船が走っている。
 真っ二つに折れた船だ。
 船はその半身だけで、体を地に走らせている。

 数千人の祈りと艦隊の夢を動力にし、強化型艦本式缶を滾らせる。
 ただそれだけの、気でできていたという力のみで、船は今、一人の少女を懸命に送り届けようとしている。
 70年以上も遥かな時を超えた、軍人の技だった。


「……なんで初春さんはこんなにも執拗に狙われてるの? 心当たりはある?」


 その船――、駆逐艦天津風は、銀髪を風に流しながら後方を見やった。
 走り去ってきたアスファルト道路の先からは、またちらほらと、見たくもない黒白の物体が湧きだしてくるようだった。

「……あります」

 天津風の声に、その背に乗った少女が答える。
 少女、初春飾利は、静かに、低い声で顔を上げた。
 地に転がされていた彼女は、その全身も制服も薄汚れている。
 痛めつけられた傷痕は生々しく、叩き折られた鼻からはまた血が伝い落ちてくる。

 だが、その目だけは、爛々とした光に満ちていた。
 拳を握りしめる。
 彼女が守り、そして彼女を守ってくれた、小さな命の温もりが、まだそこにはあった。


「……この、パソコンです。私はこの中に、江ノ島盾子さんのプログラムを解析し、逆に駆除するプログラムを作ったんです。
 彼女の目的は恐らく、この存在を確認し、完全に消去すること……」
「合点がいったわ。最終的にものをいうのは情報戦だものね……。
 それを向こうの本拠地に流せれば、こうして私たちを追ってるあの機械の軍勢も止まる、と?」
「その通りです」


 初春は強く頷いた。
 走る天津風たちを追う軍勢――、モノクマロボットの大軍は、この『対江ノ島盾子用駆除プログラム』の抹消を狙っていた。

 デイパックから取り出したノートパソコンの画面には、その切り札の文字列が踊っている。
 それはデータ量にしてわずか3万ビットあまりの儀式だ。
 だがそれは確実に、黒幕の命を刈り取り得る致命の匕首に他ならなかった。


「待てええぇぇぇぇ――!! 今度こそ逃がさんぞおおぉぉぉぉ――!!」


 街並みの中から、白黒の小さなクマ型ロボットの姿が雲霞のように溢れ出してくる。
 パッチールの命を賭した足止めは、既にその効果を失っていた。


「ならなおさら……、絶対に振り切るわよ……! 転進先の見当はある!?」
「……はい! 目指す先は……!」

 東から追ってくるモノクマたちから逃げ続けながら、二人は逃走先を模索する。
 背に揺られながら初春が画面上に開いたファイルは、午前中に彼女たちが纏め上げていた、『行動方針メモ』だった。


【※するべきこと
 1.残る参加者と合流する
  →B-7、C-7、D-6、E-6、F-5、F-6、G-4、H-2の何れかに生存者がいる模様。(1日目AM10時すぎ現在)
  →C-4の百貨店を拠点とする。

 2.首輪の解除方法を探す
  →簡単な工具なら百貨店内にあるが……?
  →街の施設の中に仕組みの解説書のようなものはないか?
  →参加者の中に仕組みを解析した・解析できるものはいないか?
  →死者から首輪のサンプルを入手する必要がある?

 3.江ノ島盾子とそのロボットを打倒する
  →本人は重そうなツインテールを盛った少女の姿。
  →ロボットは、半分が白く半分が黒く塗られた熊の姿。
  →ロボットはあしらうに止め、多数を一度に相手しない。
  →1匹見たらその場に100匹はいると思え。
  →研究所に潜入後、メインサーバーから駆除プログラムを送り込む。

 4.ヒグマへの対処
  →話の通じる者も通じない者もいる模様。
  →敵対するようなら、即座に殺せるように準備しておく。
  →話が通じるようなら、警戒を怠らずに情報交換を試みる。

 5.研究所・ヒグマ帝国への潜入
  →街の下水道は、どれも研究所に繋がっているらしい。
  →E-5のエレベーターが機能しているかは不明。
  →内部環境は不明な点が多いため、出来る限り大人数で、不測の事態に対応できるよう作戦を練ってから入ること。
  →ヒグマ帝国の真意が不明なため、ヒグマと情報交換ができるならばそこを欠かさず聞き出したい。

 6.島からの脱出
  →適した乗り物があれば崖を越えることも可能かもしれない。
  →海食洞からならば、船さえあれば脱出できる。
  →海上が果たして安全かどうかを先に確認する必要がある。】


「B-7……ッ。島の南西の草原には、生存者がいる可能性が高いです!
 南に折れて……、そこまで逃げられれば何とか!!」
「草原に……!?」

 メモに記された生存者位置の予測は、午前10時現在の時点でモノクマロボットが密集していた位置から割り出したものだ。
 実際にこのデータから、初春たちはD-6エリアにいた天津風たちと合流することに成功している。その時点では信憑性の高いデータだった。
 だが、天津風は僅かに眉を顰める。


「何もない草原に何時間も人が留まるとは考えづらいわ……。
 周辺のどこかに移動している可能性が高い……」
「それにしたって、北には多分誰もいません……!
 南へ……! 温泉を越えれば、きっとあのロボットも巻けるはずです!」
「わかったわ……! 初春さんしっかり脚で掴まって!」


 見る間に追いすがってくるモノクマロボットの群れを振り切るべく、天津風は急速に取り舵をきって進路を南に向けた。
 そして同時に、遠心力で振れる艦尾の連装砲を、一斉に撃ち放つ。

「連装砲くん、撃ち方、始めて!」
「にゃろぉ――!?」

 千切れ飛んだ天津風の下半身の代わりに彼女の腹部以下を支えている連装砲の砲撃が、モノクマたちの先陣を弾き飛ばす。
 しかし、吹き飛んだ一角はすぐに新たなモノクマで埋まる。
 天津風の連装砲の牽制を受けながらも、彼らは距離をじりじりと詰めてくる。
 初春は息を詰めた。


