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それからしばらくの間、少なくとも表面上は何事もない日々が続いた。古泉もあんなとんでもない事を
言ったのは忘れたかのように普段通りに部室に顔を出しては俺とゲームに興じていたし、あれは何かの
夢だったのかと疑いたくもなった。
だが、夏休みに入ってしばらくしたある日、あれは現実だったと再認識せざるを得なくなった。
古泉からの一通の手紙、その中には見慣れた行き先のフェリーの乗船券が入っていた。夏合宿という
名目で二週間スケジュールを空けておくようにとの指示、そして「佐々木さんは先に到着します」と
書かれたレポート用紙と一緒に。

数日後、一人でフェリーを降りた俺は意外な人物の出迎えを受けた。
「森さん、でしたよね?」
「お待ちしておりました。では参りましょう」
森さんはそう言うと俺を脇のクルーザーに乗せて港を離れた。この人はクルーザーも操縦できるのか、
万能選手だな。そう思って後ろ姿を見つめる俺に森さんは語りかけてきた。
「古泉から話は聞いていると思いますが、ここに来ていると言うことは我々の話を受け入れたと判断
してよろしいですね?」
疑問系ではあるが、否定したり拒否したりはさせないと言う無言の圧力を感じる声に俺が黙っていると
「内容的にサポート役は女性の方がいいだろうとの判断から私が派遣されました。二週間、お世話を
させていただきます」
森さんは淡々とそう告げて俺の方を振り返り
「言っておきますが、適当にごまかして済ませようなどとはお考えにならないでください。あなたが
佐々木さんを大切に思うなら、あえて鬼になることが一番かと」
と言ってあの氷のような笑みを見せた。


クルーザーは小島の岸壁に到着し、俺は去年厄介になった別荘の入り口へ足を向けた。背後で森さんが
「二階の一番右奥の部屋をお使いください。佐々木さんは向かいの部屋にいます」
と言った。俺は急いで部屋に向かい、荷物を放り込むと佐々木がいる部屋のドアをノックした。応答は
ない。ドアノブに手を掛けると鍵はかかっていないようだった。一瞬躊躇したが思い切ってドアノブを
回し、ドアを開ける。
室内の片隅に、膝を抱えるようにして座り込んでいた佐々木の姿が目に入る。
怯えた表情でこっちを向いた佐々木は俺と眼が合うと今度は一瞬意外なものを見た表情をした。
「え・・・あ・・・キョン?どうして・・・?」
途切れ途切れに答えた佐々木は状況を整理しようとしているのかちょっと考え込んだ後
「ああ、そう言うことか」
とだけ言った。そう言うことってどういうことだよ?
「昨日、予備校の夏季合宿に行く途中で急に目の前に停まった車に連れ込まれたんだ。そしてここに
運ばれる船の中で僕の運命について聞かされたときは目の前が真っ暗になったよ。ただ、僕にとって
悪い話にはならないって言われたのが気になってね。他人に調教されて飼われる、そんな話のどこに
悪い話じゃないって部分があるのか、理解できるわけがないだろう?今、君の姿を見てようやくその
意味がわかったんだ」
俺の姿を見て安心したのか、佐々木はいつもの調子を取り戻したかのように話し出した。
「なんで俺がいると悪い話じゃないって事になるんだ?まあ見ず知らずの奴よりはマシかも知れんが」
佐々木は俺の問いかけには答えず、逆に俺に質問してきた。
「キョン。君のほうは、なんでこんな目茶苦茶な話に加わる気になったんだい?君が積極的にこんな
話に乗ってくるとは思えないんだが」
俺が返答に困っていると佐々木はクックッと笑い
「いや、済まなかった。聞くまでも無いとは思ったんだけどね。大方、なにか弱みを握られたのか、
もしくは僕の身を案じてあえて火中の栗を拾おうとしてくれたのかってとこだろう。違うかい?」
大正解ではあるが、本人の前で「おまえのためになると思った」とは言えないよな。理由はどうあれ
佐々木を調教して飼うなんて言う、アダルトゲームの主人公みたいな役目をするのは事実だし。


俺がなんと答えたものか思案していると、ドアをノックする音が聞こえた。
「入ってもよろしいですか?」
森さんの声だ。拒否したところでどうなるものでもないだろうと返事をする。入ってきた森さんは
「あら。まだ何もなさってないんですか」
と不満そうだ。何をしてると思っていたんだろう。そう思っていると森さんは俺の耳元に顔を寄せ
「失礼ですが、女性経験は・・・ございませんよね?」
と聞いてきた。いきなりの直球過ぎる質問に思わず「もちろんです」と間抜けな答えをすると、
「では仕方ありませんね。貴方が女性の扱い方を理解するまで、私がサポートさせていただきます。
よろしいですね」
と、また疑問系だが否定は許さないと言った口調で言われ、俺はしぶしぶと頷いた。森さんは俺に
部屋の片隅のソファに座るよう指示し、俺がそれに従うと
「失礼します」
と言って俺の手首をどこからか取り出した手錠でソファの肘掛に繋いだ。
「ちょっ、なにを・・・っ!?」
突然のことに抵抗する暇も無かった俺の抗議の声を無視し、森さんは壁際で恐々と様子を見ていた
佐々木の腕を掴み部屋の中央、俺の目の前に引っ張ってきた。
「佐々木さん。貴女はここでどのような扱いをされるかはもう説明を受けていますね?」
佐々木が無言のままでいると森さんは俺に対するそれとは全く違う凍りつくような声で
「聞かれたことにはすぐに答えなさい」
と迫った。佐々木がせめてもの抵抗か声を出さずにただ小さく頷くと
「まあいいでしょう。いつまでも反抗的な態度など取れなくなりますから。では最初の命令です。
着ている物を全部お脱ぎなさい」
と言い放った。思わず俺は森さんの顔を見たが、それは冗談を言っている顔ではなかった。
佐々木は当然「お断りします」と言って森さんから視線を逸らした。
次の瞬間、「パンッ」と言う乾いた音と、佐々木の「きゃっ」と言う悲鳴が俺の耳に突き刺さった。
森さんが顔色一つ変えず、ただ機械的に佐々木の頬を平手打ちした瞬間だった。


