2/13 22:32K
明日は二月十四日、つまり世間で言うあれだ、バレンタインデーである。
まぁ一般的な高校生なら少しぐらい期待をするのが当然の事だろう。
しかし、俺の場合は期待が出来ない。
まず俺自身は一般的だが俺の周りの環境が全然一般的じゃないわけで。
そして我等が団長様がこんなイベントを見逃すはずが無いわけだ。
明日が心配だ…と思いながら眠りの世界に引き込まれていく…

2/14 07:15K
「キョーンくーん起ーきて!」
ぶはっ!
ったく少しは静かに起こす事を学んでくれ…
「だってそれじゃぁキョン君起きないもん。」
はいはい、悪ぅございました。
「あ、そうだ。キョン君にこれあげる。はい。」
そういうと妹は俺に…
これなんだ?
「チロルチョコだよー、昨日買ったのー。」
チロルチョコを手渡した。
ありがとうなぁ、と言い妹の頭を撫でる。
「ハルニャンにも貰えると良いねぇ」
何でハルヒなんだ。

2/14 07:57K
おうハルヒ。
「あぁキョン、おはよう」
今年はどんなイベントする気だ?
「まぁ見てなさい、今年はすごいわよ!」
お前がすごいというと心配だな…

2/14 15:34K
そんなこんなであいつがすごいというと恐ろしい事になりそうなわけで。
俺は期待でもなんでもなく恐怖で授業の内容が全然頭に入らなかった。
ガラガラッ
「あら、キョン。早いじゃない。」
まぁ怖いからな。で、今年は何なんだ?
「まぁみんなが来るまで待ってからよ。」
というか長門が居ないぞ?珍しいな…

2/14 3:44K
「よし、これで全員集合ね!」
古泉がドアをくぐるとともにハルヒが飛び上がった。
「では、これより2009年度SOS団バレンタインを開催します!」
ハルヒが高らかに宣言する。
どういうイベントだ、それ。
「じゃぁみくるちゃんと有希!これ着て!で、男子達は外に出ておきなさーい!」
だったら何のために全員到着を待ったんだよ。

さて、これから何が起こるんだろうな。
「僕も怖いです。でもまぁ涼宮さんの思いつきは毎回面白いものなので大丈夫だとおもいますよ。」

2/14 3:50K
「入って良いわよー!」
ドアを開けると、そこに居たのは…
…えーと、良く状態がつかめないのですが。
シンプルに説明すると、女子三人がスクール水着を着て立ってるのだ。
まず、これは何だ?今は真冬だぞ。
「これからが面白いところよ。」
そういうとハルヒは掃除道具入れのロッカーから
なんとポリタンクを取り出した。
そして俺達に何も言う隙を与えずに…
そのポリタンクの中身を頭からかぶったのだ。
「うーんおいしい!」
「えーと涼宮さん、何をなさるつもりでしょうか?」
ハルヒがポリタンクの中身、チョコレートだったのだが、を長門と朝比奈さんにもかけながら答える。
「男子達にチョコレートを食べさせてあげようっていう計画じゃない。」
いや、そこに何でチョコレートを頭からかぶってドロドロになっている女子三人が必要なんだ?
「私たちの体からチョコレートを舐めて良いのよ」
…はい?



えーと…
「何?すごい贅沢じゃない。」
いや、突っ込みどころは数え切れないほどあるのだが、まず一つ。
朝比奈さんや長門はどうなんだ?
「えぇっと…恥ずかしいですけど喜んで頂けるのなら♪」
天使が無邪気な笑顔で言い放つ。
長門はどうなんだ?
「別に構わない」
そ…そうか。
とりあえず古泉の方を向く。
ど、どうする?
「どうしましょうか…」
上手い事言って断ってくれ。
「あのですね、涼宮さん。大変嬉しいのですが、私たちはこれほどのことをして頂けるほどの事をしていませんので…」
「何言ってるの、古泉君。古泉君はいつも副団長として頑張ってるじゃない。まぁキョンにはオマケよ。」
「身に余る光栄ですが私たちは一応健全な男子高生なのでこのようなことは少し…」
数分間の言い争いのあと、やっとハルヒは諦めてくれた。