「だ、弾幕が薄すぎるんだ――」
「私のデイパックの中に、皇さんのMG34が入ってる。出して!」
「は、はい!」

 天津風の声が飛ぶ。
 ハッとして、初春はデイパックのバンドでパソコンを胸元に固定しながら、彼女の積荷を探った。


「お、重……!?」


 掴みだした機関銃は、ドラムマガジンを含む総重量で、12キロを軽く超える。
 ボーダーコリーの成犬を担ぎ上げるようなものだ。
 小柄な女子中学生の腕力には、どう考えても余る。

「……く、ない――!?」

 だがその不可能性は、実現に転じていた。
 初春飾利は、震えながらもしっかりと、肩口にストックを当て、その機関銃を構えていた。
 パッチールの温もりを、はっきりと腕に感じた。
 『バトンタッチ』された想いが、彼女の腕を支えていた。


「頼むわ初春さん!! 脇を締めて!
 しっかり脚を絡ませて踏ん張って、反動と音を防ぐために、口は開けて!」
「わ、わかりました!」
「引鉄が二つあるわね!?」
「あります!」
「上が単射(セミオート)で下が連射(フルオート)よ!! とにかく下を思いっきり引きなさい!!」
「うあああああああ――!!」

 その銃はまた、あの皇魁という軍人のように、怜悧に火を噴いた。

「ぷろぺぇ――!?」

 後ろに向き直った初春飾利の肩口から、扇状に乱射された銃弾が、寄り来るモノクマたちを叩き、弾き、地に転がしてゆく。
 発動機のような強烈な振動をリコイルに受けながらも、初春は耐えた。

 住宅地の路地を縦横に掻い潜り、天津風はモノクマたちを振り切ろうと腕だけで走り続ける。
 家の陰に見えつ隠れつ、未だにその追撃は振り切れない。
 その動向を横目に、天津風は背中の初春に檄を飛ばす。


「追手が散開した可能性があるわ……! 不意打ちに備えて――!」
「は、はい!」
「喰らえええぇぇ――!!」

 機関銃を片手に今度は自分のデイパックを探っていた初春に向け、通り過ぎようとしていた路地から一体のモノクマが躍りかかる。

「ひぃ!?」

 初春は、咄嗟に左手を突き出す。
 初春飾利がデイパックから掴みだしていた『爪』。
 アニラから託されていた熊狩りのサバイバルナイフ、叉鬼山刀『フクロナガサ8寸』の刃が、パッチールからバトンタッチされた膂力で振るわれていた。

 握力90kg――。
 背筋力240kg――。
 同年代女子のおよそ4倍。
 一流の男性スポーツ選手すら凌駕しかねない程に跳ね上がった、圧倒的な筋力。
 そんな小柄な女子中学生の腕の一撃が、宙でモノクマの胴体を貫いた。

 そのまま天津風が、初春の仕留めたモノクマを掴む。
 彼女は走り続けながら、そのロボットを前方の路地の角に向けて擲つ。
 その攻撃は、ちょうど姿を現し飛び掛かろうとしていた別のモノクマに、クリーンヒットしていた。

「――へがッ!?」
「人力対空……ッ」

 そして旋回しながら、彼女は連装砲くんの砲口を路地に向ける。

「砲火!!」
「うぎゃぁぁぁぁ――!?」

 その路上からなだれ掛かろうとしていたモノクマの一団を、完璧な予測で天津風は崩壊させていた。
 住宅地の細い道に鮨詰めとなった状態で砲撃を喰らったモノクマたちは、路地に瓦礫となって詰まり動けなくなる。


「すごい! やりました! やりましたよ天津風さん!」
「二水戦所属は伊達じゃないわ。でもまだね。予断は許されない」
「こ、な、くそぉぉぉ……!」


 ナイフと機関銃を持った両手を掲げ、初春が快哉を上げる。
 だがそうして陣風のように走り去る天津風の背に向け、瓦礫の中から無事なモノクマが立ち上がっていた。
 その手に構えられていたのは、大口径の拳銃だった。
 後ろを向いていた初春が、その動向にいち早く気づく。

「地下から持って来たぜ『起源弾』……! 死にさらせぇ――!!」
「あ、天津風さん――!? 銃で狙われてます!」
「銃!? 銃なら大丈夫――!」

 だが天津風は、振り向きもせずに逃げ続けた。
 容赦なく、モノクマはその『起源弾』を発砲していた。
 その銃弾は、戦車ですら貫通し、魔力やそれに類する能力で迎撃すればたちまち致命傷を与えるものだった。
 しかしそれはただ、天津風の脇を掠めて地面に着弾するのみだった。


「強化型艦本式缶を持つ私の欺瞞に、そんな飛び道具は通じないわ!」


 ボイラーから発生する熱量を放出し、空気の熱レンズ効果で速度や目測を狂わせる、天津風の操艦術『速力偽装』。
 致命の弾丸も、当たらなければどうということはない。
 『起源弾』が撃ち抜いたのは、何の変哲もない高温の蒸気に過ぎなかった。

 モノクマは腹立たしげに銃を投げ捨てながらも、再び彼女たちを追い始める。
 距離が離れた所為か、今度の彼らは、路地を西側に回り込みながら追ってくるようだった。

 初春は正面に向き直りながらナイフを口に銜え、左手でラップトップの画面を操作する。
 地図と周囲の状況を照らし合わせれば、B-4の街を南に抜けるのはもうすぐだ。


「これで少しは距離を稼げました……! この街を抜ければ温泉です!
 水上なら、多分圧倒的に天津風さんが有利……!」
「ちょっと待って!? この先に、何か電波が飛んでる……!? まさか、待ち伏せ……!?」


