00
マイナスとマイナスを組み合わせてプラスになるわけがない
01
どこからか流れてくる放送をただただ、意思もなく聞いていた。
この6時間という短時間とも長時間ともとれる時間で、すでに10人以上もの人が死んでいった。
その中には、さきほどまで共闘した
浅倉翔の名前もあった。
それでけではない、
飯島遥光という名前も、放送で流れたのを耳にした。
そのとき、いったい俺はどう思ったのだろうか。
悲しい――――とは思ったかもしれない。
悔しさは――――たぶんなかった。
最初に自分が出会って、そのままいなくなってしまった。
そのまま、帰ってくることはなかったというわけだ。
別に皮肉というわけではない。
彼女は、弱かったのだから。
いつ殺されたっておかしくはなかった。
彼女がただ、死に急いだだけの話である。
だから、俺が責任を受ける理由はない。
これは仕方がなかったことなんだ。
翔は、あの男が来なければ死ななかった。
俺は何も悪くないのだ。
遥光ちゃんも、あの時自分勝手にするから死んだんだ。
俺にわざわざ止める理由なんてない。
だから俺は何も悪くないのだ。
それを、アイツらは、俺が悪いようにいう。
なんで俺が悪いんだよ、俺は被害者だよ。
お前らの勝手な価値観を、人に押しつけるな。
俺は、俺は悪くない。 俺は悪くない。
悪いのは、こういう風に仕向けたあの主催者だろう。
殺し合いに乗っている、あの男のような奴らだろう。
俺にどうしろというんだよ、理想を俺に押しつけるな。
遥光ちゃんも、両断さんも、あの詐欺師も、みんな俺に理想を押しつける。
それがうまく行くはずなんてないのに。
「さぁ、行こう――――須藤君」
そんな絶望に押しつぶされている中、声が響いた。
目の前に立っていたのは、『彼女』だった。
いつもの笑顔で、俺に話しかけてくれる。
俺に、変な理想を押しつけたりしない。
俺を俺であると認めてくれる。
「あぁ、そうだな」
だから、そんな彼女に協力しなくてはならない。
彼女の考えた、最高の計画に。
マイナスであるバトルロワイアルをプラスにしたりするのではない。
ゼロ、無にするのだ。 この殺し合い自体をなかったことにする。
そうすれば、それほど幸せなことはないのではないか。
だからこそ俺は協力するのだ。
『彼女』――――●△◇■と。
俺が好きになった、その子と。
02
車に揺られながら考える。
俺はいったいどうなっているのだろうと。
本当は今にも壊れそうなのに、なんとか保たせている精神状態では答えは出ない。
いや、平常時でも答えは出ないかもしれない。
俺は今、どうなっているのだろう。
先ほどまで、放送を聞き、そこで得た事実に悲しんでいた。
悲しんでいたとかいうレベルではないが……まぁ、そこはいいとしよう。
あくまでそれは俺だけのことである、そんな重要なことではない。
問題は、遥光が死んだというのに、思ったより平常でいられる自分だ。
今までの自分であれば、間違いなく俺は同行しているこの子たちに手を出しかねなかっただろう。
それが、今となってはああ叫ぶだけで終わらせれる。
叫ぶだけ……というわけではない。
だが、少なくともあの場で俺は想像したよりショックも受けなかった。
遥光じゃあ、生き残れないだろうと心の奥で思っていたからなのだろうか。
わからない、わかりたくもない。
結局今俺たちはデパート方面に向かっている。
最初は市街地に行こうという考えもあったが、危うきには近寄らずだ。
禁止エリアにうっかりは入り込んで、出れずに死ぬなんて最悪だからな。
復讐も果たせぬまま死ぬのは、嫌だ。
復讐はなにも生み出さない、生み出すとしても新たな恨みだけだ、というような言葉がある。
でも、俺にはそんな言葉は関係ないし気にしていられない。
大事な人を奪われて、その誰かの恨みを生み出さないために黙っていろと言うのか。
少なくとも、ガキである俺にはそんなことはできない。
まぁ、どうであれだ。