2/14 16:22K
さて、やっと部室の掃除(とハルヒ達のシャワー)も終わり、俺達の間に普通の雰囲気が戻りつつある。
「どうせこんなことだろうと思ってチョコレート持ってきましたのでお茶請けにでもどうぞ。」
そう言い朝比奈さんがお茶と小皿を差し出してくれる。
「こんなことだろうと思ってたってどういう事よ?まぁとにかく、みくるちゃん気が利くわね。」
そういいハルヒがお茶をがぶ飲みし、お茶請けを口に頬張る。
「みううわん、こうぇわうぃ?」
「えぇと…」
現代語訳すると『みくるちゃんこれ何?』だそうです。
「あ、そうなんですか?えぇと和菓子で恋しぐれっていう物なんですけど、バレンタイン限定でチョコ餡が中に入ってるんです。」
「おいしいわね、さすがみくるちゃんだわ。」
ゆっくりお茶を飲み、恋しぐれを口に入れる。
うむ、おいしいな。
「ところでみんなもどうせチョコ持ってきたんでしょ?渡しあい大会しましょうよ」
なんだよ、渡しあい大会って…

2/14 16:28K
というわけで何故か渡しあい大会である。
まずは朝比奈さんから俺にだ。
「キョン君どうぞ。」
そういい朝比奈さんが俺に綺麗にラッピングされた長方形の箱を渡す。
開けても良いですか?
「どうぞどうぞ。」
中身は生チョコで、中に抹茶が入ったものだった。
「何となくキョン君のイメージかな、と思って。」
ありがとうございます、本当に嬉しいです。
「で、義理?本命?」
おいハルヒ、何でお前が口突っ込んでるんだ?
「だってこれも聞いた方が楽しいじゃない。」
「えぇっと、義理です。ごめんね、キョン君」
いえいえ、むしろ本命でしたら昇天してしまいます。
「じゃ、次は有希から!」
「…」
無言で長門が小さな箱を俺に手渡す。
開けて良いか?
コクッ、と長門がうなずく。
長門からのチョコレートはシンプルなトリュフだった。
ありがとな。
「構わない。」
「で、義理?本命?」
ハルヒが同じ質問を繰り返す。
「私は彼に好意を抱いているが、それは彼がいつも良くしてくれるからであり、特別な恋慕で無い。よって強いて言うなら義理であると言える。」
そ、そうか。
「じゃ次は古泉君に皆あげて!」
うぉおい!ちょっと待て、お前からはどうなったんだよ?
「私のはサプライズだから後でよ!」

「じゃぁ、えぇと、古泉君どうぞ。」
「ありがとうございます。」
古泉が微笑を顔に浮かべて受け取る。
「開けてもよろしいでしょうか?」
「えぇどうぞ。」
朝比奈さんが古泉に渡したのは丸い箱だった。
上に薔薇の飾りがついている。何か俺のより綺麗にラッピングされて無いか?
ま…まさか本命ですか、朝比奈さん?
「結局キョンも聞いてるんじゃない。」
「えぇっとですねぇ…古泉君中に手紙が入ってるんで読んでください!」
って本命っ?!
「それは光栄ですね。これは何のチョコレートですか?」
お前動じねぇな、古泉?!
「バーボンとかいうお酒が入ったチョコレートなんです。大人っぽい古泉君にぴったりかな?と思って。」
「ありがとうございます。」
「じゃぁ次は有希から古泉君へは?」
長門がまた無言で手渡す。
「これは何のチョコレートですか?」
「ベルギー産のカカオを使用したビターチョコレート。比較的シンプルなものだが味わい深いと聞いている。あなたのイメージにぴったりだと思った。」
『で、義理?本命?』
ハモるな、ハルヒ。
「何よ、あんたこそ。」
「…本命?」
なっ?!
な…何故あの長門が首をかしげているんだ自分の言動に自信が無いんだ?!
古泉が今度こそパニクっている。
「…長門さん?」
「彼はいつも私に優しくしてくれている。私は古泉一樹という個体に特別な感情を抱いている。」
「え、何、有希古泉君のこと好きなの?!」


2/14 16:43
さて、長門が古泉を好きなのか?騒ぎも何とか終わり。
ちなみに読者の皆さんも知りたいだろうと思うが、朝比奈さんは真っ赤になってしまい、ハルヒも長門を問い詰めるという始末。
結果
「夜にメールでお返事します。」
という古泉の返答で終止符が打たれたのだ。
「じゃ次は私から古泉君へね!本命じゃないから安心しといて。」
誰が安心するんだ?古泉か?
「だめですねぇ…キョン君。」
「馬鹿」
な?!
「ちなみに古泉君のはザッハトルテよ。理由は…まぁ何となくおいしそうだったからね。
「そうですか。ありがとうございます。」
安心の点はどうなったんだ?