 だが意気を上げる初春とは裏腹に、天津風は突然急停止していた。
 彼女の艦橋はその時、意義不明の謎の電波を、受信していた。


    □□□□□□□□□□


「電波――、ですか!?」
「……友軍の対空電探にしては知らない変換方式だわ。
 何らかの意図を以て張られた電波が、漏れて来てる……」


 天津風を始めとする艦娘は、海上で艦載機や僚艦と連絡を取り合うための最低限の無線装備は艦橋の通信室に常備している。
 その受信電波の中に、徐々にノイズとも言い切れない不可解な波長が混ざってきていた。
 明らかにこの近辺に、その発信源が潜んでいるのだ。
 天津風は危機感を募らせた。


「強度も、北海道の無線局や鎮守府からきちんと出してるにしては弱い。
 やっぱり敵軍のものって可能性が高い……! 引き返す……? いや、東進……!?」
「ちょっと待ってください! でも誰かいるんですよね!? 誰かが、『電波を発信している』んですね!?
 『今まで天津風さんが感じていなかった波長』の電波なんですよね!?」

 正体不明の電波に進路を逡巡する天津風に、初春が背中から身を乗り出していた。
 何かの予測があるらしい彼女の言葉に、天津風は動揺しながらも頷く。


「……そうよ」
「向かってください! 敵では、江ノ島さんでは、ないはずです!」
「……ッ、了解よ……!」


 今まで天津風が、地下の研究所や工廠でも感じたことがなく、散々敵に追いかけ回されていた最中にも感じなかった波長。
 それならば、江ノ島盾子の擁する何かからの電波であるということは、むしろ考えづらい。
 初春はそして、はっきりとその可能性を否定した。
 予感があったからだ。

 学園都市でいつもサポートしていた、ある少女の姿。
 強大な能力を持ちながらもそれを衒わない、明るく朗らかな先輩――。
 脳裏に浮かぶ、そんな『電波』を用いる少女が、初春の友人には、いたからだ。


 決断が下されてからの天津風の反応は、早かった。
 スラロームしながらくぐった路地でそれぞれの電波の強度を算出し、三角測量の要領で発信源を特定し、全速力で方向を修正する。

「南西側……! 位置はA-5……、崖のすぐ手前だわ……!」
「天津風さん! 波形をこっちに送ってもらえませんか!?」
「モノラル端子ならあげるわ! 互換性は!?」
「今プログラム組みました! ミニプラグで下さい!」

 初春は口にナイフを咥えたまま機関銃を抱え、左手だけでキーボードを叩いてパソコンのシステムを改変する。
 音響機器に用いられるフォーンプラグの形状は、19世紀から一律の規格であったことが幸いした。

 天津風の通信機器をアンテナとコンバータとし、サンプリングした電波がパソコン内部で可視化される。
 オシログラフとなって画面上に現れ出る連続波形に、初春は直感的に見覚えを感じた。


「この『脳波』は――!!」


 ここには学園都市の総合データベースである書庫(バンク)はない。
 だが、その波形は記憶の中の、初春が日ごろ見慣れたある人物の脳波に酷似していた。
 テンキーの技に打ち込む、記憶の中の数値。
 もしこの予感が、記憶が正しければ、この電波が示す先には、大きな希望が待っているはずだった。

 そして波長の値は、振幅の値は、初春の打鍵に刻々と相同してゆく。
 一致率、――99%。


「――やっぱり御坂さんだッ! 御坂さんが来てるんだ!!」
「知ってるの!?」


 学園都市の擁する超能力者(レベル5)の第三位――。
 『超電磁砲(レールガン)』、御坂美琴の能力の波長に、間違いなかった。
 その存在を確信しただけで、初春の総身に力が湧いてくるようだった。

「はいッ! 私たちの、味方です!」

 彼女は強く、叫んだ。
 必ず辿り着いてみせると、意気込んだ。
 そうして、街並みは開ける。

 目の前には、崖にもほど近い、草原の景色が、広がっていた。


「……オマエラを行かせると思ったか?」


 そんな景色を埋めていたのはしかし、一面の白黒の機械の群れだった。
 西側に回り込んでいたモノクマたちが、天津風と初春の行く手を、ついに塞いでいたのだった。
 二人は、獰猛に笑った。


「なるほど……、そっちも分かってた、ってわけね……!」
「……その必死さが、御坂さんのいる、証拠ですよ……!」


 初春は、天津風のデイパックから、一本の筒を取り出していた。
 そして真っ直ぐにモノクマたちを見据えながら、銜えたナイフで、その筒の蓋をこじ開けた。
 風は、吹いている。


    □□□□□□□□□□


 落成したばかりの放送局に、初めてのおたよりが届いた。


「私たちの名は『HHH』――、『ヒグマ島希望放送(HIGUMA-island Hope Headline)』!!
 人間に殺意を持ったヒグマは、迎撃する用意もあります――!!
 返り討ちにしてやるからそう思っとけ――ッ!!」


 放送局長兼DJである少女が、そう宣言していた、まさにそんなタイミングでのことだった。
 傷だらけの放送局の屋根の上で旗となっていたアンテナに、それは突如飛来した。

「――ッ!?」

 その便りは、電信の波に乗せ送られ来た。
 屋根に登っていた放送局員の内、二人の少女が、弾けるような突然の電波を脳内に受信する。

 アンテナを掴み、ゴシックロリータの衣装と包帯とに身を包んだ局長――御坂美琴。
 同じくアンテナの近傍にいた、オレンジの舞台衣装を纏ったアイドル――軽巡那珂。
 ASCIIでその文字列は、彼女たちの脳裏に蘇った。


『SOS, UIHARU-KAZARI. SOS, DESTROYER-AMATSUKAZE. SOS――』


 驚愕に瞠目した二人が、一斉に辺りを見回す。
 連送されてくる救援信号は止まらない。

「初春さん!? どういうこと――!?」
「天津風ちゃん!? 近くに来てるの!?」
「ど、どうしたの二人とも!?」

 二人の様子に、隣にいた少女や二頭のヒグマが、怪訝な表情を向ける。
 放送局の守衛兼技師である、夢原のぞみくまモン、クックロビンだ。
 一同に向け、放送局のアイドルである那珂ちゃんが、低く口調を変えて叫ぶ。


「のぞみ! 那珂がどっからか救援信号を受信した! 探してくれ!」
「わ、わかったよキリカちゃん!」
「え、え!? どこ!? 何!?」
 ――目視できる場所かモン!?

