絡まった糸、繋がっている想い 第二章
*4*ハルヒの調査をしてはや2週間がたっていた。ハルヒが来なくなってもうすぐで1ヶ月経ってしまう。その間に集まった情報はあまりなかった。おれはふと、谷口と国木田には聞いていなかったことを思い出した。「お前ら、ハルヒこと何か知らないか?何でもいい」「涼宮?」と谷口。弁当をほおばりながらいう。おれは2人(特に谷口)にはあまり期待していなかったが予想外の情報が入った。「そういや…この間女の子2人と一緒に帰ってるのを見たぞ」「! それは本当か?」「ああ。だから最近は活動してないのかと思ってたんだけどな」まさか、谷口から重要な情報が入るとは予想外だった。よくやった、谷口。お前のランクを『谷』から『川』にしてやろう。大した意味はないが。「そういえば僕もみたなあ…涼宮さん」さすが国木田!なかなかの男だ。「その…なんて言えばいいんだろ…?ほら、中庭みたいな所あるだろ?」ああ、あそこだ。おれが古泉からハルヒのことを聞いた場所だ。恐らく。「あそこで女の子の友達と一緒に昼ご飯食べてたよ」女の子…?『川(谷)』口といい、国木田といい…とりあえず、その2人の容姿について聞いてみた。「その2人の容姿は?名前とかは?」すると谷口が「1人はショートカットだ。もう1人は背の高いメガネの子だ。恐らく一年…同い年だな。なかなか可愛いかったぜ」それな聞いてない…と言おうかと思ったが止めた。いい情報を持ってきたので我慢してやることにした。授業が終わり、下校時間になるとハルヒを見てみた。しばらくするとハルヒは教室からでていったおれは部室に向かい、今日聞いたことをみんなに話した。するとやはり古泉はいった。「つまり…我々が想像していた最悪のパターンになったかもしれないということですね」その通りだ。「ですが、それだけわかれば上々です。あとは僕に任せてください」殺人スマイルを見せた。「なにをする気だ?くどいとうだが、機関は使うなよ」笑いながら古泉がいう。「もちろんですよ。僕がいいたいのはその2人が誰だか調べるのを任せてください、といっているんです」古泉がいい終わったあと朝比奈さんが話し出す。「どうして調べるんですか?」不思議そうに首をかしげる。「もしかしたら何かの役に立つかも知れないからですよ」「何かってなんだよ?」「さあ?でも一応調べてみたいだけです」どうやら古泉は探偵業が気に入ったらしい。「という訳でしばらく話し合いに参加できなくなりそうです。たった3人では話し合いは厳しいでしょうから、明日から3~4日休みにしましょう。各々で情報を集めるということで」 確かに正論だ。そんなこんなで今日の話し合いは終わった。家に帰ったおれはベットに横になり考えてみた。しかし、どちらから一緒に帰ろうと誘ったのだろうか…?ハルヒのほうから誘うということはおれが知るハルヒなら絶対しないだろう。だとしたら向こうからか?誘う理由はわからなかった。本人に聞くしかないだろう。そんなことを考えている間に寝ていたようだった。時計を見ると深夜の2時だった。その後風呂に入り残っていた夕食を食べて再び寝た。その間母親にうるさいと叱られた。ここは素直に誤るしかない。朝起きて学校に着く。1ヶ月前までは習慣だったハルヒに話し掛けるという行為は徐々に減っていき最近は全く話し掛けなくなっていた。最近は接点が全くない。そして、なんだかモヤモヤする気持ちがあったが、正体はわからない。授業が身に入らず、1時間、また1時間と時間が過ぎていった。そんなとき、「え~この問題を…〇〇! 答えなさい」当てられた。まずい、全くわからない。谷口は信用できないし頼りの国木田は席が遠い。おれは焦って『後ろの席』に聞いた。「悪い。教えてくれ」そのあとすぐにおれは『しまった』と思った。なぜなら後ろは…『後ろ』の奴は一瞬キョトンとしたような顔をしたあと溜息をして答えた。「あんた、こんな問題もわかんないの!? cos45゜よ!」そう、後ろはハルヒだ。「cos45゜です」「正解。座ってよし。」おれは後ろを向いて礼を言う。「ありがとうな。ハルヒ」「…」ハルヒは黙って窓の外をみた。確信した。ハルヒは変わっていない。別におれのことを嫌いになったわけじゃない。