羆は徒手にて死せず
「■■■■■■■■■■■――――!!!」
狂戦士の咆哮が木霊する。
第四次聖杯戦争に馳せ参じた
バーサーカーのサーヴァント。その真名を「ランスロット」と言う。
その右手に握り締められているのは鈍く輝く長剣。
B-8の花咲く森の道、彼はクマさんに――――ヒグマに出会った。
『■■■■■■■■■!!』
ランスロットに続くようにヒグマの咆哮が響く。
彼の茶色の毛並みは禍々しき漆黒に染め上げられている。
その瞳はどろりと濁り、まるで狂戦士のようになっているのだ。
穴入らずとはいえクマはクマ。一体このヒグマに何が起こったと言うのだろうか?
答えは単純である。
「■■■■■■■■―――――――!!」
四つ足で走るヒグマの上にランスロットが跨がっているのだ。
それはまるで騎兵の如し姿。ランスロットはヒグマに騎乗している。
彼はヒグマに跨がりドタドタと森の中を突き進んでいる。
宝具「騎士は徒手にて死せず」によってランスロットはヒグマを支配下に置いたのだ。
否――――正確に表現するならばヒグマが自ら甘んじて『支配下に置かれた』のだ。
『■■■■■■■■■■ーーー!!!』
森の中を駆け抜けながらやたらとやかましく騒ぐヒグマ。
会場で出会ったランスロットとこのヒグマは意思疎通を図れていた。それは何故か?
北欧神話において狂戦士を意味するBerserk“
ベルセルク”とは熊の上着を身に纏うものを意味する。
軍神であるオーディンの神通力を授けられた狂戦士は野獣である熊や狼になりきって我を忘れて戦う。
故に『狂った戦士』と称されるのだ。狂戦士が跨がるのはベルセルクの語源となった熊の一種であるヒグマ。
伝承における語源の時点で深い関わりを持ち、実際に熊のような狂乱状態で戦うバーサーカーであるランスロットとヒグマが意思の疎通を果たすのは至極当然である。
熊と狂戦士の心が通じ合うのは何ら不思議なことではないのだ。
騎士ではなく狂って畜生へと成り下がりたかったランスロット卿の思いをヒグマは汲んだ。
このヒグマも冬眠を迎えられなかった憤りを抑え切れず、ただただ狂いたかったのだ。
ヒグマは同情と共感故に自らランスロットの臣下へと下り、あえて宝具に支配されたのである。
ランスロットもヒグマを快く迎え入れた。同じ狂戦士であるヒグマと友情を結んだのだ。
此処に呼び寄せられる前にマスターである
間桐雁夜もいたがもはや記憶の片隅に吹き飛んでいる。
正直割とどうでもいい気がしてきた。
因みに宝具「騎士は徒手にて死せず」はランスロットが武器ではないと認識したものは支配下におけない。
なんやかんやで友情を結んだヒグマのことは武器として認識していたらしい。
「■■■■■■■■■■■――――!!!」
「■■■■■■■■■■■――――!!!」
騎士とヒグマが同時に咆哮を挙げた。
湖の騎士―――いや、羆の騎士は森を突き進む。
堅い友情を結んだ二人は、自らの戦場へと向かう。
共に狂おうぞ、戦友よ。ヒグマと騎士による進撃の開始だ。
【B-8 森/深夜】
【バーサーカー@Fate/zero】
状態:健康
装備:無毀なる湖光、ヒグマに騎乗
道具:基本
支給品、ランダム支給品1~2
基本思考:ヒグマと共に勝ち残る
※バーサーカーの語源となった熊であるヒグマとの意思疎通が図れます。友情を結んでいます。
【ヒグマ・オブ・オーナー(羆は徒手にて死せず)】
状態:宝具化、バーサーカーを背に乗せている
装備:無し
道具:無し
基本思考:ランスロット卿と共に闘う
※熊が由来となっている狂戦士のクラスであるバーサーカーと意思疎通が図れます。友情を結んでいます。
※宝具「騎士は徒手にて死せず」によってバーサーカーの宝具化しています。
最終更新:2013年11月04日 02:06