涼宮ハルヒのVOC 第二話


ハルヒが「初音ミク」と言うソフトをお披露目した次の日。

俺はいつもどおり妹のボディプレスを食らい、学校で睡眠学習し、そのたびハルヒのケシカス迫撃砲を受け、そして昼の時間がやってきた。

いつものメンバーで食事をする。
「だからなぁ!!俺は二次元のよさに目覚めたんだよ!」こんな馬鹿馬鹿しいことを大声で演説しているのはご存知、谷口である。
「お前らも一回、騙されたと思ってニコ動見てみろって!!三次元に萌えが見出せなくなるぜ!」
高らかに続けたが「遠慮しとくよ。」「遠慮しとこう。」
国木田と俺の満場一致で谷口の案は却下された。
谷口は残念そうに「なんだよ~初音ミクとか最高だぜ!?な?一回見てみろって!」

・・・・・・今なんと言った?

「・・・ぁあ!? 初音ミクだよ初音ミク!知らんのか?有名なVOCだぞ?」

ああ、知っている・・・・・・などとは言わない。

なぜなら、面倒なことになるからだ。その後も、谷口の適当な萌え話に適当な相槌を打ち、昼が終了した。

ふむ・・・歌ってくれるといっていたな…

俺はその初音ミクとやらがどのような声をしているのか、などと考えているうちに、午後の授業も終了し、団活の時間が始まった。

ハルヒは掃除当番らしく元気な声で「先に行っててっ!」といい、部室とは逆方向に走っていった。

さて、部室前だ。
コンコン とちゃんとノックをしてから入る。

ほぉーら。あの声が、今、俺の耳にはいt・・・

「どうぞ、入ってください。」
字じゃ分からんかもしれないが、聞こえてきたのはハンサムGUYの声だった。
少々不機嫌な顔でドアを開ける。

やはり、中にいたのは古泉と長門だった。

「朝比奈さんは掃除当番で遅れるそうです。連絡がありました。」

ああ・・・朝比奈さん…なんでこんな奴に連絡を…
ますます不機嫌になったのでボードゲームを準備して待っていた古泉を無視してパソコンを起動させる。いつもより立ち上がるのが遅い。
「ギ…ン   ォ…ン」
ん?変な音がきこえる?…いや、気のせいか。

「どうやら機嫌を損ねてしまったようですね。」
アーアー! キコエナーイ!!

古泉は肩をすくめ、詰め将棋をしだした。

俺はと言うと静かに本を読んでいる長門の死角にディスプレイを移し(まぁ無駄だろうけど)隠しフォルダを表示させた。

今日お眼にかかることのできなかったmyエンジェルを拝むためさ!!

さて……と!?
俺は驚愕した!! 隠したはずの場所にmikuruフォルダがない!

まさか!!ハルヒに見つかって消去されたのか!?
「古泉!!」俺はかなり錯乱しながら聞いた。
「何でしょうか?」「最近閉鎖空間はでたか!?」

たのむ!!俺は半ば祈るような気持ちで聞いた。

「どうしたんですか?・・いえ、特に観測されてませんが?」
安心した。「そうか…ならいいんだ。」

それなら誰が・・・?
俺はひらめいた。効果音が出るくらいに。
きっと昨日の初音ミクの準備工程中に間違って消えてしまったに違いない。
そうであったと信じたい。

「おまたーーー!」「お待たせしました。」
朝比奈さんとハルヒの二人がやってきた。
朝比奈さんは「お茶いれますね~」といい、せっせとお湯を沸かし始めた。

ハルヒは俺の前までズカズカと歩き、

「ちょっとキョン!!何パソコン開いていやらしい顔してんのよ!さてはエロサイトね~~?」

断じてそんなことはない!!

だがハルヒは案の定俺の話なんぞ聞いてくれるわけがなく

「罰として次の不思議探索はキョンのオゴリッ!覚悟しときなさいよ~~!!」

またか・・・コラ古泉!笑ってんじゃねぇ!
「フフフ…すみません…」
「もう怒った!今日は全勝してやるからな!」といって古泉の向かいの席に移る。
「望むところです」

ハルヒはイヤホンを耳につけパソコンをいじり、朝比奈さんはお茶を作り、長門は読書、そして俺たちはボードゲーム。これもいくつかパターンのある日常のひとつだ。

やっぱり古泉は弱かった。

飛車や角を俺の歩の前において得意げに「どうぞ?」なんていってやがる。まだまだだな。

もうそろそろ団活も終わるかな、という時刻になって、
「できたぁ!!」ハルヒが耳からイヤホンを撒き散らし叫んだ。

「何ができたんだ?」
「聞いて驚きなさい!」ハルヒはパソコンのスピーカーをこっちに向けた。

するとハルヒが文化祭で歌った曲のイントロが流れ出した。
軽音部からコピーしてもらったのか?と思ったが、
「「~~~~♪~~♪」」

聞こえてきたのはまったく別人の声だった。
俺はハルヒに質問してみた。「誰が歌ってくれたんだ?」

「ふっふっふ・・・この!!ミーちゃんよ!!」

???誰だミーちゃんて?

「初音ミクちゃんよ!! ミクだからミーちゃん!!」

短絡的なネーミングだなぁ・・・だが声は悪くない。とても透き通っている。機械ってこんな事もできるんだな。

「いい声してるな」と言ってみる。
するとハルヒは「当たり前よ!!何せあたしが選んだ初音ミクなんだから!!」

「「・・・アリガトウ」」

ん?誰だ?
「誰かなんか言ったか?」

「言ってないわよ!あんたエロサイトの見過ぎで頭おかしくなったんじゃないの?」と、ハルヒ。それは言いすぎだろ。

「何も聞こえませんでしたが?」と古泉
「なにも。」と長門。お前久しぶりにしゃべったな。
「聞こえませんでしたけどぉ?」これは朝比奈さんだ。

・・・空耳か
「下らないことに時間つかわないの!じゃあ今日はもう解散!!」

空耳・・・だよな。
俺は家のベッドで自分に言い聞かせて無理矢理納得した。



深夜。部室にて。


「プツン!ジーッ!・・・ゼンショウ全勝・・・ヘイサクウカンヘイサクウカン閉鎖空間・・・スミマセン・・・・オゴル コエ・・声・・・アリガトウ・・・アリガトウ・・・アリガトウアリガトウアリガ!プツン!」

「ギョ ぉ゛ ン゛」

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最終更新:2007年11月25日 17:22