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更新日:2024/08/24 Sat 17:40:37
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雨とは、空の雨雲から水滴が落ちる天候現象及び天気の一種である。
概要
海から蒸発した水蒸気が大気中で冷やされ、冷却されて凝結した微小な水滴が雲を形成し、雲の中で水滴がぶつかり合うことで成長し、やがて重みにより空気に浮かんでいることが難しくなり、重力により落下してくるものの正体が雨。
雨粒が地上に到達する雨を降らせている雲を「降水雲」、上空で拡散して地上に到達しない雲を「尾流雲」という。
降ってくる雨粒の大きさは通常は1mm前後で、0.5mm未満の場合は「霧雨」と呼ばれ、まるで浮遊しているように見えることもある。
雲の中では氷の粒の状態で地表が0度以下で湿度が高すぎなければ「雪」となる。雪は落下途中で落下しながら昇華熱を放出するため、2〜3℃程度だと雪の形状を保ったまま降ることもある。雪になるか雨になるか、あるいは雪と雨が混合する「霙」になるかは、気温と相対湿度により決まる。
それ以上の温度の場合は地表の熱で氷の粒が融けて、我々のよく知る雨となって降ってくる。
生物や人類との関わり
生物の生存に必要不可欠な「
水」の最大の供給源であり、水分により「
生産者」と呼ばれる植物を生育させ、森林を作り、生育した植物は動物の食料や住処となり、食物連鎖を形成する根幹となっている。
無論大地にも水分をもたらし、その水が山に蓄積・濾過されることで、川や池、湖などを形成する。できたばかりの頃の地球に海を作り上げたのも長年降り続いた雨である。
そして我々
人間にとっても農業や水力発電などを通して生活にも深く関与している。
基本的には作物を育てるのに十分な雨が降る熱帯・温帯地域に人口が集中し、雨があまり降らない乾燥帯には少ない傾向にある。
このように多くの生命にとって恵みである一方、陸棲生物にとっては体温を奪い行動を制限させる面もあり、一概に喜ばれるだけというわけではない。
湿度の上昇と気圧の低下を伴い、それによる身体感覚への影響と行動の制限、所持している荷物(特に紙物)が破損したりすることもあるため、この天候に不快感を催す人も少なくない。
屋外で開催されているイベントなどが雨により中止になるのもよくあること。
雨が降って来た場合は、基本的に傘や雨カッパによって雨を防いだり、止むまで特定の場所で
雨宿りするのが一般的。
気圧の低下具合によっては「台風」(タイフーン)やハリケーンが発生し強い風と共に雨が降り注ぐこともあり、こうなると傘も破壊されかねないためあまり役に立たず、河川の氾濫などによる洪水など大規模な災害になることも多々ある。
我らが日本においても例年のように豪雨災害に見舞われることは周知の通りだろう。
大昔から人類は恵みを与える反面洪水などの災害を引き起こす雨を崇拝すると同時に畏怖の念を持ち、非常に有名なノアの方舟を始め世界各地に洪水神話が存在する。
さらに工場から排出された排煙などに含まれる硫黄酸化物や窒素酸化物により酸性化し、酸性雨によって森の木々を枯らしたり、外に設置されている銅像が溶けてしまうなどの被害もある。
通常の雨のpH値は6ほどで元からやや酸性を示しているが、酸性雨と呼ばれる雨はこの値が5〜5.6未満のものを指す。
ただし一方で土壌や燃焼に由来するアンモニウムやカルシウム成分を取り込み、pHが中和されることもなくはない。
多すぎてもダメだが、当然ながら少なすぎても「{干魃」(日照り)となり、作物が育たず水不足や飢饉に見舞われてしまうことになる。
歴史的に見ても数百万単位の死者を出した大干魃による大飢饉も知られている。
雨量によって生活が左右される農民や牧畜民の間では、雨が中々降らない時に「雨乞い」の風習が存在し、アフリカ地域では専門職もあるほどで現地では社会的地位も高いとされている。
多くの乾燥地帯ではネガティブなイメージが少なく雨が楽しいもの、喜ばしいものとして捉えられ、歓迎される。
観測
雨の観測の歴史は古く、紀元前4世紀にはすでにマウリヤ朝時代の古代インドにて行われたいたことがカウティリヤの著書に記されている。
15世紀には李氏朝鮮や中国でも観測が行われていた。
ヨーロッパでは17世紀には雨量計が考案・開発され、ロバート・フックが行った観測記録などが残っている。
