【Wol】光の戦士にハァハァするスレ1…セシル+wol

「ウォル、入ってもいいかい?」
テントの入り口でセシルは答えを待って足を止める。
すぐに返って来た「構わない」という返事に、入り口の布を分けて中に入ると、そこには丁度着替えている
最中のウォーリアオブライトが居た。
「わっ、ごめん!」
入ってもいいと言われているのだが、つい謝ってしまうのは反射的なものだ。
いぶかしげに、しかし躊躇う様子も無く、半裸よりもう少し肌色の露出度が高いウォーリアオブライトが振り返る。
「どうした?」
「いや、どうした、と言うかね……」
女性的な優美な眉をしかめて、セシルはすたすたと近づいてウォーリアオブライトの肩を押して背中を向けさせた。
「同性でもドキドキしちゃうから、着替えはこっそりね」
「……ああ、そういうことか」
すまなかった、とあっさり謝る彼は真面目なのか天然なのか。
くすりと笑ったセシルが、急に顔をしかめてウォーリアオブライトの二の腕を掴んだ。
「気づかなかったよ。これ、いつの傷?」
腕を持ち上げた所に見える脇腹の傷。
血は殆ど止まっているが、化膿しかけたその状態はあまり良いとは言いがたい。
「いつだったか。だが……問題ない」
「そんな訳、無いでしょう。駄目だよ、ちゃんと治療しないと」
血が止まっていれば良いと思っていそうなその顔を軽く睨んでみせて、セシルは上着を身につけようとした
ウォーリアオブライトを止めて、そのまま座らせた。
ポーションを使おうとすると、そこまでではないと言い切るので、仕方なく消毒だけをして包帯を巻いて行く。

「これ以上化膿したら、傷を焼かなくちゃってレベルだよ?あまり無理しないで」
巻き終えた包帯の上から背中を叩くと、神妙な顔をして戦士は頷く。
「気をつける」
うん、と頷いてセシルはふと気がついた。
彼は純粋に、自分の傷の重さを過去の体験から割り出せないのではないかと。
「ねぇ、ウォル。倒れるまで動ければ良いなんて、思わないでね」
振り返ったウォーリアオブライトは、セシルと向かい合って座ったまま不思議そうな顔をした。
「この世界に秩序を取り戻すまで、私は負けない」
「そういうことじゃなくて。その先も、元気でいないと意味が無いと……僕は思うよ」
「……ああ」
セシルの言葉に頷きはしたが、ウォーリアオブライトにはその実感は無いのかもしれない。
戻るべき世界を思い出せない彼には。
その真っ直ぐな目が切なくも愛おしく感じて、セシルは僅かな悲しみを隠して薄く微笑んだ。
「とにかく、怪我をしたら僕に見せてよ。あなたの判断じゃ、心配だ」
「そこまで心配しなくとも大丈夫だ」
セシルが柔らかく手を伸ばして頭を抱き寄せるように見せかけて、そのまま腕を頭に巻いて力任せに押さえつける。
「何をする」
「いいから。約束、して?」
「……解った」
ふふ、と笑ってセシルは腕の力を抜いて、そっと銀の髪を撫でた。
「君と居ると、約束を増やされそうだ」
逃げそびれたのか、それともこの状況を可笑しいとも思わないのか、抱き寄せられたままでウォーリアオブライトは
ただ不思議そうな顔をしている。
「僕は願うだけだよ。秩序の先で、あなたが幸せでありますようにって」
優しく囁いて、セシルはそっとその額に唇を寄せた。
「秩序の元に光があれば、それで私は構わない」
相変わらずのウォーリアオブライトの言葉に思わず笑って、それからセシルは言った。
「やっぱり、約束にしようかな」
何だそれは、と言わんばかりのウォーリアオブライトの顔が可笑しかった。




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最終更新:2009年05月20日 23:59