Theme of love between mikuru and kyon
 
せっかくだから終わらせてしまおうと思ったので完結してあります。季節がちょっと違います。英語あってんのかなあ
 みくるさんとキョンくんしかでてきません。
 
 
 
 
 
 
 
 朝比奈さんと旅行をすることになった。知っての通りあまり口外できるものでもなく、ひっそりと冬の三連休11月24、25、26に行くということになった。
 ―行き先が日光なのは、紅葉の枯れかかった山の色が好きとかいう年寄りくさい発想でもなく、手軽だからという感じだったと思う。
 インターネットでホテルの予約をとるとき、二人して顔を紅くしてパソコンの画面を見つめたりして、うれしはずかしといった感じだった。
 と、いうわけで日は過ぎて。
 
 
 11月24日。
妹が入ってないかよくバッグをあさったりして、朝6時には待ち合わせの駅に着いた。朝比奈さんは先にいた。まだ薄暗いなかでも目立つ、白をベースとした暖かい格好で思いっきり手を振ってきた。
日の出がまだだった。駅前の暖房の効く店内でチーズバーガーとコーヒーとポテトを二つずつ待っている時に朝日がさしてきた。コーヒーを飲んで、「五臓六腑に染み渡るなあ。。」なんて言葉に笑う幼い顔が可愛かった。
朝から手を繋ぐのはちょっと、はずかしかったので、俺の荷物と朝比奈さんの荷物を両手に持って歩いた。
車内はちょい通勤ラッシュということで、座るところが無いので、ドアに二人でよっかかった。車内の空気が琥珀色の橙に見えた。
大きな長いガラス越しの、朝日に照らされる町がなかなか綺麗だった。すぐ乗り換え。浅草へ。
しりとり?ああ、、やりますか。
リンゴ「ゴリラ」ふふラッパ、、。
しりとりは終わらずじまいのまま浅草には7時半に着いた。日光行きは9時頃の特急に乗ろうということで浅草寺へ行く。
「浅草のデパ地下でお弁当買いますか。」
「作ってきました。」
 楽しみですね。という会話は橙の空気の中の車内であった。
 大きな提灯の前で初老の男の人に写真を撮ってもらった。
「恋人かい?」と聞かれて。
「はい」と異口同音なのはやはりいいなあ。
 はずかしがらずに言えるのはまだ先みたいだけど、俺も。
 浅草寺に行くまでの店であげまんをかった。いけませんか?
 なんか大きな線香入れみたいのがあって煙が出ている。ちなみに、大きな線香いれみたいなやつ。の、線香入れと称されるあの壷のようなものの名もわからない。お仏壇の前に供えられている?ものだ。朝比奈さんがなんの躊躇もなく大きな線香入れみたいのがありますね。と言ったので俺もそう呼ぶことにしよう。
あの煙を悪いところにつけるというかかぶるとそこが悪くなくなるらしいですよ。と。言った。
朝比奈さんはどこにつけるかなー。顔?嫌味かな。
「しっかりしようと思って。」
「そ、そこも悪いところではないですよ。」と言って俺も頭につけた。
 神社の前の階段を上り。賽銭を投げ入れ、パン!パン!お参りをして目をつぶって願をかけるとき、どんな顔して祈っているのかと朝比奈さんを見れば、朝比奈さんと目があった。えへへって笑うなよ。抱きしめたくなる。
 とまあ旅行が無事にうまくいくことを祈って。おみくじ売り場へと階段を下る。
「なんて祈ったんですか?禁則事項ですか?」
「そうです。禁則事項です。」
 そうですか。はは。
 吉が俺で、朝比奈さんが中吉。
「朝比奈さん。くくらなくてもいいんですよ。凶じゃないんですから。」
 
 
 
