注意!
この作品には「オリジナルキャラクター」 「キャラ設定が崩壊」 「他作品ネタ」が盛り込まれています。
オリキャラとかダメって方は見なかったことにしてスルーしてください。
そんなの気にならない方はどうぞ
キョン視点
いつもの帰り道、SOS団のメンバー全員で歩く姿は普通の高校生だ。
まぁ、神様とか宇宙人とか未来人とか超能力者なんだけどな。
珍しく長門もハルヒや朝比奈さんの会話に入っている。
ずいぶん人間らしくなったなぁ、とか成長する娘を見る父親のように見ていると
「あ!忘れ物した!」
いきなり大声で叫んだハルヒ、コイツが忘れ物するなんて珍しい。
「ちょっと教室に取りに戻るから、みんなは先に帰って」
一言そう言い残してハルヒは走って来た道を戻っていってしまった。
走るハルヒの後姿を見た後、振り返ると朝比奈さんと長門、古泉が俺を見つめていた。な、なんだ?
「追いかけないんですか?」
古泉、毎回言ってるけど顔が近い。いい加減殴るぞ
「キョンくん、早くしないと涼宮さん見失いますよ?」
朝比奈さん、何で俺がハルヒを追いかけなきゃ行けないんですか?
「「はぁぁ…」」
え?何で古泉も朝比奈さんもため息つくんだ?俺なんかしたか?
「鈍感」
待て長門、何故俺がお前に冷たい目で鈍感と言われなきゃならんのだ。
一体何がなんだか訳が分からない。なぜ俺は三人から冷たい視線を浴びさせられてるんだ?
ああもう!わかったよ!追いかければ良いんだろ?
「頑張ってください」「頑張ってくださいね!」「頑張れ」
三人から意味不明のエールを頂いた俺は走って学校へと向かった。
まぁ、この後トンでもないことが起きるんだが、その辺は俺じゃなく本人に語ってもらおうか。
ハルヒ視点
帰り道、課題のノートを教室に忘れたあたしはみんなに先に帰ってと伝えて学校に向かった。
今の時間、部活も終わって先生が戸締りをしている頃だろう。
一度ぐらい課題を忘れたって別に困らないがなんとなく気に入らないから取りに戻る。
運のいいことにまだ戸締りはされておらず、教室まで簡単にたどりつけた。
教室のドアを開けると中は夕日で真っ赤に染まり、恋愛ドラマなんかのワンシーンみたいだ。
ドアを開けると好きなあの人が居て…なんてあるわけ無いし、今時そんな古臭い真似をする奴も居ないだろう。
少しでもそんな事を考えた自分に呆れつつ自分の席まで歩き出したその時
カラン
何かに躓いた。躓いた物は机の脚に当たって跳ね返り、あたしの前に現れた。
太い黒い柄に日に照らされ銀色に輝く鋭くて大きな刃の目の前にサバイバルナイフがあった。
「なんでこんな物が教室に?演劇部のかしら」
本物の訳が無いと手にとって見たが重く、明らかに本物のサバイバルナイフだ。
「あら、まさか貴女が拾ってくれるとは思わなかったわ」
突然、どこからか声がした。聞いた事のある声…でもどこから?
「うふふふ、誰でもよかったけど貴女が拾ってくれるなんて運が良いわ」
何処からとも無く聞こえる声にあたしは身構えた。
誰!何処に居るの!
「どこって…貴女の手の中よ?それにクラスメイトのこと忘れるなんて酷いわ」
恐る恐る手に持つサバイバルナイフを見ると、北高の制服を着た女の姿が見えた。
良く見るとそれは、去年に突然カナダに引っ越した朝倉涼子だった。
「貴女の体、貰うわよ!」
突然、目の前が真っ白になった。体を貰う?冗談じゃない!誰がアンタなんかに!
そう思った瞬間、真っ白だったのが晴れてさっきの教室に戻った。
「はぁはぁ…一体…何だったの?」
床にひざと手を突いて倒れたあたしは一体何が起きたのか分からなかった。
『ああもう…抵抗するから中途半端に融合しちゃったじゃ無い!』
朝倉の声がしてあたしは立ち上がって周りを見渡す。
しかし、朝倉の姿どころか先程のサバイバルナイフも見当たらない。一体何処から?
