女古泉'ちゃん'の憂鬱 第四話「Missing 神隠しの弾語り(改訂版)」
「おはようございます~・・・あれ? 森さんと新川さんと、多丸さんと・・・ってみんな居ないですね」朝起きて機関メンバーの溜まり場、通称「ニャッピー・イン・ザ・ワールド」に来たら誰も居ません。「おいおい、俺は無視かい」「・・・誰?」「ラムゼイ機関のリヒャルド・ゾルゲだ」「その機関じゃないです、ここはー!!」だいたい1944年に処刑されてるし、戦後埋葬されてるじゃないですか。つまりは、死人じゃないですか。「俺はー墓場から蘇ってー」「はわ、はわわわわぁ! あ、悪霊退散悪霊退散! ドーマンセーマン!!」「はっはっはっ。まず少女よ、落ち着―――」 ドスドスッ。グチャ。バキバキバキバキバキ。 ・・・・グキッ。ドサッ。 第四話「Missing 神隠しの弾語り(改訂版) 」 多摩基地あたりに再び埋葬し合唱した後、僕は機関に戻った。それにしてもどこに行ったんでしょうか、皆さん。何処にも居ないし新川さんは部屋に森さんの写真隠してたし。 ―――と、 「神隠しだよ」りん、と澄んだ少女の声色がした。びっくりして振り返るとそこには三日月のようににっこり笑った少女が居た。「ど、どなたですか!?」とりあえず尋ねる。すると少女は笑みを深めて、 「魔女だよ」 と即答した。「は、はい?」もしかして残念な子かな。 マジカル~~~みたいな。「私は魔法は使えない。空を飛ぶことも、黒猫と話もできない。でも、魔女」あちゃー。また頭の緩いのが来てしまいましたかね。これならまだ埋葬機関の方々の方がマシな気もします。そのうちコリン星から来たとかいうのが機関を訪ねるんじゃないかと不安になります。まぁ、森さんとは会うんじゃないでしょうか、メイビー。「あの、お名前は?」「十叶詠子だよ」質問に対し笑みを絶やさずにそう答える。同じ女の子の僕も羨む、可愛らしい笑顔だ。華奢な体に綺麗な髪。長くやや透けたフレアスカートから覗く足は白く綺麗・・・。って何を観察してるんですか、僕は。・・・同じ女の子としてちょっぴり羨ましいです・・・。「ふふっ。貴女の魂の形は・・・ピエロだね」「へ?」いきなり何を言い出すかと思いましたね。「自分を隠して周りの為に動くピエロ・・・違ってるかな?」「いえ・・・ご名答ですね。自覚している通りです」確かにピエロだ。女の子である僕は男に扮して彼に接している。自分を隠して彼等の為に僕は動いている。「頑張りすぎはよくないんだよ?」十叶さんはそう言って僕の頭を撫でた。「そうですね」何だか優しい感触に、僕はふっと心が柔らかくなった気がした。ふと十叶さんが頭から手を離した。人差し指を唇に当ててこっちを見ている。「さて、じゃあそろそろ迷えるピエロを案内しようかな」笑みを深くする。「へ?」 「お友達の所に導いてあげる。私が開いてあげる。異界への扉を、ね」 言葉の刹那。ぐらりとゆれる意識。機関内部に漂っていた筈のオードトワレのライトブルーの匂いが消える。そして、変わって鼻を掠る匂い。 めぐりめぐる空気。「ひ~らりひひらりひひらりら~」踊っているおじさんが見える。見てはいけない。まるで枯れ草に鉄錆を混ぜたような異臭。空気が変わったのは明らか。そして場の変化も、一目瞭然だった。「ようこそ、異界へ」窓の外は黒い太陽に紅い空。無数の影が蠢く。知らない空間。だけど知っている。超能力が発動できるから。ここは、閉鎖空間に似ている。しかし異界だった。間違いなく異界だった。僕はそこで理解した。目の前の少女は間違いなく魔女だと。「おいで、ピエロさん」十叶詠子と名乗った魔女はそう言って歩き出した。「ところで、貴女はどうして僕達のところに?」「ん~、偶然かな。だから必然。必然でありながら偶然なの」「そうですか」駄目だ。言ってる事がさっぱり哲学過ぎて解りません。「しかし・・・どうして、ここに森さん達が?」「神隠しだよ」「神隠しですか?」「うん、神隠し」意味が解りません。相手にし辛いですね、こういう会話が成り立たない相手は。それにしても本当に笑顔が絶えないな、この人。ふと、その時。 ポロン、 という場違いなアコースティックギターの音がした。「わか~るわかるよ君のキモチ~でも~綺麗になりたいよね~」超感情の無い顔でへたくそな歌を歌っているのです。「影の人。暇そうだねぇ。そして下手だねぇ」と物凄いにこやかに言う。