別に目の前に居る男を恨んでいる訳ではない。

出会いが違えばこうはなっていなかった。

だがあの時出会ってしまった。だから戻れない。

ただ上へ行きたい。白黒ハッキリさせたい。

目の前に居る男は壁。相容れぬ存在。

全ては前へ歩くために。すべては前へ進むために。



◆  ◆  ◆



「会場が完全に水没している?」
「ええ、参加者もヒグマもみんな流されていますよ。
 やれやれ、これでは実験どころではありませんね」

黒騎れいの元へ戻ってきたカラスは上空から見た会場の惨状をれいに報告する。

「様子がおかしいわ。一度本部へ戻った方が……」
「ええ、それがいいですね。私も調べたいこともありますし」
「調べたい?」
「あの四宮ひまわりとかいう娘、あなたのクラスメイトと聞きましたが、
 一体彼女は何の為に呼ばれたのですか?」
「え?ひまわりちゃんは確か施設の技術者として招かれたって、
 私もこんな場所であの娘に会うなんて思ってなかったし、驚いたわ。」
「……そうですか」

やはり有富はこの娘に必要以上の情報は与えていないようだ。
確かあの四宮という娘は示現エンジンと深い関わりがあった筈だが。

(有富……もしこの会場の地下に示現エンジンがあるのなら。
 その上で私たちに協力を要請してきたとなれば、とんだ二枚舌外交ですね)

「おい、なに一人で喋ってんだ?」

れいの肩に乗ったカラスが喋っているのに気付いてないのかカズマ
喋りかけてきた。彼らにはあまり余計なことは言わない方がいいので
静かな怒りに燃えつつカラスは大人しくなる。

「何でもないわ」
「そっか、そりゃ良かった―――ん?」
「おいカズマ!誰かがこっちへ歩いてくるぞ」

廃墟と化した街を歩くカズマ達四人の傍へ、何者かが足元をふらつかせて近づいてきた。
何か薬のようなもので無理やり回復させた体力で辛うじて動いているような死に体の男。
カズマはその男に見覚えがあった。

「お前、劉鳳じゃねぇか!てめぇもここへ来てたのか!?」
「……カズマ、か?」

顔を上げた男、絶影の劉鳳は思わぬ場所で遭遇したライバルの顔を見て
嬉しそうに、そして、やや自虐気味に笑った。

「そうか、最後の相手は貴様か。これも天の巡り合わせかもしれんな」
「何言ってんだ劉鳳!?一体誰にやられたっ!?ヒグマに襲われたのか?」
「ヒグマ……ああ、そうだな。そして、この様だ―――がふぉっ!?」
「りゅ、劉鳳!?」
「あぁ……どうやら時間切れらしい」

劉鳳が激しく吐血すると同時に、何か黒いものが彼の腹を食い破って次々と地面に零れ落ちる。

「ひぃっ!?」
「な、なんだぁ!?あの蟲は!?」
「……海で戦った、生物に寄生して無限に増殖する恐ろしいヒグマさ。
 行方不明になった人達を助けに来たつもりが……この様だ」

カサカサと蠢く蟲の様なヒグマ、ミズクマの幼体を踏みつぶしながら腹を押さえて劉鳳は叫んだ。

「俺はもう手遅れだ。こいつらを解き放てばとんでもないことになる。
 早く俺を殺せカズマッッ!!」
「……さっきからうるせぇぞ劉鳳……」


カズマの右腕には、既にアルター化したシェルブリッドが装着されている。

「どうしたカズマ!?」
「――――お前の言うことは聞かねぇ!!」

右肩のタービンが回り、劉鳳の足元のミズクマが次々と分解されていく。
その様子を見て杏子はビビった。

「生物を分解しただと!?カズマ!なんだその力は!?」
「おい、無理すんなカズマ!」
「さあな!俺達アルター使いにはまだまだ先があるってことだ!
 お前に何があったかは知らねぇし、俺の知ったことじゃねぇ。
 だが下らねぇ場所で死ぬなんて許せねぇ!てめぇも来いよ!この領域へよぉ!」

シェルブリッドへ光が収束してく。
詳細は不明だが今更劉鳳を治療する術など無いのだろう。
なら方法は一つだけだ。
―――ヒグマに勝てぬなら、アルター(進化)せよ―――

「向こう側の扉を開けるぞ!!そんな虫けらなんざに負けてんじゃねぇ!!」
「……無理だ!向こう側は力を求める者にしか与えない!今の俺には……!」
「そんなこと知らねぇって言ってんだろうが!!」

アルターの限界を突破し、劉鳳を扉の向こう側へ叩き込もうとするカズマ。
そんな彼の顔を何かが横切る。何ごとかと訝しがるとカズマの顔が次の瞬間驚愕に包まれた。

「―――――――ぬおおおおおおおおおっっっ!!!!!?」

劉鳳の額に光の矢が刺さった。
そして彼の体が光に眩い光に包まれる。
カズマが振り向くと、そこには今の矢を放ったらしい黒騎れいが弓を構えているのが見えた。

「何してんだてめぇ!?男の勝負に水を刺してんじゃねぇ!!」
「ごめんなさい。でも、彼を救う方法は他にないんでしょう?」
「……本当に何をしているのですかれい、こんな所で貴重な矢を消費するなんて」
「カラスが喋った!?」
「―――んなっ!?おいカズマ!あれを見ろ!!」

