登録日:2022/12/10 Sat 13:25:00
更新日:2022/12/10 Sat 13:25:36
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木星とは、太陽系に属し第五惑星とされる巨大ガス惑星。
基本データ
英名 |
Jupiter |
太陽からの距離 |
7億7840万km |
近日点 |
7億4080万km |
遠日点 |
8億1610万km |
直径 |
142984km |
質量 |
1※ジョ8986垓t |
重力 |
2.34(地球を1とする) |
公転周期 |
約11.86年(約11年と314日) |
自転周期 |
約0.41日(9時間55分) |
表面温度 |
約-121℃ |
分類 |
巨大ガス惑星 |
衛星の数 |
80 |
地球に近づく周期 |
399日 |
年齢 |
約46億歳 |
概要
直径は142984kmと太陽系最大の惑星で地球の11.5倍、体積は1321倍、質量はざっと1ジョ8986垓
1898600000000000000000000トンと地球の約318倍と最も重い惑星で、他の全ての惑星を加えても木星の4割程度にしかならない。しかしガスで構成されているためデカい割には軽い方である。小惑星帯を超えた先に存在し、地球の約2.34倍という強大な重力を持つため太陽系では太陽に次ぐ重力中心となっており、水星を除いた太陽系の6つの惑星の軌道は、太陽の赤道面ではなく木星の軌道平面とほぼ同じである。このため惑星の軌道はほとんど傾きがなく(水星でも7度しか傾いていない)、地球に滅多に隕石が落ちないのは木星のおかげだとも言われている。
ガスを主成分とする巨大ガス惑星で、水素81%、ヘリウム17%を主成分とする大気を持つ。つまり、地表?そんなものはここには無いよの風船のような状態となっている。表面は常に雲に覆われ、赤道傾斜角が約3度しか傾いていないため季節の変化も見られない。
その大きさに違わず磁場も地球の14倍に相当し太陽黒点を除けば太陽系
最強の磁力を持ち、この磁気によって極地方では常にオーロラが見られる。
夜空では太陽、月、金星についで4番目に明るく見え、夜半の明星とも呼ばれる。
木星は古代から知られて観測され、そして多くの文明で神話や信仰の対象となった。英名のJupiter(ジュピター)は古代ローマ神話の神ユーピテルが語源。
公転と自転
時速47160キロで周り、太陽の周りを約11年と314日かけて一周する。この公転周期は十二支の由来にもなった。太陽を直径1メートルの球と仮定すると、木星は約560メートル離れたところを公転している直径10センチの球になる。
これは土星の29年半の5分の2に相当し、木星が5周している間に土星は2周する。つまりこの2つの巨大な木星型惑星は、軌道共鳴5:2の関係にある。
自転周期は約9時間55分と非常に短く太陽系最短で、時速約45240kmというアポロ10号を上回る凄まじい速度で自転している。
厳密には縞模様ごとに少しずつ早さが違うものの、いずれも10時間に満たない時間で自転しているために強い遠心力が働き、まん丸ではなく赤道部分が膨らんで
まんじゅう型に少しつぶれている形状となっている。
衛星と環
これまで語られてきた通りその強大な重力により、2022年現在80個もの衛星を持つ。
ただし内53個は直径が10キロにも満たない小惑星サイズで、54個は母星となる木星の自転方向とは反対に公転している。
最も有名なのが1610年にガリレオ・ガリレイが発見したガリレオ衛星で、木星を代表する四大衛星となっている。
イオ
ガリレオ衛星の内最も内側を公転する。直径は3643kmと
月より少し大きく太陽系で4番目に大きい衛星で、密度は太陽系の衛星で最大である。自転周期もわずか42時間と非常に早い。
400を超える活火山を持ち、母星と他のガリレオ衛星の潮汐加熱の作用により太陽系の中でも非常に地質活動が活発な天体である。
本星の表面積が約4191万平方キロメートルなので、約5億995万平方キロメートルに約1500の活火山を持つ地球の約3倍の火山密度を持っていることになる。
火山の中にはいくつか地球のエベレストよりも高いものもあり、硫黄と二酸化硫黄により黄色い色をしている。
組成は比較的地球型惑星に近く、活発な火山活動によりカラフルな風景を持ち、溶岩流によって風化してしまうため大きな衝突クレーターは見られない。
1981年には人類が宇宙に進出した近未来、木星の衛星イオを舞台にした映画「アウトランド」が公開されている。
エウロパ
ガリレオ第二衛星。直径は3202kmと月よりもやや小さく、公転周期は3.55日。
ケイ酸塩岩石を主成分とし、氷と水からなる地殻と、極めて希薄な酸素を主成分とした大気を持つ。表面温度はマイナス170度。
表面にはひび割れや筋状の模様が見られるが、クレーターは少ない。
太陽系の中では最も滑らかな地形を持ち、高い山がない。
内部海を持つことでよく知られており、つまりこの星の地表は海面が凍ってできたものということになり、非常に滑らかな地形を持つのはこのためと思われる。 2012年には水蒸気の噴出がハッブル望遠鏡によって確認された。ほかに水蒸気の噴出が確認できたのは土星の衛星エンケラドゥスのみである。
内部海は地球のマリアナ海溝の約10倍にもなる100kmの深さを誇り、この内部海の存在により、太陽系の天体の中で最も地球外生命体が存在する可能性が高いと期待されている。
ヨーロッパが2000年代に本星を探査する計画を打ち立てたが、予算などの面からお蔵入りとなった。