ここで死ぬわけにはいかないという話だ。
デパートに行ったところで危険人物に遭遇してしまえば死ぬだろうが、戦闘に関しては問題ないはずだ。
ある程度俺も武器は持っている、それに巴さんは強いと聞いている。
多少被害は受けるとしても、死ぬと言うことは薄いだろう。
……それも希望的観測であることにはかわりないけれど。
ガタガタと揺られながら、そんなことを考えていると車が急に止まった。
一体何があったのかと思いながら隣の真紀を見る。
「どうしたんだい、なんか急に止まったけど」
「窓の外見ればわかるわよ、誰かいるわ」
そう言われ、前を見る――――と、そこにいたのは1組の男女であった。
片方は多少ボロボロになっている男、もう片方はいたって外傷も見られない女の子だった。
しかもなかなか可愛い←ここ重要
なんというのか、感じ的に話をしようと俺たちを止めようとしてる感じな気がする。
少なくとも、武器を持っていないあたりは好戦的というわけではなさそうだが。
そう見せるために隠している可能性もあるが……まぁ、それならなんとかなるだろう。
「……俺が行って話をするよ、真紀は何か俺に異変とかあったらよろしく」
「このまま無視する、という選択もあると思うんだけど」
「それもいいんだけどね」
女の子の方をハーレム(俺の)に引き入れたいとか、そう言う思考もあるにはあったのだけれども。
一番の目的は、情報だった。
飯島遥光を殺した奴や、遥光が生前どこにいたのかとか。
そう言う情報が、少しでも欲しかったのだ。
まぁ、あまりメタな内容を言うのもなんだけれども。
この行動は正解でもあり不正解でもあった。
03
少なくとも、今までの彼ならどうしていたのだろうか と考える。
あまり人の観察とかが得意ではない私も、
熊本潤平の変化は目に見えていた。
原因はやはり、恋人の死なのだろう。
運転してる車の前に飛び出し無理矢理止めるような危ないようなことを普通にやってのけるような奴らと話とか、私なら絶対にしない。
しかし、熊本潤平は普通に話をするために外に出てしまった。
だが、考えてみれば彼にそんな常識は通用しなかったような気がする。
最初に自分に会ったときも、かなりの無茶をした。
ならばこの行動も彼にとって普通である、と考えられるかもしれないが。
なんというのだろうか、今までとその無茶の方向性が違うというのだろうか。
今までは、女の子のため、自己満足のため『だけ』に動いていたようだったのだが。
今はただ死に急いでいるような、そんな感じに見える。
死に急ぐ、というのはあくまで比喩表現だからこの場で使うのには適さないだろうが、そう言う感じなのだ。
自己満足から、復讐のために、方向転換したような。
自己満足のための手段から、復讐のための手段に変わったような。
このまま彼を放っておいて大丈夫なのだろうか、と少し心配になる。
別に彼が死のうと関係はないのだが……いや、関係なくはないか。
少なくとも、この殺し合いを生き抜く上での戦力が減る。
それだけでも、かなりの痛手なのだ。
だからこそどこかで、彼を止めるまではしないとしても話をして彼の状態を知ることも重要だろう。
「あの……」
と、後ろの方から声がする。
守谷さんと巴さんだった、柄部ちゃんはキャンピングカーに付けられているベッドで寝ていた。
先ほどの放送から、少し顔が暗かったあたり、きっと放送で何か引っかかる点のようなものがあったのだろう。
そう言うときは、寝るに限る……のだろうか。
まぁ、どうであれ今は守谷さんと巴さんに現状を説明する方が先であろう。
運転をしていたら、急に男女の2人組が飛び出してきたこと。
熊本潤平がその2人組と話に行ったこと。
簡単に言ってしまえばこの2点である。
というより、これ以外に話すことがない。
彼がどんな話をしているかとか、そう言ったところまで聞けるわけがない。
盗聴機でも用意して彼に付けていれば別だが、そんな道具は現在ない。
「……それ、かなり危ないんじゃないのかな」