杏子が周囲のミズクマを次々と消滅させながら光り輝く劉鳳を指さす。
しばらくすると、徐々に光が収束していき、そこには絶影カラーの全身鎧を身に付けた男が立っていた。

「こ、これは!?進化したのか劉鳳?」
「れい!なんだその弓矢は?」
「話は後よ。私も人間には使ったことないから彼がどうなったのか分からないわ」

黒騎れいに色々聞きたいことがあるが、劉鳳の無事を確かめる為カズマは鎧騎士の傍へ近づいた。

「おい、大丈夫か劉鳳!?」

進化した劉鳳?―――仮面ライダーWのような見た目をした鎧騎士は、
カズマの顔を見るなり首を傾げながら質問を返した。



「―――えっと、あなた達、誰ですの?」



【F-5/市街地/昼】

【カズマ@スクライド】
状態:石と意思と杏子との共鳴による究極のアルター、ダメージ(大)(簡易的な手当てはしてあります)
装備:なし
道具:基本支給品、ランダム支給品×0~1、エイジャの赤石@ジョジョの奇妙な冒険
基本思考:主催者をボコって劉鳳と決着を。
1:『死』ぬのは怖くねぇ。だが、それが突破すべき壁なら、迷わず突き進む。
2:今度熊を見つけたら必ずボコす。
3:波が引いたら、主催者共の本拠地に乗り込んでやる。
4:狛枝は信用できねえ。
5:劉鳳の様子がおかしい。
[備考]
※参戦時期は最終回で夢を見ている時期

佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
状態:石と意思の共鳴による究極の魔法少女
装備:ソウルジェム(濁り中)
道具:基本支給品、ランダム支給品×0~1
基本思考:元の場所へ帰る――主催者をボコってから。
1:たとえ『死』の陰の谷を歩むとも、あたしは『絶望』を恐れない。
2:カズマと共に怪しい奴をボコす。
3:あたしは父さんのためにも、もう一度『希望』の道で『進化』していくよ。
4:狛枝はあまり信用したくない。 けれど、否定する理由もない。
5:マミがこの島にいるのか? いるなら騙されてるのか?
[備考]
※参戦時期は本編世界改変後以降。もしかしたら叛逆の可能性も……?
※幻惑魔法の使用を解禁しました。
※この調子でもっと人数を増やせば、ロッソ・ファンタズマは無敵の魔法技になるわ!

【黒騎れい@ビビッドレッド・オペレーション】
状態:全身に多数の咬傷、軽度の出血性ショック(止血済)、制服がかなり破れている
装備:光の矢(5/8)、カラス@ビビッドレッド・オペレーション
道具:基本支給品、ワイヤーアンカー@ビビッドレッド・オペレーション、ランダム支給品0~1 、HIGUMA特異的吸収性麻酔針×1本
基本思考:ゲームを成立させて元の世界を取り戻す
0:他の人を犠牲にして、私一人が望みを叶えて、本当にいいの?
1:ヒグマを陰でサポートして、人を殺させて、いいの?
2:今は3人について、本拠地を目指す。 決めるのは、それから。
3:狛枝凪斗は信用していいの?
4:そもそも、有冨春樹を信用していいの?
[備考]
※アローンを強化する光の矢をヒグマに当てると野生化させたり魔改造したり出来るようです
※ジョーカーですが、有富が死んだことは知りません
※カラスが現在何をしているかは後続に任せます。

【カラス@ビビッドレッド・オペレーション】
状態:正常、ヒグマの力を吸収
装備:なし
道具:なし
基本思考:示現エンジンを破壊する
1:れいにヒグマをサポートさせ、人間と示現エンジンを破壊させる。
[備考]
※黒騎れいの所有物です。
※ヒグマールの力を吸収しました

【狛枝凪斗@スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園】
[状態]:右肩に掠り傷
[装備]:リボルバー拳銃(4/6)@スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、研究所への経路を記載した便箋、HIGUMA特異的吸収性麻酔針×2本
[思考・状況]
基本行動方針:『希望』
0:カズマクン……キミがこの島の希望なのかな?
1:津波が引いたら、アルミホイルかオーバーボディを探してから島の地下に降りる。
2:出会った人間にマミ達に関する悪評をばら撒き、打倒する為の協力者を作る。
3:球磨川は必ず殺す。
4:モノクマも必ず倒す。

【劉鳳@スクライド】
状態:進化、別人格の形成
装備:なし
道具:なし
[思考・状況]
基本思考:????
[備考]
※空間移動を会得しました
※ヒグマロワと津波を地球温暖化によるものだと思っています
※進化の影響で白井黒子の残留思念が一時的に復活し、人格を乗っ取られた様です


カズマが異常事態に戸惑っている頃。
地面に一匹の黒い船虫のような生物がその場を逃げるように立ち去っていた。
アルターの影響から免れていたミズクマの幼生は帰巣本能に元ずくまま流れる水流の元へ近づき、
そのまま波に落ちて何処かへと流されていった。

【F-5/市街地/昼】

【ミズクマの幼生@ヒグマロワ】
状態:健康
装備:なし
道具:なし
[思考・状況]
基本思考:繁殖する
[備考]
※劉鳳に寄生したミズクマの一匹が会場へ紛れ込みました。

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最終更新:2014年07月07日 20:53