ハイエナ
登録日:20??/??/??(日) ??:??:??
更新日:2023/06/26 Mon 15:06:52
所要時間:約 分で読めます
ハイエナ(学名:Hyaenidae) とは、食肉目ハイエナ科に属する哺乳類。
別名鬣犬ともいう。
概要
現生するのは4種。長い鼻面と長い足が特徴。
別名にタテガミイヌがあるようにイヌに似た姿をしているものの、実際はジャコウネコ科に近縁である。
昆虫食のアードウルフを除き、強靭な頭骨と、
人間の約7倍にもなる咬合力、腐った肉を食べても腹を下さない丈夫な消化器官を持ち、「サバンナの掃除屋」の異名を持つ。
コンゴ盆地およびサハラ砂漠を除くアフリカ、インド、中東、ネパール南部に分布する。
寿命は10〜20年程。
誤解
さて、諸君はハイエナと言えばどのようなイメージを持っているだろうか?
「獲物を横取りする」「死肉を漁る」「強靭な顎により骨までしゃぶり尽くす」などといったマイナスイメージが先行する人も多いだろう。
実際このイメージは強固なもので、客を待つ列の後尾につかずに客を横取りするタクシーを指す業界用語や、パチンコにおいて期待値が低い場所は他の人に打ってもらい、自分は大当たりになる可能性が高い台を打つ、そこから転じて配列制のカードゲームにおいて配列表で確認しながら高レアリティのカードを少ない金で手に入れる行為など、多くは
金が絡む行為やおいしい所だけを持っていく行為において使われ、貪欲の象徴になっているのが現状。「
ライオン・キング」などのフィクションでもほとんどが悪役での起用となってしまっている。
しかし、実際のハイエナの生態はそのイメージを根底から覆すものとなっている。
種類
学名:Crocuta crocuta
分布:アフリカ大陸(サハラ砂漠、コンゴ盆地、アフリカ大陸最南部を除く)
かつての分布:ユーラシア大陸(更新世後期)
体長:95-165cm
体重:55-85kg
ハイエナといえばこの種が有名で、動物特集系の番組での登場頻度も高い。名前の通り体にある斑模様が特徴。
ハイエナと言えば死肉を漁るイメージが強いが、彼らは狩りも上手く、
ライオンの狩りの成功率が
20〜30%程度であるのに対し、ブチハイエナは
60〜80%程度という破格の高さを誇り、多くは自分たちで仕留めたものである。
足の速さも最高時速65km/hと
日本の一般道の制限速度を上回り、さらにライオンやチーターなどとは違って持久力も高い。
この体力スペックを持つ彼らが群れをなして高いチームワークで狙って来るわけなので、高い狩りの成功率も納得であろう。
なので確率論的にはむしろライオンに横取りされる場合が多いのである。
また従来のイメージである横取りに対してもそもそも食べ物の奪い合いは厳しい自然界では当たり前、という擁護意見も見られる。
ライオンも彼らを目の敵にしており、見つけ次第殺してしまうことも多々あるが、これは1対1の場合であり、10頭以下の群れしか作らないライオンに対しハイエナは最大
80頭までの群れを作ることもある上チームワークにも優れているため数の暴力でねじ伏せられてしまうことも多く、総じてサバンナでは強力なライバル関係となっている。
獲物の骨は巣穴に持ち帰り、非常食として保存し食料が無い時には骨で飢えを凌ぐ。
本種は雌のクリトリスが雄のペニスと同じくらいか、それ以上に大きく、偽陰嚢と呼ばれる脂肪の塊が股間についている。
そのため雄雌の判別が非常に難しく、中世ヨーロッパでは両性具有の動物だと勘違いされていた。
群れは「クラン」と呼ばれ雌がリーダーとなる女系家族で、交尾の主導権も雌が握っているという女尊男卑な社会である。
ペニスの尿道にあたる部分から出産するため、初産の約60%が死産、その際母親も約20%が死に至るというとても難産な動物で、多くても2頭しか産まない。出産後の雌には擬陰茎に出産の跡が残る。
前述のライオンキングでは非常に頭が悪い動物として描かれているが、近年になって霊長類に匹敵する知能を持つことが判明した。