 檄を飛ばしたのは、那珂ちゃんが嵌める指輪(ソウルジェム)という操舵席に着座する操縦技師、呉キリカだ。
 狼狽する母艦に代わり動揺を収めながら、彼女も救援の発信源を探すべく、崖の周囲にくまなく眼を走らせた。

「放送局が感傷に浸ってるヒマなんざ、ないってわけね!」

 御坂美琴が、右手で勢いよくアンテナを旋回させる。
 そして彼女は一瞬のうちに、受信強度の変化からその発信源を特定した。


「北東――! 街の方よ!!」


 放送局の面々は、一斉に視線をそちらに向けた。
 その目に、はっきりと立ち昇る、一筋の白い煙が映る。 


「――御坂さぁーーーーんっ!!!!」


 少女が、叫んでいた。
 右手に機関銃を抱えていた。
 口に、巨大なナイフを咥えていた。
 胸には、パソコンを据え付けていた。
 そして彼女はその左手に、しっかりと発煙筒を掲げていた。

 腕だけで疾駆する半分だけの残骸の船に乗り、少女が断崖へ走り来る。
 その後方からは、地を黒白のモザイクに埋め尽くす、機械の兵団が、地響きを上げ来ていた。


    □□□□□□□□□□


 モノクマの大軍に進路を塞がれた天津風はその時、背中の初春飾利に向け笑っていた。
 そうして口を開いた言葉は、彼女がつい先ほど、パッチールに向けても語ったものだった。

「……ねぇ、私が以前、とてつもなく巨大な相手を目の前にした時に下された命令、教えてあげましょうか?」
「……何ですか?」


 それは彼女がかつて、潜水艦狩りの際に小島に直面した折、実際に下された命令だった。

「――『飛び越えろ』よ!!」


 そう叫んだ天津風は、草原を力強く踏み切っていた。
 腕だけのバネで、彼女は空中高く舞い上がる。
 目の前を埋めていた大量のロボットを眼下に見て、その船は甲板の少女と共に、中天の風を受けていた。

「あ――」

 その感覚は、初春飾利の胸に、とてつもなく熱い思いを去来させた。
 あの夜明け、皇魁の背に乗って、ジェットコースターのように夜のビルを跳び交った、あの感覚。
 ジャンプの頂点で見交わした視線だけで、少女の呼吸は、駆逐艦に同調した。
 ポケットに、はっきりと風紀委員(ジャッジメント)の腕章を感じた。


「跳ん――!? まさかあの時の奇襲も――!?」
「人力、対地砲火ァ!!」
「――いぇやあああ!!」


 強大な俯角をつけて、天津風の艦尾から連装砲の砲弾が放たれる。
 同時に初春が、体格に比して不釣合いに巨大な機関銃の弾丸を撃ち下ろす。
 大軍のモノクマの中核を撃滅しながら、彼女たちは閉塞されていた草原の先に着地した。

 そして二人はそのまま銃砲を乱れ撃ち、止まることなく走り出す。


「天津風さん! 御坂さんに救援信号を送ってください!」
「了解よ! 真空管の同調、合わせ頼むわ!!」
「わかりました!」

 初春は返事と共に、蓋をこじ開けていた発煙筒に着火した。
 そのまま白煙を上げる信号筒を左手で持ち、彼女は小指一本で、パソコン上のオシログラフに発信電波の波長を近付けていく。
 天津風の発熱で微細にぶれる無線の波形を、それでもぴったりと、初春は御坂美琴の能力波に重ね合わせていた。


『SOS, UIHARU-KAZARI. SOS, DESTROYER-AMATSUKAZE. SOS――』
「――御坂さぁーーーーんっ!!!!」
「待てぇぇぇぇ――!! このアマァーーーー――!!」


 走ってゆくその視線の先には、何か崩れかけた建造物が見える。
 向かって左に温泉や滝を望むその建物の上に、確かに誰か、砂粒のように小さな人影たちが立っているのが見えた。
 人影が、こちらに気づいた。


「行かせぇん!!」

 砲撃と銃弾を掻い潜り、その時モノクマの一体が初春へ肉薄する。
 咄嗟に初春が機関銃を向けるも、引き込んだトリガーは手ごたえ無く抜ける。

「弾切れ――!?」
「もらったぁ!!」

 既にドラムマガジンの50発を撃ち尽くしていたMG34は、沈黙していた。
 両手が塞がったままの初春に、モノクマが躍りかかる。
 振り被られるロボットの拳に、初春は眼を強く閉じた。

 閉じて、体全体で思いっきりぶつかった。


「ぎいいいいい――!!」


 体当たりの勢いで、初春は口に噛んでいた叉鬼山刀の巨大な刃先を、モノクマの胴部に突き込んでいた。
 首を大きく捻って振り抜く。咬合力160kg。
 狼に匹敵するほどに上昇している初春飾利の顎の力は、牙に突き刺さった獲物を食い千切るかのように、そのままモノクマの胴体をナイフで両断していた。

「連装砲くん――ッ!!」

 続けざまに、接近するモノクマたちを、順に天津風は撃ち抜いてゆく。
 だが、ナイフを振り、砲撃を繰り返す彼女たちの必死の抵抗は、瞬く間に追い詰められてくる。
 寄り来るモノクマに対して、撃破できる個体数が圧倒的に少ない。

 手が伸びてくる。
 側面を囲まれる。
 前方に回り込まれる。
 黒白の山に彼女たちが埋まる――。

 と、そう見えた刹那だった。


「『夢原式試製24cm』――」
「『プリキュア』――」


 その断崖に、風が吹き抜けた。


    □□□□□□□□□□


「『噴進砲』ッ!!」
「『シューティングスター』ッ!!」


 それは漆黒の颶風と、華やかな朱鷺色の疾風だった。
 脚部の煙突から爆轟の如く蒸気を吹きながら、燕のような黒い少女が飛び蹴りを放つ。
 また燐光を帯びたトリバネアゲハのように、ピンク色の少女がフライングクロスチョップで飛び来る。