「だから、俺に変な様子があったら来てくれって言われたんだけど……」
「少なくとも、こんな移動しとる巨大なもんの前に飛び出そうとか思わへんやろ……図太いっちゅー事なんか、無謀っちゅーんか……マトモな神経しとる奴がすることじゃああらへんで」
まぁ、武器は持って行っているはずだから最悪の状態にはならないと信じたい。
再び窓から熊本を見ると、何かもめているようではあった。
不穏だった、今にも何か事件が起きてしまいそうな。
そんな予感が自分の中に生まれた。
その自分の予感は捨てたものではないと思うようになり、同時にそう感じたならば対応をとるべきであったとこの数分後思うことになる。
04
さて、話を変更してだ。
俺の目の前には2人の男女がいる。
片方は、ボコボコにされているような男――――こっちは興味ない。
いや……興味ないっつーのもおかしいな。
どうでもいいって言った方がいいか。
それよりも俺が気になったのは、その隣にいる女の子の方だ。
笑っている、だがその笑いに違和感を感じる。
なんというのだろうか、笑っているのに笑っていない。
まるで笑顔で働いているけれど実際は今にも死にそうなメンタルになっている社畜のような。
その例えもどうかと思ってしまうが……言いたいことは一つだ。
この子はおかしい と。
まぁ、おかしかったところで現状俺には関係ないわけだ。
とりあえず俺がするべきことは目の前の二人の対処ってわけだからな。
女の子の方を引き入れたいという願望はあるから、まぁ勧誘は考えには入れておこう。
「いきなり止めてすみません、少し話がしたかったもので」
「話がしたくて、キャンピングカーの前に飛び出すとか危ない事はしない方がいいよ。
それこそ、某なんたらプロジェクトのパクリとか言われちゃうからね、そういう輩に目を向けられるのは危険だぜ」
「……?」
おっと、メタネタは通用しないという事か。
なかなか手厳しいというのか、まぁ俺も時間軸的にこういうのを言うのはよろしくないんだけどな。
――――とりあえず話を戻そうか。
「まぁ、それはいいとしてだ。 そんなにしてまで言いたいことなんだろう?
ただ世間話がしたいとかいう訳じゃないだろう、もしその気だったならば俺は君達を病院に連れて行きたくなるね
ここの病院に行ったところで、どうせ医者なんかいないんだろうけどな」
「……私たちは提案があって貴方たちを止めたんですよ」
「へぇ、なんだい? とりあえず聞くだけは聞くけれど」
そう言った瞬間、その女の子の表情が変わった。
スイッチが入ったかのように。
そしてそれと同時に彼女はこんなことを言ってのけた。
「皆を生き返らせるために、死んでくれませんか」
多分俺はこれ以上なく、顔を凍らせたと思う。
あまり動揺を顔に出すのはしたくないんだけれども、これは少しばかり驚かざるを得ない。
こう、堂々と死んでくれませんかと言うのか。
どうせなら何も言わずにとっとと俺を凶器で殺した方が早そうだというのに。
わざわざ殺害予告をするというのか。
「おいおい、なんというか笑えない提案だね。 そんなのを俺が受けると思ってるのかい?
いくら可愛い女の子の提案だとしても少しばかり飛躍しすぎな気がするけれど」
「いや、言い方が悪かったかね」
と、そこで口を出してきたのは隣にいる男の方だった。
お前は黙っててくれていいんだけどな。
むしろそのまま消えてくれていいぞ。
「俺達が言いたいのは、そういう事じゃないんだ。 この殺し合いで優勝者に願いがかなえられるっていう奴があっただろ」
「ああ、あったような気がするな。 正直俺にとってはどうだっていいんだけどな」
「その願いで、この殺し合いをなかった事にすればいいんだよって話だ」
「――――ふーん」
「馬鹿じゃねぇの?」
口火を、切った。
確実にこれが不協和音を生み出すのを、確信していながら。
05
「大体お前らはこの殺し合いを企画するような奴がちゃんと願いを叶えると思ってんのか?