『貴女の中よ、涼宮さん』
また朝倉の声がした。確かに、頭の中に直接聞こえている気がしないでもない。
ガラ
あたしが混乱していると教室のドアが開き、キョンが現れた。
「キョン!」
突然の異常現象に混乱していたあたしはキョンの姿を見るなり、駆け寄って抱きついた。
しかし、キョンはあたしの顔を見てかなり困惑した表情をしている。
一体どうしたのだろうか?あたしがキョンに尋ねようとした瞬間、トンでもないことを言われた
「あの…どちら様ですか?」
何言ってるのかしらコイツ?というかなんでここにキョンが居るのよ?
あたしはキョンを睨みつけながら言ってやった。
「キョン、今なら謝るだけで済むわよ?」
しかし、あたしの言葉にキョンは本気で困惑した表情を見せる。一体何なの?
「あたしよキョン!あたし!涼宮ハルヒよ!アンタあたしのこと忘れたわけ?」
あたしはイライラしてキョンに怒鳴ってしまった。
「ハルヒ…?でも身体つきも髪型も違う…いや、顔はハルヒそっくりだが…」
キョンがあたしをじろじろと見て困った表情で言う。
はぁ?なにいってんのかしらコイツは…大体、そんな数分で身体つきや髪型が変わるわけ無いじゃない。
そんな事を思いつつ脚や腕を見てみると、太い…というよりムチムチした感じになってる。特に太もも。
しかも心なしか胸も大きくなってる気がする。髪の毛に関しては背中に掛かるくらい伸びている。
一体全体、何がなんだかさっぱり分からない。
あたしはカバンから鏡を出して自分の顔を確認してみた。うん、いつものあたしだ。
でも髪の毛が長くなってるし、明らかに体格が変わってる。
まるで朝倉とあたしを足して2で割ったような…
『中途半端に融合したからそれで合ってるわね。半分貴女で半分私よ』
また頭の中から朝倉の声がする。どうやら本当に朝倉と融合してしまったらしい。
とりあえず、目の前に居るバカキョンにあたしが涼宮ハルヒだって事を認めてもらわないといけない。
「キョン、まったくの別人みたいに見えるけどあたしは涼宮ハルヒよ?」
「お、おう…信じるよ」
自信の無い返事ほど信用できないものは無いけど、とりあえずさっきあったことを話そう。
正直、信じてもらえないでしょうけど…
あたしは適当に椅子に腰掛けて、手短にキョンにこうなった経緯を話した。
教室にサバイバルナイフが落ちてたこと、それを拾った事。
その中に朝倉が居て、身体を貰うとか言われた瞬間に目の前が真っ白になったこと。
気がついたら床に倒れてて、混乱してるところにキョンが来て今に至ること…
「ざっとこんな感じね…信じてもらえそうに無いけど…」
「まぁ、完全に信じろって言われても無理あるなぁ」
「でも!あたしは…涼宮ハルヒよ?」
「それは信じるよ」
キョンはいつものゆるい表情でそう言ってくれた。それだけでも今のあたしにはありがたい。
夕日に照らされたキョンの顔に不覚にもカッコいいと思ってしまった自分が恥かしい。
これからどうしようとか色々考えているとまた声がした。
『良い雰囲気のところ悪いけど、大事な話があるわ』
朝倉の声だ。一体、誰のせいでこんな目に…
そんなこと思いつつ顔を上げると、キョンの顔が青くなっていた。まるで恐いものでも見た子供のように。
「な、なんだ!何処に居る!」
急に立ち上がって回りを見渡すキョン。一体何なの?
『ここよ、ここ!あなたの後ろ』
「な!後ろか!…っていねぇじゃねぇか」
『下よ、下!』
キョンとあたしが床に視線をやると、そこにはちっちゃい朝倉がいた。
いつの間にあたしの中から出てきたんだろう?というか、元に戻して欲しいんだけど?