 特急券を買って、しばし寒い閑散としたホームで待つ。太陽さまは相変わらず街を橙色に染め上げている。
 隣同士に座る。ベンチの近くに鳩がいる。
「鳩ってあんなに首振って大丈夫なんですか、、ね。」朝比奈さんが虚ろな目をしていった。
「眠いんですか?」
「いいえ。」
 茶色い髪を頭ごとふわっと肩に抱きしめた。
「ちょっと寝ても大丈夫ですよ?」
「えへへ。」可愛いなあ、、。
 キョンくんよろしくね。と言って肩によっかかってきた。心地よい重さ。
 「よろしく」がいつの時間帯をさすのか。これからずっとか、それとも旅行についてか。
「ずっと、、。」
 倒置法ですか。小悪魔ですね。と思ったね。
 鳩が飛びだった。俺たちの進行方向へ飛びだった。鳩でもあれほど長く長く飛べるのか。俺は見えなくなるまで鳩を目で追った。左肩に暖かさを感じながら。
 鼻歌をしてみる。曲はもみじ。秋の夕日にふふふふもみじ。
 ふーふふふーふーふーふーふんふーふーふーふんふーふーふー。
 優しげな風が背中の方から吹いてきた。なんか朝比奈さんが香る。シャンプーとリンスのにおいだ。良いにおいだ。
 俺達の乗る電車がやってきた。が、後10分ぐらい待たなければいけない。車内を清掃してもらうのだ。起こすことないし、もう少しこうしていたかった。
 ふーふふふーふーふーふーふんふーふーふーふんふーふーふー。
 ふーふふふーふーふーふーふんふーふーふーふんふーふーふー。
 もうそろそろ行こう。
「朝比奈さん。電車来ましたよ。」
 ここでキスはしないほうがいいだろうな。
 朝比奈さんのバッグを持ってあげる。彼女はベンチを立って俺の左肩の代わりに左腕を抱いた。
 いやあ心地よい重さだな。
 電車の中で花札とかしましょうねと言われた。
「そうですね。ところで窓際と通路側どっちがいいですか?」
「ひざの上がいいなあ、、。」
 小声でなに言ってんだこの人
「キョンくんこれからよろしくね。」
 小悪魔ですね。と思ったね。
「あたしはどっちでもいいかなあ。」
 結局俺が、通路側だった。俺も朝比奈さんの隣ならよかったんだ。景色より朝比奈さんです。
 静かに電車が旅立った。隣に朝比奈さんがいる。車内には眩い黄金の光が差している。
 ―2両目のトイレ側の2席で、通路を挟んで隣に人はいなかった。駅からとってきたパンフレットof日光を二人の間で開く。ああ、なんかいいなあ。
隣を見れば、「夕ご飯はなにがいいかなあ、、、。」と言ってまじまじとパンフを見る彼女がいる。ホテルの料理が高いので、夕ご飯は外で食べることになっている。
「俺が決めてきましたよ。輪王寺とかの近くにあるレストランです。」
「楽しみだなあ、、。」
「ね。」
 
 
 