いくらでも嘘は口から出るだろうよ。 口八丁に俺達に殺し合いさせようと騙すくらいするだろ。
その願い事だってその一つに決まってんだろ、あんな奴らのいう事を真に受けるとか、馬鹿じゃねぇのかって話だ。
それに、もしあの糞野郎が願いを叶えてくれるにしてもだ。 その願いを聞き入れる可能性はほぼ0だろーよ。
何のために殺し合いをしたんだ、って事になるからな」
目の前の男は、これだけ言ってふぅと息を吐く。
なるほど、交渉はほぼ無理だろうな。
元々期待はしてなかったが、仕方ない。
コイツは――――殺そう。
これ以上喋らせてたまるものか、コイツは危険だ。
狭山さんの正しさに、気付けないんだ。
だから、殺してやろう。
――――だが、今は間違いなく分が悪い。
コイツの乗ってた車には、少なくともあと1人は乗っているはずだ。
ソイツに俺がこの男を殺そうとしてることに気付かれたら、間違いなく危険だ。
「……おっと、そういやまだ名乗ってはいなかったな。 俺は熊本潤平、そこの子の名前を聞きたいと思ってたし、先に名乗っておいてやるぜ」
と、そこでその男が名乗ったのを俺は間違いなく聞いた。
熊本潤平――――飯島遥光から聞いた、その名前。
「――――お前が、遥光ちゃんの彼氏か」
俺がそう呟いたのと同時に、俺は見た。
熊本潤平の顔が、先ほどまでのヘラヘラとしたような顔から、背筋が凍るほどの無表情になったのを。
「テメェ、遥光を知ってるのか?」
「知ってるも何も、少し前まで一緒に行動してたよ――――死んだらしいけどね」
と、言い放った時だった。
俺の左頬に鈍い衝撃を受ける。
そして、そのまま吹き飛ばされた。
急にな事に受け身も取れず、俺の体は地面に落ちた。
「……何が、死んだらしい……だぁ?」
「ッ、痛ぇじゃねーかよ……何しやが……」
「なんで、お前はアイツから離れた!?」
「……あ?」
重い体を起こし、睨みつける。
何も知らない奴の言葉にここまでイラつくのは良くねぇが、それでもだ。
これだけは、間違えなく言える。
やっぱり、コイツは殺す
06
嫌な予感はしていた。
だが、その予感はこの時をもって確信に変わった。
熊本潤平が、少年を殴り倒した。
間違いなく、これは不穏の表れだ。
即刻止めに行かなくてはならない。
今の彼をこのまま放置して得策になるわけがない。
「待て、真紀! ウチが行った方が……」
「いいです、ここで大人数で詰めかけてもそれはそれで面倒だから。
万一だけれど、相手が手榴弾とかを隠し持っていたら……と考えると最悪だし」
本当なら、他の人に熊本を止めに行ってもらった方が自分が安全のはずだ。
もしあの2人組が言った通りに武器を隠し持っていたら、確実に交戦になる。
だが、それでも自分が行こうとしたのは、ただ焦っていて判断が鈍くなっていたからなのだろうか。
すぐにキャンピングカーを降り、熊本の所に走る。
「お前が見殺しにしただけなんだろ!? 何があったかは知らねぇが、お前は遥光を助けれなかっただけだろ!
一緒に行動してたなら、なんでそんな他人事として見れる!」
「……勝手に言ってくれんなよ、向こうから勝手に出て行っただけだ。
俺は悪くない……悪いのはアイツなんだ……!」
「だったら引き止めろよ!」
「引き止めたさ!」
2人の応酬が続けられる。
間違いなく、2人とも周りが見えていない。
このまま放置した場合、確実に危険が伴う。
「引き止めきれなかったのはお前のせいだろうが! それを遥光のせいにしてんじゃねぇ!」
「……うるせぇ」
「弱いくせに、何もできないくせに、俺達を崩しやがった! あんな奴、生きてたって邪魔になるだけだろうが!!」
その瞬間、乾いた音が ぱぁん と鳴った。
すべてが崩れ落ちるような、そんな感じがした。
遅かったのだ、何もかもが。
07
「ッ――――!!」
パァン、と言う音とともに受けた衝撃で我に返った。
ふと横を見ると、真紀が立っていた。
今までになく真っ青な顔で、俺を見てる。
「何、してんのよ!」
「……え?」
何をした? いやいやそんなんわかんないよ。
さっきまで俺はあのゲスい男と話していたはずだ。
それで意識が飛んで、あれ……。
俺の右手に持っているモノはなんだ?