そんな事を考えていると朝倉が『悪いけど机に運んでくれない?』と言って来たので机の上に運んだ。
『すごいでしょこれ。そのまま小さくなった私でしょ?』
「そんな事どうでもいいのよ。せめてあたしを元に戻してから出て行きなさいよ」
笑う朝倉を睨みつけながらあたしは言った。
『私の意識体をこの人形の中に入れただけだから、貴女と私の肉体は融合したままなの』
『貴女だって、頭の中に私が住みついたままでいいの?考えてる事が全部、私に筒抜けよ?』
それは困るわね…自分の考えが他人に筒抜けになっているほど恥かしいものは無い
ところでその人形は何処から持ってきたのよ?まさか自分で作ったんじゃ…
『この身体?これね、山根くんが密かに私の身長とかスリーサイズとか調べてたみたいで、
私をそのまま1/6したサイズで作ったみたいなの。なんと、下着の色とかまで一緒なのよ』
気持の悪い奴だとは思っていたけど…真性だったのね
『もうストーカーよあれは』
「なぁ…そろそろ、大事な話とやらをしてくれんか?」
今すぐにでも帰りたそうな顔をしたキョンが会話を遮る様に言った。
そうだ、朝倉が大事な話があるとか言ってたわね。
『ああ、そうね。あのね、涼宮さんを元に戻す方法は…』
元に戻す方法は?
『今のところ無いの。ごめんね』
「「えええええええええええええええええ!!!」」
あたしとキョンは同時に驚愕の声を上げてしまった。
「元に戻す方法は無いって…いくらなんでも無茶苦茶だろ」
キョンが朝倉に向かって言う。しかし朝倉は可愛く困った顔をして言った。
『だって元から完全に乗っ取るつもりで居たから、元に戻す方法なんて考えて無いの』
なんだろう…目の前の動く人形を思いっきり窓から投げ捨てたい衝動に駆られている。
みくるちゃんに負けないくらいの魅力的な身体を手に入れたとは言え、嬉しくない。
なぜなら、今のあたしは涼宮ハルヒと朝倉涼子を足して2で割ったらこんな感じって状態なのだから。
それに、家に帰っても両親があたしを見ても誰か分からないだろうし、学校のみんなだって…
「安心しろハルヒ。長門に頼めばなんとかしてくれる」
『あ、それ無理。無理に引き剥がすと私も涼宮さんも死んじゃうもの』
つまりずっとこのまま…あははははは
「お、落ち着けハルヒ。だったら俺の家に来ればいい」
え?キョンの家に?
「着替えやらを用意するくらいなら親御さんに顔を合わせずに出来るだろう?」
まぁ、二人とも仕事で居ないし出来ない事も無いけど…良いの?
「むしろ大歓迎だ!」
すごく嬉しそうな笑顔でキョンはあたしに言う。
こんなにあたしに優しいキョンは初めて見るから、戸惑ってしまう
『涼宮さん、空気に流されちゃダメよ!キョンくん、すっごく下心が見えてるわ!』
朝倉が必死にあたしに呼びかけてくる。
確かに、いつものキョンとは何かが違う。なんというか気持悪い。
「おいおい失礼な事言うなよ。困ってる女の子を助けるのは男として当然だろう?」
うん、いつものキョンなら絶対言わないわね。
古泉君と谷口を足して二で割ってキョンの皮を被っているみたいだ。
「ところでハルヒ、髪邪魔じゃないか?」
確かに、いきなり朝倉並に髪の毛伸びちゃったから邪魔ね。
あたしはいつもポケットに入れている髪ゴムを取り出し、髪を結った
髪を切ってちゃんと出来なかったポニーテールも今の髪の長さなら出来るからやってみよう。