2/14 16:48
さて、チョコレートも大切にバッグに仕舞い終え。
「じゃ、解散!」
っておぉい、ちょっと待て!
ハルヒ、俺の分は?
「あんたの?今からあげるわよ。早く一緒に帰るわよ。」
何で一緒に帰る必要性があるんだ?
「黙って着いてきなさい!」
へいへい。

2/14 17:03
さて、今俺とハルヒは黙々と帰路を歩いている。
なぁハルヒ、あの最初にやろうとしてた水着の上からチョコかぶる奴本気だったのか?
「そんなの本気に決まってるじゃない。」
そもそもなんでやろうと思ったんだよ?
「だって面白そうじゃない。それにあんたが焦るの見たかったし。」
そんな無粋な目的かよ…
「何、悪い?」
じゃぁもし俺達がノリノリで舐めだしたらどうするつもりだったんだ?
「多分その時点であんた達の死は確定してたでしょうね。」
そうか、やらなくてよかった。
とか喋っているうちにもう道が分かれる所である。
で、ハルヒ俺のチョコは?
「なぁに期待してんのよ、はい。」
そう言いハルヒがそっけなくチョコをバッグから取り出す。
良かった、一瞬もらえないかと思ったぜ。
「それは大丈夫よ、だって…」
だって?
「もうそれはいいの!義理だからね、義理。」
あぁわかってるよ。
そっぽを向いているハルヒの顔が少し赤いのは気のせいか?
「お返し期待してるわよ!」
はいはい、分かりましたよ。
俺はハルヒと別れ、家に向かった。

2/14 17:25
やれやれ、大変な日だったな。
さて、皆がくれたチョコレートを机の上に並べ、ハルヒがくれたチョコを開けてみる。
小さい四角い箱に入ったおしゃれなものだ。
古泉のとはすごい違いだな、と思いつつあけると箱の中には小さいケーキの様なものが入っていた。
白いクリームがチョコレートムースと思わしきものの上に乗っている。
そしてその上には細いチョコレートで作られたハートが乗せられていた。
すごいな…これ。すごく凝っているのが分かる。
ん?メッセージカードも入ってるのか。
するとそこには『20時にいつもの場所。』とだけ書かれていた。

2/14 17:25H
あーもう。思わず照れて義理とか言っちゃったじゃない!
そもそもキョンったらあげない訳無いじゃない。
だって、本命なんだから…
何であんな鈍感で平凡な馬鹿男好きになっちゃったのかしら?
手紙入れといたけど来てくれるかな…
考えてもどうにもならないわ!
にしてもあれ手作りなんだけど…
結構時間かかったんだからね!わざわざムース作るのだって大変だったんだから…
自分の中ではケーキ屋さんみたいに上手く出来たつもりだったけど…キョンはどう思うかな?

2/14 17:30K
つまり20時にいつもの場所、多分集合場所だろ、に向かえば良いって訳だろう。
にしてもあいつ何する気だ?

2/14 19:15H
呼んどいて遅れちゃなんだと思って早く着ちゃった…
って早すぎよね。さすがに居ないわよね。
むしろ居たら驚くわよ。
っていうか義理だって言っちゃたし今更告白なんて出来るかな?
でもあのケーキとメッセージカードを見れば、さすがのあいつでも本命だってことぐらい分かるはずよ!
ちょっとドキドキする…
にしても寒い!寒すぎるわ!
可愛いからって理由だけで買っちゃった服を見る。
勝負服なのは良いんだけど寒いのよね。
今着てるのは茶色いワンピース。チェックが基本の模様なんだけど、落ち着いた色合いで、アクセントにフードとかボンボンもついててブーツにも合うしすごく可愛い。
いつもとイメージが違うけど引かれないかしら?
キャラにもなくキョンのために編んだマフラーに顔をうずめる。
早く来てよ…

2/14 19:45K
やばい、このままじゃ遅刻する。
自転車で急いで家を出る。
あー寒い、顔に冷たい風が当たる。
っていうかハルヒはこの寒い中待ってるのかよ?
ご苦労なこった。

2/14 19:55K
はぁ、ギリギリで時間より前だ。
そこにはもうハルヒが立っていた。
俺にはまだ気付いてないみたいだ。
にしてもいつもとイメージが違うな…
寒空の中一人寒そうにたたずんでいるハルヒは何となくいじらしくて、可愛くて。
いつものことを忘れて思わず守ってやりたくなった。

