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強敵金カブ(後編) - (2011/03/12 (土) 09:04:28) の編集履歴(バックアップ)


強敵金カブ(後編) ◆LuuKRM2PEg


その瞳からは、未だに強い闘争心が感じられた。
なおかつ、狼のように鋭い。
しかし、ガドルはもう興味を無くしている。
満身創痍であるにも関わらず、立ち向かおうとする気概は感心した。
だが、相手はもう戦えない。
そのような敗者に、何が出来る。
ガドルは再び天道の方に、振り向こうとした。

「あああああぁぁぁぁぁぁぁっ!」

巧は両手を広げ、大きく咆吼する。
すると彼の顔面に、奇妙な黒い紋章が浮かび上がった。
それが意味するのは、本来の姿を発揮する事。
霧彦から託されたナスカメモリを、使っていては間に合わない。
ならば、こちらしかなかった。
数十年前に、人としての命を失ってから、手に入れた忌むべき力。
オルフェノクという、人類の進化系を。
巧の身体は、音を鳴らしながら変化を始めた。
顔が、肉体が、四肢が、形を変えていく。
最後に、全身が灰色に染まる事で、終わりを告げた。

「何……!?」

天道は、驚愕で目を見開く。
目の前で立っていた巧が、既に人の姿をしていなかった為。
異形と呼ぶに、相応しい外見だった。
狼を連想させる顔、かぎ爪に酷似した形の肩、四肢から大きく伸びた棘、両足で輝く三本爪、背中より生えた大量の白い毛。
『ファイズの世界』を存在する灰色の異形、オルフェノクの一種。
ウルフオルフェノクへと、乾巧は姿を変えていた。

「ほう……」

一方でガドルは、感嘆したような呟きを漏らす。
もう戦えないと思っていた男が、再び立ち上がった。
しかも、リントではない異形の姿を見せる。
この戦場に来てから初めて戦った、蛇の男とよく似た変化だった。
同じ世界の住民かもしれないが、今はどうでもいい。
相手がその気なら、それに答えるだけ。

「フンッ!」

ガドルは勢いよく、腕を振るう。
迫り来る拳を、ウルフオルフェノクは横に飛んで軽々と避けた。
背中から、毛が少しだけ落ちるが気に止めない。
続けざまに、ガドルは回し蹴りを放った。
それもウルフオルフェノクは、身体を反らして回避。
そこから反撃として、爪を振るう。
ガドルの皮膚に傷が付き、微かな火花が舞った。
だが、相手は揺らぎもしない。

(チッ、やっぱりこれでも勝てないか……)

ウルフオルフェノクは、心中で舌打ちする。
予想は出来ていたが、あまり効果はなかった。
このまま戦ったところで、勝てる可能性は低い。
二対一でも、相手に天秤が傾いていた。
加えて、天道は敵の蹴りを受けて傷を負っている。
悔しいが、選択は一つしかなかった。
迫るガドルの一撃を、ウルフオルフェノクは後ろに飛んで避ける。
そして、距離を取って天道の側に立った。

「乾……?」
「捕まってろよ、天道!」

ウルフオルフェノクの後ろに、巧の虚像が上半身だけ浮かび上がる。
そんな中、彼は倒れた天道とデイバッグを担いで、全速力で走り出した。
オルフェノクの力を持ってすれば、この程度は何て事もない。
その速度は、まさに狼を象徴するかの如く素早かった。

「貴様ッ!」

無論、それを放置するガドルではない。
逃走を図ったウルフオルフェノクを、追跡しようとした。
しかしその直後、ガドルの身体に異変が起きる。
異形の姿が、音を立てながら変貌。
一瞬で、その身体はリントの物へと戻ってしまった。

「何……ッ!?」

ガドルは驚愕の表情で、己の手を見つめる。
まだ十分の時間が経っていないのに、変身が強制的に解除された事に対して。
ガドルは仮面ライダージョーカーとの戦いで、己に課せられた制限について知った。
しかし、そこにはもう一つ罠が存在している。
己の力を高める形態になると、変身時間が半分になる事。
カブトとファイズに立ち向かうため、ガドルは電撃体となった。
その影響により、タイムリミットが早く訪れてしまう。
結果、変身は解除されてしまった。
そんな事をガドルはつゆ知らず、逃げた敵の方に目を向ける。
既に、ウルフオルフェノクの姿は見えない。
最初の戦いと同じように、逃げられてしまった。

