結局、一人も新団員が入らなかった我、SOS団。
だが、やっぱこの方が落ち着く。
誰にも入っては欲しくないね。
朝比奈さんを誰かに取られる気がしてならないからな。プロローグ
ハルヒが大人しい。
大人し過ぎて不気味だ。
「暇ねえー。暇過ぎて退屈ねぇ」
そうかい。
「当たり前じゃない。こんなときに事件の一つ二つあってもいいと思わない?」
「そんなの知るか」
「あっそ」
ハルヒはスネた子供のようにそっぽ向いた。
キーンコーンカーンコーン
予鈴が高く響いた気がした。
何かイヤな予感がする。
何かがある気がする。
「席に着けー」
岡部氏の声が弾んでる気がする。
凄く嫌な予感がする。
俺の予感は当たっていたらしい。
「実はいきなり決まった転校生がいるんだ。入れ」
転校生だと?しかもいきなり…
そういえば、この間ハルヒが言っていた。あの言葉はSOS団の全員を震え上がらせるかのような言葉となったが…まさか。
あれは、この前のテストの返却の日の活動に遡らなければならない。
回想―――
それに、この場所は、俺しか知らない世界が作られてるしな。
しかし、部室に一番乗りで来るなんて、今日の俺はどうしたんだ?
長門すらいないなんてなぁ。
コンコン
「入りまぁーす」
来たのは、ここSOS団のマスコットの朝比奈さんだった。
「あ、キョンくんだけですか?」
「あ、はい」
「あ、ちょっと出ててもらえますか?着替えるんで」
「わかりました」
廊下に出てから数分経った頃に長門が来た。
「よう、長門」
「…………」
どうだ、調子は。元気か?
「元気」
そうか。そりゃなによりだ。
「そう」
長門は、体温も感じさせない無表情の顔が俺をまっすぐ見つめてる。
「着替え終わりましたー。入っていいですよー」
朝比奈さんのおかげで助かった。
何分か経ってから、古泉が来た。
「おや?涼宮さんはまだのようですね」
「まだだが、それがどうした?」
「いえ。特に何も無いですよ」
ホントか?お前がアイツを探すということは、何かあるということと一緒だ。
「そうですか?」
ああ。
「しかし、あなたには負けます。さすが、というところでしょう。何かあるのではないか、というのが『機関』が出した結論なんですが…」
なんでそんなことわかるんだ?
「実は最近、≪神人≫が大量発生しているんです。しかも、退屈そうに座ってるだけなんです。この前と同じように」
アイツは確かに退屈そうだったが…。
「みんなっいる?」
げっ、と、言いそうになってしまった。
「みんないるみたいね。では、ただいまより、SOS団ミーティングを開始します!」
おい、待て。俺何も聞いてないぞ。
「当たり前じゃない。言ってないもん」
いばって言うなよ。
「で、何を話し合うんですか?」
「あのね、私、今までずっと、このSOS団にはなにか足りないとおもうのよね。それでね、考えたのよ。目標をちょっと変えてみようってね」
で、どう変えたんだ?
ハルヒはにんまり笑って
「世界中の宇宙人、未来人、超能力者、魔法使いを探して、一緒に遊ぶ!」
世界が凍りつきそうなくらい寒気がした。魔法使いが加わっただけじゃないか。と言いかけて、ふっと青ざめた。魔法使いだと?
「どう?魔法使いに心当たりはある?」
ねえよ。でも、コイツが望んだものなら、この世に存在してしまうんでは。
全員そう思っているらしく、古泉さえ微笑を浮かべることなくハルヒを見つめていた。
しかし、一分もしないうちに微笑が戻り
「涼宮さんらしい発想ですね」
「でしょ?あたしね、宇宙人にも未来人にも超能力者にも会いたいけどやっぱなんかたりなかったのよね。でね、昨日、浮上中の飛行機を見て、空飛んでみたいって思ったのそっからは飛行機は飛ぶ、飛ぶは鳥、鳥は羽、羽は軽い、軽いは…て続いたのよ。そっから導き出されたのは魔法なのよ」
どうしたらそんな導きかたできんだよ。
それに魔法使いが出てきたら、どんなになるのか想像したくないね。
・・・・
・・・
・・
そっから推理すると、その転校生は…
ドアから何センチもしないところにセーラー服を着た女子が立っているのが見えた。
どっかで見たことがあるきがするような。
「入っていいぞ」
入ってきた女子は周りを見渡してニッコリ笑って
「春喜優菜です。よろしく」
春喜優菜って…
そうゆうとそいつは満面の笑みで
「私、モデルやってる春喜優菜です」