最古の信頼できる観測記録は
イギリス・ロンドン郊外のキューにおけるもので、1697年から記録が存在する。
日本では18世紀初頭に徳川吉宗が観測させたという説もあるが、記録は残っておらず、1875年6月1日に当時の東京気象台で明確に観測が始まったとされている。
雨の観測は主に雨量計や気象レーダーにより行われる。雨量計は標準化されており、日本では直径20cmの円筒形の器具がポピュラーである。
日本の場合、防災を目的に気象庁のアメダス雨量計が国内約1300か所に、気象レーダーは20か所に設置され、国内ほぼ全域をカバーしている。
気象レーダーは、波長5 - 10cmのマイクロ波を放射して雨粒からの反射を検知し、半径約300〜500kmをの範囲内の降雨の分布を調べる方法をとっている。
反射の強度は、
雨粒の直径^6×大気中の雨粒の個数
で算出される。
また雪が融けて雨に変わりつつあるとき、電波が屈折してしまうためその高度のレーダー反射は実際以上に強くなる。この現象をブライトバンドと呼び、さらに、雨粒以外の例えば鳥や昆虫などの小動物、空気の乱れなどで異常な観測結果がみられることがあり、この現象をエンジェルエコーと呼ぶ。
これらのことからレーダーのみでは正確な雨量は求められないため、数値以上に雨が多いかもしれないし少ないかもしれない。
気象用語では雨量を
降水量と呼ぶ。単位は基本的にmm。
陸海の降水量の割合は1:3ほどである。
降水量は地域によって全くといっていいほど異なり、1年間に10000mm以上降る地域もあれば、全く降らない地域もある。
降る量によってその地の風景や植物の自生状況も全く異なる。
世界のおよその平均値は、陸上では約850mm、海洋では約1250mm、地表平均では約1100mmとされている。
日本の全国平均降水量は1668mmで、世界的にも比較的多い部類だが、実は人口当たりだと少なめな部類。
データがある中の最多はコロンビアの3240mm。人口は日本の4割ほどなので、人口当たりだと日本の5倍近い降水量となる。
逆に最少は
サハラ砂漠が広がるエジプトのわずか
{
18mm。
+
|
降水量の記録 |
観測時間 |
降水量(mm) |
場所 |
観測年月日 |
1分 |
38 |
フランス領 グアドループ島 |
1970/11/26 |
8分 |
126 |
ドイツ フュッセン |
1920/5/25 |
15分 |
198 |
ジャマイカ プラムポイント |
1916/5/12 |
20分 |
206 |
ルーマニア クルテヤデアルジェシ |
1889/7/7 |
42分 |
305 |
アメリカ合衆国 ホルト |
1947/6/22 |
2時間10分 |
483 |
アメリカ ロックポート |
1889/7/18 |
2時間45分 |
559 |
アメリカ ダニス |
1935/5/31 |
4時間30分 |
782 |
アメリカ スメスポート |
1942/7/18 |
9時間 |
1087 |
フランス領 レユニオン島 ベローブ |
1964/2/28 |
12時間 |
1340 |
1964/2/28〜2/29 |
18時間30分 |
1689 |
同上 |
24時間 |
1825 |
フランス領 レユニオン島 Foc-Foc |
1966/1/7〜1966/1/8 |
全国年平均最多 |
3240 |
コロンビア |
1961〜1990 |
月最多 |
9299 |
インド チェラプンジ |
1861/7 |
年最多 |
26461 |
1860/8〜1861/7 |
年平均最多 |
11770 |
コロンビア ツツンエンド |
??? |
年最少 |
0 |
チリ アタカマ砂漠 |
??? |
年平均最少 |
0.5 |
エジプト アスワン |
1951〜1978 |
全国年平均最少 |
18 |
エジプト |
1961〜1990 |
|
降水の大小に影響を与える要素はいくつかあり、緯度が高いほど気温が低いため降水量は少ない傾向にある。そして、大陸の内陸部よりも海洋に近い沿岸部のほうが降水量が多い傾向にある。
理由は言わずもがな海上で蒸発した水蒸気がすぐ届くため。
基本的には雨が多い地域では森が形成され、少なめながら短い雨季がある地域では草原はあるが木が生えない「ステップ」が、ほとんど降らない地域では見渡す限りの砂漠が形成される。
日本の気象庁では、降り方によって以下のように分けられる。
1時間雨量 |
予報用語 |
人の受けるイメージ |
