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α‐10  午後の授業中、俺は考えていた。入団試験を受けた結果、新一年生は全員合格、俺だけ不合格になったらたまったもんじゃないしな。SOS団の活動内容を思い出せば簡単に解けるか・・・SOS団が設立されて役一年たつ。一般人にはありえないことがたくさんあったな。季節が変わるのも早し、こんな風に考える俺も年を取ったもんだ。  ようやく授業が終わり部室へと向かった。試験の前に早く朝比奈印のお茶を頂きたいもんだ。二、三杯飲めば頭もすっきりするはずさ。朝比奈さんにも事情を話せば快く向かいいれてくれるに違いない。そう思いながら部室の前に着きノックすると、中からは困惑したような声で迎えてくれた。  「キョンく~ん・・・」  朝比奈さんどうしたんですか。ドアを閉め中に入ると、  「テーブルの上に変なものが置いてあるんです。あの・・・長門さんに聞いたら来たときにはもう置いてあったって・・・」  珍しく長門は本を読んでおらず、テーブルの前に立っていた。その前を見ると、長さは10cmくらいだろうか、風呂敷に包まれている物体があった。まさかSOS団宛てに時限爆弾が届いたんじゃないよな。ひぇっ、という声を朝比奈さんは出した。いくらなんでも物騒すぎるぞ。パニック寸前の朝比奈さんと俺を見て感づいたのか、  「危険なものではない」  と長門は教えてくれた。まあ長門がいうんだから問題はないはずだ。すると扉をノックする音がした。  「どうぞ」  朝比奈さんが出迎えると、ドアの向こうには昨日も来たであろう一年生たちが立っていた。一人で来るのはやはり度胸がいるのか、五人が揃って訪れたのだろう。内訳は男子二名、女子三名。良く見ると、そのうち二人は古泉をみながらキャッキャ言ってた女子だ。残りの女子はというと、SOS団三名が気になっているという女子だった。・・・やっぱりどこかでみたような・・・男子は言わなくても解るだろう。十中八九朝比奈さんのメイド姿に見とれている。  五人が部室に入るや否や、掃除当番で遅れてきたハルヒがやってきた。  「ふ~ん。まあまあね」  だからそんな言い方をするな。怖気づいてしまってるじゃないか。  「やっぱり昨日脚切りしておいてよかったわ。ここにいるあんたたちはこの時点で勝ち組よ。今日は筆記試験をやるわ。キョン、早く椅子を用意しなさい!」  解ってるさ。今日は五人か。予備が一つあるから四つ持ってくればいいか。さすがにこれくらいは計算できるな。遅れて入ってきた古泉と取りに行った。それと机もか。  部室に戻ると、ハルヒ直筆であろう問題用紙がテーブルに六枚置いてあった。増えてる?いや、俺も受けるんだったな。  「いい、問題は三問あるわ。制限時間は一時間。できれば点数にしたくないんだけど百点満点中八十点以上が合格者とするわ。問題ごとに点数が決められているんじゃなくて、いい答えに対しては百点以上でも何点でも与えてあげる。そのかわり変な答え方だったら減点よ。カンニングなんてもっての外!即退場よ!あたしたち試験官にばれないよう他の人の答えを丸写しできたら考えてあげるわ。スパイとして使えるかもしれないし」  カンニングなんて無理だろう。うちには例え目をつぶってでも気づいてしまうような人物がいるんだから。長門、俺を見るな。それにハルヒの考える問題なんてだれも予想できないだろ。打ち合わせしてたとしてもすぐパーになるさ。  「それとキョン。あんたは問題を一つ増やして四問にしてあるわ。SOS団員なんだからハンデよ、ハンデ。どれも満足行く答えじゃないと合格にならないわよ」  何のハンデだそれは。いや、問題が増えてるから有利に・・・いや、どれもハルヒが満足いく答えじゃないとダメなのか。  「それじゃあ、はじめ!」  朝比奈さんと長門は窓際に腰掛けており、古泉はドアの付近でニコニコと座っている。ハルヒはというと、時折、試験者の後ろを歩きじろじろ見てくる。このプレッシャーと戦いながら試験しなくちゃいけないのか。朝比奈さん、お茶を頂けないでしょうか・・・  仕方ない。解いてやるか。問題用紙には空白を置きながらこう書かれてあった。  1.あなたはだれ?  2.宇宙人、未来人、超能力者、異世界人をみつけたら何をする?  3.もしSOS団に入団したらあなたは何をする?  4.SOS団内での恋愛はできる?  「やれやれ」  盛大に溜息をついてしまった。ある程度は予想していたが。こんな少ない文字数に大して、壮大な文字で埋め尽くさないと正解にならないんだろうな。  