要旨
自分の中にあるものを描く
絵を描くことは、自分に無いものを付け加えていくことではなくて、自分の中にあるものを突き詰めていくこと。そのためには、何が自分にあり、何が無いのかを、しっかりと見極めていくことが大切。そして、一番気をつけることは、自分にあるものだけで絵を組み立てていくこと。そうしないと、自分を見失い、本当にやりたかったことが分からなくなってしまう。
自分を押し広げたいと誰もが思っているが、他の真似といった安易な方法は、実は遠回りである。自分のものだけで絵を描き、一歩引いてこれを分析することにより、自分にある物と無い物が分かってくる。そして、自分のものではない要素をどんどん削ぎ落としていくことで、自分の核が見つかる。それを一つ一つと増やしていくことは時間と絶対の正直さが必要だが、結局はこれが一番の近道なのだ。
人間は、よりリアルなものに目がいってしまうため、何かを伝える際には目に入る順序をよく整理しなければならない。全てに同じ力を入れて描いたのでは、画面のどこから見てよいのか分からないので、まずどこに視線がいって欲しいか、次はどこか等を考え、大事な順に力を入れて描く。また、どうでもいい場所を、自然に、目立たないように描く。普通とは違く描くこと自体が、何かのメッセージになってしまうのだから。目立たないように描くことで、興味のあるポイントが引き立つ。
最終更新:2014年11月03日 03:18