人への影響 |
屋内((屋内は木造住宅を想定)) |
屋外の様子 |
車に乗っていて |
10〜20未満 |
やや強い雨 |
ザーザーと降る |
地面からの跳ね返りで足元がぬれる |
雨の音で話し声が良く聞き取れない |
地面一面に水たまりができる |
|
20〜30未満 |
強い雨 |
土砂降り |
傘を差していても濡れる |
寝ている人の半数くらいが雨に気がつく |
ワイパーを速くしても見づらい |
30〜50未満 |
激しい雨 |
バケツをひっくり返したように降る |
道路が川のようになる |
高速走行時、車輪と路面の間に水膜が生じブレーキが効かなくなる(ハイドロプレーニング現象) |
50〜80未満 |
非常に激しい雨 |
滝のように降る(ゴーゴーと降り続く) |
傘は全く役に立たなくなる |
水しぶきであたり一面が白っぽくなり、視界が悪くなる |
車の運転は危険 |
80~ |
猛烈な雨 |
息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感じる |
主な雨の種類
雨粒の直径が0.5mm未満の霧のように降る雨。
この人ではない。
あまり強くはないが降ったり止んだりする雨。
特に晩秋〜初冬にかけての、晴れていたかと思うとサアーッと降り、傘を差す間もなく青空が戻ってくるような通り雨を差す。
降りだしてすぐに止んだり、降ったり止んだりして変化が多い雨。
5月 - 7月にかけて、しとしとと長く降り続く雨。
地域にもよるが概ね40にちほどで明ける。
梅雨の語源は、この時期は梅の実が熟す頃であることからや、この時期は湿度が高くカビが生えやすいことから「黴雨」と呼ばれ、これが同じ音の「梅雨」に転じた、この時期は「毎」日のように雨が降るから「梅」という字が当てられたという説などがある。
北海道に梅雨はないことは非常に有名だが、これは気候学的にも証明されており、1970年に気象庁は梅雨の定義を統一し過去の梅雨入り・明けも遡って決定したが北海道については梅雨がはっきりしないため梅雨入り・明けを定めないことになった。
だが近年では梅雨に近い降り方をする年が出て来ている。
およそ2億3400万年前にはおよそ200万年もの間続いた「梅雨」があり、「カーニアン多雨事象」とも呼ばれている。
秋に見られるしとしとと降る雨。特に9月から10月にかけての長雨をさす。秋雨前線によって起こり、台風シーズンの特徴。
晴れているのにも関わらず降る雨。
原因としては主に以下が挙げられる
- 雨が空から落ちてくるにはタイムラグがあるため、その間に雲が消えてしまった説
- 雨そのものが強い風によって流され、太陽が出ているところに落ちた説
- 小さい雨雲が降らせた説
などがある。
太陽が出ているため必然的に
虹も見られやすい。
英語圏ではそのまんま「Sunny Rain」と呼ばれる。
非常に激しく降る様。熱帯地方ではほぼ毎日のように10分程度ですぐに止むこの雨が降る。
この現象も手伝い熱帯地方の年間降水量は2000mmを超えることが多く、熱帯雨林が形成される。
大量に激しく降る雨。例年のように世界各地に災害をもたらしている。
転じて限られた場所に集中的に降ることを「局地豪雨」や、突発的で天気予報による正確な予測が困難な局地的な大雨を軍事用語のゲリラに例え「ゲリラ豪雨」などの呼び方もあり、2008年にはゲリラ豪雨が新語・流行語大賞トップ10に選出されている。
地球以外の天体の雨
金星では表面を覆う厚い硫酸の雲から硫酸の雨が降っているが、地表が400℃を超える灼熱であるため、途中で蒸発してしまい地表には届かない。
土星最大の衛星タイタンでは-170℃の冷たい地表にメタンやエタンで構成される雨が降っており、こちらはちゃんと地表にも届き川や湖のような地形も形成されていることが観測されている。
フィクションにおける雨
基本的には
不遇。
仲間の死亡などの悲しいシーンや胸糞の悪いシーンなどで雨が降る描写は非常に多用されており、逆に敵を倒したりなどで
ハッピーエンドを迎えた場面で雨が降っていることはまずありえない。
一方で「相合傘」や「雨宿り」、別れ話などをはじめとした恋愛にまつわるシチュエーションでも起用されやすい。
フィクションにおいても神話においても、天候を操れる(すなわち雨も降らせられる)能力を持つ者は多数登場する。
詳細は
該当項目を参照のこと。
追記・修正お願いします
最終更新:2024年08月24日 17:40