「朝比奈みくるの放課後@コーヒーふたつ」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

朝比奈みくるの放課後@コーヒーふたつ - (2007/01/13 (土) 07:29:55) のソース

<div class="main">
━━━━━終業のチャイムが鳴ると、私は急ぎ足で部室棟へ向かいます。<br>

なるべく、みんなよりも先に着いて、ストーブを灯けてからお湯を沸かして・・・<br>

別に、決められた事では無いのだけれど、ただなんとなく・・・<br>

<br>
そして、いつもの服に着替えて、みんなを待ちます。<br>
<br>
そんな私を見て「ミクルもよくやるねぇ~」と鶴屋さんは笑うけど、実は私・・・結構こういう感じが好きだったりします。<br>

<br>
変・・・ですよね?━━━━━<br>
<br>
<br>
【朝比奈みくるの放課後@コーヒーふたつ】<br>
<br>
<br>
<br>
部室に入ると、凉宮さんの机の上に置き手紙を見付けました。<br>

<br>
『ちょっと、買い物に行ってくる』<br>
<br>
と、いう事は・・・おそらくキョン君も一緒ですね・・・。<br>

二人が連れ添って歩く姿を思うと少し羨ましくなるけど、最近は以前程切なさを感じなくなりました。<br>

それに・・・私が存在する為には、二人にはこのまま寄り添っていて貰わなければならないし・・・あ!これは禁則事項ですっ!<br>

聞かなかった事に・・・・してくださいね?<br>
<br>
とりあえず私は、掃除でもしながらみんなを待つことにしました。<br>

<br>
机の上を雑巾で拭いてから、床にモップをかけます。<br>
窓際から廊下の方へ、ゆっくりとゆっくりと・・・あれ?<br>

モップの先に見慣れた上履きがコツンと当たって、見上げると・・・長門さんが立っていました。<br>

<br>
長門さんは、少し部屋の中を見回した後、私の目をジーッと見つめます。<br>

「今は、私だけですよ?」と答えると、「そう・・・」と呟いて、いつもの場所に座りました。<br>

そして、少し落ち着かない素振りを見せます。<br>
そんな、長門さんの様子を見ながら、私はふと思います。<br>

<br>
(ああ・・・隣に遊びに行きたいんだな・・・)<br>
<br>
知ってました?<br>
長門さんね、みんなが揃ってる時は一応気を使って、隣には遊びに行かないようにしているみたいなんですよ。<br>

今日は、ここには私しか居ない訳ですから、「遊びに行ってくれば良いと思いますよ?」と声をかけてみます。<br>

すると、また私をジーッとみて少し首を傾げます。<br>
「私に気を使わずに、ね?」と促すと、コクッと頷いて少し嬉しそうに廊下へと出て行きました。<br>

長門さんの、こんな風に優しいところが私は大好きです。<br>

<br>
そして、部室には私一人になりました。<br>
足元にストーブを置いて、お茶を飲みながら少しゆっくりする事にします。<br>

窓の外を見ると、練習を終えたサッカー部が後片付けをしているのがみえます。<br>

<br>
(もう、そんな時間か・・・)<br>
<br>
そういえば以前、こんな風に私が一人で部室に居たら、古泉君がドライブに連れだしてくれたっけ・・・<br>

あの時は、ただ突然の事に驚いてしまって、古泉君に余計な気を使わせてしまったかもしれないな・・・。<br>

でも・・・もしも、また連れだしてくれるのなら、今度は・・・なんてね。そんなに都合の良い話は度々起こり・・・<br>

<br>
「あれ?朝比奈さん!居たんですか?」<br>
<br>
ふぇぇええっ?こ、古泉君っ?目の前に古泉君がいますうっ!<br>

<br>
-ななななな何でもありませぇんっ!<br>
<br>
<br>
「えっ?何が、『なんでもない』んです?」<br>
-いや・・・あの・・その・・<br>
「いえ、一応部室に入る前にノックはしたのですが、返事が無かったもので・・・。驚かせてしまって、申し訳ありません。」<br>