何で俺は、こんな物持っているんだ。
まさか、ありえねぇ。
そんなことがあってはならない。
少しづつ、視界を前の方に移す。
「――――あ」
嘘だと思いたかった。
だが、現実と言うのは常に非常な物だった。
先ほどまで話してた奴の周りを、赤色が彩っていた。
腹部を中心にソイツの制服を黒く染めている。
赤と黒、それは紛れもなく血の世界。
その中でソイツは痛い、痛いと喚いている。
「――――あぁ」
腹部には、穴が開いていた。
誰かに撃たれたような、そんな感じだった。
「う、あ……ああああああああああああああああああああああああ!!?」
俺は、叫んだ。 喉が嗄れるかもしれないほど。
その時、俺の右手から『ソレ』が落ちた。
ベレッタM92――――
新藤真紀を『守る』という約束のもと、預かった品だ。
それを、俺は自分のために使った。
殺人という、俺が否定してきたことを。
「ああああああああああ、あ、ああ……あ」
叫び声はいつしか涸れ、涙へと変わっていった。
前までだったら、こんなことはなかったはずなのに。
気に入らなければ、暴力で、知力で、詭弁で、誰でも変えていた。
自分の思い通りに、『壊して』いたのだ。
俺がしたのは、規模は違えど『壊す』行為だ。
だが、俺は今自分が許せなくなっていた。
壊して、全部思い通りにしようとしていたのに。
遥光を殺した奴や音無の野郎を殺そうとまで考えていたのに。
いつの間にか――――俺自身が『壊れて』いた。
人を殺していたという事実に、耐えられなくなって。
元々壊れていたのに、さらに壊れて。
自分自身が、わからなくなる。
ああ――――誰か。
俺のこの雑念を、壊してくれ。
08
被害は、甚大だった。
熊本潤平は傷はないものの、先ほどから目が死んでどこか遠くを見ている。
話しかけても、呆然としているだけ。
撃たれた少年……
須藤凛と言うらしいが、彼は付き添いの女の子が連れて行った。
治療をすると言っても、全然聞かずにどこかへ行ってしまった。
「――――大丈夫なんですか? 熊本さん」
「ああ、守谷さん……。 大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば、大丈夫じゃないわね……少し前までの空元気が嘘みたい」
元々、放送の後からおかしいとは思っていた。
それに、仇討ちに執着して彼は不安定だったのだ。
いくら強い奴であろうとも、人間は人間だ。
人を殺すというのは、完全に目的と言う物があってやっていられるものではない。
少なくとも自分はそれを知っているつもりだった。
かつて7人を殺した、殺人鬼として。
と、いつの間にか守谷さんがいなくなっていたのを確認し、再び熊本潤平に声をかける。
「――――ねぇ、潤平」
「……」
「まぁ、聞いてるだけでいいわ。 今の貴方に話をしろなんて言っても非情だろうし」
「貴方と彼がいったい何を話したのかはわからない。 でも、貴方はこんな人を殺した程度で壊れるような人だったの?
