リチウム

リチウム


リチウムは原子番号3、元素記号Liの元素である。                                                


性質

リチウムは周期表において、1族2周期に分類される元素である。

リチウムは、常温、常圧下ではやわらかい銀白色の軽い金属である。融点は181℃、沸点は1342℃である。

融点

 180.54℃

沸点

1342.2℃ 

密度

534kg/m

原子量

6.941

電気陰性度

0.98 

酸化数

1,-1 

リチウムはアルカリ金属に属する軽い金属である。

すべての金属元素の中で、最もイオン化傾向が大きく、酸化還元電位は-3.040Vと非常に小さな値を示す。

金属全般と比べると反応性は高い方ではあるが、アルカリ金属中では最も反応性が小さく、水とはやや穏やかに反応する。空気中では酸素とすばやく反応し、表面が黒ずむ。

しかし、ほかのアルカリ金属と異なり、常温でも窒素と反応することは特異的である。他に、アルカリドをつくらない点でも、ほかのアルカリ金属とは異なっている。

また、アルカリ金属の中では融点、沸点がともに最も高く、水酸化物の塩基性がほかのアルカリ金属の水酸化物よりも弱い。

密度は金属元素中、最も小さく、水や油に浮く。

リチウムの化合物は炎色反応を示し、明るい赤色の炎色を呈する。  

 


反応 

リチウムが乾いた空気中で燃焼すると、酸化リチウム(Li2O)が生成される。

4Li+O2→2Li2O

 

リチウムを水に入れると水酸化リチウム(LiOH)が生成される。

2Li+2H2O→2LiOH+H2

 

リチウムを塩素内で燃焼させると塩化リチウム(LiCl)が生成される。

2Li+Cl2→2LiCl

このとき、純粋な塩化リチウムを得たい場合は、リチウムを塩酸に入れてはならない。

 

リチウムを窒素存在下で加熱すると、窒化リチウム(Li3N)が生じる。

6Li+3N2→2Li3N

これは、純粋なものは得られないが、水分があると常温でも起こる反応である。


製法

リチウムが単体で産出することはない。したがって、分解による製法しかない。

リチウム化合物からリチウムの単体を取り出すには、一般的な化学反応ではその酸化還元電位の低さより困難を極める。したがって、融解塩電気分解などがふさわしい。

実験室では、水酸化リチウムなどがほかの塩と比べ、融点が低いので、これを使うことができる。

また、有機溶媒に塩化リチウムを溶かし、電気分解しても得られる。 


化合物 

リチウムはアルカリ金属であり、反応性が高いゆえに、多くの化合物が知られている。ここではその一部を挙げる。 

ハロゲン化物

フッ化リチウム(LiF)

塩化リチウム(LiCl)

臭化リチウム(LiBr)

ヨウ化リチウム(LiI)

酸化物系(Li2X)

酸化リチウム(Li2O)

硫化リチウム(Li2S)

多原子イオン塩

硫酸リチウム(Li2SO4)

硝酸リチウム(LiNO3)

炭酸リチウム(Li2CO3)


同位体

同位体

 中性子数

半減期 

 崩壊モード

天然存在比(%)

4Li

9.1×10-23

PE

0

5Li

2

3.7×10-22

α

7.5%

6Li

3

安定

なし

92.5%

7Li

4

安定

なし

0

8Li

5

0.84秒

β-

0

9Li

6

0.178秒

β-

0

10Li

7

2×10-21

NE

0

11Li

8

0.0087秒

β-

0

12Li

9

1×10-8

NE

0

リチウムの安定同位体には、少量の6Liと7Liが含まれている。

6Liは7Liよりも液体にしたときに揮発しやすく、水銀とアマルガムを形成するときも親和性が強い。したがって、片方の同位体を濃縮することが可能である。

7Liはビッグバンのときに構成され、ヘリウム水素の核融合によって作られたが、この核融合において、7Liよりも12Cを作る反応の方が簡単であるので、これが一般的に、宇宙では炭素の方がリチウムより多い理由のひとつとなっている。 


歴史

1817年にアルフェドソンにより、鉱石のなかに新たなアルカリ金属が含まれていることが示唆された。これより、ギリシャ語で石を意味するlithosからリチウムと名づけられた。

その後、1818年にデービーが単体リチウムを精製したが、実質的なリチウムの研究は、1855年にブンゼンとマチーセンによって行われた。


存在

リチウムは海水中に普遍的に存在し、事実上海水には2300億tほどのリチウムが存在し、資源の枯渇の心配はない。また、鉱石の中にも多く存在し、ペタル石などに含まれる。

しかし、リチウムの生産にあたっては、豊富な資源のわりに安価に出回ってはいない。これはリチウムがある程度広範囲に存在するにもかかわらず、特定の場所でしか生産を行っていないことや、採算の取れる十分な製錬方法がまだあまり確立されていないことに原因がある。

リチウムのように、融解塩電解を主な製法とする元素は、電気代などが高くつくために、どうしても電気代や人件費が安い国が有利となり、先進国における生産は不利となりやすい。 このため、先進国では、融解塩電解に頼らない、金属の製錬方法の開発が望まれるが、リチウムに関しては、酸化還元電位の低さから、そのような技術の開発は難しそうである。


リンク

 

水素

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最終更新:2013年03月11日 20:35