そういえば、ハルヒとまともな会話をしたのは1ヶ月振りだ。そして、4日振りの部室に向かう。入るとすでに、他の3人はいた。古泉がいう。「久しぶりです」「4日会ってないだけだろうが」「それもそうですね」他愛のない会話を済ませ、席に着く。するとやはり最初にしゃべったのは古泉だった。「さて、僕の調査の結果を言います」そうだ。これのために4日も休んだのだ。「結論からいうと、彼女たちは一般人です」当たり前だ。「宇宙人、未来人、超能力者ではありませんでした」なるほど、それのための調査か。「あのう…」朝比奈さんが手を挙げている。「なんですか朝比奈さん?」よし、古泉がいう前にいえた。「私… トイレで涼宮さんの話を聞いたんです」「ハルヒの話?」朝比奈さんの話はこうだ。『ねえねえ、一年の涼宮っているじゃない?』『うん、居るよ』『入って来た頃はめちゃくちゃであんまり好かれてなかったんだけど…最近男女問わず人気が出てきたらしいよ』『へー そうなんだ』このあとの話は関係らしい。古泉がいう。「新しい可能性が見つかりましたね。涼宮さんが丸くなったということも考えられます」「…」複雑な気分だった少なくともいい気分ではない。その後も話し合いは進まず解散となった。そしてしばらく経ったある日、長門から情報が入った。「今日涼宮ハルヒと例の2人が居るのをみた…涼宮ハルヒが嫌がっているようには見えなかった」長門の情報を聞いた古泉は顎に手をおいていった。「僕に提案があるのですが、よろしいですか?決して熱くならないでください…」神妙な面もちで古泉はいう。「一度我々も解散してみてはいかがでしょうか…」おれはさっき古泉がいった言葉を忘れて古泉にくってかかる。「何をいってんだ!!古泉!?」朝比奈さんが慌てて止めに掛かる。長門はハルヒに負けず劣らずな大きな瞳をさらに大きくあけてこちらを見ていた。「落ち着いてください」「古泉!お前は機関のためだけにSOS団にいたのか!?ハルヒが問題を起こさなくなったらそれでおさらばか!?」朝比奈さんが慌てて仲裁する。「キョンくん落ち着いて…古泉くんも理由があるんだから…話をきいてあげて」熱さは冷めてなかったが座った。「ごめんな… 古泉」「いえ。こちらこそ急過ぎました」古泉はネクタイを直しながらいう。「確かに、機関のためにSOS団に入ったというのは否定しません。ですが、僕自身もSOS団といるのは楽しかったですし、面白かったです」古泉はさらに続ける。「しかし、団長である涼宮さんが来なく、その涼宮さんが友達と楽しそうにしている…」ネクタイを直し終わった古泉は机にひじをつき、またいう。「我々は涼宮さんの監視、調査、それいぜんに団員であり涼宮さんの友達です」黙って古泉の話を聞いていた。「涼宮さんが我々SOS団に興味がなくなり、友達と一緒にいる楽しみに気が付いたのは、機関的にもいち友達としても喜ばしいことです」その通りだ。だが、ハルヒは友達と一緒にいる楽しみは前から知っていたはずだ。おれたちといたんだからな。恐らく古泉の見解は『当たらずとも遠からず』だろう。「そんな涼宮さんを無理やりこちらに戻すなら、彼女の幸せを壊すことになります。それは『閉鎖空間』など関係なく、いけないことではないでしょうか…」朝比奈さんは下を向いている。長門は無表情だがどこか悲しそうだ。「だから、我々も一度解散してみて考えてみようと思ったのです」すると黙っていた長門が話し出す。「みんなで策を考える。涼宮ハルヒがこのままなのは情報統合思念体も拒否している。私という個体もそう感じている」長門は続ける。「解散している間、皆で策を考える。策を思いついたら全員を集め、会議。その策をいつ決行するかを考える」「それはgood ideaですよ。長門さん」古泉の眼に光った。さっきいったことはやっぱり嘘じゃないようだ。安心した。「そうですよね!このままなんて納得できませんしね!」朝比奈さんがいう。ありがとう長門。長門はハルヒのいないSOS団のまとめ役だ。こうして、おれたちは決意を胸にした。*5*解散して2週間が経った。色々と策を考えてその度に会議をしたんだが、いまいちいい策がなく完全に手詰まりな状態だった。(なんとかならないか…)そんなことを考えていた。