ある日のホームルーム前の少しの時間、いつものようにハルヒに話しかけられた。
「ねえ、あたしこのクラスに二人、もしかしたら人間じゃないんじゃないかなー?って思うヤツが二人いるんだけど話していい?」
こいつが、あらかじめ、言っていいかどうかたずねてくるなんて珍しい。
まあ、言うだけ言って、実行をしようとは思ってないんだろう。

「誰だよ?」
「一人は、あの・・・名前なんだっけ?あの丸メガネの男子」
うちのクラスにメガネをかけた男子生徒は3人いる。
うち、丸メガネと呼べそうなのは二人。
人間じゃないかもって言ってるところからみて、多分山根だろう。
「そうそう山根。あいつは何かあるわ」
どこでどう見たらそう思うのかね?
見た目か?
「違うわよ。前にね、あたしあいつの所属するアイドル研究部に仮入部したのよ」
そんな部活がこの学校にあるのか。
いったいいくつあるんだ?この学校に部活。

「でね、観察対象のところにあたしの名前が書いてあるのがあったから見てみたのよ。すごいわよ、細かいところまでみっちり」
おいおい、ストーカーかよ。
ん?それとも、もしかしたら本当に人間じゃないのか?

「しかも、人の匂いを嗅ぐ趣味があるそうよ」
それ、ただの変態じゃねーか。

「そんな人いると思う?あたし生まれて初めて聞いたわよ。人の匂い嗅ぐのが趣味だ何て」
そりゃそうだ。ってか、よく言えたな。
「あたしはね、その匂いの成分をエネルギーに変えて生きてるんだと思うの」
なんじゃそりゃ。

「朝倉が一番いいって言ってたわ。朝倉の後ろの席になって匂いを嗅ぎたいって」
だから、それ変態だって。

「だから、あたしもそうなったらきっとすごい力が見れるだろうな~って思ってなったらいいのにって思ったら本当になって」
それもお前の力か。
俺を殺そうとしたやつだが、朝倉がかわいそうだ。
「でも、結局カナダに引っ越しちゃって成果なし。もしかしたら、朝倉を人間じゃないって分かってたのかもしれないわね」
朝倉は普通の人間だ!
いや、違うんだがな、そう言うしかないだろ。
「朝倉は危機を感じて逃げたのかもしれないわね」
だから、違うって。

ところで、それとお前が観察対象になってたっていうのとどういう関係があるんだよ?
「あたしの自己紹介の言葉覚えてる?」
ああ、覚えてるさ。
あんな自己紹介、死んでも忘れそうにない。
「そこで思ったのよ。もしかしたら、我々の敵ではないだろうか?って」
・・・とりあえず、溜息をついておこう。

「だから、あたしを観察してたのよ。まあ、普通の人間って分かってむこうはホッとしてるかもしれないけど」
ハルヒの観察をするのは本当に人間じゃないやつだけでいい。
まあ、山根が人間だという保障は今となっちゃあ、できない。
もしかしたら、本当に人間じゃないのかもしれん。

「それとあと一人はね」
ああ、そういえば、二人疑ってたんだっけ?

「柳本よ」
柳本?柳本ってあの・・・俺の前の隣の隣の席にいるやつか。

「あの前髪。いまいちどうやって作ってるかわかんないんだけど、きっとあれはもとからああなのね」
・・・確かに、少し変だとは思うが・・・・・・
全く持って関係ない。

「それと、柳本はあたしからどうも避けたがってるような気がするのよね」
まあ、ハルヒみたいな性格が苦手という女子も多いだろう。
で、それがなんだって。
「だから、これもあたしの自己紹介のときの言葉、覚えてるでしょ?」
だから、覚えてるって言ってるだろ。

「それを聞いて思ったのよ。まずい、このままじゃ正体がばれてしまうってね」
・・・もう一度溜息をついておこう。
「だから、あたしから避けようとしてるのよ。怪しすぎるわ」
だから、全く持って怪しくない。

山根は分からんが、多分あっちは普通だ。
本当に、普通の人間じゃなかったら、離れるどころか、観察対象のために近づくはずだからな。
まあ、これもはっきりと違うとはいえないんだが。

「でね、この二人には共通点があるのよ」
ん?あるか?
「二人とも同じ出席番号なのよ!」
・・・そろそろ止めたほうがいいだろうか?

「しかも、席は隣同士。これは何かひそかに交渉してるわよ」
だいたい、クラスで交渉なんて、他の生徒にばれるかもしれないだろうが。
だから、それは偶然だ。
それを言ったら俺とお前はどうなる。
前も今も前後の席じゃないか。

「でも、やっぱり普通の人間かもしれないからね、もうちょっと証拠を見つけてから責めてみようと思うの」
しないほうがいいぞ。

と、そんなところでチャイムが鳴って岡部が教室に入ってきた。
まあ、話を聞くだけなら、俺もいいんだけどな。
それなりに、ハルヒと話すことは楽しいから。
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