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回り出した歯車は、噛み合い連なり真実へと集束する。




異なる輪廻と既知世界-5





蘇生魔法を彼に施して数分が経ったが、彼が生き戻る気配はなかった。




「お願い・・・お願いします・・。お願いします神様・・。」





ミラを抱き抱え泣きじゃくる私をしばらく見ていたが、山羊もとうとう動き出した。



「肉体ゴト蘇生シ万全ナ状態デ我二挑ムトイウ考エハヨカッタガ、時間切レダ。」




再び山羊の手には殺人的な魔力が宿り、力の制御が完了すると、巨大な火の玉が形成された。


それをこちらに投げられたら間違いなく絶命する・・。



「余興ハ終ワリダ、潰レロ虫ケラ。」






死ぬ・・・・。






「っ!!!」


気が付くと私は咄嗟にミラの死体を庇うように覆いかぶさっていた。
彼はもう死んでるのに・・何やってるんだろう私・・。


逃げればよかったのに、バカだなぁ・・。






張り詰めた恐怖と緊張が一気に襲い掛かり心臓が口から出てしまいそうで気持ちが悪い。



私は死を覚悟する。





が、数秒経っても火球が投げつけられる気配はなかった。




「身体ガ・・動カナイ!?」





山羊の方を見ると、火球投擲の一歩手前のような体勢で硬直していた。








『《ハードバインド》だ。・・ルーナ、よく頑張った。俺達の勝ちだ。』






頭に響いてくるミラの声に溢れる涙が止まらなかった。




覆いかぶさっていたミラの身体は突如激しい光を纏い、私の手をすり抜け浮き上がる。


眩い光がピークに達すると閃光の群れは消え去り、ミラの身体はゆっくりと地に足を着けた。






                    ・・・・・・
そこに佇んでいたのは一言で言うと・・・・彼ではない彼であった。


黒い衣装、腰に据わっている見慣れない東国の刀、そして何よりもミラから感じるOD(オド)であった。




「覚えているか?俺の名はIzel(イゼル)。・・今はイゼル・ミラだ。残念な事にお前は俺によって2度目の死を迎える事になるようだ。」




「ソノOD(オド)、ソレダ!我ハソノ魂ヲ喰ラウ為ニ地獄カラワザワザ人間臭イ此ノ地ニ戻ッテキタノダ!愉シマセロヨ!人間!」




恐れを知らない挑発気味な彼の態度は山羊には逆効果に作用し、興奮どころか更に殺意を帯びていた。



火球を投げつけると同時に山羊は一直線に突進。


対してミラは火球をひらりと躱し、腰にある東国の刀に手を添えた。



「遅い、遅いんだよ!」


山羊の動きを全て把握しているかのように繰り出される爪の猛撃を避ける。



「小賢シイゾ!人間ガァァ!!」



「《縮地》」


苛立ちに振り回された山羊の大振りの攻撃を見切り、瞬間移動のような速さで一気に距離を詰めた。


ニヤリと不敵に笑うと刃を返す。


「《一閃!》《霧氷刃!》《徹甲剣!》」


一撃目の三日月のような綺麗な太刀筋に続く、次々と繰り出される呪を纏う強撃。


その斬撃は山羊の身体を軽々と斬り裂き、骨まで届いた。

血だらけの山羊は後方にややよろめくが、すぐさま体勢を立て直す。


「効カン!効カンゾォォォ!グハハハハ!モットダ!モット楽シマセロ!」




ミラの周りに突如炎が生み出され、彼を飲み込んでしまった。


豪炎は1本の巨大な柱を型取り物凄い熱気を放ち彼を焼く。



「ミラ!!」



炎は竜巻の如く唸る。



炎が尽きると、そこから出てきたのは丸焦げになっている死体・・ではなく、焼け跡一つ無い無傷の状態のミラであった。


「《心頭滅却》すれば火もまた涼し、ってね。お返しだ!《氷矢–アイシクルアロー》!」




「人間ノ魔法ナンゾ!!」





仕留めたと思った山羊は、無傷で現れたミラに憤慨し火球を放つ。
ミラの放つ氷の矢は山羊の火球と正面から衝突し、水蒸気の爆発を起こした。


周囲は霧で覆われ一面真っ白になって目の前の状況も確認できない。




「視界ヲ覆ウトハ・・我ノ攻撃ヲ読ンダカ。ダガ小手先ノ芸デ・・。」





「そう、その小手先の芸がお前の死因だ。」


「!!」



霧の中から現れたのは刀を鞘に収め居合の型を取るミラの姿であった。




「これが古より伝わりしサムライの奥義・真の型。」




ミラから複雑に放たれていた殺気や魔力、闘気が一つに統一された瞬間、時間が停止したかのような無の緊迫感が周囲を襲う。






「《鳳凰・・烈風斬!》」
最終更新:2015年04月24日 06:43