そして、みんなの頭には1つの策が浮かんでいた。強攻策だ。しかし、古泉もいっていたように無理やりやるのは危険だ。ハルヒを傷つけかねない。おれはいつぞやの朝倉の言葉を思い出した。『待っているだけじゃ何も変わらないわ』全くその通りだ。環境が変わると考えも変わる。これしかないのか… 他の策はいまいち不安だ。考えながら歩いていると「疲れているようですね」後ろには爽やかイケメンが立っていた。「古泉」みたものの名前をいってしまうのは人間の習性だ。「なかなかいい策がみつかりませんね…」まただよ。心を読みやがった。それともおれは顔に出るタイプなのか?「もう少し考えてみましょう。焦りすぎてはいけません」「そうだな」「では僕はこれで」古泉はそういうと歩いていってしまった。「………」おれは髪をかきながら教室に戻った。授業が終わり、教室から出た。ふとおれは他のメンバーのことを考えた。朝比奈さんは時々見る…古泉はさっき会った…そうだ、長門は?長門とは部室以外で会うことは滅多に会わない。おれは長門が何をしているのか気になった。ふと長門は『あそこ』にいるのではないかという考えが浮かんだ。おれはまさか、と思いながら『あそこ』へ向かう。扉を開けた。…………いた。長門はこちらに目を向ける。そう、ここは部室だ。「そろそろ来る頃だと思っていた」長門はいった。「もしかして…会議のない日も部室にいたのか」長門は頷く。そして、おれは悩みを打ち明けた。強攻策にすべきか。他策にすべきか。長門はいう。「あなたは彼女を信用していない」長門はいった。おれは当然反論する。「信用してるさ」長門はすぐにいう。「違う。悩んでいないなら、強攻、他策、どちらかにしているはず。あなたは強攻すれば彼女が傷つくと思っている。そして、傷ついたら彼女が立ち直れないと思っている。これは信用していないということ」反論できない。「あなたは涼宮ハルヒを一番知っている。もう一度よく考えて」「彼女が傷つくとしたら、そういう気遣い…」確かにそうだ。SOS団を作ったときも部員集めは全部もの凄く直球だった。なんだ簡単だ。そうだ、そうすればいいんだ。「ありがとうな。長門。お前が気づかせてくれた」おれは長門に礼をして部室を出た。バカだ。何を悩む必要があるんだ。おれはおれのやり方でいいじゃないか。家に帰ったおれはSOS団のメンバーに連絡した。「古泉か?ハルヒの件でいい策が浮かんだんだ!おれに任せてくれ!決行する日はその日になったら連絡する」『どうしたんですか?急に?』「頼む!」『…わかりました』古泉が笑っているのは容易に想像できる次は朝比奈さんだ。コールするが出ない。仕方がないので留守電だ。古泉同様にいう。夜に返事が来た。電話ではなくメールだ。メールには『わかりました。任せます』よし、了承はとった。あとは実行するだけだ。その計画をたててからさらに時間がたちもうすぐであの日から2ヶ月経とうとしていた。なぜかといえば…非常に言いづらいんだが、おれが優柔不断、ヘタレ野郎なせいだ。(今日こそは…)と思っているが話しかけるきっかけがない。くそ!単に一言いえばいいだけなのに…!時間はそれほど傷を与えていた。チャイムが鳴る…今日はおしまいだ。ハルヒが帰り仕度をしていた。ハルヒの背中がどこか遠くにいってしまいそうな寂しさがあった。「…何よ」ハルヒが不意に話しかけてきた。おれは自分の手が何かを握っているのに気が付いた。ハルヒの手だった。「何よ。いいたいことでもあるの!?」「放課後に話があるから待っててくれ」「なんでよ。面倒くさい。」帰ろうとするハルヒの手をさらに強く握った。「大事な話なんだ」「…わかったわよ」ハルヒはしぶしぶだが引き止めることに成功した。おれは3人に連絡する。「部室で待っててくれ。ハルヒを連れて行く」これはそういった時の3人の反応だ。古泉バージョン『今日ですか!?ついにやりましたね!少し遅かったですがやってくれると思ってましたよ』ああ、遅くてごめんな。おれがヘタレのせいだ。朝比奈さんバージョン『そうですか!涼宮さんをよろしくお願いしますね!部室に先にいってます』何がよろしくなのかわからないが、朝比奈さんの声を聞いたので元気100%だ!長門バージョン『そう……………………待ってるから』ああ、待っててくれ。