愛撫。それは彼女自身すら気付かない程の小さな感情
未満(エラー)を生み、そうやって深層に蓄積されたエラーは集まり、やがて感情となって表層へと
発露し昇華される。


「んむ、ぅんん……ちゅぅぅ」

 長門はその小さな顎に限界までソレを含み、吸い上げるように出し入れを繰り返す。
 元々の口内の狭さと、吸引時に密着する頬の内側の肉。それらによってもたらされる快感に、意図せづ
声が漏れる。
 その様子を見詰める無機質な、しかし確かな感情を宿した瞳。

「……っっ! いくぞ!」

 言うと同時に長門の頭を掴み、その口内を思うままに蹂躙する。

「んんっっ!? んっ、ぅぐ、ずっ、うぐっ!」

 喉を突き上げられ、苦しげに呻くがそれでも彼女は受け入れ続ける。普段一度として見せたことが無い
涙すらも流して。それでも、涙で濡れたその瞳にあった感情は、やはり歓喜だった。
 それを見ると同時に俺は、長門の口内に全てを放っていた。
最終更新:2012年12月29日 06:31