 
 彼女の一喜一憂が、、楽しい。札がめくられるごとに口から目から体まで反応する彼女を見続ける。特に、口の前に札を当てて笑みと興奮を隠そうとする仕草はいい意味でやばかった。
 花札で賭けようと言ったのは朝比奈さんだった。彼女が可愛らしい小さなノートを千切り、その一枚一枚に何か書いた。上に「いうこと聞く券」と書かれたその紙。
「この券に書いたことを絶対に守らないといけません。勝った方にあげます。えへへ。」
 なんつって5連敗している朝比奈さん。一枚取るまでは止められないようで、見事6連敗を達成した彼女は目がうるるとしてきて、7連敗して泣いた。
 僕はしかたなく彼女に二枚プレゼントした。5枚あれば十分楽しめる。彼女はその可愛い「いうこと聞く券」を大事そうにポッケに入れた。
「キョン君昼食にしませんか?」
「いいですね。俺お茶買って来ますね。」
「はい。よろしくお願いします。」
 販売車でお茶とチョコとペンを買って、俺はなんでもいうこと聞く券を取り出した。
買ったばかりのペンで「食べさせて下さい」と書く。
楽しい旅が始まるなあ、、。と強く思った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ぉぉおぉぉおぉお。ついたあああああ。さみー!ふぅー
息がすこし白い。肌に刺すって程ではないにせよ、やっぱ寒い。11月24日。正午頃。二人は日光に到着した。ホテルまでまず歩くのだが、、。徒歩20分といっても上り坂じゃないか、、。
朝比奈さんの荷物を持って進む。
なだらかだといえども坂を二人ぶんの用意で上るのは容易ではない。しゃれだ。
ああそう。弁当はうまかった。
食わしてもらうっていう券を渡したときの顔といったらなかった。写真をとるべきだっただろうか。まあまだまだ時間はある。俺はバッグにあったカメラを首につるした。
「朝比奈さん寒いですね。」
「そうですね。」
 朝比奈さんは俺の左前を歩いていく。俺が車道側。車はあまり多くない。メインストリートなのか知らないが、お土産やさんやら日光彫りやさんやら羊羹やさんやらがあって、まだ、シャッターに閉ざされた店よりかは、ひっそりと日光らしく営業している店のほうが多かった。
 そのうちの3つぐらいのお土産やさんに寄って、家族にあげるお土産を買った。Sos団に日光のお土産を買っていったら、それは大変なことになるだろうで、やめた。sos団のことを言っているとしらけてしまいそうなので、それは暗黙の了解ということで黙っていた。
 日光の観光名所というと、神橋と二荒山神社、輪王寺、東照宮が浮かぶ。もちろんそこには行く。あと紅葉は終わってしまったが、奥日光がある。湖とスキー場?
 基本的な予定としては、24日の午後に日光探索を済ませ、25日の午後は奥日光でまったりする。スキーはなんか骨折しそうで怖いのでしない。
 奥日光のペンションを調べていると、なんだかすばらしい奥日光の写真があった。桟橋 月 道という題名の写真だ。左右はそれほど広くないのだが、奥行きがある湖。それを月が照らすので、道が見える。そして桟橋。なんだか神秘的な写真だた。
 朝比奈さんが感嘆していたので、その写真を実は印刷してあったりする。それは今俺のポケットに入っている。現地の人に聞いてみて、その景色を見せてやる。キザっぽいのもいいじゃないか。
 いいよね。
「朝比奈さん弁当おいしかったですよ。いやほんとに。」
「ふええ。」
 キョンフラッシュ!
 こんなことをしているうちに着いてしまう。「月の橋」というホテル。4階建てでテラスがあったりする。奥行きもなかなかあって、ちょっとしたゲーセンや、ちょっとした庭園や、豪華な温泉があったりする。
赤いカーペットの床のロビーは暖房が効いていた。チェックインを秒速で済ませ、三階へ上がる。エレベーターでなんだかドキドキする。。
 俺達の部屋。菖蒲の間。あやめのま。どんな花だかはわからないけどいい名前の花だと思うってな話をしたりしながらドアを開ける。
「うわあ。広うい。」といって部屋で踊る朝比奈さんをトイレにいっているフリをしてビデオで隠し撮り。
 気づかれて怒られて一段落。
 ただいま一時ちょうど。早速出発しようということで東照宮へ進む。ロビーから外に出るとき寒かった。そりゃ寒いさ!冬だもの!
東照宮は目と鼻の先であった。しかも通り道の、車も走るような橋から、神橋がなかなか大きく見えた。外国人が写真を撮っていた。神橋にはやはりオーラみたいなものがあって、外国人ならずとも目に焼き付けておきたくなる。旅行だという実感が体の中に満ちて、俺達のテンションも上がってくる。旅行はこうでなくっちゃね。
 神橋の力なのか、下に流れる力強い川は、青と白と透明と、緑が混ざった美しい色だった。神橋の紅さと、神橋の裏の茶色い枯れ木がどっしりとある。
「わびさびと力強さと派手さがいい具合に混ざっていてすごいですね。」
 可愛さと儚さと愛が混ざった朝比奈さんには負けそうですね。なんてことを口走りそうになった。テンションのせいだ。
「本当にすごいですね。」目を見開いて閉じずに朝比奈さんが言う。
 かぁいいので、テンションに乗ってしまおうかと思う。
「可愛さと儚さと愛が混ざった朝比奈さんには負けそうですね。」
 