 突風を伴って二人の少女は、天津風と初春飾利に群がろうとしていたモノクマの大軍を吹き飛ばした。
 走り続ける天津風の元に、宙を飛ぶ少女たちから、驚愕の混じった声がかかる。


「あなたたち、大丈夫!? す、すごいケガ――!?」
「天津風ちゃん――!? 艦体が真っ二つだよ!?」

 それはキュアドリームの姿に変身した夢原のぞみと、呉キリカの魔法を受けて舞台衣装を着替えた軽巡洋艦、那珂ちゃんだった。
 地下で解体ヒグマのもとへ派遣されていたはずの彼女を見て、天津風は喜びよりも先に驚きの方が先立った。

「那珂!? あなたこそなんでここに!?」
「助かりました――! でも、まだです!!」
「オマエラァァァ――!!」
「きゃぁ――!?」
「うわっ――!?」

 声を掛け合うのも束の間。
 初春が絞り出した声を喰うように、滞空していたキュアドリームと那珂ちゃんのもとにさらなるモノクマが飛び掛かってくる。
 崩壊したと思われた軍勢はさらに大規模な集団となり、北東の街からモノクロの津波のように大挙して押し寄せてきていた。


「と、とにかく、ここは任せて美琴ちゃんのところへ――!!」
「早く、御坂高級技官殿の制空圏まで――!!」
「わかったわ! 頼んだわよ、那珂!!」
「御坂さん! このロボットを、どうにか――!!」


 殺到する機械の軍勢へ、キュアドリームと那珂ちゃんは必死に応戦した。
 だがうねりを伴って草原を黒白に埋め尽くすその質量は、ただ勢いだけで二人の少女の防御を押し返し、崖っぷちの放送局の方まで雪崩れ込んでこようとしている。


「とんでもない物量だわ」


 視界を覆う信じがたいその光景に、数百メートル離れた放送局の屋根の上で、御坂美琴は固唾を飲んだ。
 億、兆、京などというちゃちな単位を彼方に吹き飛ばす、那由他に及ぶかとすら思えるモザイクの波動が、その眼前の地を埋めている。

 救援信号の場所を突き止めた時、彼女は咄嗟に、夢原のぞみと那珂ちゃん、そしてくまモンとクックロビンにそれぞれ指示を出していた。
 その作戦で、明らかな敵であったらしい先のクマ型ロボットに対抗し、こちらへ逃げてきている大切な友人を守れると、一度は確かにそう考えた。
 だが、眼を疑いたくなる敵陣の圧倒的物量には、果たしてその作戦で通用するかどうか、わからなかった。

 美琴は静かに、自然体に体を落としながら気焔を吹く。


「でもね……、アンタは、一番やっちゃいけないことをしたわね……!」


 彼らは、美琴の目の前で、美琴の大切な友人に襲い掛かっている。
 その歴然たる事実は、相手がなんであろうと関係が無い。

 通用するかどうか、ではない。
 自分の演算機能を振り絞り、この命を焼き切ってでも、通用させる。
 必ずやその相手を沈黙させる。
 その鉄の意志は、誰にも曲げられない。


「全部捕捉してやる――」


 スカートのパニエを揺らし、袖のフリルを払い、胸のリボンを張り直す。
 そして吊られた左手を正面に構え、彼女は右手で真一文字に、目の前の空間を手刀で裂いた。


「『天網雅楽(スカイセンサー)』、起動――!!」


 その動きをスイッチとして、何者にも聞こえぬ鉄壁の歌が、電信の波に乗る。


    □□□□□□□□□□


 ――よし、これだモン。
「これに目をつけてたって、やっぱあの子ただもんじゃないな……!」
 ――無駄口を叩いてる暇はないモン。

 くまモンとクックロビンという二頭のヒグマは、その時HIGUMAの廃墟となったアスレチック設備の裏手に走っていた。
 そこに彼らが来ていた理由は、ひとえにそこに置き去りとされたある一機のスクラップを手に入れることにある。

「……擬似メルトダウナー。こりゃ要するに戦闘力のある大型車両だ。
 中に蓄電池……、バッテリーは絶対に入ってるはずだもんな!」
 ――どいてるモン。

 彼らが残骸の中から掘り出していたのは、先程の戦いでもクックロビンが利用した、STUDYコーポレーション謹製の独立兵器『擬似メルトダウナー』である。
 御坂美琴は、戦闘になった際の電力のバックアップとして、これの内部にあるだろうバッテリーの確保を即座に彼らへ依頼していた。

 これだけの高品質な大型車両であれば、その内部にあるバッテリーも12V176Ah程度は見込まれる。
 その保有電力は概算して2112ワット時。
 4つで御坂美琴の平常時一日発電量に匹敵する程度だ。
 体内の蓄電を使い果たしている彼女にとっては、大いなる助けとなるはずだった。


 ――新玉名。
 ――熊本。
 ――新八代。
 ――新水俣。

 そうして掘り出された擬似メルトダウナーの側面に、くまモンが強く爪を叩き込んでゆく。
 最後に一気に下から上へ爪で斬り上げると、刻まれた4か所の爪跡をヒビでつなぐようにして、擬似メルトダウナーの外装が一気に断ち割られていた。


 ――『九州縦断ウェーブ』。
「よ、よし、これだ! これをあの子に持ってきゃいいんだよな!?」
 ――早く行くモン!