「久しぶりだったから手間取ったけど、どう?キョ…ン?」
顔を上げてキョンを見ると、某羅王の最後みたいなポーズで固まっていた。
「生きてて…生きてて良かった…俺はついに理想のポニーテールに…」
なんかブツブツ言ってるキョンから危険な気持悪いオーラが出ている。
ここまで気持悪いと思ったのは初めてだ。
『涼宮さん、今のうちに逃げるわよ!このままじゃ貴女が危険だわ!』
いつの間にか私の肩に乗っていた朝倉があたしに叫んだ。
あたしも今のキョンからは身の危険を感じたので、カバンを持ってダッシュで教室から出た。
教室から雄たけびが聞こえてきたような気がするけど、きっと気のせいだと思う。
「で、これからどうするのよ朝倉?」
正直、行く当てが無いのでどうしようもない。
有希の家に行くにしても、朝倉のことをどう説明したらいい分からないし、みくるちゃんは家知らないし…
古泉君は悪いけど完全に信用は出来ないからダメで、キョンに関しては自殺するようなものだ。
『とりあえず私の住んでた部屋に行きましょう」
カバンに隠れている朝倉が頭を出してあたしに言った。
引越して今は誰も住んでいない部屋に行ってどうするのよ。
『実はいつでも戻ってこられるように荷物とかはそのままなの』
部屋の中が空だったのは情報操作で云々と説明してくれたけど、色々ありすぎて頭に入らない。
朝倉の部屋に向かう途中、男の視線がいつもよりすごかったのがなんか悔しい。
なんか女性からの視線もすごかった気がするけど気のせいだろう。
特に変なツインテールの娘とショートカットの娘を何度も見かけた気がするけど気にしたらダメだ。
ようやく朝倉の部屋に着いたあたしは倒れるように朝倉のベッドに寝転んだ
寝転んだまま部屋の中を見渡すと、有希とは違って何処にでも居るような女の子の部屋であることに気がついた。
しかし、本棚だけは異常で、ナイフやら拷問に関する本においしいおでんの作り方、ストーカーを撃退方法なんて本ばかりだ。
後者は良いとして、前者は女の子が読むような本ではないはず。一体どんな趣味してるんだろう?
『ふぅ…危なかったわね。キョンくん、完全に貴女の事を襲う気で居たわよ?』
床に置いたカバンから出てきた朝倉があたしに言う。
確かに、あれは人を襲う獣の目だった。襲うは襲うでも性的な意味で襲うケダモノの目だけど。
朝倉があの時叫ばなかったらきっとあのケダモノキョンに襲われていただろう。
しかし、朝倉はなんであたしを助けたの?笑って眺めてそうなイメージがあるんだけど?
『涼宮さん、私に対してなかなか失礼なイメージを持っているのね…』
だって普段は優等生の仮面被ってて、裏で鬼畜な事してるドSな女って感じがプンプンするし。
『…まぁいいわ。言っておくけど、その身体の半分は私のなのよ?あんなケダモノに蹂躙されるなんて嫌だわ』
そんな事言う人に限って蹂躙されると…
『悔しい…でも感じちゃう…なんて絶対言わないわよ?』
元に戻ったら意地でも言わせてやるわ。
再びキョン視点
「うおおおおおおおおおおぉ!!」
あっさりと理想のポニテっ娘に逃げられて怒りの咆哮を上げてしまった。
しかし、中身はハルヒだ。行くところなんて限られてくる。
とは言ったものの、長門の家は朝倉が居る以上行かないだろうし、朝比奈さん家は知らないだろう。俺も知らないが。
外見が恐ろしく変化してしまったせいで阪中に頼ることも出来ないだろうし、一体何処に行ったのだろうか?