 
 なんだか、表すならスターをとってしまったマリオのように、俺は羽目を外し続けた。そのせいで朝比奈さんも外れた。めちゃくちゃ笑いながら東照宮を廻る。
 それでもハルヒのことは話せない。スターでも落とし穴には敵わない。
 それはおそらく朝比奈さんも同じことを考えていたのだ。学校の話になると少し空気が変わった。できれば、、全て話し合えるようになりたい。
 でも、そう。最悪の事態のこと。もしもの時は、、一緒に死のう。一緒に消えてしまおうと思っているなんてことは言えない。まだ、、言えない。
 愛の告白も、勇気を出して俺が言ったわけではない。なんとなくこういう関係になってしまっただけだ。
 ―俺には勇気がないのだ。ハルヒが世界を改変するならば。朝比奈さんと一緒に消えて去ろうと思う。
 それを言う勇気が無いんだ。
 今、隣で朝比奈さんは鶴屋さんのことを話している。この笑顔も口も声も好きなのに。どこか茶化したような愛の確認しかできない。
 強がる俺を嫌いにならないで欲しい。
 恥ずかしがりやだからしょうがない。そんなのは小学生までだろう。
 勇気を出さなければいけない。
「でね、鶴屋さんがニョローンって言ったの。おもしろいよね。えへへ。」
 気がつくと随分歩いたらしく。東照宮の出口が目の前にあった。大きな紅い門があった。
 朝比奈さんの手を強く掴んで、俺は力強い足取りで出口を後にする。
「次いきましょう。」朝比奈さんの目を思い切り見つめて言った。空回りしている感じがあった。
「朝比奈さん!好きですからね!」
 俺の手はちゃんと朝比奈さんを掴まえているか?握り締めているか?空回りしていないか?この、手に感じる暖かい手を。ちゃんと繋いでいるか?
 ずいぶん空回りしていたようで、早足になった俺と競争するようにして、左右を灯篭に囲まれた一本道を、朝比奈さんは笑いながらスターみくるのまま走って行った。手は繋いだまま。僕たちは寒い風に立ち向かって走って行った。
 一人は戯れの競争だと思って走る。
 俺は大きな大きな決心を抱えて走る。
 手を繋いで。
「次は二荒山神社と輪王寺ですよ。」
「おっしゃあ!」
 
 
 
 日光に来て良かったなあ。と思う。
 東照宮やらの近くのレストランでそう思った。
 飯がうまい。水もうまい。
 朝比奈さんは可愛い。―不変だけれど。
 東照宮も二荒山神社も輪王寺もいい。
 飯を食い終わってホテルへと帰る外灯が頼りなく道をゆっくり歩く。山に落ちてしまったお日様は暖かさと光を与えることを止めてしまった。
 俺のコートで朝比奈さんを包み、本日二回目の神橋を見る。
 下からライトアップされた眩しげな神橋を見て、朝比奈さんが一言言った。
「日光に来て良かったですね。」
「そうですね。」俺が答える。
 川の音。朝比奈さんの声。弾ける水の匂い。朝比奈さんの髪の匂い。空気の味。朝比奈さんの髪の感触。俺は掴まなくてはならない。風化してできた関係なんて、風化してしまうんじゃないだろうか。え?よくわからない?まあ自分でなんとか掴んだほうがいいだろうということ。
杭を。そう、杭を打たなければ。時間の流れに頼っていては、俺の欲しいものは掴めない。不変。不変だと言うこと。この、ただただ続いている関係のリズムに、終止符をつける。
―この旅行で。
「、、朝比奈さん。あの券使わなくても、キスしてくれますか?」
「、、、はい。」
 神橋がよく見える橋の真ん中でキスをした。過ぎ去る車のヘッドライトが僕らを照らした。朝比奈さんの目が、色とりどりの光を反射していた。
「さあ、帰りましょう。明日も早いですし。温泉に入って部屋でいちゃいちゃしましょう。」
 照れた朝比奈さんを、神橋をバックグラウンドにして写真に収めた。
 
