「ん~」
朝比奈さんは、目をこすった後、目を数回パチパチさせて
「え、ええええええ!わわわ、なんであたしの部屋にあなたがいるんですか!」
顔を真っ赤にし、ベッドの角に逃げた。ああっ、そんな変態を見るような目で俺を見ないでください。しかし、パジャマ姿もかわいいですね、へへへへへ。っと、そうじゃなくて、なんで朝比奈さんがここにいるんだ?
「何言ってるんですか!ここはあたしの部屋ですよ!出て行ってください~」
いたっ!お願いですから、手当たり次第に物を投げないでください。違うんです、話を聞いてくださいよ!
「ここは、あたしのっ!ってあれ?」
朝比奈さんが部屋を見渡し、首をかしげた。状況が飲み込めていないらしい。そりゃそうだ、俺自身、夢を見ているような気分なんだからな。あっちの世界に飛ばされたっていう経験がなければ、とっくに二度寝をして、現実逃避を続けていただろう。
「ここは、ナツキ……、俺の隣に住んでいる幼なじみの部屋なんです。それとここからが、とてつもなく言いにくいんですが……」
「あの~、どうしてあたしはここにいるんでしょうかぁ?」
「その……、ナツキの部屋にいることも問題なんですが……、実は、ここは俺の世界みたいなんです」
「はい?」
「わかりやすく言うと……、朝比奈さん、未来異世界人になっちゃいました。あはは……」
「はい~!?」
しばらく狼狽していた朝比奈さんを落ち着かせ、たいして長くない、ここまでに至る経緯を話すと、
「ええっ!」
すっとんきょうな声を上げた。あの、どうしたんですか?
「そんな、ありえません~!この世界は、あたしの世界とは次元そのものが異なっています~!」
焦っているらしいが、あまりにのんびりな口調のせいで、こちら側に危機感というものは全く伝わらない。失礼だが、自然と口元が緩んでしまいそうになったが、ギリギリ留まった。
それはともかく、朝比奈さんの言葉を吟味すればこういうことか。次元が違う、つまり、朝比奈さんがいる世界とは別の世界ってことだ。ということは、ここはやっぱり俺が元々いた世界。いったい、どうしてそんな事が、このただの可愛らしい女の子にわかるのか、それはたいした問題ではない。
それよりも深刻な問題は、俺の世界に何故朝比奈さんまでいるのかってことだ。もしかして、涼宮やキョン達もこの世界にいるのか?