 露出したバッテリーを、配線を引き千切るように抱え上げ、クックロビンが走る。
 行く手の屋上に立つゴシックロリータの局長は、瞑目したまま膨大な演算に苦悶の表情を浮かべていた。

 崩壊したアスレチック施設を囲むように立つ槍衾のパラボラ。
 そこを起点として、この施設屋上、美琴の脇に立つアンテナに向け、あらゆる微細な周辺環境が音の波となって伝わってくる。

 施設内へ腕だけで走りこんでくる、体半分だけの少女。
 その腹部の代わりとなり砲撃を続けているコミカルな顔の連装砲。
 またその少女の背に跨り、傷だらけの身を勇ましい武装と表情で覆う友人。
 その後方で何とか敵勢力を食い止めようと戦っている二人の少女。
 こちらへバッテリーを持って駆け戻ってくる二頭のヒグマ。

 そして、じりじりと津波のように押し寄せる、莫大な数のクマ型ロボット。

 その一体一体の座標を全て記憶、追尾し、『天網雅楽(スカイセンサー)』はそれらを過たずロックオンしてゆく。
 膨大なその演算量に、美琴の脳は過熱し、今にも爆裂しそうだった。
 血管が開き、頻拍を打つ血流で激しい頭痛が襲う。
 全身の力が抜け、胃の中のモノを吐き戻しそうになる。

 だが、美琴は耐えた。

 全ては、彼女に助けを求め来た、大切な友を守るためだった。


「御坂さん――!」

 初春飾利の、涙と歓喜に咽ぶ顔が、電波のスクリーンに映った。

「もう、限界――ッ」
「いや、時間は稼げたぞ、のぞみ――!」

 波濤の如く押し寄せるモノクマたちは、遮るキュアドリームや那珂ちゃんごと草原を舐め、槍衾の逆茂木を超えてくる。
 そのまま彼らは放送局に殺到し、地走りの如くそこを圧潰させるかと見えた。


 ――間に合ったモン!?
「美琴さん! バッテリーだッ!!」
「サンキュー!! チャージパワー、オーバードライブッ――!!」


 だがその時既に美琴は、託されたバッテリーの電源に自身を接続していた。


「『只管楽砲(チューブラ・ヘルツ)』、発射!!」


 姿見えず、誰にも聞こえないその管楽が、美琴の携えるアンテナから放たれる。
 それはわずか一瞬の楽曲だった。
 ただその一小節が、周囲の空間に響き渡る。
 アスレチックの北東側から襲い掛かってきた白黒の津波は、その瞬間、凍り付いたかのように停止した。

 時が止まったかのような静寂が流れた。
 そして直後、まるで観客が奏でる拍手の怒涛のように、数多のロボットたちは折り重なって地に倒れ伏す。

 その音楽は、彼らの基盤や主要部品のことごとくを熔解させている。
 アンテナから発射されたのは、高密度に収束したマイクロ波の砲撃だった。

 銃のような砲身も無く、引き鉄を引く指の動きもない。
 攻撃が発生するまで知覚不能。
 発生から着弾までに、生物の認識できる時間は存在しない。
 光速で標的に命中するため回避不能。
 その砲弾は五感に捉えられず、類似した電波は空中のあちこちにある。
 凶器を特定できる弾痕も残らず検証不能。

 そして『天網雅楽(スカイセンサー)』と併用されたこの精密な乱射は、放送局から約半径200メートル以内に殺到していた全てのモノクマを捕捉し、完全に機能停止に至らせていたのだった。


    □□□□□□□□□□


「す……、すごい……」

 アスレチックを乗り越え、放送室だった中央の建物のもとにまで辿り着いていた初春と天津風は、息を上げながらそう呟いた。
 目の前に広がる空間のほとんど全てを、仕留められたロボットの残骸が埋め尽くしていた。


「イヤッホォー! すっげ、すっげぇなこれ!? こんなのアイドルの舞台でも見たことねぇ!!」
 ――比較対象がおかしいモン。

 静寂を破ったのは、クックロビンの歓声だった。
 放送室の屋上で跳ね回る彼を、くまモンが抑えている。
 演奏を終えた御坂美琴が、ふらふらと倒れこむ。

「く、あ……」
「御坂さん!? 御坂さん!!」

 くまモンに抱き留められた彼女のもとへ、崩れた外壁を伝って初春が駆け寄る。
 機関銃も発煙筒もナイフも放り出し、無事な右手を微かに振りつつ微笑む彼女を、抱きしめた。


「……良かった。初春さんが、無事で……。でも、大変な目にあったみたいね……」
「御坂さんの方がよっぽどじゃないですか! どうしたんですかその左肩!?」


 心待ちにしていた再会も、互いの怪我を慮ってろくに喜べない。
 その負傷は、それだけ困難な状況が彼女たちを襲い、そしてまたこれからも襲い掛かってくるに違いない事実を示すものに他ならなかったからだ。

 そうして少女たちが咽ぶ中、瓦礫となったロボットたちの一番北東の端で、もぞもぞとその山の下から身を起こすものがいた。


「……ま、いっか」

 ギクシャクとした動作で立ち上がったそれは、『只管楽砲(チューブラ・ヘルツ)』の有効射程距離外の一番遠くにいたために、回路を完全には破壊されなかった、唯一のモノクマだった。


「どうせね、オマエラがいくらモノクマちゃんを壊したところで、意味がないのさ。
 オマエラに待ってるのは、絶望しかない。あと2時間もすれば気づくだろう。
 それまでしっかり、ぬか喜びを繰り返しておくことだね。うぷぷぷぷ……!」
「そうかい。捨て台詞、ご苦労様」


 意味深な笑みを浮かべ、放送局の一同に語り掛けていたそのロボットは、那珂ちゃんのひと蹴りで、首を跳ね飛ばされていた。
 那珂ちゃんを操舵する呉キリカが、その黒い燕尾服と眼帯でも覆い隠せぬ怒りを以て、叫んでいた。


「おい、私を織莉子から切り離してくれたクソ外道ども! その黒幕がお前らなんだろ!?
 こんな悪趣味な機械、いくら持って来ようが無量大数の彼方でも私たちは倒せないんだよ!!
 いくらでも来やがれ! 愛は無限に有限だ!! お前らなんかにこの根源は破れないッ――!!」

