ホウ素

ホウ素


ホウ素は原子番号5、元素記号Bの元素である。                                                    


性質

ホウ素は周期表において、13族2周期に分類される元素である。

ホウ素は、常温、常圧下では硬い黒色の半金属である。融点は2076℃、沸点は3927℃である。

融点

2076.1℃

沸点

3927.2℃

密度

2080kg/m

電気陰性度

2.04

酸化数

4,3,2,1

ホウ素は13族元素(ホウ素族、アルミニウム族)に属する軽い半金属であり、ケイ素によく似て、半導体としての性質を持つ。また、単体元素の中では炭素、すなわちダイアモンドに次ぐ硬さを持ち、そのモース硬度は9.3を示す。

ホウ素は酸に不溶であるが、熱濃硝酸にはホウ酸となって溶ける。水酸化アルカリにはホウ酸塩を与えて溶ける。

ホウ素にはいくつかの同素体が知られており、それぞれ、αボロン、βボロンと名づけられている。αボロンは無定形ホウ素を1000℃以上まで熱すると生成され、さらに熱し、1100℃~1300℃にまで達するとβボロンが生成される。βボロンの融点、沸点は無定形ホウ素と若干異なり、沸点は2180℃、融点は3658℃である。

また、ホウ素を含む化合物は強い熱を与えると淡い炎色反応を示す。これは暗所でしか確認できないが、黄緑色の炎色である。 


反応

ホウ素を酸素中で燃焼させると、酸化ホウ素(B2O3)が生成される。

4B+3O2→2B2O3

 

ホウ素を常温でフッ素と触れさせると、三フッ化ホウ素(BF3)が生成される。

2B+3F2→2BF3

 

ホウ素を水酸化ナトリウム(NaOH)とともに溶融すると、ホウ酸ナトリウム(Na3BO3)が生成される。

2B+6NaOH→2Na3BO3+3H2  


製法

ホウ素は単体で産出されることはほぼない。

実験室におけるホウ素の製法として最も簡単なのは、酸化ホウ素を比較的反応性の高い金属で還元することである。

(例)酸化ホウ素(B2O3)をマグネシウムで還元する。

B2O3+3Mg→2B+3MgO

 

また、テトラフルオロホウ酸カリウムを融解塩電解しても得られる。

一方、工業的には酸化ホウ素に炭素を加えてから塩化し、これを蒸留することで生成した後に、水素とともに1000℃まで熱してタングステンなどのフィラメント上を通すと、高純度なホウ素が得られる。この方法を気相還元法という。 


化合物

ホウ素自体は化学的に活発な元素ではない。しかし、多くの化合物が知られているため、その一部を下に挙げる。

ハロゲン化物

フッ化ホウ素(BF3)

塩化ホウ素(BCl3)

臭化ホウ素(BBr3)

ヨウ化ホウ素(BI3)

ボラン(BH3)

ジボラン(B2H4)

酸化物系(B2X3)

酸化ホウ素(B2O3)

ホウ素のオキソ酸塩

ホウ酸ナトリウム(Na3BO3)

四ホウ酸ナトリウム(Na2B4O7)

メタホウ酸ナトリウム(NaBO2) 


同位体

同位体

 中性子数

半減期 

 崩壊モード

天然存在比(%)

6B

1

不明

7B

2

3.5×10-22

8B

3

 0.77秒

9B

4

8.0×10-19

α,PE 

10B

5

安定 

なし 

18.9% 

11B

6

安定

なし 

81.1% 

12B

7

0.0202秒 

13B

8

0.01733秒 

β-,NE 

14B

9

0.0125秒 

β- 

15B

10

0.00987秒 

β- 

16B

11

1.9×10-10秒 

NE 

17B

12

0.00508秒 

β-,NE 

18B

13

2.6×10-8

0

19B

14

0.00292秒

0

ホウ素は天然に10Bと11Bが存在する。

ホウ素の同位体は10Bと11Bを除き、半減期が1秒以下と短命な核種である。

10Bは大きな中性子吸収断面積をもつために、原子炉内の制御棒に使用される。  


歴史

1702年、ホンベルグがホウ砂と緑磐からホウ酸を得た。その後、1808年にリュサック、デービーによってホウ酸をカリウムによって還元することで精製された。

また、純粋なホウ素は1892年にモアッサンによって酸化ホウ素を還元することで初めてつくられた。

最初、ホウ素はboraciumと名づけられていたが、性質が炭素(carbon)に似ているためboronとなった。 


存在

ホウ素は単体で産出することはほとんどないが、ホウ砂などの化合物として多く産出することは古くから知られていた。

地殻中には、多いわけではないもののある程度の埋蔵量があり、約10ppm程度である。

アメリカやインドにはホウ砂の鉱床がある。 


リンク

 

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最終更新:2013年03月11日 21:27