*正義ノミカタ ◆LQDxlRz1mQ 出会ってはいけない二人が出会ってしまった──。 いや、二人が出会うのは必然だったのかもしれない──。 橘朔也。『剣の世界』の仮面ライダー・ギャレン。 名護啓介。『キバの世界』の仮面ライダー・イクサ。 誰よりも正義感が強く、誰よりもそれを暴走させやすい二人の男が出会ってしまった──。 「この殺し合いで剣崎や俺が勝たないと世界が滅びる……か」 橘の表情は物憂げだった。 ここで渡された全ての支給品を机の上にぶちまけて、橘は喫茶「ポレポレ」のカウンター席のほとんどを支給品で埋め尽くしてしまう。 水、食料のようなサバイバル必需品はおそらく全員に支給されたものだろう。 そんな中でも、ひときわ異質な物々を厳選して、橘はそれが支給品なのだろうと推測する。 「……なるほど。ガイアメモリか」 彼の見つけた支給品のひとつ。ガイアメモリ。 それぞれに特殊な効果が備えられていて、首輪のコネクタで怪人に変身することができる……らしい。 胡散臭い話だが、それがその世界の『仮面ライダー』なのだろうと橘は思う。 「……なら、この首輪もその世界のものか」 と、早速橘は一つ勘違いをした。 無理もない話だが、コネクタの付属している首輪はその世界の人間と何か関わりのあるものだと推測したのだ。 誰かガイアメモリを知っている人間を捜し、その人間を問いただせば首輪の解除もできるかもしれない。 「これはライアーメモリというやつだな。メモリは他にもあるのか」 嘘が苦手で、嘘を受ける側になりやすい彼に、適切とはいえない支給品だ。 とにかく、使用率が高くなりそうなその支給品を、橘はポケットに入れる。 「あとは、防護服か……」 最後の支給品は、ある世界で「ゼクトルーパー」と呼ばれる戦闘兵が装着する装備一式である。 攻撃手段だった「マシンガンブレード」は除かれているものの、多少は防護服としての有効性がありそうだ。 彼は、その有効性を確かめるためにヘルメットを除く、全身を装着する。 「……確かに、動きやすい。防護服としての機能もなかなかだ。ボードもこれだけの技術を実践投入していれば……な」 一戦闘集団の社員だった橘は、そんなことを考える。……が、今橘にとってこれはどちらかというと邪魔である。 何故なら、ポケットに入れたライアーメモリを取ることができないからだ。ゼクトルーパーのスーツには、それを収納するスペースもありそうにない。 「どうやら俺への支給品はこれだけのようだな」 ゼクトルーパースーツを脱ぎつつ、橘は呟いた。 ポレポレの安心感ある雰囲気に、橘は少し肩の力を抜く。 一体、どこにある喫茶店だかはわからないが、橘はその雰囲気が好きだった。 「……本当なら、ここには殺し合いの場所としてでなく来たかった」 橘はそういい残すと、ポレポレの出口に向かった。 「しかし、外が騒がしいな」 △ ▽ 名護啓介は、その喫茶店からあまり遠くない路地にいた。 当然、自称「正義」たる彼は殺し合いに乗ることはない。 確かに、その世界を守るという行動には賛成的だが…… (世界の選別だと……? 一体何の権限があってそんな事を……) と、その行為全般にはいまいち好感を持てずにいた。……むしろ、敵意むき出しという感じだろう。 「……あの青年のような犠牲者は生ませはしない!!」 名護という男は人の死を奪うものを徹底的に憎む──それだけの正義を、確かに持った男だった。 それを自覚してしまっているのが、彼にとっての最大の欠点だろう。 彼の居た場所には、有効な移動手段であるバイク・竜巻が配置されている。 これが彼の支給品のひとつなのだ。 ──が、名護はそれを前にあまり快くない表情をした。 これは全て、人の命を堂々と奪った悪の集団「大ショッカー」の用意したものだ。 「……悪魔の集団、大ショッカー……その命、神に返しなさい!! 変身──」 ──イ・ク・サ レ・ジ・ィ── 名護は仮面ライダーイクサに姿を変え、その剣・イクサカリバーで竜巻を斬った。 殺し合いの全てを破壊し、大ショッカーを倒すのが今の彼の目的である。 そのために、主催の私物(と名護は推測した)であるバイクは、その意志の表明として破壊する。 が、そう簡単に壊れるものではない。 イクサは竜巻を蹴飛ばすと、倒れた竜巻に右足を乗せ、真上から狂ったように、何度も何度もイクサカリバーを突き刺すのだった。 やがて、ボロボロになった竜巻はガソリンから発火して、燃え盛っていく。 めらめらと燃えるバイクに、イクサは止めのイクサ・ジャッジメントで止めを刺す。 竜巻は跡形もなく爆発し、その残り火さえもイクサは両断した。 「……お前、何やってんだぁ!!」 そんなイクサに飛び掛るように、橘は目の前に走って迫る。 流石の異様な光景に、橘も驚きを隠せない。 「変身!!」 ――Turn Up―― 目の前の白いライダーを敵と認識した橘は、ギャレンに変身する。 が、一つ前の彼の台詞から彼が敵でないと察したイクサは、攻撃ではなく弁解に出る。 