一問目、ここに自分の名前を書いたらいけないんだろうな。一般人なら一般人でそれを証明せねばならないのだろう。ここは一つ、空白いっぱいに大きく俺の本名を書いてやろうか。そろそろこいつも俺の本当の名前を忘れているかもしれん。  二問目、去年の自己紹介を思い出すな。こいつはその発言だけで周囲を驚かせていたが、今度は質問ときたもんだ。さてどうするか。あらためて三人の正体を書いてやろうか。すでに俺は見つけているんだ。今度こそハルヒに逆ギレされないよう丁寧に。古泉、笑っていられるのも今のうちだぞ。  三問目、現在の俺は雑用だ。しかし裏ではそれなりに活躍していると言っても過言ではないだろう。もちろん古泉や長門たちには劣るが。皆が突っ走って変な方向に行かないように引き止めているとでも書こうか。特にハルヒ、お前をだ。  四問目・・・今日の長門といい、何でこんなことを問題にするんだ。この問題は恐らく俺に対してだけの問題だろう。大体お前は禁止してたんじゃないのか?まったく・・・  こんなことを書いても、ハルヒを納得させることはできないだろう。時間いっぱい使って空白を埋めることにした。  「終了!そこまで。ペンを置きなさい」  一年生たちをみると、やはりみな同じ顔をしていた。こんな問題とけるはずないだろ。キョトンとしているのは、一人の女子を除いてだが。そいつは試験中もふむふむと頷きながら解いていた気がする。やはり気になるな。  「明日またここに来ること。結果を発表するわ。今日は解散ね」  ドアの前にいた古泉が、お疲れ様でしたと言うと、やはり古泉目的らしい女子が笑顔になって部室を出て行った。男子もこれで気収めになってしまうかもしれないメイド姿の朝比奈さんの方をチラチラと見ながら出て行く。例の女子はというと、失礼します、と丁寧に団員みんなに頭を下げ部室を後にした。  「これから答えあわせをしなくちゃいけないから、先に帰るね。鍵よろしく」  ハルヒは颯爽とドアを開け去っていった。俺の答えをみんなに見られたらたまったもんじゃないし、よかったな。持ってきた椅子と机を戻し終え、椅子に座り背伸びをすると、  「お疲れ様でした」  と、朝比奈さんがお茶を持ってきてくれた。ありがとうございます。出来れば試験前に飲みたかったのですが。隣に腰掛けた古泉は、  「どうでしたか」  どうでしたこうでしたじゃない。そもそもお前は俺がSOS団からいなくなったら困るんじゃないのか。  「それはないでしょうね。あなたは涼宮さんに必要とされているのですから。あくまで確認するためこのようなことをしたのではないかと。万が一、涼宮さんがあなたを追放することが起きた場合、僕は諦めるしかないです。それはすなわちSOS団崩壊、もっと言うなれば世界の崩壊になってしまうのですから」  まあいい。お前の論説は聞き飽きたよ。それよりも大事な話をしなくちゃいけなかったな。そういやあの物体はどこにいった?と聞くと、長門はカバンから差し出した。  「これは何でしょうか」  古泉は言う。さっき長門から聞きぞびれてしまったしな。  長門が答える必要などなかった。いやそれ故に恐ろしいことなのかもしれない。安全性のマークを押されているはずの物体は、長門の手の上で見たことのない光を帯びていたのだった。 β‐10  午後の授業を終え、ハルヒと共に部室に向かう。掃除当番は無視しているな。まあ今日は仕方ない。部室に入ると、すでに三人は到着していた。  「みんな、今日も有希の家にお見舞いに行くわよ」  昨日とは違い、走っていく必要もない。とはいえ、ハルヒを筆頭にみんな早足になっていた。  長門のマンションへ到着し、またもや喜緑さんが出迎えてくれた。  「お邪魔します」  ハルヒが挨拶をし、ぞろぞろと入っていった。  「今日も来てくれたのですね。長門さんも喜ぶかと」  長門の寝ている部屋へ行きながら、喜緑さんはそう言った。  扉を開けるとやはり長門は眠っていた。喜緑さんは、  「せっかくお見舞いに来ていただいたのに。今は休んでいます」  申し訳なさそうに俺たちに言うが、多分長門はあれから一度も起きてないのだろう。  昨日と同じく、ハルヒと朝比奈さんは台所に行き何か作っているようだった。そういや昨日作ったもの残ってないよな、と思いつつ喜緑さんを見ると、  「大丈夫です。私の部屋に保管してあります。長門さんがおきてから召し上がっていただこうと思いまして」  危うくばれてしまうところだったな。古泉が思い出したように本を取り出した。  「部室にはこの本がありました。中に栞も挟まれていました。