 
 こうして一日目の観光が終了したわけだ。温泉は混浴じゃない。神橋は見えなかったが、連なる大きな山たちが綺麗だった。旅行客のおじさんたちとお風呂で話しをした。
 浴衣を着て早足で部屋に戻る。鍵は俺が持っているから、朝比奈さんを待たせてしまっていたら嫌だ。
 待っていなかったらしい。鍵を開けて部屋に入る。
 部屋に戻った頃には、6時を過ぎていた。サービスということで、布団を敷いてくれていた。布団がくっついていた。まあそこにはノータッチでそそくさと風呂に逃げていったわけだ。
あはははははは。
 旅行が決まった時から予感はしていたが。あはははははは。
 朝比奈さんを思い浮かべながら寝たこともある。
 なんだか笑ってしまう。
 朝比奈さんだって拒まない。
ちなみにあの券は使わない。俺はもう何かに頼るのは自重したい。
 ここでしないのは失礼だ。部屋の中は畳の匂いと蛍光灯の光りに包まれていた。
 朝比奈さんがシャンプーを香らせてやってきた。
 、、、、、。
「いいお風呂でしたね。えへへ。」と言って俺の前を通って布団に座ってテレビをつけた。
 どうやら布団のことには触れないと決めたらしい。足元を無視する気らしい。
 かわいい。照れているんだ。
「朝比奈さん。布団くっついてますね。」
 朝比奈さんは思い切り動揺した。気づいていないフリは無理がある。
「朝比奈さん。布団くっついてますけどどう思います?」少しいじめてみる。
 朝比奈さんは黙ってテレビを見ている。
 背中から襲いたい衝動をなんとか治めて、朝比奈さんの顔が見えるように座る。
「ねえ朝比奈さん。って!ちょっと!」
 泣いていた。朝比奈さんが唇を八の字にするように噛んで泣いていた。
「ええ?!なんで泣いているんですか?」
 だって、、だって。という声。
「だって、私たちの繋がりが、、どんどん大きくなっていくんだもん、。うれしいんだよ。キョンくんが言い出してくれて、旅行して、好きだって言ってくれて、キスして、私が愛されているのがわかってうれしいんだよ。一番したいことも、こうして叶ってしまうんだ、、。」
 聞いたことがあるような言葉。そうだ。俺の心の奥から発せられる言葉と同じ。愛の確認がいかにすばらしいか。
 好きだと言っても言い足りないが。俺には好きだというしか無かった。
 何回も言った。泣き止むまで言おうと思った。
 
 
 
 
 
 
 ―まあセックスとは言えなかっただろう。キスをして強く抱きしめあっただけだ。好きだと言い合いながら。おっぱいやあらかかったよ。
 朝になっていた。朝日もまだ出ていない。冷え切った外気は、青色にも見えるように透き通っていた。
 寝顔にキスをした。まだ朝5時頃なのだろう。旅館がしーんという音を立てていた。朝風呂に入らない手は無い。
 置手紙をして財布と着替えを持って部屋を出る。オートロックだ。鍵を持って行く。温泉に行く途中、テラスから、大きな雪が降ってるのが見えた。
 一緒に死ねるさ。もしもの時は一緒に死ねるさ。あの場所で俺はそれを言う。早く場所の特定をしないと。今日は晴れないのか。月の道は見えるだろうか。
 早く風呂に入って、用意をして朝ごはんを食べて、奥日光であの場所を探そう。そして言おう。
 
 
 
 今日も寒い。チェックアウトを瞬速で済ませて、バスで奥日光へ。
 ちょっとだけ朝比奈さんの目が腫れていた。
 俺によりかかって寝る朝比奈さん。
 今日もたのしく行けそうだ。らららん♪
 
 
 
 着いた。湖沿いのペンション。Kid Lake。ロビーからなにから木の温もりが感じられるペンションだ。
 朝比奈さんをトイレに行ってくると騙して、場所を主人に聞いてみる。
「この写真はどこで撮られたものだかわかりますか?」
「ああ!わかるよ!」
 
 その場所には主人がワゴンで連れて行ってくれた。
 
 
 ―俺は、言った。
 もしものことがあったら、―一緒に消えよう。と言った。
 山に囲まれた湖の端の桟橋の上。月と月のてらす道を見ながら。晴れたのだ。でかい月だった。
 彼女は泣いていた。
 彼女は一枚の券になにかを書いて俺に渡した。無音という音が静かな湖畔を演出する。
 
 ありがとう。
 
 
 
 
 
 
 
1日後。彼女は、消えた。
 
 
 
 SOS団に行くと、夕日を反射するテーブルの上に、一枚の紙があった。
 
 
 
 わすれて。
 
 
 
 
 彼女は、消えた。遠くに消えた。
 ありがとう。わすれて。という紙を残して消えた。
 俺は、言ってはいけないことを、言ってしまった。
 愛を確かめたら彼女は消えてしまった。
 