あんなに偉そうに私に説教かましておいて、偉そうなものね……」
「……」
少しキツい事を言うかもしれないけれど。
彼が立ち直ることを、信じるしかない。
間違いなく、このチームは彼あってのものだ。
その彼が立ち直らなければ、自分自身も危ない。
「私を守る、と言う約束は……忘れてないわよね?」
「……」
コク、と彼の首が少し動いた。
完全に、聞こえていないわけではないようだ。
さっきから反応なかったから独り言喋ってるだけになるかもと思ってたんだけれど。
「――――じゃあ、立ち直りなさい。 面倒事は御免だっていうのに面倒事に巻き込んで……そのまま駄目だっただなんて、許さないから」
それだけ言って、私はキャンプカーの運転を始める。
どこに向かうのか、まったく決めずに。
ただただキャンプカーを走らせるしかなかった。
【熊本潤平@数だけロワ】
[状態]:主催者及び飯島遥光を殺害した者への憎悪と殺意、精神崩壊(重度)、キャンピングカーの助手席に乗っている
[服装]:少し砂埃で汚れている
[装備]:ウィンチェスターM1897(3/5)
[道具]:基本支給品一式、12ゲージショットシェル(5)、M1917銃剣、ベルグマン・ベアードM1908(2/6)、
装弾クリップ(9mmラルゴ弾6発入り×3)、こけし、ベレッタM92(11/15)
[思考]
基本:女を守る。主催者達と、遥光を殺した奴を殺す。
1:――――
[備考]
※数だけロワ29話「無題――――NoTitle――――」以後からの参戦です。
※
矢部翼の外見のみ記憶しました。
※この殺し合いで彼自身が『壊れて』しまっているようです。
【新藤真紀@俺のオリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、キャンピングカーを運転中
[服装]:特筆事項なし
[装備]:キャンピングカー(車体に若干の破損あり)
[道具]:基本支給品一式、ベレッタM92予備弾薬(30/30) 、ケンタッキーフライドチキンの皮入り箱
[思考]
基本:一応殺し合いには乗らないことにする。
1:ただ今は、運転してどこかに向かう。
2:強そうな、面倒そうな人物にはなるべく関わらないようにする
3:銃……今なら取っても問題なさそうだけど。
[備考]
※本編終了後からの参加です。
【
巴御前@夢オチだったロワのキャラでバトルロワイアル】
[状態]:疲労(中)、腹部にダメージ(中)、右足に裂傷、キャンピングカー後部スペースに搭乗中
[服装]:白装束
[装備]:安物の弓
[道具]:基本支給品、シャベル
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:熊本たちと行動する
2:刀の女(詩織)には警戒
3:熊本については……どうにかなるやろ、多分
[備考]
※夢オチロワ「怠慢な革命家」より登場。傷は主催により治っています。
※固有能力には大幅な制限がかかっています。
【
柄部霊歌@サイキッカーバトルロワイアル】
[状態]:健康、キャンピングカー後部スペースで睡眠中
[服装]:特筆事項なし
[装備]:フランベルジェ
[道具]:基本支給品、カレーの材料セット、大量の包丁(現地調達)
[思考]
基本:バトルロワイアルを破壊する。
1:彩子さんを守る。熊本さんたちも、全員守ってみせる
[備考]
※登場時期はサイキッカーバトルロワイアル開始後、
福沢正也と出会ってから。
※
守谷彩子への勘違いは解けました。
※辻斬り思考が消えました。
【守谷彩子@需要なし1st】
[状態]:健康、キャンピングカー後部スペースに搭乗中
[服装]:特筆事項無し
[装備]:M1ガーランド(8/8)
[道具]:基本支給品、鍋、皮むき器、調味料一式
[思考]
基本:自分らしくお気楽に生きよう。
1:霊歌ちゃんを守る。潤平くんたちと行動。
2:なにか罪滅ぼし的なことは出来ないだろうか。
3:潤平くん……大丈夫かな。
4:あのAV衝撃的すぎたわ……。
[備考]
※需要なし1st死亡後から登場。
※柄部霊歌への勘違いは解けました。
※
稲垣葉月と
レックスのAVを見てしまいました。
※キャンピングカー及び五人がどこに向かうかは次の書き手さんにお任せします。
09
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い
ふざけるな、俺は悪くないのに。
何で俺がこんな目に遭わなくちゃならないんだ。
絶対に、絶対に許さない。
アイツは、熊本潤平は俺が殺してやる。
そうでもしなくては、許すこともできねぇ。
「――――狭山、さん」
「はい」
「応急処置、手伝って……くれないかな」
「……」
なんで黙っているんだろう。
ああ、先ほどの奴を思い出しているのか。
狭山さんの考えに対して、馬鹿らしいなんて一蹴して。
「――――狭山さ」
パン、と乾いた音が鳴る。
先ほども耳に入ってきたような音と共に、俺の腹部に痛みと熱さが拡がる。
一瞬何が起きたのかわからなかった。
だが、言えることは一つだけ。
俺は、撃たれたんだ。
それじゃあ、いったい誰に?