 那珂ちゃんの中指を突き上げ、空に向かってキリカが吠える。
 先の機械化された少女・相田マナや、直後に襲い掛かってきたこのロボットの軍団を見るに、敵の黒幕がこの放送局を危惧し、潰しにかかっているらしい状況証拠は、出揃っていた。
 モノクマの売り言葉に対し、そうして彼女は、放送局を代表してこの壮大な戦闘に、買い注文をたたきつけていた。

 初春とくまモンの腕の中で、美琴が呆れ半分に笑う。


「なんて威勢よ……。……でも、よく言ってくれたわ、呉さん」
「だってそうだろう? キミがまた、どんな相手が来ようと撃ち抜いてやれるじゃないか!」


 美琴の微笑みに、キリカが遠くから磊落な笑みで返した。
 そうして美琴を見つめる周囲の人たちに対し、彼女は額に汗を浮かべながら、力なく呟く。


「……実のところ。バッテリー、使い切っちゃったのよ……」
「え?」

 クックロビンが間抜けな声をあげた。
 彼やくまモンが目を落とせば、美琴の足元で、バッテリーは急激な放電で熱を持って膨らみ、液漏れまで起こしている。


「もう防衛できないって察知されたら、終わりだった……。
 呉さんが強気に出てくれて、本当に、助かった……」
「そ、それって、まずくない……?」
「え、ちょ、ちょっと待ってくれよ御坂美琴……。
 嘘だよね高級技官……!?」

 夢原のぞみや呉キリカ、那珂ちゃんまでがうろたえ始める。
 その時にはもう初春飾利の腕の中で、疲労困憊した美琴は、白目を向いていた。


「もう完全……、電池切れ……」
「御坂さん!? 御坂さぁん――!!」


 昏倒した美琴のもとに、一同が駆け寄る。
 騒々しくなる放送局の屋上の下で、天津風が、指先を舐めて宙に翳した。


「……まぁ、良きにしろ悪しきにしろ。風は、強いわよ」


 銀髪を靡かせるその風上に目を向ければ、海の上に傾いてくる陽が照っている。
 幾重にも折り重なったロボットの残骸を背にしながら、彼女は伝来する海風に目を細めた。


【A-5 滝の近く(『HIGUMA:中央部の城跡』)/午後】


【くまモン@ゆるキャラ、穴持たず】
状態:疲労(中)、頬に傷、胸に裂傷(布で巻いている)
装備:なし
道具:基本支給品、ランダム支給品0~1、スレッジハンマー@現実
基本思考:この会場にいる自分以外の全ての『ヒグマ』、特に『穴持たず』を全て殺す
0:クマー……、キミの死を無駄にはしないモン。
1:他の生きている参加者と合流したいモン。
2:メロン熊……、キミの真意を、理解したいモン……。
3:ニンゲンを殺している者は、とりあえず発見し次第殺す
4:会場のニンゲン、引いてはこの国に、生き残ってほしい。
5:なぜか自分にも参加者と同じく支給品が渡されたので、参加者に紛れてみる
6:ボクも結局『ヒグマ』ではあるんだモンなぁ……。どぎゃんしよう……。
7:あの少女、黒木智子ちゃんは無事かな……。放送で呼ばれてたけど。
8:敵の機械の性能は半端ではないモン……。
[備考]
※ヒグマです。
※左の頬に、ヒグマ細胞破壊プログラムの爪で癒えない傷をつけられました。


【御坂美琴@とある科学の超電磁砲】
状態:気絶、能力低下(小)、ダメージ(中)、疲労(大)、左手掌開放骨折・左肩関節部開放骨折(布で巻いている)
装備:ゴシックロリータの衣装、伊知郎のスマホ、宝具『八木・宇田アンテナ』
道具:なし
[思考・状況]
基本思考:友達を救出する
0:よかった……、初春さんを助けられて……。
1:島内放送のジャック、及び生存者の誘導を試みる
2:完全武装の放送局、発足よ……! 絶対にみんなを救い出す……!!
3:佐天さんは無事かな……?
4:相田さん……、今度は躊躇わないわよ。絶対に、『救ってあげる』。
5:黒子……無事でいなさいよね。
6:布束さんも何とかして救出しなきゃ。
[備考]
※超出力のレールガン、大気圏突入、津波内での生存、そこからの脱出で、疲労により演算能力が低下していましたが、かなり回復してきました。
※『超旋磁砲(コイルガン)』、『天網雅楽(スカイセンサー)』、『只管楽砲(チューブラ・ヘルツ)』、『山爬美振弾』などの能力運用方法を開発しています。
※『天網雅楽(スカイセンサー)』と『只管楽砲(チューブラ・ヘルツ)』の起動には、宝具『八木・宇田アンテナ』と、放送室の機材が必要です。
※『只管楽砲(チューブラ・ヘルツ)』は、美琴が起動した際の電力量と、相手への照射時間によって殺傷力が変動します。数秒分の蓄電では、相手の皮膚表面に激しい熱感を与える程度に留まりますが、『天網雅楽(スカイセンサー)』を発動している状態であっても、数分間の蓄電量を数秒間相手に照射しきれば、生体の細胞・回路の基盤などは破壊しつくされるでしょう。


【夢原のぞみ@Yes! プリキュア5 GoGo!】
状態:ダメージ(中)、疲労(中)、右脚に童子斬りの貫通創・右掌に刺突創・背部に裂傷(布で巻いている)
装備:キュアモ@Yes! プリキュア5 GoGo!
道具:ドライバーセット、キリカのソウルジェム@呉キリカ、キリカのぬいぐるみ@魔法少女おりこ☆マギカ、首輪の設計図
基本思考:殺し合いを止めて元の世界に帰る。
0:みんなに事実を知らせて、集めて、夢中にして、絶対に帰るんだ……! けって~い!
1:参加者の人たちを探して首輪を外し、ヒグマ帝国のことを教えて協力してもらう。
2:ヒグマさんの中にも、いい人たちはいるもん! わかりあえるよ!
3:マナちゃんの心、絶対諦めないよ!!
[備考]
※プリキュアオールスターズDX3 終了後からの参戦です。(New Stageシリーズの出来事も経験しているかもしれません)