-い、いえっ!大丈夫ですっ!<br>
「ところで、皆さんは?」<br>
-ああ、凉宮さん達は買い物で、長門さんは隣に遊びに行きましたよ?<br>

「そうですか・・・。いや、残念だな。」<br>
そう言うと、古泉君は手に持っていた包みを机の上に置きました。<br>

-何ですか、それ。<br>
「いえ、先日は朝比奈さんに美味しいお菓子を御馳走になりましたので、今日は僕がみなさんに何か用意しようかと思いましてね?」<br>

-お菓子・・・ですか?<br>
「はい。」<br>
そう言いながら、古泉君は少し照れた様に包みを開けます。<br>

すると、包みの中から出てきたのは・・・<br>
-まあ!シュークリームですね?<br>
「ええ。『作りたて』だそうです。直ぐに皆さんに召しあがって頂きたくて、急いで馳せ参じたのですが・・・そうだ!折角ですから、朝比奈さんだけでも先に召し上がって頂けませんか?」<br>

-いいんですか?<br>
「勿論ですよ。」<br>
-では・・・古泉君も一緒に・・・あ!今、お茶を入れますね。<br>

<br>
私はお茶を用意しながら、少しだけ小泉君の方を見て思います。<br>

(古泉君って見掛けによらず、意外と甘い物が好きなのね・・・)<br>

<br>
名前:朝比奈みくるの放課後@コーヒーふたつ ◆2xLpx6qEVE
:佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:26:10.98 ID:WXXoF+ZvO<br>
「ん?どうかしましたか?」<br>
-えっ!?い、いや別にっ!<br>
「ははっ、僕がシュークリームを買うなんて、意外でした?」<br>

-え?えええっ?<br>
<br>
驚く私を見て、小泉君が笑いころげています。私は恥ずかしくて恥ずかしくて・・・思わず小泉君に訊いちゃいました。<br>

<br>
-な、なんで解っちゃうんですかぁっ?<br>
「ハハハッ・・・いや、失礼。笑いすぎました。・・・朝比奈さんは、本当に考えている事が顔に良く出るんですよ?解りやすいというかなんというか・・・でも、そんな貴女だからこそ、僕は朝比奈の事が大好きなのかもしれませんね。」<br>

-はあ、そうですか・・・って、ええっ!?<br>
<br>
い、今!なんか、とんでもない事を言われた気がしますうっ!<br>

だだだだだだ大好きって・・・何ですかぁっ?なんなんですかぁっ!友達としてですよねっ?ああっ・・・顔が・・・熱いですぅ・・・<br>

<br>
「どうしました?食べませんか?シュークリーム・・・」<br>

-あ・・・はい、い頂きます。<br>
<br>
私は、動揺を隠せないままにシュークリームも頬張りました。<br>

古泉君も、私に合わせてシュークリームを頬張っています。<br>

<br>
-うんっ!美味しいです!<br>
「そう・・・ですか?」<br>
-あれ?何か、気になる事でも?<br>
「いえ・・・お店で味見した時は、もう少し歯触りが良かったんだが・・・」<br>

<br>
古泉君は、少し残念そうな顔をしながら、シュークリームを見つめます。私は、なんとなく申し訳なくなって・・・<br>

<br>
-本当に美味しいですよ?<br>
<br>
と笑って見せました。すると、古泉くんは突然顔を上げて、私に言うんです。<br>

<br>
「そうだ!もし、お暇でしたら、これから出来立てを食べに行きませんか?お店は少し遠いけど、車を出しますよ?」<br>

-え?<br>
「あ・・・都合が悪かったですか?」<br>
<br>
<br>
-え・・・いいいいえっ!そんな事無いですっ!<br>
<br>
驚きました・・・。<br>
たった今、二度目のドライブに誘われました・・・<br>
もう少し、嬉しそうな顔が出来たら良かったのに、突然だったものだから・・・私、驚いちゃって・・・<br>

<br>
「では今、車を持って来ますね?この前のバス停で待ってて下さい。」<br>

<br>
そう言い残して、部室から出ていく古泉君の背中は、とても嬉しそうです。<br>

そんな彼の姿を見て、ふと私は、さっきの「大好きですよ」と言う言葉を思い出してしまいました。<br>

<br>
胸がドキドキします・・・<br>
<br>
あ!はやく支度しなくちゃ!<br>
私は『先に帰ります』と置き手紙をして、部室を後にしました。<br>

<br>
本日の私のSOS団での活動は、これでおしまいです。<br>
<br>
<br>
おわり・第8話へ続く</div>
<!-- ad -->