俺の周りには狭山さんしかいない。
他の奴が狙撃してきたとでも言うのか。
いや、それだったら狭山さんが先に殺されているはず。
じゃあ――――まさか。
ありえない、そんなことはあってはならない。
だって、彼女が俺を撃つはずがない。
そんなことが、あっていいはずが、ないんだ。
――――――――パン
嘘、だ。
俺は、そこに立っていた。
どこかで見たような光景、そうだ……一回あの狐のような奴にボコられた時だ。
俺はここに来たんだ。
あの時、俺を再び立ち上がらせた場所に。
ここならば、俺を助けてくれる奴がいるはずだ。
総規模yを持った時だった。
――――お前のせいだ
そこで、俺の耳元でそんな声が聞こえる。
とっさに耳を塞ぐ、その言葉は俺にとってとてつもない嫌な言葉だったから。
だが、声は止まない。
それどころがどんどん大きくなる。
お前のせいだ
お前が止めていれば
人のせいにするな
助けられた命だってあるはずだ 結局は自分勝手じゃないか
弱いくせに
様々な声が、俺に向かってその言葉の弾丸を放ってくる。
「うるさい、うるさい、うるさい……!」
テメェのせいで、俺が死んだ……お前のせいだ
最初に襲いかかってきた男の声で俺に話しかけてくる。
お前が襲い掛からなければ済んだ話だろう。
黙れよ。
須藤殿、己の失態を償ってこそ強くなれるのだ……なのにお主は
加藤清正の声で俺に話しかけてくる。
なんだよ、偽善者面して正論でも言ったつもりか。
黙れよ。
お前が、そんな奴だったなんて思わなかったよ
浅倉の声で俺に話しかけてくる。
黙れよ。
おにーさん……私は、そんな風になってほしかったんじゃないの
飯島ちゃんの声で俺に話しかけてくる。
黙れよ。
なんだよ、結局は俺が悪いっていうのか。
俺は悪くない、悪いのはあいつらじゃないか。
「なんで、寄ってたかって、俺ばかり悪いと言う! いい加減にしてくれ!!」
「……りん」
後ろから、救いとも思える声が聞こえた。
そこにいたのは俺の親友、津村匠だった。
コイツなら、匠ならわかってくれるはずだ。
俺が正しいってことを。
あいつらが間違っているという事を。
「しょうじき、こんなりんみたくなかったよ……ぼくがあこがれたきみは、どこにいったの?」
だから、なんで皆俺を責めるんだ。
お前もあいつらと同じだっていうのか。
俺が悪いっていうのかよ。
「ああああああああああああああああああああああああああああ!!
うるさい、うるさい! 黙れ! 消えろ、俺の目の前から、消えろ!!
俺は、俺は悪くない、悪いのは、アイツらじゃねぇかよおおおおおおおおおおおおおおお!!」
と、叫んだ瞬間周りが暗くなった。
目の前には、拳銃が一丁。
他には何もなかった。
苦しかった、もうこの世に味方はいないんだって。
分かってくれる人なんかいないんだって。
その銃を手に取って、俺は、自分を……。
『壊した』
10
「さようなら、須藤君……大丈夫、安心して……生き返らせてあげるから」
私は、目の前の彼に言った。
殺した理由は単純にして明解、邪魔だったからだ。
これ以上彼を生かしておいても怪我のせいで邪魔になる。
だからこそ、私の支給品に入っていたこの銃で殺した。
今までずっと隠してきた、私の武器で。
「大丈夫……阿見音様の導きは正しいんだから……必ずあなたを生き返らせる、待っていてね須藤君」
少年に、救いはなかった。
少女に、救いはあるのか。
【須藤凛@変哲もないオリキャラでバトルロワイアル 死亡】
【
狭山雪子@変哲もないオリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:マインドコントロールによる洗脳
[服装]:三日月中学の女子制服
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、カッター、スタンガン、ストレイヤーヴォイトインフィニティ9mm×21(16/17)、ストレイヤーヴォイトインフィニティ9mm×21のマガジン(3)、ランダム支給品×2
[思考]
基本:すべてのものを取り戻す
1:新しい協力者を探す
2:マーダー、足手まとい、邪魔者については排除する
[備考]
※変哲もないオリキャラでバトルロワイアル参加前からの参加です
※支給品に武器の類はないようです
※
阿見音弘之のマインドコントロールにかかりました
最終更新:2013年08月10日 23:24