- 複素数列{a1,a2,...}がaに収束するとは、{|a1-a|,|a2-a|,...}が収束することである。これは実部、虚部がそれぞれ収束することと同値である。
- lima_n=a,limb_n=bであるとき、lim(a_n±b_n)=a±b、lim(a_n×b_n)=ab、lim(a_n/b_n)=a/b(ただしb_n≠0)も成り立つ。
一つの複素数にもう一つの複素数を対応させる(一価)関数w=f(z),z,w in Cを考える。
- (極限値)Aの開近傍V(除くA)を任意にとるとき、あるaの開近傍U(除くa)があり、f(U)⊂Wとなるとき、limf(z)=Aと書く。
- (連続)f(a)が有限な確定値であり、limf(z)=aであるとき、fはaで連続という。言い換えると、
- (連続)任意のεに対してあるδがあり、|z-a|<δとなる全てのzに対して|f(z)-f(a)|<εとなるとき、fはaで連続という。
- lim(f(z)-f(a))/(z-a)が存在し、一定値であるとき、これを微分係数f'(a)という。なお、f'(a)が存在するときfはaで連続である。
- (正則)ある変域D内のどの点でもf'(z)が存在するとき、fはDで正則という。
- f'が一意に決まる条件を考える。z=x+iy、f(z)=u(x,y)+iv(x,y)とし、∂u/∂x、∂v/∂y、∂u/∂y、∂v/∂xは連続(★)と仮定する。平均値の定理から(f(z+d)-f(d))/d={h(u_x+iv_x)+k(u_y+iv_y)}/(h+ik)なので、∂u/∂x=∂v/∂y、∂u/∂y=-∂v/∂x(CR方程式)が十分条件である。fが正則ならば★は満たされるので、結局、「fが正則⇒CR方程式」が分かる。
- fを正則関数とすれば、f'(z)=∂u/∂x+i∂v/∂x=-i∂u/∂y+∂v/∂y=∂f/∂x=-i∂f/∂y。よってCR方程式は∂f/∂x+i∂f/∂y=0とも表せる。
- CR方程式⇒△u=△v=0(ここで△=∂^2/∂x^2+∂^2/∂y^2)。すなわち、正則関数の実部、虚部は同じ微分方程式を満足する。
- (有理整関数)w in C[z]のこと。
- a_0w^n+a_1w^{n-1}+…+a_n=0(a_0,...,a_n in C[z])を満たすwを代数関数という。
- 上でn=1の場合、wを有理関数という。すなわちw=a/b a,b in C[z]。
- 有理整関数がC上正則であることは、通常の微分の手続きをしてみれば分かる。有利関数についても、分母が0でない変域上であれば正則である。
- 代数関数でない関数は超越関数という。例えば、exp(z)、cos(z)、sin(z)等がある。(ここでは級数で定義)
- 一般にベキ級数は収束域で項別微分ができるので、その収束域上で正則である。→ exp(z)、cos(z)、sin(z)はC上正則である。
- exp(z)は絶対収束級数なので、級数の積は意味を持つ。計算によりexp(z_1+z_2)=exp(z_1)exp(z_2)が示せる。特に、exp(x+iy)=exp(x)(cos(y)+isin(y))である。→ exp(z)は周期2πiを持つ。
- 指数関数の逆関数を対数関数といい、logzで表す。ligz=u+ivとかくと、z=exp(u+iv)=exp(u)(cos(v)+isin(v))。z=r(cosφ+isinφ)と書けば、r=exp(u),v=φ+2πnである。つまりligz=exp(u)+2πin。
- logzは一つのzに対して無数の複素数が対応する多価関数である。
- z^a a in R を、exp(alogz)で定義する。logzが多価関数なのでz^aも一般的には多価関数である。
等角写像
(例1)w=az+b 直線→直線、円→円
(例2)w=1/z 直線及び円→円
(例3)w=exp(z) 直線→円または半直線
(例4)w=cosz x=const→双曲線、y=const→楕円
(例5)w=1/2(z+1/z)
(例6)w=tanz
最終更新:2015年04月01日 01:50