それに大して影の人と呼ばれた人は「お前に言われたくないな、魔女」と冷静に答えた。「私はCLEVER SLEAZOIDでこの前41点採ったんだからね」「ふん、甘いな。俺はハレ晴レユカイで94点採ったぞ」「ジー」「・・・CLEVER SLEAZOIDは42だ」「あー負けたー」二人とも片方無表情、片方笑顔のまま表情を変えずにそう言っていた。何だこの会話。ってか何を歌ってるんですか、貴方達は。ふと、その時。「にゃっぴー☆」という森さんの声がやや遠くから聞こえた。僕は急いでそちらに向かった。するとそこにはドロドロのグロテスクで気持ち悪い中身丸出しな神人と森さん達が戦っていた。「L・O・V・E! NYAPPY!!」森さんの”PRIDE・血祭りDEATHぅ(はぁと)コンボ”が炸裂しているけど、相手は流動状の神人。そのスーパーサイヤ人2000億体分の威力は全然効き目が無いように見える。助けに行こうとしたら、見えない壁が邪魔して進めなかった。大声を出しても誰一人こちらを見ない。向こうからは此方が見えないのだろうか。「可哀想だよねぇ・・・」いつの間にか隣に立っていた十叶さん、・・・っていつの間にポニテ?ってそんな事はどうでも良いですね。視線の先に居るのはドロドログロテスク、略してドロテスクな神人。「可哀想、とは?」「彼等の欠片はここに迷い込んで、ただでさえ出来損ないなのに更に出来損なってしまって」「どういう意味ですか?」「意味なんて無いよ。ただね、形の無い出来損ないには、死という形も無いんだよ?」無駄だよね。そう言ってクスクスと笑った。「・・・あれは死なないって事ですか?」「うん。死ぬ事なんてないよ? それ以前に全ての生物は死なないの。ただ回帰して、再びガラクタ同士が集まって生まれるの。つぎはぎだらけで」「・・・・・・」僕は森さん達を見る。見えない壁のせいであそこにはいけないから、祈る事しか出来ない。ふと新川さんが行動を開始したのが見えた。「こうなったら・・・」新川さんはそう言って定価・1000円のアタッシュケースを開いた。そして何かを取り出してガサゴソと着替えること30秒。どこからともなく当てられるスポットライト。そこに凄くヤバイ光景が浮かぶ。 「魔法少女あらかわんここに参る☆」 ゴツゴツの筋肉質な体で色黒の肌をした老人が魔法少女の格好。全身タイツみたいな格好だから股間のもっこりが強調されてる。ピンク色の衣装を着た黒いダンディーな良い肉体のおっさん。それは物凄くキツかった。隣に居る十叶さんをちらりと見る。笑みは、やはり絶えてない。ただ目には涙が浮かんでいてぷるぷると震えていた。この口が開いたら多分絶え間ない笑い声が轟くんだろうなと思う。実際、キモチは悪いけど物凄く笑えるから。「多丸ブラザーズ」「超・変身!!」二人もそう言ってマリオブラザー●の格好をする。ちなみに今の状態の新川さんは通常の4000万倍の戦闘能力。ちなみに通常時は手抜いた森さん2人分。多丸兄弟は通常の半分以下の戦闘能力になる。元がマイナスなので上がってるといえば上がっている。森さんはまだコスチュームチェンジしないようだった。っていうかするのを見た事がないですね。「あらかわん☆パンチラアタック!!」これは子供が見たら非常に泣く光景ですね。食事中なら一家みんなで吐きますね。っていうかあらかわんの方がグロデスクですね。蓮コラなんて怖くないです、あれを見たら。「決めポーズ。きらりーん☆」やめて、新川さん。ウインクしてピースはやめて。決めポーズっていうかきめぇポーズですね。そうですね。えぇ、否定させませんよ。ふと、その時。遠くから何かの音がした。「・・・何の音かな?」十叶さんが笑みを消し、そう言ってキョロキョロ周りを見渡す。「地獄が来る・・・」森さんがそう言っているのが聞こえた。「あ」隣で十叶さんがそう呟いたのが聞こえた。上を見ながら。つられて僕も上を見る。すると、上空から全裸の新川さんが大量に落ちてきていた。チ(*゚ヮ゚)コが見えて、思わず目を瞑って、逸らした。「あ・・・見ちゃった・・・見ちゃったよぉ・・・・・」僕だって女の子ですしあれを見たら恥ずかしくなります。まだ処女ですし。それに、キョンくん以外のは不潔だっていうのが僕の定義ですから。「巻き込むなぁぁぁぁあああああ!!」「俺の性感帯がぁぁぁあぁああああああ!!」目を逸らしてるせいでどんな状況かわからないけど多丸兄弟の声が轟く。