すっかり暗くなった廊下をまとまって歩くSOS団。
長門とハルヒが先頭、その次に俺と古泉が並んで歩き、その後ろに隠れるようについてくる朝比奈さん。
やれやれ。まさか本当に幽霊なんか出ないよな。
―――――1時間前
「あたしね昨日怖い映画を見たのよ」
「そうか。どうだった」
「全然怖くないの!!音とかでビックリさせるだけだし。それとお化けが美人なのはなんで?!全然怖くないわ!もっとグロテスクにするべきよ」
ハルヒよ。まさか幽霊探しとかホラー映画をとるとかいいだすんじゃないだろうな。
「それもいいわね・・・あ、キョン!怖い話をしなさい!あたしが眠れなくなるようなとっておきのやつ」
お前が眠れなくなるようなものを聞かせたら、既に怖がっている朝比奈さんが卒倒してしまう。だいいち俺は怖い話などできん。
「なによ。つまんないわね」
朝比奈さんはほっとしたようだ。胸を撫で下ろしている。
「僕で良ければお話させていただきますが。」
古泉、お前はまた余計なことを・・・。あとニヤニヤするな。
「さすが古泉君ね!是非聞かせてちょうだい!」
「あのぅ・・わたしも聞かなきゃだめですかぁ・・?」
「もちろんよ、みくるちゃん!さぁ古泉君お願い」
「キョン、電気」
重い腰をあげて電気を消した。
本当にまっくらだ。
「有希もこっちきて」
「じゃあ始めますよ」
――――――数分後
古泉は見事なまでの怖い話をしてくれた。
あぁ一人で帰るのが心細いぐらいにな。
「さ、さすが古泉くんじゃない」
「ふぇー」
あ、朝比奈さん、もしかして泣いてるんですか?
「・・・・・」
長門は怖くないようだ。当たり前か
幽霊なんて首根っこつかんでおっぱらいそうなやつだもんな。
「今日はこれで解散!」
「あと今日はみくるちゃんのために集団下校するから」
「あ、ありがとうございます!」
「しょうがないわねー。まったく怖い話ぐらいで・・ブツブツ」
すっかり暗くなった廊下をまとまってあるくSOS団
長門とハルヒが先頭、その次に俺と古泉が並んで歩き、その後ろに隠れるようについてくる朝比奈さん。
「幽霊さんでてらっしゃい♪私達はあなたを歓迎します」
やれやれ。まさか本当に幽霊なんか出ないよな。
「涼宮さんがそれを望めばでてきます。だから我々は秘策を用意したんですよ」
古泉が後ろの強がり女に聞こえないように言った。
「今日はサプライズを用意しました。あなたにはまた見ぬかれるとこまるので先にネタばらしをしておきましょう」
「サプライズ?」
「えぇ、涼宮さんを楽しませるためのサプライズです」
「お化け役を用意しました。つまり今、校舎はお化け屋敷状態なのです」
「何のためにそんなことを・・・。機関もずいぶん暇なんだな」
「いえ決して暇ではございませんよ。すべては本物のお化けが出てこないように。つまりニセモノのお化けで満足させるためですよ」
「はぁーついにお化けまで望むようになるとはな・・・。」
「ほら、そろそろですよ。朝比奈さんの後ろから・・・」
ガタッ
「きゃぁー!」
朝比奈さんの女のコらしい悲鳴でみんな振り返る。
「なに、みくるちゃんどうしたの・・・うわっ」
そこには背の高いミイラがいた。
ギュゴォー、とか唸ってるがどう考えても新川さんだ。
しかしハルヒと朝比奈さんは気がついてないようだった。
ハルヒもホントにでてくると思っていなかったのだろう。
かなり驚いている。
「み、みんな逃げるわよ!」
俺達は急いで昇降口までおりてきた。
そこには三体のミイラがいた。
あぁ、久しぶりですね。森さんに多丸兄弟。
しかし迫真の演技だ、ニセモノだとわかってても怖い。
俺達は追いかけてきた新川ミイラも加わって、壁に追い詰められる形になった。
朝比奈さんはとうに気を失っている。
ハルヒは目に涙をためて叫んだ。
「あたしのSOS団員達には触らせないわ!」
ハルヒ・・・。
「どうやらこの作戦は必要無かったみたいですね」
「あぁ、ハルヒは幽霊の出現など望んではいなかった」
「単純に俺達と肝試しがしたかっただけなんだ」
古泉が合図をおくる。
ミイラ達が正体を表した。
―――――――
「あははっ、また古泉君にだまされたわね!」
「ひどいですぅ・・・」
「すいません。どうやらやりすぎてしまったようで」
「楽しかったからいいわ!今度はもっと怖がらせてよね!」
みんなで坂道を降りている。
やっぱり今日は集団下校だそうだ。
「今日は我々の失態です。ご迷惑をかけました。」
「いやもういい。それに謝るならハルヒにあやまれ」
「そうですね。それにしても涼宮さんは本当に幽霊の出現を望まないみたいですね。アレを見てください」
「ねぇ有希?そこにトイレがあるから一緒に行こう」
「さっきいったからいい」
「ねぇ、着いてきてよぉ」
「・・・・・・」
「おいハルヒ、お前怖いのか?」
「あ、キョン!聞いてたの?怖くなんかないわよ!」
「一人でいけるもん」
ハルヒはおっかなびっくり公衆トイレにむかって歩いていった。
「しょうがねぇな、ハルヒ。俺が一緒にいってやる」
「何いってんのよエロキョン!」
「じゃ、いいんだな」
「お、お願いします」
へ、ハルヒも女らしいところあるじゃねぇか
――――完