2013年には生命体探索を目的に本衛星を舞台に6人の宇宙飛行士に待ち受ける衝撃の運命をファウンドフッテージ・スタイルで描いたSFサスペンス映画が公開されている。日本では2014年3月15日に公開された。
ガニメデ
ガリレオ第三衛星。直径は5262kmと太陽系最大の衛星で、惑星である水星よりも大きいが、質量は45%程度である。公転周期は7.15日。
ケイ酸塩岩石と、氷と水が半々の組成となっていて、エウロパ同様地球の海よりもたくさんの水を持っている可能性がある内部海を持っていると考えられている。
表面には直径150kmの隕石が衝突したと思われる直径約7800kmの太陽系最大クラスのクレーターにより溝状になった地形がある。
ガニメデは内部の2衛星と複雑な軌道共鳴を起こしており、ガニメデが1周する間にエウロパは2周、イオは4周する。イオとエウロパは地球で言う月食(日食)を起こすこともあるが、必ずイオが近木点、エウロパが遠木点の時に起こり、3つの衛星が同時に食を起こすことは決してない。このような軌道共鳴はラプラス共鳴と呼ばれる。ポケモンではない
カリスト
ガリレオ第四衛星で一番外側を周っている。直径4820kmと水星より僅かに小さく、公転周期は16.69日。内側の3つのガリレオ衛星とは少し離れているため軌道共鳴を起こしておらず、
カリストを他のガリレオ衛星が覆うカリスト食も起きることがあると思われる。
構造はガニメデとほぼ同じで岩石と氷がほぼ同量の組成を持ち、これまた内部海を持っている可能性が高い。
表面は太陽系天体の中で最古であり、多数の衝突クレーターが生々しく残っている。プレートや火山活動といった地質活動は見られない。なので地形の変化はほとんどが天体衝突によるクレーター形成によって占められていると思われる。
2003年にはNASAがHOPEと呼ばれる研究を始め、将来的な本星への探査を目指している。ターゲットにされた理由は木星から離れているため放射線が弱いことと、上述のように地質的に安定していることが挙げられている。
カリストへの有人飛行は2040年代には実現するだろうと報告している。
環は3つのリングからなり、土星と比べて非常に細くて薄いため、地球上からは望遠鏡を使ってもみることができない。土星の輪が氷の粒から成るのに対し、木星の環は衛星になり損ねたと思われる塵や石からなる。
大赤斑
木星の表面に見られる最大の特徴が、赤道から南に22度の表面に確認できる大赤斑だろう。
この大赤斑は地球が2-3個をすっぽり収められるほど大きく、時計回りに回転し6日間かけて1周する。
最低でも1831年には存在が確認され、さらに遡ると1665年には存在していたと考えられている。
この大赤斑を作る嵐は常に安定しており、今後も存在し続けると考えられていたが、2014年5月15日には1930年代以降の観測史上最も小さくなっていると確認された。このまま縮小が進めば今世紀半ばには消滅するだろうと推測されているが、原動力となっている渦は存在し続けているためいずれ縮小は止まるだろうという意見もある。
2000年には南半球上に小さいながらも大赤斑と同じ大気現象が現れた。この斑はオーバルBAと命名され、また赤斑ジュニアのあだ名をつけられた。
斑はその後さらに強大になり、その色も白から赤へと変化している。
探査
1973年を皮切りに、数多くの無人探査機が木星の観測を行っている。特に優秀なのがパイオニア10号で、木星に近づき多くの発見をもたらしたことで知られている。
1995年7月には探査機ガリレオによる木星大気へのプローブ投下の試みが行われ、同年12月7日は木星大気の探測が進められたが、貴重なデータこそ得られたものの、潜れたのはせいぜい表面から159km程度までで、そこで75分間データを送信し続けたが、機能が停止した。この時点で温度は185℃、28気圧にも達しており、プローブが融解してしまったものと考えられている。その後木星に落下させられて飲み込まれ木星の一部となった。
2015年に冥王星到達を予定し飛行していた探査機ニュー・ホライズンズが寄り道と言わんばかりに木星でフライバイを行い、2007年2月28日に再接近しイオの火山を起源とするプラズマを計測した。
NASAは2011年にも極軌道から木星を詳細に探査するジュノーを打ち上げている。2016年に木星に到達し、現在木星を探査中である。
太陽になれなかった星
巨大ガス惑星である木星の主成分は水素で、これは太陽とほぼ同じ組成となっている。
このことから「太陽になれなかった星」と呼ばれることがあり、SF作品で木星を太陽化するエピソードも作られたりしているが、木星の質量は太陽の約1/1047しかないため、最低でも現在の80倍は重くないと核融合反応は起きないとされている。
宇宙には木星の1.4倍の大きさと80倍の重さの赤色矮星が存在し、もしこの赤色矮星と同じ質量を持ち恒星になれていれば地球から見た明るさは-10等程度、つまり現在の250倍とほぼ満月と同じとなる。ただし(木星と地球の距離を現在と同じとして)距離の関係で大きさは月の約28分の1程度の大きさに見える。
また、上記のガリレオ衛星は惑星になり、エウロパの氷が解けて地表に海が広がり、やがて地球のような生命の惑星へと変貌したかもしれない。
関連作品
映画
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追記・修正は木星に足をつけてからお願いします
最終更新:2022年12月10日 13:25