2/14 19:56H
「おいハルヒ」
あ、キョン!
「なんのようだ?」
なんのようだとは何よ、せっかく人が告白してやろうと思ってるのに…
「で、どうした?用が無いんなら帰るぞ。」
キョン、チョコ食べた?
「いや、開けただけだ。飯の前だったからな。」
あっそ。
背中に回してある手の中にあるマフラーを握り締める。
キョン…

2/14 19:58K
「キョン…」
なんだ?ハルヒのイメージがいつもと違う気がする。
お前なんかいつもとイメージ違わないか?
「へっ?!あぁ…何?変だとでも言いたいの?」
いや、なんだ、結構似合ってるぞ。
さらにポニーテールにすれば最高だが。

2/14 19:58H
ななな何よ結構似合ってるって!
いきなり話の腰を折るから何かと思ったのに!
でも似合ってるか…嬉しいかも。
それで、さ。
「なんだ?」
はい。
とマフラーを手渡す。

2/14 19:59K
マフラー…?
なんだ、俺にくれるのか?
「うん。」
いつもと違ってハルヒがしおらしい。
そしてすごく可愛い。
ありがとな。
思わずそういいハルヒを抱きしめる。

2/14 20:00H
「ありがとな。」
そこで私が告白を始めようとした瞬間
ギュッ
へっ?!
何これ、あったかい…
今、私キョンに抱きしめられてるの?!

2/14 20:00K
思ったよりハルヒが反抗しないな、珍しい。
にしてもいつもの態度からは想像がつかないが、意外と華奢な体つきをしているな。
あーあったかい。

2/14 20:00H
って、こうしてる場合じゃないわよ!
でさキョン。
「ん、なんだ?」
私、キョンのことが、好きだから…

2/14 20:01K
「私、キョンのことが、好きだから…」
って、え?
今なんて言った?
あのハルヒが俺のことを好きなのか?

2/14 20:02H
…キョン?
キョンが黙りっきりだ。
やっぱりこんな私じゃダメなのかな?
思わず涙が溢れ出す。
2/14 20:02K
俺が放心して黙り込んでいるといきなり俺の胸の中にいるハルヒが泣き出した。
お、おいハルヒ大丈夫か?
「だって、キョン私のこと嫌いなんでしょ?」
だ、誰もそうだとは言ってない。
それに…俺はお前のことが好きだ。

2/14 20:03H
へっ?!
今度はこっちが驚く番。
キョンが…私を?
「あぁ」
そういい今度はもっと強く、でも優しく、キョンは私を抱きしめてくれた。

2/14 20:14H
さて、今私たちは手を繋いで歩いている。
告白が受け入れられてすごく嬉しいし、幸せだ。
キョンは私のあげたマフラーを首に巻いてくれている。
ずっと大切にするとも言ってくれた。

2/14 20:15K
冷たいものが繋がれた手の上に落ちる。
何かと思って上を見てみると
「あ、雪だわ!」
暗い空からは雪が降っていた。
それはまるで俺達を祝福してくれているかのようで。
俺は隣にいるハルヒと立ち止まって、ずっと降ってくる雪を眺めていた。


(朝比奈さんから古泉にあげたチョコレートに入っていた手紙には「これからも神人退治頑張ってください♪」とだけ書かれていたらしい。ドンマイだ、古泉。まぁお前には長門が居るけどな。で、何て返事したんだよ?!)
(え、返事ですか?「雪が降り始めましたね。有希も私の元へ、来てくれませんか?」と返事しましたが。)
(それってOkなのどうなの?って長門お前の家に行ったのか?!)
(今居ますけど。)
(ってそこで何してんだよ?!)
(別に座って喋ってるだけです。ところでそちらはどうなったんですか?涼宮さんと。)
(あぁ、告白されて付き合った。)
(そうですか。おめでとうございます。
(乱入。古泉一樹、私の告白をどうするつもり?)
(いいですよ。)
(ありがとう(照))
(いえいえ、それほどでもありませんので。)
(っていうかなんなんだ?この括弧つきの空間は。)
(オマケですね。)
(ついでに古泉一樹、私のことはどうするつもり?)
(長門さんが良ければメチャクチャにしてあげますが?)
(推奨する。)
(っておい、これR-18にするつもりねぇぞ!)
終。

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最終更新:2009年02月14日 16:20