学名:Hyaena brunnea
分布:アンゴラ南西部、ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ南東部、南アフリカ共和国
体長:110-140cm
体重:35-50kg
名前通り平均約11cmの暗褐色の体毛で覆われる。
主に動物の死骸を食べるが、甲虫やシロアリ、鳥の卵や果実を食べることもある。
ブチハイエナ同様クランを形成して生活する。
学名:Hyaena hyaena
分布:北アフリカ、東アフリカ、中東、インド
体長:100-120cm
体重:25-55kg
ハイエナの別名タテガミイヌの由来にもなった種。
草原に生息し、ブチハイエナやカッショクハイエナと異なり群れを作らず単独で生活する。危険を感じると全身の毛を逆立てて威嚇する。
死肉の他、カニなどの甲殻類や魚を食べることもある。
ブチハイエナ、カッショクハイエナと違って
ヒョウより体が小さいためほとんど勝つことができない。
レバノンでは国獣になっている。
学名:Proteles cristatus
分布:南部、東部、北東部アフリカ
体長:55-80cm
体重:8-14kg
4種ある現生するハイエナでは最小種で、他とは大きく異なる生態を持ち、東及び北東アフリカと南アフリカに分断された特異な分布域を持つ。
シマハイエナと同じく単独で生活することがほとんどだが、家族群と思われる群れの目撃例もある。
上述した通り強靭な顎は持たず、主にシロアリを食べるが、動物の死骸や他の昆虫を食べることもある。
絶滅種
学名:Pachycrocuta brevirostris
分布:アフリカとユーラシアの平原
体長:
200cm
体重:
110kg
生息年代:300万〜40万年前
史上最も大きなハイエナと考えられている種。現在のハイエナの倍近い大きさがあったようで、現在の雌ライオンに匹敵するほどであった。
その大きさに違わず噛む力は現生のあらゆる生物よりも強かったとされ、当時の人類の祖先も食べていたとされ、実際北京の洞窟遺跡には、このハイエナが穴を開けたとされるホモ・エレクトスの頭蓋骨が発見されている。
しかしその反面足はそれほど速くなく持久力も高くなかったため、現在のハイエナと同様死肉を食べたり
サーベルタイガーなどから獲物を横取りすることが多かったとされている。
人間との関係
肉食獣のお約束と言うべきか、生息地では人間や家畜を襲う害獣として駆除される場合もある。
骨が薬になるという迷信や毛皮を目的とする狩猟が行われる場合もある。
そのイメージや外見から動物園でも不人気な部類に入るため、飼育している動物園は少なく、繁殖に熱心な所も少ない。
一方で
南アフリカ共和国などの治安が悪い地域では番犬代わりに飼われていることもある。
ブチハイエナやシマハイエナはアフリカ文化におけるトリックスター枠として扱われる場合が多い。
- 東アフリカのルング族の神話では、ブチハイエナが地上に太陽をもたらした。
- ケニアのメル族の民話では、神は人類が不死にならないようにキンモグラを遣わしたが、餌になる死体を奪われることを嫌ったハイエナがキンモグラを食べてしまい、人類は不死になるチャンスを失った。
- 南スーダンのマディ族・ヌエル族の伝承では天と地をつないでいた牛革のロープを噛み千切ったことにより、人類と創造主とのつながりが絶たれてしまう。
- タンザニアのムグブウェ族の文化においては、すべてのブチハイエナは魔女の使い魔であり乗り物だと信じられている。魔女は夜な夜なハイエナの肛門腺液を搾り、たいまつの燃料として使うという。
ハイエナをモチーフにしたキャラクター
特撮
漫画・アニメ
- シェンジ/バンザイ/エド/ジャスィリ(ライオンキングシリーズ)
ゲーム
あだ名・異名・自称などがハイエナ
追記・修正お願いします
最終更新:2023年06月26日 15:06