「あらかわでーす」「あらかわでーす」「あらかわでーす」「あらかわでーす」「しずかでーす」「あらかわでーす」ミニドラの声でそれは呟いている。目は逸らしているから状況はわからない。ただ一人違うのが混じってるのには何とか気付きましたよ。しかもミニドラって事でそっちのしずかなのか、あらかわのしずかなのかややこしいですね。「行け、我が分身よ! あの神人に白いジャスティスビームをぶっかけろ!!」それって思いっきりあれのことですか。騒々しそうになった自分の頭をぶんぶんと振ってビジョンを振り払う。「男の人の観察観察~♪ ・・・体験したことないし」森さんがそう言っているのが聞こえた。っていうか貴女も体験無しですか。と、 ドカーン!! 何故か爆音が轟いた。「・・・地獄ね・・・」と、隣から十叶さんの震えた声が聞こえた。何が起きたのかこの人は直視できたのか、全裸の新川さんだらけなのに。僕も何とか状況を確かめようと目を開いた。すると、「あ・・・あれは・・・・・」全裸のエアーマンが立っていた。チ(*゚ヮ゚)コはサポーターをはいてくれているおかげで見えません。はぁ・・・良かった。初な僕にはあれはキツいです・・・本当に。ドロドロの神人は全裸のエアーマンを見るや否やドコモダケの形をなした。理由は多分ないんじゃないかと思う。だって、ドコモダケ関係ないですし。そして、全裸のエアーマンとドコモダケは対決を開始した。どかーん。ばしーん。ぐおーん。結果。四秒でエアーマンが勝利を収めた。「ぐぉおおおおおお!!」エアーマンはまばゆい光を放って新川さんに戻った。どうやら神人を退治が完了したみたいですね。ふとその時、何か耳鳴りのような物を感じた。「あ・・・異界が元に戻る」「え?」十叶さんの声がして、再び空気が揺らいだ。今度は”異界”に来る時よりももっと激しい揺れだった。「人と久しぶりに話せて楽しかった」クスクスと笑いながらそう呟く十叶さんのささやきが聞こえた。意識が薄れていく。・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・。 ・・・。「―――・・・ちゃん! いっちゃん!」「・・・ん?」「良かった・・・気がついたんだね・・・もりりん、安心だよ。。。」僕は気がつくと機関の人々に囲まれていた。森さんは抱きついて泣いてて、新川さんは渋い顔で僕を見てて、多丸兄弟はマリオの格好のまんまだ。「・・・さっきの空間は・・・一体・・・?」「あれはな、いわゆる断片化されたファイルを処理するデフラグのような空間だ」「・・・デフラグ、ですか?」「あぁ。お前がやるには危険過ぎる任務だ」新川さんはそう言ってタバコを一本火を吐けて吸った。「そういう古泉はどうやって来た?」「え? 何か十叶詠子って女の子に誘われて・・・」一瞬新川さんの表情が変わった。が、「あっそ」と軽く受け流した。きっと触れてはいけない事なんだろう。「・・・それにしても」十叶詠子って何物だったんだろう。やっぱり気になる。「あ~、っていうかさ」「おなか空いた」「では、CoCo壱番屋にでも行きましょうか」「もりりん賛成、きゅぴーん☆」何はともあれ。無事に一日が終わったのなら、良いか。「あ・・・そうだ」 翌日。「こんにちは」「ん? 古泉か」「どうしましたか、憂鬱そうな顔をなされてますが?」「別に。ただ夏休みボケだ。あと少しで夏休みが終わると思うとな・・・・」「そうですか。目覚めの一発、スペシャルマッガーレ!!」「ア・ア・ア・ア・ア・アッー!!」その隙にキョンくんの・・・その・・・チ(*゚ヮ゚)コを見てみました。えっと・・・恥ずかしくて・・・あんまり見れなかったんですけど、その・・・。お父さんと最後に風呂を入って以来・・・その・・・は、初めてじっくり見たので多分忘れる事はないと思います。わ、忘れたいんですけど・・・キョンくんの事は好きだし・・・。そ、それに・・・も、もしもですけど、・・・ぼ、僕が女の子だってことを彼が知って、そ、それで・・・。その展開になったとしたら・・・と、とても・・・えっと・・・そのぉ・・・えっと///「はぅ~・・・」「こ、古泉? おーい! 古泉ってば!!」 恥ずかしくて、恥ずかしくて、失神して保健室に送られちゃいました。
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