【呉キリカ@魔法少女おりこ☆マギカ】
状態:ソウルジェムのみ
装備:ソウルジェム(濁り:大)@魔法少女おりこ☆マギカ
道具:なし
基本思考:今は恩人である夢原のぞみに恩返しをする。
0:のぞみ……、キミの言っていたことは、これでいいのかい?
1:この那珂ちゃんって女含め、ここらへんのヤツはみんな素晴らしくバカだな。思わず見習いたくなるよ。
2:恩返しをする為にものぞみと一緒に戦い、ちびクマ達ともども参加者を確保する。
3:ただし、もしも織莉子がこの殺し合いの場にいたら織莉子の為だけに戦う。
4:戦力が揃わないことにはヒグマ帝国に向かうのは自殺行為だな……。
5:ヒグマの上位連中や敵の黒幕は、魔女か化け物かなんかだろ!?
[備考]
※参戦時期は不明です。


【那珂・改(自己改造)@艦隊これくしょん】
状態:自己改造、額に裂傷、全身に細かな切り傷、左の内股に裂傷(布で巻いている)、呉式牙号型舞踏術研修中
装備:呉キリカのソウルジェム
道具:探照灯マイク(鏡像)@那珂・改二、白い貝殻の小さなイヤリング@ヒグマ帝国、白い貝殻の小さなイヤリング(鏡像)@ヒグマ帝国
基本思考:アイドルであり、アイドルとなる
0:キリカ先生、御坂高級技官殿、のぞみさん! ご教授よろしくお願いします!!
1:艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよ!
2:お仕事がないなら、自分で取ってくるもの!
3:ヒグマ提督やイソマちゃんやクマーさんたちが信じてくれた私の『アイドル』に、応えるんだ!
[備考]
※白い貝殻の小さなイヤリング@ヒグマ帝国は、ただの貝殻で作られていますが、あまりに完全なフラクタル構造を成しているため、黄金・無限の回転を簡単に発生させることができます。
※生産資材にヒグマを使ってるためかどうか定かではありませんが、『運』が途轍もない値になっているようです。
※新たなダンスステップ:『呉式牙号型鬼瞰砲』を習得しました。
※呉キリカの精神が乗艦している際は、通常の装備ステータスとは別に『九八式水上偵察機(夜偵)』相当のステータス補正を得るようです。
※御坂美琴の精神が乗艦している際は、通常の装備ステータスとは別に『熟練見張員』相当のステータス補正を得るようです。


【クックロビン(穴持たず96)@穴持たず】
状態:四肢全ての爪を折られている、牙をへし折られている
装備:なし
道具:なし
基本思考:アイドルのファンになる
0:アイドルを応援する。
1:御坂美琴主催の放送局を支援し、その時ついでにできたらシバさん達に状況報告する。
2:凛ちゃんに、面と向かって会えるような自分になった上で、会いたい。
3:クマーさん、コシミズさん、見ていてくれ……。
4:くまモンさんの拷問コワイ。実際コワイ。
[備考]
※穴持たずカーペンターズの最後の一匹です
※B-8に新築されていた、星空凛を題材にしたテーマパーク「星空スタジオ・イン・ヒグマアイランド」は
 バーサーカーから伸びた童子斬りの根によって開園する前に崩壊しました。


【天津風・改(自己改造)@艦隊これくしょん】
状態:下半身轢断(自分の服とガーターベルトで留めている)、キラキラ
装備:連装砲くん、強化型艦本式缶
道具:百貨店のデイパック(発煙筒×1本、携帯食糧、ペットボトル飲料(500ml)×3本、救急セット、タオル、血糊、41cm連装砲×2、九一式徹甲弾、零式水上観測機、MG34機関銃(ドラムマガジンに50/50発)、予備弾薬の箱(50発×2))
[思考・状況]
基本思考:ヒグマ提督を守る
0:風は吹いているわよ。この先にも進めるはずだわ。
1:ヒグマ提督は、きっとこれで、矯正される……。
2:風を吹かせてやるわよ……金剛……。
3:佐天さん、皇さん……、みんなきちんと目的地に辿り着きなさい……!!
4:大和、あんたに一体何が……!? 地下も思った以上にやばくなってそうね……。
5:あの女が初春さんをこれだけ危険視する理由は何だ……?
[備考]
※ヒグマ帝国が建造した艦娘です
※生産資材にヒグマを使った為、耐久・装甲・最大消費量(燃費)が大きく向上しているようです。
※史実通り、胴体が半分に捻じ切れたままでも一週間以上は問題なく活動可能です。


【初春飾利@とある科学の超電磁砲】
状態:鼻軟骨骨折、血塗れ、こうげき6段階上昇、ぼうぎょ6段階上昇
装備:叉鬼山刀『フクロナガサ8寸』
道具:基本支給品、研究所職員のノートパソコン
[思考・状況]
基本思考:できる限り参加者を助け、思いを継ぎ、江ノ島盾子を消却し尽した上で会場から脱出する
0:……必ず。こんなひどい戦争は、終わらせてやります。江ノ島盾子さん……!!
1:ヒグマという存在は、私たちと同質のものではないの……?
2:佐天さんの辛さは、全部受け止めますから、一緒にいてください。
3:パッチールさん……、みんな、どうか……。
4:皇さんについていき、その姿勢を見習いたい。
5:有冨さん、ご冥福をお祈りいたします。
6:布束さんとどうにか連絡をとりたいなぁ……。
[備考]
※佐天に『定温保存(サーマルハンド)』を用いることで、佐天の熱量吸収上限を引き上げることができます。
※ノートパソコンに、『行動方針メモ』、『とあるモノクマの記録映像』、『対江ノ島盾子用駆除プログラム』が保存されています。

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最終更新:2016年02月02日 12:52