これでいままでにケリをつけるから。場所は教室にうつる「ハルヒ」「何よ」「ちょっとついてきてくれ」「話ならここでいいじゃない」「ここじゃだめなんだ」おれはハルヒの手を取り、歩きだす。「ちょ…ちょっと!痛いわよ!離して!」「あの時と逆だな」ボソッとおれがいった。あの時とはハルヒが階段の踊場までおれをつれていき、説得(脅迫?)した時のことだ。「! ……あの時って何よ」声がうわづった。ハルヒの癖だ。わかっているのに知らない降りをする時によくこうなる。部室塔に続く廊下にでるとハルヒはいった。「わかったわよ!わかったから離して!」手を離す。観念したのか自分が先頭になり歩きだす。そして部室の前についた。*6*おれとハルヒは部室の前にいた。「………」ハルヒは扉を開けようとしない。俯いて少し震えていた。扉はおれが開ける。そこには定位置にいる古泉と同じく定位置にいる長門。奥の席に座っている朝比奈さんがいた。おれが自分の席に着く。ハルヒはおれの隣のスペースにわざわざ椅子を持ってきて座ろうとした。「ハルヒ、お前の席はあっちだ」おれは団長席を指差す。「あたしは…」ハルヒが何か言い掛けたが、おれはそれを遮った。「いいからあっちに座れ」これだけハルヒに強くいうことなんてめったにない。「…」ハルヒは団長席に向かい、腰掛ける。おれは全員を見たあとにいう。「ハルヒ、なぜ呼んだかわかるよな?」「…」黙っている。「急におれたちの前からいなくなった理由、急に来なくなった理由をいってくれ。おれたちは誰一人納得していない」「理由?どうせだいたい察してるんでしょ!?」ハルヒは立ち上がり、机をバンっと叩いた。「もうわかるでしょ!? 嫌気が指したのよ!」ハルヒは続けて言う。「何も起こらない不思議!部室なんてただの暇つぶしの場になってるだけじゃない!否定できるの!?」否定はできない。「不思議探索だって名ばかりのお遊びになってるじゃない!適当にその辺ぶらぶらしてお昼食べて、午後も同じことして…どうせ不思議なんて見つからないのに!」全員黙って聞いていた。「これでわかった!?だから来るのがバカバカしくなったのよ!」ハルヒはいい終わると肩で息をしていた。「本物にそれだけが理由か?ハルヒ?」おれがハルヒにいう。「何がよ」「本物にそれだけが理由かってきいてるんだ」ハルヒは少し時間をおいてからいった「そうよ!あたしは自分で作ったものにも責任が持てない女なのよ!だからもうほっといて!」荷物を持ってでいこうとするハルヒを止めた。「ハルヒ!まだ話は終わって(ry」おれはまた手を掴む。「離してよ!」ハルヒはおれの手を無理やりはがした。荷物が床に落ちる。しかし、気にせずハルヒは出ていく。「くそ!」だめか…と思った瞬間に朝比奈さんが大きな声でいう。「なにしてるんですか!早く涼宮さんを追いかけて!」「そうです!ここで追いかけなきゃ二度と彼女とは話せませんよ!」「涼宮ハルヒの精神状態は不安定…早く行ったほうがいい」朝比奈さん…古泉…長門…そうだ。おれたちは本当のことが知りたいんだ!バンっ!扉をあけると全速力で走る。「ハルヒー!」ハルヒはいた。「待ってくれ!ハルヒ!」ハルヒはびっくりした顔で見たあと走りだした。ハルヒはおれより足は速いはずだがなんとか追いついた。「離して!」ハルヒ暴れる。「おれの話をきいてくれ!」「離してよぉ…」泣き声だ。おれは慌て離す。ハルヒはその場に座り込む。おれはハルヒの肩を抱いて隅に連れて行った。「どうしてよぉ…もうあたしなんかほっといてよ…」「そういうわけにはいかない」泣いている女の子を放っておくわけにはいかない。先追いつけたのもハルヒが泣いていたからだろうか。「なんでよ… あたしはあんたたちを裏切ったのよ…」「おれたちは誰も裏切られたとは思ってない」ハルヒは泣いている。おれはまた聞いた。「ハルヒ…本当にあれだけが理由なのか?他にもなにかあるだろ?」しばらく時間が経った。3分くらいか?「半分は本当よ…もう半分…いえ、こっちのほうが理由しては強い…」ハルヒは『もう半分』について話し始めた。第三章へ
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