 泣いた。たくさん泣いた。朝比奈さんが消えた。
 泣いた。泣いた。
 
 旅行の次の日彼女は消えた。未来へ、、帰ってしまった。
 
 ありがとう
 
 俺の手元にある6枚の紙。四枚は、可愛い字で、いうこと聞く券と書いてある。
 そしてありがとうという文字。
 
―わすれて。という文字。
 俺は朝比奈さんが好きだ。泣いた。泣いた。朝比奈さんの写真を見て泣いた。車のバックライトに照らされた瞳。うるんでいる。驚いて振り向いた顔。驚いている。月を見て笑う彼女。神秘的ですらある。あった。
 
 うわああああああああああああああああああ。
 ええああ。朝比奈さん。朝比奈さん。
思い出がよみがえる。
布団で泣く顔。ふわりとした髪。手。瞳。
 
 うわああああ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 キョンくん!キョンくん!
 
 起きたら、目の前に朝比奈さんの顔がある。
 
 朝比奈さんが、バスの中で俺を抱いて慰めている。
 
 夢だった。
 
 まだ奥日光に着いてすらいなかった。
 
「どうしたの?キョンくん?」
 
「朝比奈さん。僕は寝ながら泣いていたみたいですね。」
 
「朝比奈さん。俺は朝比奈さんのことが大好きです。」喋りながらも涙が零れていく。顔も崩れてきた。
「朝比奈さんはどうですか?」目が熱くなって、目に涙がたまる。
「朝比奈さんは、消えませんよね?俺と一緒ですよね?これからずっとよろしくって言ってくれましたよね?みくるさん。」大粒の涙に変わる。
 
「キョンくん。」
「心配しないで、あなたが私を好きな気持ちより、私があなたを好きな気持ちの方が、ぜったいに、大きい、から。」
 バスの窓からは、真っ白な雪しか見えない。
 しんしんと雪が降っていた。
 
朝比奈さんの膝で泣くことしかできない。好きという気持ちの洪水だ。涙と声しか出ない。今までで一番泣いている。しかもとてつもなく熱い涙だ。
 
 
「心配しないで、あなたが私を好きな気持ちより、私があなたを好きな気持ちの方が、ぜったいに、大きいから。」
 
  朝比奈さんの膝で子守唄に包まれた。

 

 そのとき朝比奈さんは速い時間の流れを少しだけ遅くしてくれたのかもしれない。朝比奈さんがかわいかった。膝枕って接地部分は太ももだよなって思いながら、太ももの上で泣きつくした。

「大好きだから。それだけで証明できるよ。信じて。」

 

 そうだ。どれだけ好きかを表すことが、難しすぎるんだ。

 だから俺は泣いているんだ。

 俺が朝比奈さんを好きな気持ちを理解して欲しいんだ。

 泣くしかないんだ。しょうがないんだ。

 一緒にいる時間が愛を示すならば俺は未来永劫いるさ。

 抱いた回数が示すならばずっと離さないさ。

 だから消えないでくれ。このわからずや。 

 
 

 

 

 

 

 

「わからずやですね。キョンくんは、、、。死ぬほど好きですよ。そんなに駄々っ子みたいに泣きながら掴まなくてもいいんですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

 よくここまで書いたなあ、、。
 ありがとうございます。俺書いてる時に泣いちゃったけど読み直してみたらぜんぜん泣けなくてワロタ。異常愛みたいのをかけたらなと思って。まあできなかったけど。キョンくんが途中からキョンwwwになってますね
 Theme of special love mikuru and kyon
 Theme of crazy love mikuru and kyon
 
 題名は異常愛のテーマみくるとキョンの間の。って思ってつけた。英語苦手だ。
 ここまで読む人がいなかったならば、この文は生まれなかったわけだ。誰かが読んでくれたからよかったと思う。
 途中飛ばしでもここよんでくれた人がいたらいいな。心からありがとうございます。まあ頑張って書いたんだからのせたってバチはあたらないよ。ガタガタ
 
 新参者というか。まあ本当は違うのですが。なにか不適切なことがあると思われたかたがたには、お詫び申し上げます タグってなんだろう、、?改行はシフト+エンター?
 
January 10

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最終更新:2008年01月10日 04:31