残念ながら分析できなかったのですが・・・」  と言い、二つを手渡す。しばらく考え込んだ後、喜緑さんはこう言った。  「これは・・・アインシュタインの光電効果ではないでしょうか」  古泉がふむ、と頷く。そんなこと言われても俺には解らんよ。  「確かにそうともとれますね。しかしそれはこうですよね・・・」  と言いながら、古泉はペンと紙を取り出して何か書いた。         E=hf  不等号ではなく、等号になった。説明してくれ古泉。  「これは光を金属に当てると電流が通るかどうか、ということです。光というものは粒子という性質を持っていまして、その性質を持つ光子と呼ばれる物質が鍵となるのです。例えば、赤色光の光子を当てると電流が通るのに、それより周波数の低い青色光の光子を当てても電流が通らない場合があります。すなわち光そのものの強さではなく、光の周波数の大小が関わってくるということです」  俺に解るよう説明してくれたのに、すまん古泉よ。粒子だか周波数だかはいいが、この不等号は何なんだ?  すると古泉は閃いたように言った。  「さすがはあなたです。やはりあなたの力は計りしれませんね」  あれ、俺なんか言ったか?  「この栞に書かれている式はなぜ不等号なのかということですよね。実は光には粒子という性質のほかにもう一つ、波動という性質を持つのです。長門さんは不等号にすることでそちらの性質を導きたかったのかもしれませんね。波動というのは・・・」  また古泉は説明を続ける。聞きながら俺はある一つのことを思い出していた。  「話をさえぎるようで悪いんだが、実はな・・・」  俺は今年二月におきたことを古泉と喜緑さんに話した。  「・・・それであの山には本物の宝が眠っていたんだ。それは今まで鶴屋さんが保管してくれていて、今日持ってきてもらってたんだ。朝比奈さんに渡してあるらしい・・・」  「そのようなことがあったんですか。なるほど、鶴屋さんの家に保管されていたのなら機関は知りようもないですからね。それがいかがなさいましたか?」  「その骨董品には波打つ紋章が刻まれていたよ。波動と聞いてピンときたよ」  まさか、鶴屋家所有の山に埋まっていたものがここで必要になるとは思わなかったが。長門はあの時、それがなんなのか気づいていたのだろうか。俺と古泉がやり取りをしていると、喜緑さんは、  「それ、見せていただけませんか?」  と興味深そうに言った。  俺は朝比奈さんを呼び出し、その間喜緑さんはハルヒの手伝いをしていた。  「朝比奈さん、鶴屋さんから何か受け取りましたよね」  「はい、キョンくんに渡してねって。風呂敷に包まれていたけど、あれがキョンくんが見たかったものなの?ええっと・・・」  朝比奈さんは部屋をキョロキョロ見渡し、  「あの、ごめんなさい。カバンに入れてたんだけど、カバンごと部室に忘れちゃったみたいなの。あの時急いでたから。無くしちゃったらどうしよう。部室には鍵をかけてきたんだけど・・・」  まさかここでドジッ子が発動するとは。まずい、もし泥棒にでも入られたら鶴屋さんになんてお詫びしたらよいのか。まして九曜がそれに気づいたら最悪だ。やつにとって鍵なんてあっても無いものなんだ。  「その骨董品は僕よりも喜緑さんが見て解析した方がよいですね。僕はここに残って、他の皆さんを守ります。あなたは喜緑さんと部室に行ってもらえませんか」  ああ、解っているさ。台所にいる喜緑さんの腕を引っ張り、玄関へ向かった。  「ちょっと、キョン。どこ行くのよ」  ハルヒが叫ぶ。  「長門の病気が治る特効薬が届いたって薬局から電話が来てな。引渡しに喜緑さんもいかなきゃならないらしい。すぐとってくるよ」  俺と喜緑さんは部室に向かいながら事情を説明した。くそっ、俺の脚よ、早く走れ。  部室の前にたどり着く。どうやら敵は追ってきてないみたいだ。やばい、部室の鍵を忘れてしまった。すると喜緑さんはドアノブに手をかけた。ああそうだった、必要ないんだな。部室に入り、朝比奈さんのカバンの中を失敬する。無い。どこだ。  「あれではないですか?」  と喜緑さんは窓の方を指差す。宙に浮いている。どういうことだ。  俺が驚いている間、喜緑さんは宙に浮いている物体を手に取り風呂敷を解いた。そしてなにか考え事をしているようだ。その瞬間、そのオーパーツは見たことの無い光を発光しはじめた。 →[[「涼宮ハルヒのビックリ」第五章α‐11 β‐11]]へ

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