「待ちなさい、俺は敵じゃない」 「黙れ、何をしていたんだ!!」 攻撃的な口調で、ギャレンはイクサに迫る。 「……俺はただ、大ショッカーの道具を破壊しただけだ」 「何だとっ!?」 「俺の来た場所には、大ショッカーの用意したバイクが置いてあった。それを破壊した……それだけだ、俺は正しい」 「馬鹿か貴様は! 周囲の被害を考えろ!」 未だめらめらと燃えている残り火があるが、ほとんどの炎はイクサカリバーの斬撃から発された突風で鎮火していた。 参加者がいることも配慮して、イクサはその後に残る被害を最小限に抑えたのだ。 「……とにかく来い」 △ ▽ 「迂闊な行動をするな。大ショッカーに狙われるだけだぞ」 橘は再びポレポレで、名護に説教を始める。 が、先ほどと違い、攻撃的な口調は抑えられている。 「俺たちには首輪がついている。迂闊な発言をすればこれが爆発するんだぞ。 まあ、ある世界の人間ならばこれを解除することができるかもしれないが……」 「……何っ!?」 「ガイアメモリを知る人間なら、首輪の構造を知っているかもしれない」 「ガイアメモリ……? これのことか?」 名護はポケットから、ガイアメモリを取り出した。 その名も、スイーツ・メモリ。「味覚の化身」の異名は、どこかの誰かを彷彿とさせる。 「お前も持っていたのか。……いや、もしかしたら全員に支給されている可能性もある」 と、また橘は勝手にメモリについて考察する。 全員に装着された「首輪」に連動するメモリならば、やはり全員に支給されている可能性が高いと考えたのだ。 事実、メモリは二人の人間に支給されている。 「なるほど。ならば、誰がメモリをよく知る世界の人間なのかがわからない。……おのれ、大ショッカーも考えたものだ」 「とにかく、会った人間ひとりひとりに訊くしかないな。ところで、自己紹介が遅れたが、俺は橘朔也と言う。お前は?」 「名護啓介。『素晴らしき青空の会』の一員だ」 「了解した。……ところで名護、別世界のライダーについて面白い資料を見つけたぞ」 そう言って、橘はポレポレのカウンターから、ファイルを取り出す。 それを見てみると、「未確認生命体第4号」に関する新聞の資料があった。 「これは……あの時大ショッカーが見せた映像の仮面ライダーだな!」 「ああ。何かの役に立つかもしれない。目を通しておこう」 ──二人の正義が、これからどう動くのか。 ──神は、二人の運命をどう動かすのか。 殺し合いの場に召喚された二人のライダーは、他の世界のライダーと果たしてどう関わっていくのか。 【1日目 昼】 【H-4 街/喫茶『ポレポレ』@仮面ライダークウガ】 【橘朔也@仮面ライダー剣】 【時間軸】第42話終了後 【状態】健康 ギャレンに2時間変身不可 【装備】ギャレンバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(クローバーA~?)@仮面ライダー剣、 ガイアメモリ(ライアー)@仮面ライダーW 【道具】支給品一式、ゼクトルーパースーツ&ヘルメット(マシンガンブレードはついてません)@仮面ライダーカブト おやっさんの4号スクラップ@仮面ライダークウガ 【思考・状況】 1:とにかく首輪を解除するため、『ガイアメモリのある世界』の人間と接触する。 2:名護と一緒に、『未確認生命体第4号』の資料を読む。 3:殺し合いで勝たなければ自分たちの世界が滅びる……。 【備考】 ※ 『Wの世界』の人間が首輪の解除方法を知っているかもしれないと勘違いしています。 ※ ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。 【名護啓介@仮面ライダーキバ】 【時間軸】本編終了後 【状態】健康 イクサに2時間変身不可 【装備】イクサナックル(ver.XI)@仮面ライダーキバ、ガイアメモリ(スイーツ)@仮面ライダーW 【道具】支給品一式 【思考・状況】 1:悪魔の集団 大ショッカー……その命、神に返しなさい! 2:とにかく首輪を解除するため、『ガイアメモリのある世界』の人間と接触する。 3:橘と一緒に、『未確認生命体第4号』の資料を読む。 【備考】 ※ 時間軸的にもライジングイクサに変身できますが、変身中は消費時間が倍になります。 ※ 支給品の竜巻@仮面ライダー響鬼は自身の手で破壊しました。 ※ 『Wの世界』の人間が首輪の解除方法を知っているかもしれないと勘違いしています。 ※ ガイアメモリが全員に支給されていると勘違いしています。 |009:[[ゆれるH/守りたい世界]]|投下順|011:[[]]| |009:[[ゆれるH/守りたい世界]]|時系列順|011:[[]]| |&color(cyan){GAME START}|[[橘朔也]]|| |&color(cyan){GAME START}|[[名護啓介]]|| ----