「ガドルさん、大丈夫ですか~~?」

そんな中、陽気な声が聞こえる。
振り向くと、目の前にはタツロットが金色の身体を輝かせながら、飛んでいた。

「逃げちゃいましたね、私が追いましょうか?」
「必要ない」

ガドルはあっさりと言い放つと、歩みを進める。
逃げられた相手を、わざわざ追う気にはなれなかったのだ。
どうせ追いつけないだろうし、何より逃げ出す奴に興味が沸かない。
最も、次に会うときには確実に殺すが。
ガドルの抱く明確な殺意に気づかず、タツロットも飛ぶ。
渡達と再会するまで、この人を見守りたい。
善意も悪意もない、純粋な好奇心。
それが一体、どのような結果を招くのか。
まだ誰にもわからない。



【1日目 夕方】
【F-5 道路】
【ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第45話 クウガに勝利後
【状態】疲労(中)、ダメージ(小)2時間変身不可(怪人態)
【装備】無し
【道具】支給品一式、魔皇龍タツロット@仮面ライダーキバ、不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
1:デイパックの中身を確認、その後ゲゲルを続行する。
2:強い「仮面ライダー」及びリントに興味。
3:タツロットの言っていた紅渡、紅音也、名護啓介、キングに興味。
【備考】
※変身制限がだいたい10分であると気付きました。
※『キバの世界』の情報を、大まかに把握しました。
※ガドルとタツロットは互いに情報交換しました。
※タツロットはガドルの事を『自分を鍛えるために戦う男』と勘違いしています。
※また、ガドルが殺し合いに乗っている事に気づいていません。







E-6エリア。
『アギトの世界』に存在する、アンノウンに対抗するための拠点とも呼べる警視庁。
その中で、天道総司と乾巧は休息を取っていた。
ガドルから撤退するために、ウルフオルフェノクの力を利用してから。

「乾、さっきの姿がオルフェノクとやらか」
「何だ、幻滅したか?」

天道の問いに、巧は特に隠そうとせずに答える。
どうせ、いずれはこうなってたかもしれない。
ならばコソコソ隠しても、仕方ないだろう。

「こんな所に連れてこられる時点で、お前が徒者ではない事は分かっていた……それだけだ」
「そうかよ」

その一言を最後に、彼らの会話は終わった。
今は、休息を取る事が最優先のため。
だからこれ以上、余計な事に体力を使いたくなかったのだ。
交わした言葉は少ない。
それでも、彼らには充分だった。
『カブトの世界』を代表する仮面ライダーカブトとして戦う、天道総司。
『ファイズの世界』を代表する仮面ライダーファイズとして戦う、乾巧。
二人の戦いは、まだ始まったばかりだった。
そんな彼らの行く末は果たして。



【1日目 夕方】
【E-6 警察署(警視庁)】
※外部にGトレーラーとトライチェイサー2000が並んで配置されています。



【天道総司@仮面ライダーカブト】
【時間軸】最終回後
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、仮面ライダーカブトに2時間変身不能
【装備】ライダーベルト(カブト)+カブトゼクター@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、ディエンド用ケータッチ@仮面ライダー電王トリロジー、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎
【思考・状況】
0:今は体を休める。
1:仲間達と合流して、この殺し合いを打破する。
2:首輪をどうにかする。
3:間宮麗奈、乃木怜治、擬態天道、草加雅人、村上峡児、キングを警戒。
4:情報を集める。
【備考】
※首輪による制限が十分であることと、二時間~三時間ほどで再変身が可能だと認識しました。
※空間自体にも制限があり、そのための装置がどこかにあると考えています。
※巧の世界、音也の世界、霧彦の世界の大まかな情報を得ました。
※参加者達の時間軸に差異が出る可能性に気付きました。
※クロックアップにも制限がある事を知りました。



【乾巧@仮面ライダー555】
【時間軸】原作終了後
【状態】疲労(中)、ダメージ(中)ウルフオルフェノク、仮面ライダーファイズに2時間変身不能
【装備】ファイズギア+ファイズショット@仮面ライダー555
【道具】支給品一式×2、ルナメモリ@仮面ライダーW、首輪探知機、ガイアメモリ(ナスカ)+ガイアドライバー@仮面ライダーW、霧彦のスカーフ@仮面ライダーW
【思考・状況】
0:今は体を休める。
1:打倒大ショッカー。世界を守る。
2:仲間を探して協力を呼びかける。
3:間宮麗奈、乃木怜治、村上峡児、キングを警戒。
4:霧彦のスカーフを洗濯する。
5:後でまた霧彦のいた場所に戻り、綺麗になった世界を見せたい。
【備考】
※変身制限について天道から聞いています。
※天道の世界、音也の世界、霧彦の世界の大まかな情報を得ました。
※参加者達の時間軸に差異が出る可能性に気付きました。



055:強敵金カブ(前編) 投下順
055:強敵金カブ(前編) 時系列順
055:強敵金カブ(前編) 天道総司
055:強敵金カブ(前編) 乾巧
055:強敵金カブ(前編) ゴ・ガドル・バ