「貴女には命令を拒否する権利はありません。無駄に痛い思いをしたくなければおとなしく命令に
従いなさい」
冷酷に言い放つ森さんに怒りを感じた俺は抗議の一つもしようと立ち上がりかけたが手錠でソファに
繋がれた身ではそれもままならなかった。森さんはそんな俺を一瞥しただけで再度佐々木に
「まだわかりませんか?早くお脱ぎなさい」
と命じた。佐々木はよほどショックだったのか目に涙を浮かべ小さく震えながら、あきらめたように
ゆっくりとシャツを脱ぎ、スカートのホックを外した。
スカートが足元に落ちると、そこには白い下着だけを身に着けた佐々木のスレンダーな身体があった。
思わずそっちに視線を向けた俺は佐々木と目が合うと慌てて視線を逸らした。佐々木の身体は羞恥の
ためかほのかに赤みを増していた。しかし森さんはまた冷酷な口調で
「私は、全部脱ぐように命じたはずですが」
と、佐々木に下着も脱ぐよう要求した。それには佐々木も思わず顔を上げて
「・・・許してください」
と消え入りそうな声で呟きその場にしゃがみこんだ。森さんはそんな佐々木を一瞥すると部屋の隅の
机の引き出しから何かを取り出した。そして佐々木の腕を掴み強引にその場に立たせた次の瞬間、
「パシーン」と言うさっきの平手打ちとは異なる乾いた音と「ひいぃぃっ!」と言う佐々木の悲鳴が
部屋に響いた。森さんの手に握られているのは・・・鞭だった。
その場に崩れ落ちるように座り込んだ佐々木の髪の毛を掴み再び強引に立ち上がらせた森さんはその
頬に鞭の柄を押し付けると
「これでもまだ逆らいますか?お望みでしたら全身を打って差し上げても構いませんよ」
と悪魔のようなことを言い出した。
佐々木は最早口を聞くこともできず真っ青な顔で震えていた。


「森さん!」
俺は堪らず呼びかけた。振り返った森さんの表情は「余計な口出しをするな」と言っていたがさすがに
そのまま引き下がるわけにはいかなかった。
「ええと、その・・・。あ、佐々木は、その、俺の物、って言うか、俺の物になるわけで、できれば
あまり傷をつけるようなのはご遠慮願えないかと」
物扱いされるのは佐々木には不本意だろうが、森さんを納得させるにはそうでも言わないと駄目だろう。
案の定森さんはしぶしぶと言った様子だったが俺の意を汲んで鞭を置いた。
「良かったですね、やさしい御主人様で。さ、これ以上御主人様を煩わせないようにとっとと立って
お脱ぎなさい」
ああ、やっぱりそっちは続行ですか。そう思っていると佐々木は意を決した表情でブラのフックを外し、
肩紐を腕から抜いた。そして残された一枚に手を掛け、一瞬の躊躇の後にそれも脱いだ。一糸纏わぬ
裸身になった佐々木は両手で胸と股間を隠し立ち竦んでいた。
「脱いだ後は両手を頭の後ろで組んで背筋を伸ばして立ちなさい」
森さんの容赦ない指示にも、さっきの鞭の一撃のショックか佐々木は素直に従った。森さんは満足げに
頷くと俺の脇にしゃがみ、「御覧なさい」と囁いた。
「見ないで・・・」と言う佐々木の消え入りそうな声も耳に届いたが、俺の視線は森さんに催眠術でも
掛けられたかのように佐々木の裸身に釘付けになった。いや、それは俺の男としての本能がそうさせた
のかも知れない。
森さんは再び佐々木の横に立つと、まるで品定めをするかのように俺に語りかけた。
「ルックスはなかなかですね。ただ、まだ自分を飾ることを知らないのが物足りないところですが。
そしてこの胸。SOS団の、ええと、朝比奈さんですか、彼女や涼宮さんほどではないにせよそこそこ
大きさもありますし形もいいですよね。腰からお尻にかけてのラインも女性的できれいですし」


そう言った後、森さんは佐々木の股間に手を伸ばした。思わず腰を引いた佐々木の尻を平手で軽く叩き
「貴女、ここを使った経験は?」
と聞きにくい事をはっきりと聞いた。佐々木は軽く首を振りながら蚊の鳴くような声で
「ありません」
とだけ答えた。森さんは俺のほうを見てにっこりと微笑むと
「未使用だそうですよ。よかったですね、中古品じゃなくて」
と言った。俺自身、その答えになぜか安堵感を感じていた。
「この身体が自分のものになると言うのは男冥利に尽きるんじゃありません?」
森さんの問いかけに、もちろん声に出しては言えないものの内心では同意せざるを得なかった。
美少女、と言ってもなんら言い過ぎではない顔。形の良い乳房と淡いピンク色の乳首。女性的な魅力を
感じさせる腰周り。手入れしているのかきれいに整った下腹部の茂み。恐らくその下には・・・。
次の瞬間、俺は自分の妄想に愕然として首を強く振った。
森さんはそんな俺の様子を満足そうに眺めていた。
最終更新:2012年12月29日 06:43