トボトボと街中を歩いていると人とぶつかってしまった。
「オイ、テメェ!何処見て歩いてんだ!」
ぶつかった相手は運が悪い事にヤンキーだった。
しかし、ポニテっ娘に逃げられて傷心気味な俺は目障りなそいつの顎に目掛けて強烈なフックを入れてやった。
足から崩れて倒れるそいつを無視して俺は、明日は学校にハルヒは来るんだろうか?なんて考えていた。
清清しい朝だ
珍しく妹にボディプレスで起こされる事無く目覚めた俺は窓から空を見て思った。
とても気分がいい。学校に行くのがこんなに楽しみなのは人生で初かもしれない。
なぜ俺がこんなに機嫌が良いかと言うと、理想の女性に会えるからだ。
あの朝比奈さんすら凌駕する素晴らしい女性、涼宮ハルヒに。
正確に言えば、涼宮ハルヒと朝倉涼子が一つになった、涼宮涼子…朝倉ハルヒ?まぁ、朝倉は1/6サイズで居るからハルヒで良いや。
朝食を取り、着替えを済ませていつもより早く家を出た俺はニヤニヤしながら学校へと向かった。
いつものように、駅前の駐輪場に自転車を止めて駐輪場を出た俺は数人の男に囲まれた
「よう、昨日はよくもやってくれたな!」
顎に湿布を貼った男が俺の胸倉を掴んで怒鳴って来た。
俺は反射的に顎に湿布あ貼ってある方とは逆側にフックを入れて、怯んだ隙に走って逃げてしまった。
せっかく良い気分だったのに台無しになってしまった。
早くポニーテールのハルヒに会いたい。
色々とイレギュラーな出来事があったが、無事に教室に着くことが出来た。
俺はそりゃあもう、戦場の真ん中でドンパチやってる連中をそこに居るだけで戦意喪失させるくらいの輝かしいオーラを出している。
いつもなら朝一に絡んでくる谷口が絡んでこなかったり、阪中や成崎たちが微妙な表情をしているのも、そのせいだろう。
残念なのが後ろの席の女神がまだ登校して来ていない事だ。
まぁ、俺がいつもより早く登校して来ているから来ていないだけだな。
谷口「お、おい…キョンから異様な気持悪いオーラが出てんぞ国木田」
国木田「すごい笑顔だなぁ、今なら古泉君並にモテそうだよね?」
谷口「いや、女子はドン引きしてるぞ…国木田」
山根「僕の…僕の朝倉さんが…居ない」
少し周りに耳を向けてみたが、いつもどおり平和だ。素晴らしいな平和って
そんなこんなで教室でハルヒを待っていると、ギリギリの時間に登校してきた。
昨日の姿は夢ではなく、女性の誰もが求める理想の体型にポニーテールという姿
「おはようハルヒ!」
今までに無い、輝かしい笑顔で俺はハルヒに挨拶する。しかし…
「ふん!」
素っ気無い態度に俺は入学当初のハルヒを思い出して凹んだ。買ったばかりの新車を電柱にぶつけたくらい凹んだ。
それからずっとハルヒは俺に喋りかけるなこっちを向くなと言わんばかりの空気を出し続けていた。
何とか話をしようと授業後なんかに振り向くと瞬間移動でもしたかのように姿を消してしまう。
放課後のSOS団の活動にも姿を現さない。俺はもう死んでしまいそうだった。
ハルヒが…ハルヒが俺を避けるんだよぉ…
結局、ハルヒが黙って帰ってしまい今日一日の心の傷を癒すために文芸部室に来ている。
しかし、天使であるはずの朝比奈さんも今は普通の女の子にしか見えない。
「理由は分かりませんが、涼宮さんの外見が変わってしまった事と何か関係が?」
知らねぇよ…ハルヒ分析はお前の得意分野だろ古泉
相変わらず気持の悪い笑顔を崩さずに話す古泉に俺はぼやく。
「関係は大いにある。朝倉涼子が無差別に身体を乗っ取ろうとした際に偶然にも涼宮ハルヒが選ばれた」
突然話し始めた長門に不意を突かれた俺と古泉は長門の方を向いた。
「朝倉涼子が涼宮ハルヒを乗っ取ろうとした際に涼宮ハルヒの力が反発し、中途半端に融合してしまったために両者の肉体を足して2で割った形となった。
しかし、涼宮ハルヒの力が大きかったために涼宮ハルヒが融合した肉体の主権を得た」
「現在の涼宮ハルヒの肉体は朝倉涼子をベースとし、胸の大きさは朝比奈みくるより若干小さいが全体的な体型が良いため魅力的に感じる。
私は彼女を見ると異様なほどのエラーが出る。涼宮ハルヒ排除の許可を」
長々と私怨入りの説明してくれた長門の表情には負のオーラがにじみ出ており、同時に朝比奈さんからも同様のオーラが出ていた。
「待て長門、なんでエラーが出るのか知らんが間違っても排除はするなよ?」
「完全に了承する事は出来ない。朝比奈みくるなら私の今の気持が分かるはず」
「ええ、長門さん。とってもわかりますよぉ…今の涼宮さんは魅力的ですからねぇ…」
ダメだ。長門も朝比奈さんも殺気の混じった負のオーラを全開で放出している。
古泉が笑ったまま青ざめてガタガタ震えているくらいだ。
凍りついた空気に耐えられなかった俺は荷物を纏めてさっさと帰宅した。