炭素
炭素は原子番号6、元素記号Cの元素である。 
性質
炭素は周期表において、14族2周期に分類される元素である。
炭素は、常温、常圧下では黒色の軽い非金属である。
三重点は4327℃、昇華点は3642℃である。
|
三重点 |
4327℃ |
|
昇華点 |
3642℃ |
|
密度 |
2267kg/m3 |
|
電気陰性度 |
2.55 |
|
酸化数 |
4,3,2,1,0 -1,-2,-3,-4 |
炭素は黒色の非金属元素で、炭素族に分類される。
炭素は同族のケイ素や、隣に位置するホウ素と同じように融点、沸点
が高く、ここでは三重点4327℃と示しているものの、この三重点が
10800kPaの位置にあるため、実質的には炭素が液体になるときは
高圧下のときのみで、常圧だと昇華することになる。
また、炭素には多くの同素体が知られている。とくに炭素の同位体の
中でもダイアモンドはよく知られているものである。
炭素には無定形炭素、グラファイト、ダイアモンド、ロンズデーライト、
フラーレン、カーボンナノチューブ、カルビンなどの同素体がある。
有機物の骨格にもなっている元素であり、その化合物はほぼ無限と
いうに等しいほど存在している。
炭素は酸、アルカリに対しては安定であるが、高温ではハロゲンや酸
素などと反応する。また、イオン化しにくい。
反応
炭素を空気中で熱すると二酸化炭素(CO2)が生成される。
C+O2→CO2
炭素とカルシウムを強く熱すると、カルシウムカーバイド(Ca2C)が生
成される。
C+2Ca→Ca2C
炭素を酸化銅(Ⅰ)(Cu2O)と加熱すると炭素は酸化され二酸化炭素
(CO2)になり、酸化銅(Ⅰ)は還元されて銅となる。
C+2Cu2O→CO2+4Cu
また、酸化銅(Ⅱ)(CuO)の場合は
C+2CuO→CO2+2Cu
酸化鉄(Ⅲ)(Fe2O3)の場合は
3C+2Fe2O3→3CO2+4Fe
となる。
炭素と水蒸気(H2O)を1000℃以上で反応させて、一酸化炭素(CO)を
生成する。
C+H2O→CO+H2
製法
いかなる有機物でも不完全燃焼させると、一酸化炭素と炭素が必ず発
生する。ここでは不完全燃焼を起こしやすいベンゼン(C6H6)を例にとる。
(例)ベンゼン(C6H6)を不完全燃焼させる。(ほかにも多くの可能性があ
るが、ここでは炭素と一酸化炭素が1:5で生成したと仮定。)
C6H6+4O2→C+5CO+3H2O
二酸化炭素を反応性の高い金属で還元すると炭素が精製される。
CO2+2Mg→C+2MgO
しかし、そもそも炭素は石炭などとして天然に産出し、さらに純度を高めた
い場合は石炭を蒸し焼きにしてコークスにすればよいため、よほどの純度
のものを必要としない場合は特別な操作は必要ない。
化合物
炭素の化合物は有機物を含めてしまうと膨大な数のものが存在する。
よって、ここでは炭素の無機化合物の一部をしめす。
ハロゲン化物(CX4)
テトラフルオロメタン(CF4)
テトラクロロメタン(CCl4)
テトラブロモメタン(CBr4)
テトラヨードメタン(CI4)
炭化物
炭化ケイ素(SiC)
炭化カルシウム(Ca2C)
酸化物系
一酸化炭素(CO)
二酸化炭素(CO2)
二硫化炭素(CS2)
炭素のオキソ酸塩
炭酸ナトリウム(Na2CO3)
炭酸カルシウム(CaCO3)
同位体
|
同位体 |
中性子数 |
半減期 |
崩壊モード |
天然存在比(%) |
|
8C |
2 |
2.0×10-21秒 |
PE |
0 |
|
9C |
3 |
0.1265秒 |
? |
0 |
|
10C |
4 |
19.290秒 |
? |
0 |
|
11C |
5 |
20.334分 |
? |
0 |
|
12C |
6 |
安定 |
なし |
98.8 |
|
13C |
7 |
安定 |
なし |
0.1 |
|
14C |
8 |
5715年 |
β- |
ほぼ0 |
|
15C |
9 |
2.449秒 |
β- |
0 |
|
16C |
10 |
0.747秒 |
β-,NE |
0 |
|
17C |
11 |
0.193秒 |
β-,NE |
0 |
|
18C |
12 |
0.092秒 |
β-,NE |
0 |
|
19C |
13 |
0.0462秒 |
β-,NE |
0 |
|
20C |
14 |
0.016秒 |
β-,NE |
0 |
|
21C |
15 |
3.0×10-10秒 |
? |
0 |
|
22C |
16 |
0.0062秒 |
? |
0 |
炭素の安定同位体には12Cと13Cがあり、自然界にはそのほかに痕跡
量の14Cが存在している。基本的に、13Cより重たい不安定核はβ-崩壊
する傾向にある。
12Cは最も一般的に存在する炭素の同位体であり、アボガドロ定数は12C
原子が12グラム集まったときの原子の個数と定められている。
また13Cは炭素1000原子中に約1個あり、12Cとの物理的、生体的な性質
が若干異なることから、トレーサーとして用いられる。
14Cは半減期が5715年とほかの炭素の不安定核と比べると長い寿命を持
つ。成層圏で常時生成されている。主な利用方法は放射性炭素年代測定法
などである。
歴史
炭素は古代より、有機物を不完全燃焼させるとできたため、炭などの形で
知られていた。また、すべての物質の中で最も硬いものとして、炭素としてで
はないが、ダイアモンドも知られていた。
ダイアモンドが炭素であることが知られたのは1772年に行われた、ラボアジェ
による、ダイアモンドの燃焼実験によるものである。
名前の由来は、ラテン語で木炭をあらわすcarboである。
存在
炭素は宇宙の中で4番目に多い元素である。これは、ビッグバンが起こった後に
トリプルアルファ反応という核融合がおこり、ヘリウムから炭素が生成されたため
である。ダイアモンドやロンズデーライトは隕石からもみつかっている。
一方地球では、化合物として多く存在している。たとえば大気中には二酸化炭素、
地殻中には方解石やマグネサイトといった炭酸塩のように存在している。
地球上では炭素単体でも産出することがあり、黒鉛はアメリカやメキシコ、グリー
ンランド、インドで産出され、ダイアモンドは南アフリカ、ナミビアなどのアフリカ大陸
諸国もしくはカナダなどで産出する。
リンク
-
↑
↓